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1 補習授業校の性格

(注)本項は、主として運営委員・教師・保護者の補習授業校理解を目的とするが、子ども達も補習授業校の構成員であるから、発達段階に即して子ども達にも説明し、目的意識を明確に持って通学するよう促すことが望ましい。

1‐1 補習授業校の設置目的

 補習授業校は、

  • 現地校に通学する児童生徒が、【対象】
  • 再び日本国内の学校に編入した際にスムーズに適応できるよう、【目標】
  • 基幹教科の基礎的基本的知識・技能および日本の学校文化を、【内容】
  • 日本語によって学習する【方法】

 教育施設である。

1‐2 補習授業校の意義

 補習授業校+(プラス)現地校・インターナショナルスクールという就学形態を経て帰国した児童生徒を対象とした追跡調査によると、帰国後スムーズに適応する条件として以下の3点が挙げられる。

  1. 補習授業校の勉強をしっかりやること。
  2. 家庭内では日本語を使うこと。
  3. 日本語の本を読むこと。

1‐3 補習授業校の特徴

 年度初め等の節目には、補習授業校についてあらためて説明し、次のことを発達段階に即して説明する。

  • 目的:再び日本の学校で勉強するための学習と生活の基礎基本を身につけること。
  • 方法:
    1. 全員の積極的な参加で授業が成り立つこと。
    2. 家庭学習と教室学習とが総合されて学習目標が達成されること。

1‐4 補習授業校における「学習指導要領」および「教科書」の位置づけ

  1. 学校における学力とは、「学習指導要領」に掲げられた諸項目を指す。
    • 点画の長短、接し方や交わり方などに注意して、筆順に従って文字を正しく書くこと。(小1、2年)
    • 話の中心に気を付けて聞き、自分の感想をまとめること。(小3、4年)
    • 登場人物の信条や場面についての描写など、優れた叙述を味わいながら読むこと(小5、6年)
    • 事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに、話や文章の中の語彙(ごい)について関心をもつこと。(中1年)
    • 書いた文章を読み返し、文や文章を整えて、説得力のある文章にすること。(中2、3年)
  2. 「教科書」は、「学習指導要領」に掲げられた各教科の学力を具現化させるための教材集である。
  3. 補習授業校の児童生徒には、国内用の教科書が無償給付される。それに伴い、目標とする国語学力も「学習指導要領」に掲げられたものとなる。
  4. 補習授業校の設置目的からして、児童生徒はふたたび国内の学校に編入することを目指していることを前提としているため、国内用教科書を用い、学習指導要領に掲げられた学力を目指すこととなる。
  5. 各補習授業校の開講教科以外の教科書については、自学材料として活用することが望ましい。事項・用語等に一通り触れておくことは、帰国後のキャッチアップにも有益である。また、音読の材料としても利用することができる。

1‐5 教育効果を挙げる要件(国語指導に関して)

  1. 設置目的を周知すること
  2. 適切なカリキュラムで行うこと
  3. 指導事項を精選すること
  4. 基礎基本を重視すること
  5. 明快な授業を目指すこと
  6. 家庭との連携を図ること

 参照:『気球船』平成14年(2002)1~7月号
 ※ 国際教育課発行のニュースレター「気球船」において、富澤海外子女教育専門官が、平成13年4月から「補習授業校シリーズ」として、補習授業校の課題や話題について寄稿中である。配付等を希望する補習授業校にあっては、配信先メールアドレスを「E‐mail:kokukyo@mext.go.jp」までお知らせいただきたい。

1‐6 国語学習における基礎基本項目とその効用

 国語学力の基盤を作るのに有効なのは、音読・作文・視写・漢字である。
 それぞれ、以下の効果がある。

音読

  1. 発音・発声を正しくする。
  2. 日本語の調子を感覚的につかませることができる。
  3. 記述内容の理解を促す。
  4. 音読や朗読が上手になる。
  5. 教室が活気づく。
  6. 国語が苦手な子も上達の喜びを味わうことができる。

作文

  1. 語彙(ごい)を増やす。
  2. 言葉づかいや文法への関心を喚起する。
  3. 文字や表記への注意を喚起する。
  4. 論理的思考力を伸ばす。

視写

  1. 集中力をつける。
  2. 筆圧(感)を養う。
  3. 字が上手になる。
  4. 精読を促す。
  5. 漢字に対する苦手意識を軽減する。

漢字

  1. 語彙が増える。
  2. 表現力が豊かになる。
  3. 理解力が深まる。
  4. 帰国後の漢字学習の基盤ができる。

 《補習校でも十分できて、基礎を固めて自信をつける音読・作文・視写・漢字》

1‐7 教室学習と家庭学習との関係

  1. 補習授業校では、教室学習と家庭学習とが五分五分の重要さをもっている。学習の進行に係わる。このことを理解して臨むのが補習授業校の学習集団の一員としての前提条件である。
  2. 復習の励行・家庭学習の習慣化・宿題や提出物の期限厳守は、補習授業校の一員としての務めである。
  3. 運営委員会・校長・担任は、保護者と児童生徒に対し、それぞれ担当する機会にこのことを周知する必要がある。

 《家庭は第二の教室、保護者は第二の担任》

1‐8 担当学級の掌握・学習基盤の形成

  1. 補習授業校の子ども達の国語力は、渡航時年齢や在留期間の長短によって国内以上に大きな違いがある。したがって、一人一人に適切な指導と助言をするために、個々の特徴と課題の把握に努めること(「家庭環境調査表」「前年度通知表(記録)」等を活用する)。
  2. 誰もが安心して学習に集中できる学級となるよう指導すること。
  3. 悪口や皮肉を言うこと、本人のいやがるあだなをつけること、間違った答えを笑うことなどについては、そのとき、その場で注意し、止めさせること。
  4. これらは、生活指導であると同時に、学習目標を達成する基盤でもある。

1‐9 家庭学習

  1. 小学部の宿題には、次の2点を盛り込むこと。
    ア 毎日行うこと。‐視写・漢字練習・音読/朗読
    イ 教材文を声に出して読むこと。‐音読/朗読、さらには暗唱
  2. 中学部については、現地校と補習校との兼ね合いを自分で判断し、計画的に学習するよう促すこと。

1‐10 「今週の家庭学習」の指示

  1. 必須課題とともに、子どもの力や保護者の裁量によって発展的な学習もできるようにすること。
  2. 学習目標や教師の意図が保護者に的確に伝わるよう設問・指示・連絡の文言(もんごん)を適切なものにすること。
  3. 新出漢字は、難度の高いもの(画数が多く字形が複雑な字・点画(てんかく)や字形を間違えやすい字など)を教室で指導し、平易なものは家庭に託すことを原則とする。
  4. 基本的には、ワークブック類による復習・反復課題については保護者が採点・添削し、担任はそれを点検して個々の状況とクラスの概況を把握するものとする。
     次時の学習活動に関連するものについては、担任が目を通し、理解や習得の度合いを把握すること。
  5. 視写の課題は、あまりに量が多かったり範囲が広かったりすると、子ども達は終わらせることだけを目指すことになり、結果的に単なる作業になってしまう。書字力をつける、要点を把握する、巧みな表現を学ぶなど、目的を達成するのに有効な指示の仕方を工夫すること。

1‐11 学期末の問いかけ‐1学期を振り返り、夏休みに向けて

  1. 学期末という節目でこれまでの取り組みを振り返って評価・反省・確認をさせることは、次の学習目標に向かううえで意義がある。
  2. 以下の問いかけは、学期初めの目標がどれだけ達成されたかを評価するものである。
    ア 補習授業校は、自分にとってどういう役割を果たしているところか?
    イ 国語の力はついただろうか?
    ウ 授業中、一生懸命に取り組んだろうか?
    エ 家庭学習がしっかりできたろうか?
    オ よくなかったのは、どんなところか?
  3. 夏休みの学習については、たとえ低学年であっても、目的・内容・方法を子ども達自身に説明することが大切である。現実には親からの指示でやるとしても、先生と約束したのだという意識が根底にあると、「よりよくやろう」という意欲を持つ。

1‐12 長期休暇中の家庭学習

  1. 長期休暇中の学習は、保護者の方針に委ねるものではあるが、次の観点から補習授業校および担任は、適切な指示をする必要がある。
    • ア 前学期の学習の定着を図り、次学期以降の学習に備えること。
    • イ 補習授業校と家庭との連携の一環として、学習の素材を提供すること。
  2. 以下を参考にして、学年毎に指示する。
    漢字 ‐1学期に学習したものの定着をめざす。
    視写 ‐
     A:読んだものの中で目に止まったところを書く。
     例 上手な書き方だ/面白い言い方だ/きれいな情景だ/その他
     B:国語教科書の手書き部分や、書き方教科書を見て、字形をそっくりに書く練習をする。
    音読・朗読 ‐小学部は、つとめて声に出して読む。
     中学部は、文章に合った音読・朗読を工夫して読んでみる。
    読書 ‐日本語・外国語ともたくさん読む。
  3. 休暇中の課題(例えば「夏休みの学習」)作成にあたっては、次の点に留意すること。
    • ア 基礎的基本的事項の習得を中心とすること。
    • イ 荷重にならないこと、必須課題と保護者の裁量による発展課題を考慮すること。
    • ウ 計画の立て方・勉強の進め方についても指導すること。
    • エ 担任に提出するもの・保護者の点検に一任するものの別を明示すること。

1‐13 長期休暇中の宿題の事後指導

  1. 夏休みの課題については、基本的には点検と寸評だけでよい。
  2. 点検をする際は、同じ間違いを繰り返している部分にはラインを施し、本人と保護者の注意を喚起するなどする(詳細な添削はしなくてよい)。
  3. 内容や出来ばえよりも、すべきことを果たしたかどうかを確認し、評価や指導をする。基本的生活習慣・自立的学習習慣の確立が学年を問わず重要である。

1‐14 読書1‐基本的な考え方

 (注)本項は、保護者からの相談に答えたり、長期休暇の宿題を提示したりする際の参考となるものである。

  1. 補習授業校の子ども達にとって日本語図書を読む意義・効果は、読書について一般的に挙げられることのほかに、次のようなものがある。
    • ア 日本語の調子に接し続けること。
    • イ 語彙・語法の保持・伸長に役立つこと。
    • ウ 日本的な価値観やアイデンティティーの保持・形成に役立つこと。
  2. 補習授業校の子ども達に対しては、教養や学習のためというよりも、娯楽の一つとして薦めるのがよい。
  3. スポーツ/趣味の雑誌・漫画等も含め、日本語で書かれたものを読むだけでも1の意義・効果がある。
  4. 補習授業校の子ども達にとって漫画の利点は、総ルビなので一人で読み通せることであり、結果的に1の意義・効果をもたらす。

1‐15 読書2‐評価

  1. 読書することと感想文を書くこととは、別の活動である。感想文を書くことに対する負担感が読書への意欲を削ぐのは本末転倒である。
  2. 読書量や読書好きであることを評価するのなら、次の項目のみを記録させればよい。
    • ア 書名
    • イ 著者名
    • ウ 読んだ期間
    • オ ページ数
      総ページ数は、量的な蓄積が数字で明らかに示されるので、子ども達の達成感を満足させることができる。保護者や教師の期待する効果は、量をこなすうちに自然と表れるものである。
  3. 感想文を書くことを厭(いと)わない子ども達には、「任意」として次を書かせる。
    • ア 初め…どういう人物で、いつ、どこのことか。
    • イ 中…どんな事件が起こったか。
    • ウ 終わり…何が、どのように変わったか。

1‐16 個別面談

  1. 個別面談の目的は、担任と保護者とが、子どものよりよき成長をはかるために話し合うことである。
  2. 学習のみでなく、その要因となっている生活と性格についても目を向けること。
  3. 入学して日の浅い場合は、日本の学校での様子を聞くこと。また、補習授業校の学習の進め方の説明にあてること。
  4. 保護者は教室での実態を掴んでいない。問題点がある場合には、これを解決することでもっとよくなるから話すのだと考え、遠慮をせずに話すこと。
  5. 過去のことに終始せず、今後どうすべきかを話し合うこと。その際、保護者のすべきことを、小さなことでも具体的に挙げ、約束していただくこと。
  6. 相互の信頼関係がないと、せっかく話したこともそれきりになってしまう。そのためには、その子の長所を大いに褒めること。
  7. どの保護者にも公平に接すること。個人的な親しさは控えること。
  8. 面談で知った個人的なことを他にもらさぬこと(守秘義務の遵守(じゅんしゅ))。
  9. 補習授業校全体の方針に係わることについては、回答を留保し、校長に伝えること。
  10. 時間を効率的に使うために、次の各項について準備すること。
    • ア 平常の様子から
      • 宿題の提出状況と達成度
      • 忘れ物
      • 協調性
      • 担任への態度 等
    • イ 学習への取り組みから
      • 学習準備
      • 授業参加(発言/発表/聞き方/ノートの取り方)
    • ウ 学習到達度から
      • 読むこと…読解力/音読/朗読
      • 書くこと…作文力/要旨作成力/書字力
      • 聞くこと…理解力/要旨把握力/集中力
      • 話すこと…表現力/発言発表力

1‐17 1年間を振り返る

  1. 1年間の仕上げの時期でもある3学期の開始にあたり、「通知表」の項目を提示して自己点検を促し、不十分なものについては今から努力するよう指導する。
  2. この予告によって、年度末に自分が満足する段階に達し、先生からの高い評価が得られることになれば、それが励みとなり、次には本当に身につくことが期待できる。
    参照:関連資料「通知表」(PDF:37KB)
     小学部・中学部とも、項目・文言は全学年同じ。ただし、小学部版では、各学年の配当漢字を使用している。

1‐18 通知表の目的と性格

  1. 学習面・生活面にわたって、1年間を省みる意義をもつものである。
  2. 各学年の発達段階に即して、回顧と展望を促す話をし、その後記入させる。
  3. 省みるというと、とかく悪い点ばかり書きがちだが、頑張った、成長したという点も自ら確認させること。それによって新学年でも頑張ろうという気持ちが湧く。

1‐19 通知表への評価・所見の記入

  1. 子ども達が励みに思い、自信をもつような評語(ひょうご)を書いてあげること。
  2. 本人自身が頑張っていると思っていることを、具体的な事例や場面をあげて褒め、「先生が見ている」ことを実感させること。
  3. そのうえで、ここを直せばもっとよくなるということを書いてあげること。
  4. 自己評価の甘い点は指摘すること。
  5. 暗誦や記憶に役立つ

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課

-- 登録:平成21年以前 --