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平成20年度帰国・外国人児童生徒受入促進事業に係る報告書の概要 兵庫県

実施団体名【 兵庫県教育委員会 】

平成20年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1 研究事項(テーマ)  

 分散化・多言語化に対応した外国人児童生徒の受入体制の充実
 本県においては、日本語指導が必要な外国人児童生徒数は、平成20年9月1日現在、702名で、昨年度に比べて68名増加している。当該児童生徒の在籍校数は218校と多く、特定の都市、学校に集中して在籍するとともに、全県各市町、各学校に分散して在籍している。また、その言語数も、ベトナム語、中国語、ポルトガル語、フィリピノ語、韓国・朝鮮語、スペイン語等23言語と多言語にわたっている。
 外国人児童生徒の分散化・多言語化に対応した外国人児童生徒の受入体制の充実させる取組について、研究を行った。

2 事業の実施体制(外国人児童生徒就学支援連絡協議会の構成員等)

 外国人児童生徒就学支援連絡協議会を設置し、外国人児童生徒の就学支援の在り方について研究・協議するとともに、組織的・計画的な取組となるよう支援した。

 (1) 研究・協議内容

ア 各市町における不就学外国人児童生徒等の状況について
イ 児童生徒の分散化に対応した受入体制の整備について
ウ 企業や関係機関と連携した就学案内・就学相談活動について
エ 日本語指導、適応指導の充実を図る支援体制モデルの構築と拡大について
オ 就学上のさまざまな課題解決のための指導補助者等の活用について

(2) 構成員

ア 学識経験者:兵庫県立大学経済学部教授
イ 事業実施関係市教育委員会担当者:西宮市、南あわじ市
ウ バイリンガル相談員派遣市教育委員会担当者:神戸市、伊丹市、宝塚市、加古川市、姫路市
エ バイリンガル相談員派遣県立学校担当者:県立芦屋国際中等教育学校、県立神崎工業高等学校

3 研究内容 〈具体の取組内容〉
(1) 外国人児童生徒在籍状況調査の実施

ア 趣旨
 近年、就学年齢に達しているものの、学校に通わない、いわゆる「不就学」外国人児童生徒の把握とその対応が課題とされていることから、県内全市町の外国人児童生徒の在籍状況調査を実施する。

イ 調査対象
 平成20年5月1日現在登録の学齢期外国人児童生徒

ウ 結果
 県内の外国人登録児童生徒5,586名中、不就学児童生徒は4名。
 その後、1名は帰国、1名は就学。2名は、家庭の意志により在宅学習。

(2) 就学支援ガイドブックの作成と配布

ア 趣旨
 外国人児童生徒の就学を促進することを目的とし、日本の学校制度、奨学金制度等の説明と高校進学や就職をめざす進路案内の要素をもつ内容とする。

イ 作成言語:10言語

ウ 配布先:県内全市町組合教育委員会、就学支援ガイダンス参加者(県内4会場) 

(3) 就学支援ガイダンスの実施

ア 趣旨
 県教育委員会は、NPO等の外国人支援ネットワークと連携し、就学支援ガイダンスを実施する。実施にあたり、関係者会議を開催し、関係機関の協力を得ることにより、ガイダンスの周知と相談後のアフターケアを行う。

イ 回数:県内4ヶ所

ウ 内容
(ア) 就学支援に関する全体説明・・ガイドブック配布、パワーポイント活用
(イ) 先輩の体験談の発表(日本語と母語で発表)
(ウ) 教育相談(必要に応じて通訳付き)

(4) バイリンガル相談員の配置

ア 趣旨
 就学や登校に課題のある外国人児童生徒の家庭及び学校において、対象児童生徒を把握するとともに、その課題解決に向けた支援を行う。

イ 支援内容
(ア) 対象児童生徒の家庭への訪問活動
(イ) 対象児童生徒及びその保護者への教育支援
(ウ) 教職員、専門家(スクールカウンセラー等)及び関係機関との連絡調整等

ウ 派遣したバイリンガル相談員(人数、言語数)
 中国語、韓国・朝鮮語、ベトナム語、タイ語、フィリピノ語、スペイン語、ポルトガル語の7言語、28人

4 成果と課題
(1) 成果

ア ネットワークを活用した事業推進
 外国人児童生徒受入促進連絡協議会では、ネットワークを活用した取組のあり方について研究協議を行い、就学支援ガイダンスの実施等、地域の企業、国際交流協会、日本語ボランティア等と連携した取組等受入促進の充実を図ることができた。

イ 県内全市町で外国人児童生徒在籍状況調査の実施
 県内全市町で外国人児童生徒在籍状況調査を行い、不就学の状況を把握した。

ウ バイリンガル相談員の派遣による受入促進
 不就学、不登校、長期欠席等、就学や登校に課題がある児童生徒にはバイリンガル相談員を派遣し、支援を行い、不登校、長期欠席の減少に効果を上げた。

エ  就学支援ガイドブックの作成・配布、就学支援ガイダンスの実施、教育相談の実施による受入促進の充実
 10言語で就学支援ガイドブックを作成し、配布するとともに、就学支援ガイダンスを実施し、就学に向けた支援を行った。また、別の教育相談を行い、課題解決を図った。

(2) 課題

ア 取組の成果の発信
 成果の発信し、関係市町への啓発に努め、県教育委員会と市町教育委員会、学校、関係機関・団体がより一層連携した効果的な事業を推進する必要がある。

イ 不就学外国人児童生徒の把握と支援
 不就学の外国人児童生徒は、全県調査の結果では、2名である。しかし、調査対象が外国人登録をしている児童生徒であり、また、昨今の経済状況の悪化に伴い、就学、登校していない外国人児童生徒の存在が想定される。関係市教育委員会、関係機関・団体と連携しながら、その把握及び支援が必要である。

5 その他(今後の取組等)

 子ども多文化共生センターを就学・学習支援センターと位置づけ、機能の強化を図る。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

-- 登録:平成21年以前 --