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平成25年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(四日市市)

平成25年度に実施した取組の内容及び成果と課題【実施団体 四日市市教育委員会】

1.事業の実施体制(運営協議会・ 連絡協議会の構成員等)
外国人幼児児童生徒等教育検討委員会(運営協議会)
○検討委員会委員
学識研究者1人 小学校校長6人(拠点校区、準拠点校区) 中学校校長3人(拠点校区、準拠点校区) 幼稚園園長1人(拠点園)教育委員会6人(教育監・総務課長・学校教育課長・指導課長・人権同和教育課長・教育支援課長)関係部局2人(多文化共生推進室、保育幼稚園課長)
○事務局(指導課)

 

2.具体の取組内容
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
○「四日市市外国人幼児児童生徒等教育検討委員会(連絡協議会)」の設置
・外国人児童生徒教育に関する基本的な考え方及び受入れ体制についての検討
・受け入れた外国人幼児児童生徒の学力保障、進路保障に関すること
・外国人児童生徒教育プロジェクト会における日本語で学ぶ力をつけるための指導研究
・外国人児童生徒教育担当者研修会等による教職員の指導力向上

[2]初期指導教室やセンター校(拠点校)等の設置
・来日間もない児童生徒が学べる初期適応指導教室の設置(受入れ拠点校への就学案内)
・集住地区における初期適応指導の充実
・初期適応指導修了後の在籍小中学校との連携
・就学前の外国人幼児を対象とした初期日本語指導の支援

[3]日本語能力測定方法の活用
・外国人児童生徒教育プロジェクト会における日本語能力測定方法の研修
・日本語能力に応じた指導の在り方についての研修

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
・適応指導員(指導補助者)等による日本語指導や適応指導、及び教科学習支援の実施

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・外国人専用の就学相談窓口の設置、不就学・未就学の外国人児童生徒保護者に対する就学促進
・外国人児童生徒の受入れ時における相談及び学校支援
・就学案内ガイドブックの配付・活用、学校説明会・外国人児童生徒と保護者のための進学ガイダンスの開催

[6]その他
・支援員対象の研修会

 

3.成果と課題
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
○「四日市市外国人幼児児童生徒等教育検討委員会(地域連絡協議会)」の設置
<成果>
・四日市市における外国人児童生徒教育の課題は多岐にわたっており、学識研究者の助言を受けながら教育委員会の各課が連携し、諸課題の検討や対応をしていく貴重な機関となっている。受入れ体制や指導体制づくりについて検討するだけでなく、プロジェクト会で具体的に研究したことの報告や作成資料の提示を受けて、協議することができた。
○「外国人児童生徒教育担当者研修会」
<成果>
・担当者から四日市市における外国人児童生徒の状況や適応指導員の役割等について確認できた。
<課題>
・講師である大阪教育大学の准教授からは、「外国人の子供たちに日本語で学びぬく力をつけるため、どの子にもわかる授業を積極的に行い、易しくわかりやすい日本語で短く話すことを心がけるようにすること。」との助言を受けた。定住化傾向に伴い、小中連携した進路指導が必要であることを確認し、小学校から学び残しのないようにしていかなければならない。

[2]初期指導教室やセンター校(拠点校)等の設置
<成果>
・初期適応指導教室で集中的に指導を行うことで日本語力を高めることができ、児童生徒の日本語で学ぶ自信を高めることにつながっている。在籍校において落ち着いて学習に向かえるようになっている。
・本年度から集住地区の小中学校に初期適応指導員を配置した。初期適応指導を充実させるとともに、可能な教科から一斉授業に向けての学習日本語補充を行うことができた。
・拠点校区小中学校においては少人数指導体制が工夫されており、わかりやすい言葉がけや指導を心がけている。外国人児童生徒にとって理解しやすい発問や視覚提示物等の研究がすすめられている。
・就学前支援(プレスクール)においては、多様な言語活動を通して子供たちの語彙を増やすことができている。また、保護者にも文字や会話を覚えようとしている様子がある。

[3]日本語能力測定方法の活用
<成果>
・本市としての日本語習得のためのシラバスを作成することができた。また、プロジェクト会において、日本語能力に応じた指導で展開する授業の指導案検討及び提案授業を通した協議ができた。
<課題>
・本年度作成した「日本の学校で学習や生活をするために覚えたい日本語のシラバス」が日本語能力に応じた指導の在り方に有効であるかどうか、来年度の担当者研修会において各校に配付して実践するように呼びかける。各校の実践をふまえ、検討・修正を図る。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
<成果>
・外国人児童生徒の日本語指導及び適応指導の充実を目的に、適応指導員の派遣を行った。日常会話や集団生活への適応を目的に支援を行うことができた。
<課題>
・特別支援を必要とする外国人児童生徒が増加している。外国人児童生徒の保護者や関連機関等との教育相談においても適応指導員による通訳が必要となるが、専門的な知識を身に付けている適応指導員がいないので、対応機関の充実や対応者の育成が必要である。
・年度末に適応指導員派遣先の学校園に聞き取り調査を行った。対象児童生徒の日本語力は向上しているが、保護者への対応(通訳、翻訳、教育相談)には通訳支援が必要とされる学校がほとんどである。

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
<成果>
・各小学校の実情に応じて、学校説明会や入学説明会を実施したことで、学校と外国人保護者の信頼関係を築くことができ、不就学の防止になっている。「就学案内ガイドブック」を学校説明会等において活用し、外国人保護者に対して日本の学校制度や学校生活の理解が図れた。
・進路支援として、高校から出される本年度の募集要項を翻訳することで、正確な情報や資料を確実に伝えることができた。また、進学ガイダンス当日は通訳者(5か国対応)を準備することで、保護者から「子供の進路について十分に考えることができた。」という感想を得ることができた。
・就学促進相談員の配置は、外国人の保護者が母語で気軽に相談することができると好評である。また、支援を必要としている学校園への就学相談促進員の派遣は大変有効であった。
<課題>
・定住化に伴った子供たちの進路保障を目指し、日本語力が十分でない保護者の教育に対する意識を高めるための支援が更に求められる。

4.その他(今後の取組等)
・日本語指導から教科学習につながる指導法について、有識者の指導を受ける研修会を設定する。プロジェクト会においては、更に具体的な授業の在り方の研究をすすめ、指導案や資料の発信をしていく。
・日本語能力を客観的に判断できる基準が求められている。文部科学省から本年度末に出されたDLA(外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント)を有効な部分で活用できる研究をすすめていく。
・特別支援に対応できる専門機関の設置が必要であるが市単独では実現が難しい。
・指導員研修会を年3回開催しているが、各校園における幼児児童生徒の生活履歴や日本語力や教科学習の積み上げ方が多様であるため、それぞれの実態に応じた支援方法が求められる。適応指導員の指導力向上のための研修会が今後も必要である。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成26年10月 --