平成20年度帰国・外国人児童生徒受入促進事業に係る報告書の概要 滋賀県長浜市
実施団体名【 長浜市教育委員会 】
平成20年度に実施した取組の内容及び成果と課題
1.研究事項(テーマ)
初期指導教室と日本語教室の連携を核とした、外国人児童生徒の自助自立に向けた地域連携型の教育支援体制の在り方にかかる実践研究(2年次)
2.事業の実施体制(地域連絡協議会の構成員等)
(1)支援体制 別紙のとおり
(2)地域連絡協議会(「長浜市国際化に対応する教育推進協議会」)構成員
協議会役職 |
所属・職名 |
指導助言 |
滋賀県立大学教授 |
〃 |
県教育委員会学校教育課指導主事 |
会長 |
滋賀県立大学教授 |
副会長 |
長浜商工会議所専務理事 |
会員 |
県教育委員会学校教育課指導主事 |
〃 |
財団法人 滋賀県国際協会主任書記 |
〃 |
株式会社 サンファミリー営業推進部 |
〃 |
長浜市民国際交流協会副会長 |
〃 |
長浜ユネスコ協会員 |
〃 |
市企画部市民協働課長 |
〃 |
長浜小学校PTA会長 |
〃 |
北中学校PTA会長 |
〃 |
長浜北小学校長 |
〃 |
東中学校長 |
〃 |
日系ブラジル人 |
〃 |
外国人児童生徒初期指導教室NAGOMI室長 |
事務局 |
長浜市教育委員会事務局教育部理事 |
〃 |
長浜市教育委員会教育指導課指導主事 |
〃 |
長浜市教育委員会教育指導課外国人子どもサポート主任相談員 |
3.研究内容 〈具体の取組内容〉
1.外国人児童生徒の個別の教育課題に応じた段階的な支援システムの構築
- 初期指導教室と在籍校における日本語教室の連携・接続を明確にし、日本語習得状況や生活適応度等に応じた段階的、発展的な学習システムを構築し、一人ひとりの自助・自立に向けた効果的な支援の在り方について研究する。
- 在籍校と初期指導教室がそれぞれの指導の質を高めるため、定期的に連絡会議を開催する。
- それぞれの習得過程に応じた効果的な指導カリキュラムと教材を作成する。
- 初期指導教室と在籍校日本語教室における教育相談を充実させる。
- 外国人児童生徒への理解を深めるため、在籍校や関係機関向けに啓発用の広報誌を発行する。(外国人児童生徒が在籍することのプラス面を紹介)
2.異文化共生社会の実現に向けた五者連携の外国人児童生徒就学支援に向けた体制づくり
- 外国人児童生徒の就学状況や生活の実態を調査し、保護者等の思いを把握するとともに課題について明らかにする。
- 市外国人登録窓口および関係企業との連携を図り、情報提供および就学相談窓口の設置等により、外国人児童生徒が安心して就学できるための支援体制づくりを行う。
- 外国人児童生徒の就学について地域全体で推進できるための連携体制を整え、それぞれの立場を生かした支援の在り方を探る。
4.成果と課題
(1)成果
- 外国人児童生徒の日本語習得状況等の個別の教育的ニーズに基づいて、初期指導教室から在籍校の日本語教室、そして在籍学級へと段階的に学習できる支援体制づくりが整備できた。特に、初期指導教室の日本語指導カリキュラムを作成し、在籍校での指導との接続を効果的に進めることができるようになった。また、NAGOMI教室指導員や巡回指導員を配置することにより、学習や生活適応が進み、自立支援に向けた取り組みが可能となった。
- 五者連携の受入支援体制づくりを研究するため、地域連絡協議会である「長浜市国際化に対応する教育推進協議会」を設立し、様々な視点から外国人児童生徒の教育の問題を考えることができた。その結果、外国人児童生徒の教育を学校現場だけの狭い捉え方でなく、多文化共生社会に向けた教育の一環として捉え、地域全体でどのように取り組むべきかの方向性について協議できたことは成果であった。また、外国人児童生徒の教育に関する実態調査を行ったことで、課題が明らかとなり、今後の取り組みの方向性が見えてきたことも成果である。
(2)課題
- 現在の経済不況において、外国人労働者の失業が増加することが予想されるなか、外国人学校を退学し、市内公立学校へ就学する者のほか、不就学に陥る者も多くなることが懸念される。こうした児童生徒やその保護者に対して、公立学校の教育に関する情報提供を積極的に行い、就学促進に向けた相談活動や支援を充実する必要がある。そのためには、不就学等の実態調査を行い、状況を早急に把握する必要がある。また、就学促進に関わって、関係企業等の協力を得る関係づくりも重要である。
- 発達障害や虐待、不登校、家庭の経済的問題等、専門的な指導が必要となるケースが増加している。関係機関との実効的な連携・協力体制づくりを確立していく必要がある。
- 外国人児童生徒の日本での滞在が長期化・永住化する傾向のなかで、今後の社会の担い手として上級学校への進学等の促進が求められている。そうしたなか、日本語能力のみならず確かな学力の定着を図るためにも、保護者主催の補習教室など課外での学習の場を奨励し、支援していく必要がある。
- 教職員対象意識調査結果では、外国人児童生徒教育上の最も大きな問題として意思疎通と学習指導が挙げられている。意思疎通を図るためには、通訳のできる巡回指導員の派遣はとても重要であり、更なる充実を図っていく必要がある。
5.その他(今後の取組等)
- 不就学児童生徒の実態を把握し、就学を促進するために必要な相談活動や支援を行う就学促進員を配置する。
- 今年度行った実態調査の結果を踏まえて、啓発活動や教職員研修を実施する。
- 関係企業や関係機関との情報交換を密にし、連携・協力のもと、外国人児童生徒の教育に関わる取り組みを進める。
- 外国人保護者への情報提供を充実させるため、就学ガイドブック等の作成・整備を図る。