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平成24年度「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」に係る報告書の概要(静岡県)

平成24年度に実施した取組の内容及び成果と課題
1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)
2域内で情報共有するための連絡協議会の開催 
  公立小中学校に編入学し、日本語能力や学校生活適応面において指導が必要な外国人児童生徒及び日本語指導が必要な日本国籍を有する児童生徒に対する指導(支援)体制等について協議を行うため、帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会を開催した。
 連絡協議会の委員は、関係する市町教育委員会外国人児童生徒教育担当指導主事、政令市である浜松市教育センター指導主事及びスーパーバイザーをもって充てた。
4指導補助者・支援員等の配置
  県内に多く在籍するブラジル人等の外国人児童生徒の教育に対応するため、外国人児童生徒相談員(以下「相談員」という)、外国人児童生徒スーパーバイザー(以下「スーパーバイザー」という)を任用し、外国人児童生徒の適応指導、指導担当者等への助言、援助等を行った。

 

2.具体の取組内容  
2域内で情報共有するための連絡協議会の開催
平成24年11月2日(金曜日)に帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会を開催し、県内で外国人児童生徒が多く在籍する16市町の教育委員会指導主事、政令市である浜松市教育センター指導主事、県総合教育センター指導主事、スーパーバイザーを集め、国や県の施策に関する情報を伝えたり、各市町の取組について情報交換等を行ったりした。
主な内容は、次のとおり。
・初期の日本語指導や学校生活適応指導を行うプレクラス(初期指導教室)等の開設状況、運営方法、課題
・市町単独で雇用する相談員・支援員等の配置状況や勤務条件等
・各市町における、他部局や外部機関等との連携の在り方
・先進地域(浜松市)の取組状況
・県の相談員やスーパーバイザーの派遣の現状や各校における支援状況
・日本語初期指導カリキュラム(県作成)の活用
 また、協議会に静岡大学教育学部教職大学院准教授及び県国際交流協会担当者を招き、県内における外国人の就労や教育に関する現状、課題等について情報を提供していただいた。
4指導補助者・支援員等の配置
【相談員及びスーパーバイザーの派遣】
  相談員を18人、スーパーバイザーを2人雇用し、県総合教育センター所長の指揮監督の下、市町教育委員会及び小中学校、特別支援学校の要請を受け、派遣計画を作成し支援を行った。 
  相談員は、学校からの要請に応じて学校を訪問し、ポルトガル語や中国語、スペイン語、フィリピノ語、ベトナム語を母語とする外国人児童生徒に対して学校生活への適応や学習の支援を行った。
  スーパーバイザーは、市町教育委員会や市町教育委員会が設置するプレクラス(初期指導教室)、日本語指導が必要な外国人児童生徒が在籍する学校を訪問し、担当教員や保護者、指導員等に対して、外国人児童生徒教育全般に関する必要な指導・助言を行った。
【外国人教育連絡協議会】
  県内の東部地区は、東部総合庁舎を、中西部地区は、県総合教育センターを会場として、相談員とスーパーバイザーを集めて外国人教育連絡協議会を年間13回実施し、効果的な支援方法や適切な助言等について協議等を行った。
連絡協議会の主な内容は次のとおり。
・日本語指導が必要な外国人児童生徒の適応指導の在り方
・各学校の指導担当者への助言等
・外国人児童生徒教育の課題等
・教育相談の手法等
・特別支援教育等の教育課題

 

3.成果と課題    
2域内で情報共有するための連絡協議会の開催
【成果】
・プレクラス(初期指導教室)の運営方法や課題について情報交換を行うことで、市町の現状に合わせた初期指導の在り方について検討することができた。
現在、富士市、掛川市、磐田市、牧之原市、袋井市、湖西市の6市で市の実情に合わせた形で、プレクラス制度が導入されている。
また、御殿場市や御前崎市、焼津市において、外国人児童生徒適応指導教室やワールドルーム等の開設による支援体制が整備されている。
・市町単独予算での相談員等の配置に向けて、沼津市と清水町において具体的に準備が始まっている。
・市町における外国人児童生徒教育の実情を捉えることにより、県が雇用する相談員やスーパーバイザーの派遣方法や支援内容の改善につながっている。
・本連絡協議会において、県教育委員会、県国際交流協会及び静岡大学教育学部教職大学院准教授との連携が深まり、帰国外国人教育に関する市町への協同、支援体制が構築されてきている。三者の協力体制により、初期指導カリキュラムを活用した研修会が一層充実したものとなってきている。 
【課題】
・県から派遣する相談員やスーパーバイザーの支援について、多くの市町で、学校への訪問回数や訪問時間に不足を感じている。
・支援体制の整備が進む市町においても、急な転出入や緊急時の対応については、対応に苦慮している。
・支援体制の整備が進んでいる市町においても、財政的な課題を抱えており相談員等の雇用が難しくなっている。
・県としては、市町内において日本語指導が必要な児童生徒の多い言語への対応については、市町が主体となって支援を行うよう引き続き働きかけていくとともに、広域的な少数言語への支援を基本とし、体制を整えていく。
4指導補助者・支援員等の配置
【成果】
・「相談員等の支援は、授業が分かる上で役立ちましたか」という問いに対して、99.1%の児童生徒が「とても役に立った」「役に立った」と肯定的な回答をしている。そのうち「とても役に立った」と回答した児童生徒の割合は、60.4%であった。平成23年度に実施した調査と比較し、「とても役立った」「役に立った」と回答した児童生徒の割合が4.1%増えている。
・「相談員等の支援は、学校生活に慣れる上で役立ちましたか」という問いに対して99.6%の児童生徒が「とても役に立った」「役に立った」と肯定的な回答をしている。そのうち「とても役に立った」と回答した児童生徒の割合は、63.9%であった。平成23年度に実施した調査と比較し、「とても役立った」「役に立った」と回答した児童生徒の割合が、6.6%増えている。(99校230人に調査)
・「相談員等の派遣は、日本語指導を受ける児童生徒が学校生活に満足する上で役立ちましたか」という問いに対して、「とても役に立った」「役に立った」と肯定的な回答をした学校の割合は、100%であった。平成23年度に実施した調査でも同様の結果が出ており、相談員やスーパーバイザーの支援は、各学校において非常に有効であることを確認することができた。(日本語指導が必要な児童生徒が在籍する174校に調査)
これらの調査から、相談員やスーパーバイザーの派遣による外国人児童生徒に対する支援や連絡協議会の実施による相談員やスーパーバイザーの支援等の質の向上により、当該児童生徒のスムーズな学校への適応や学習活動の充実が図られていると考えられる。
【課題】
・学校生活への適応や学習内容の理解が進む一方で、学校生活が楽しいと感じている外国人児童生徒の割合が昨年度よりも約4%減少していることから、連絡協議会において、相談員やスーパーバイザーによる外国人児童生徒の心理的なサポートの在り方について協議したり、市町教育委員会や学校等との連携をとりながら学校が楽しくないと感じている要因について探ったりすることで、解決へ向けての方策を立てていきたい。
・市町の支援体制の整備状況には差があり、県の相談員やスーパーバイザーの訪問支援が不可欠である地域も少なくない。
また、整備が進んでいる市町においても緊急の対応を要する場合、県の支援が必要となる。
このような現状を鑑み、市町への支援体制の整備を働きかけるとともに、今後も県で相談員やスーパーバイザーを雇用し、市町教育委員会、学校等を支援していきたい。  

 

4.その他(今後の取組等)
2域内で情報共有するための連絡協議会の開催
 県国際交流協会と連携を図りながら、外国人児童生徒が多く在籍する市町教育委員会担当者、先進的な取組を行っている浜松市教育委員会担当指導主事(浜松市教育センター指導主事)、実際に学校現場での支援に携わるスーパーバイザー等及び県教育委員会担当者との情報交換の場を
継続的に設定していく。
4指導補助者・支援員等の配置
 県と市町の役割を明確化し、県として少数言語に対する広域的な支援を中心に市町を支援し続けていく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成25年09月 --