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平成25年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(静岡県)

平成25年度に実施した取組の内容及び成果と課題【実施団体 静岡県教育委員会】

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)
[1]運営協議会・連絡協議会の実施
・外国人児童生徒教育連絡協議会(年1回開催)
構成員: 外国人児童生徒が集住する市町教育委員会の担当指導主事(16市町)
      政令市教育委員会担当指導主事(浜松市・静岡市) 
      県総合教育センター指導主事(3人)・外国人児童生徒スーパーバイザー(2人)
      県教育委員会学校教育課小中学校教育室長・主席指導主事・担当指導主事
[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・相談員・スーパーバイザーの派遣

ポルトガル語、スペイン語、中国語、フィリピノ語、ベトナム語を母語とする相談員とスーパーバイザーを任用する。静岡県の相談員等派遣基準に基づき、学校 の要請に応じて派遣する。

 

2.具体の取組内容  
[1]運営協議会・連絡協議会の実施
平成25年11月1日(金曜日)に帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会を開催した。参加者は、外国人児童生徒が集住する市町の教育委員会指導主事(16市町)、先進地域である浜松市教育委員会指導主事、静岡市教育委員会指導主事、学校支援及び学校支援を行う相談員を統括する外国人児童生徒スーパーバイザー(以下、スーパーバイザーという)、県総合教育センター指導主事、県教育委員会学校教育課小中学校教育室長・主席指導主事及び担当指導主事の合計24人であった。

・特別の教育課程の編成・実施に向けて
・DLAの概要版を配布し、活用方法について情報提供
・学校生活適応指導を行うプレクラス(初期指導教室)等の開設状況、運営方法、課題
・市町単独で雇用する相談員・支援員等の配置状況や勤務条件等
・先進地域(浜松市)での取組状況
・静岡市での取組状況
・各市町における他部局や外部機関(国際交流協会・NPO)等との連携の在り方
・日本語初期指導カリキュラム(県作成)やクラリネット・かすたねっと(文部科学省)の活用また、オブザーバーとして、静岡県国際交流協会と県多文化共生課から各1名に参加してもらい、児童生徒向けの施策等について情報提供がなされた。

[2]日本語能力測定方法の活用
(1)日本語能力測定の実施
平成25年度外国人児童生徒に対する日本語指導指導者養成研修(以下養成研修という)に参加した教員の所属する学校において、研修で学んだ外国人児童生徒の日本語能力測定方法(DLA)の一部を7人の児童に実施した。
(2) 日本語能力測定方法学習会
平成25年10月7日(月曜日)15時30分~17時30分   
 養成研修参加者を講師として、日本語能力測定方法について学習会を行った。 
(3)日本語能力測定方法の概要説明と実施結果の活用に関する検討
帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会にて、暫定版を抜粋したものを配布し、概要の説明を行った。測定の実施状況・結果の活用について報告し、今後の外国人児童生徒への指導・支援への活用方法について協議した。 

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
(1) 外国人児童生徒相談員(以下相談員という)、スーパーバイザーの派遣 
ポルトガル語、スペイン語、中国語、フィリピノ語、ベトナム語を母語とする児童生徒の学校生活への適応や学習内容の理解を支援するために、いずれかの言語に堪能な相談員とスーパーバイザーを任用し、静岡県の派遣基準に基づき、学校の要請に応じて派遣する。
相談員18人、スーパーバイザー2人を任用。(教員免許状保持者は4人)

 

3.成果と課題    
[1]運営協議会・連絡協議会の実施
<成果>
・市町の担当が一堂に会し、各地域における現状や成果・課題について、発表しあうことで、情報の共有ができたことは非常に大きな成果であった。特に、限られた予算の中で支援員等の雇用・配置をどのように工夫しているか、これから検討しなければならない市町にとっては、非常に参考になったとの声が聞かれた。
・A市において、独自予算による相談員の雇用が1月から始まるとの報告があった。
<課題>
・県から派遣するスーパーバイザーや相談員等の支援について、対応言語、訪問回数及び訪問時間の不足を多くの市町で感じている。県としては、広域的に少数言語等への対応を主として行うとともに、主体的に市町が外国人児童生徒教育に係る施策を展開していくよう働きかけをしていく。
・支援体制の整備が進んでいる市町でも、緊急時や急な転出入の対応について、苦慮している。

[3]日本語能力測定方法の活用
<成果>
・DLAを実施した教員からは、外国人児童が使っている日本語を意味まで理解しているかどうか、改めて確認することができ、非常に役に立ったとの感想があった。また、指導者側として児童に確実に伝わる言葉を選ぶことの難しさも今回の測定を実施する中で、実感したとのことであった。
・児童に全ての分野を行うことができなかったが、それぞれの児童の実態に応じた測定を行うことができた。加配教員が指導を始めるに当たり、「はじめのいっぽ」を行うことで、実態把握に非常に役に立った。また、期間をおいて再び「はじめのいっぽ」を行ったことで、児童が自分の日本語力の高まりを実感できたことも意欲につながった。
・連絡協議会でDLAの概要説明と実践報告を行ったことで、参加した指導主事が各市町の実態に応じた取組の見通しを持つことができた。
<課題>
・養成研修を受講した外国人加配教員であっても、十分に時間を確保し、DLAを実施することが非常に困難であった。今後、加配教員がいない学校において、DLAを実施しようとする教員が十分に測定方法等を理解し、実施していくためには、研修の機会を設けていく必要がある。

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
<成果>
・児童生徒にとって自分の母語が話せる相談員等と過ごす時間は、リラックスして本音を母語で話せる貴重なものであることが、アンケート結果からわかる。また、相談員等の経験を聞いたり、担任や友達には今更聞きにくいことも質問したりすることで、安心して学校生活を送ることができるようになっていることも調査の結果から推察できる。
<課題>
・外国人児童生徒の散在化(広域化)・多国籍化も進み、各市町独自事業での支援員等を増加する等対応しているが、県の相談員等の支援だけでは十分でない地域がある。
・外国人生徒の高校への進学率が上がっており、日本語の支援だけでなく教科学習に関する支援を望む声が多く聞かれる。今後、DLAの活用や特別の教育課程の編成・実施等、教員の意識を高めるとともに、資質向上のための研修をしていく必要がある。
・ADHD・多動などの障害が疑われる児童生徒に関わることもあり、外国人相談員だけの対応では難しいケースがある。

 

4.その他(今後の取組等)
・次年度の担当教員研修会(6月実施予定・外国人児童生徒加配教員しっ皆研修)で日本語能力測定方法について、実践を含めた説明をすることで、県内に広めるきっかけとしていくことを確認した。
・定住化が進み、高校授業料無償化制度もあり、中学校においては、進学の問題が顕著になってきている。教科学習支援をしていくことの必要性が高まっており、相談員等と教員との役割分担、特別の教育課程の編成・実施等について研修会等で情報共有していく必要がある。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成26年10月 --