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関係資料

キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書−児童生徒一人一人の勤労観,職業観を育てるために−の骨子

はじめに

○ 少子高齢社会の到来,産業・経済の構造的変化や雇用の多様化・流動化等を背景として,就職・進学を問わず進路選択をめぐる環境は大きく変化
○ 学校における教育活動がともすれば「生きること」や「働くこと」と疎遠になったり,十分な取組が行われてこなかったのではないかという指摘
○ 本協力者会議は,初等中等教育における「キャリア教育」を推進していくための基本的な方向等について総合的に検討するため,平成14年11月に設置され,今般,報告書を公表
○ 本協力者会議の報告は,学校や教育関係者等における「キャリア教育」推進の指針となる提言

第1章 キャリア教育が求められる背景

1 学校から社会への移行をめぐる様々な課題

(1)就職・就業をめぐる環境の激変

○ 新規学卒者に対する求人は著しく減少
○ 求職希望と求人希望との不適合が拡大

(2)若者自身の資質等をめぐる課題

○ 勤労観,職業観の未熟さ
○ 職業人としての基礎的資質・能力の低下

2 子どもたちの生活・意識の変容

(1)子どもたちの成長・発達上の課題

○ 身体的な早熟傾向に比して,精神的・社会的自立が遅れる傾向
○ 生産活動や社会性等における未熟さ

(2)高学歴社会におけるモラトリアム傾向

○ 若者が職業について考えたり,職業の選択・決定を先送りにするモラトリアム傾向の高まり
○ 進路意識や目的意識が希薄なまま「とりあえず」進学したりする若者の増加

第2章 キャリア教育の意義と内容

1 「キャリア」をどうとらえるか

○ 「キャリア」の解釈・意味付けは,それぞれの主張や立場,用いられる場面等によって多様
○ 「キャリア」とは「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」

2 キャリア教育の定義

○ 端的には「児童生徒一人一人の勤労観,職業観を育てる教育」
○ 中央教育審議会答申(平成11年12月)における定義:「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」
○ これを本協力者会議では,「キャリア」概念に基づき,「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し,それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえている

3 キャリア教育の意義

(1)教育改革の理念と方向性を示すキャリア教育

○ キャリア教育は,一人一人のキャリア発達や個としての自立を促す視点から,従来の教育の在り方を幅広く見直し,改革していくための理念と方向性を示すもの

(2)子どもたちの「発達」を支援するキャリア教育

○ キャリアが発達段階やその発達課題の達成と深くかかわりながら段階を追って形成されていくことを踏まえ,子どもたちの成長・発達を支援する視点に立った取組を推進

(3)教育課程の改善を促すキャリア教育

○ 各領域の関連する諸活動を体系化し,組織的・計画的に実施することができるよう,各学校が教育課程編成の在り方を見直していくことが必要

4 キャリア教育の範囲と内容

(1)学校教育における各領域とキャリア教育

○ キャリア教育は,学校のすべての教育活動を通して推進

(2)小・中・高等学校学習指導要領におけるキャリア教育関連事項

○ 学習指導要領において,キャリア教育に関連する事項は相当数に上る
○ 各学校において活動相互の関連性や系統性に留意しながら,発達段階に応じた創意工夫ある教育活動を展開していくことが必要

5 進路指導,職業教育とキャリア教育

(1)進路指導とキャリア教育

○ 進路指導の取組はキャリア教育の中核。しかし,従来の進路指導においては,「進路決定の指導」や,生徒一人一人の適性と進路や職業・職種との適合を主眼とした指導が中心
○ キャリア教育においては,キャリア発達を促す指導と進路決定のための指導とが系統的に調和をとって展開。適合とともに,集団生活に必要な規範意識やマナー,人間関係を築く力やコミュニケーション能力など,適応にかかる幅広い能力の形成の支援を重視

(2)職業教育とキャリア教育

○ 職業教育の取組はキャリア教育の中核。しかし,従来の職業教育の取組では,専門的な知識・技能を習得させることに重きが置かれており,生徒のキャリア発達をいかに支援するかという視点に立った指導は不十分
○ 今後,キャリア教育の視点に立って,子どもたちが働くことの意義や専門的な知識・技能を習得することの意義を理解し,その上で科目やコース,将来の職業を自らの意志と責任で選択し,専門的な知識・技能の習得に意欲的に取り組むことができるよう指導の充実が必要

第3章 キャリア教育の基本方向と推進方策

1 キャリア教育の基本方向

(1)一人一人のキャリア発達への支援

○ 子どもたちのキャリア発達を支援するため,各発達段階における発達課題を踏まえ,また,発達における個人差に留意しながら,適時性や系統性などに配慮した諸活動を展開
○ キャリアに関する個別あるいはグループ単位でのカウンセリングの機会の確保と質の向上

(2)「働くこと」への関心・意欲の高揚と学習意欲の向上

○ 教科・科目の学習とキャリア教育との関係は,二者択一的な関係ではなく,職業や進路などキャリアに関する学習が教科・科目の学習や主体的に学ぼうとする意欲の向上に結びつき,教科・科目の学習がキャリアに関する学習への関心や意欲の向上につながるという,相互補完的な関係

(3)職業人としての資質・能力を高める指導の充実

○ 職業教育の専門性の向上に努めるとともに,高等学校段階までの学習が,それ以降のより高度な専門的な知識・技能を習得する学習につながるよう,基礎・基本の充実・徹底が必要
○ 普通教育においても,将来の職業生活を視野に入れ,情報活用能力や外国語の運用能力等,今後,社会や企業で一層必要となる能力を身に付けられるようにすることが重要

(4)自立意識の涵養と豊かな人間性の育成

○ 働くことには,生計の維持,自己実現の喜びとともに,社会に参画し社会を支えるという意義があることの理解
○ 小学校段階から,自己と他者や社会との適切な関係を構築する力を育て,将来の精神的,経済的自立を促していくための意識の涵養と豊かな人間性の育成

2 キャリア教育推進のための方策

(1)「能力・態度」の育成を軸とした学習プログラムの開発

○ 児童生徒の各発達段階における発達課題の達成との関連から,各時期に身に付けることが求められる能力・態度の到達目標を具体的に設定
○ 個々の活動がどのような能力・態度の形成を図ろうとするものであるのか等の明確化が重要
○ 先進的な取組事例の情報提供や学習プログラムの開発・普及

(2)教育課程への位置付けとその工夫

○ 各学校が,キャリア発達の支援という視点から自校の教育課程の在り方を点検・改善していくことが重要
○ 児童生徒の発達段階を踏まえ,各校種が果たすべき役割や他校種における活動内容・方法・形態等を把握するなど,校種間の連携や一貫性にも留意
○ 今後,各学校における取組状況等を踏まえ,キャリア教育を一層推進する観点から,学習指導要領上の取扱いについて検討していく必要

(3)体験活動等の活用

○ 体験活動等は,職業や仕事についての具体的・現実的理解の促進,勤労観,職業観の形成等の効果があり,社会の現実を見失いがちな現代の子どもたちが現実に立脚した確かな認識をはぐくむ上で欠かすことができないもの
○ 体験活動等が一過性の行事にならないよう,事前・事後の指導など,周到な準備と計画のもとに実施する必要があること

(4)社会や経済の仕組みについての現実的理解の促進等

○ 社会の仕組みや経済社会の構造とその働きについて,人生の早い段階からの具体的・現実的理解
○ 労働者としての権利・義務,相談機関等に関する情報・知識などの最低限の知識の習得

(5)多様で幅広い他者との人間関係の構築

○ 日頃から,多くの人々と幅広い人間関係を持つことができるよう働きかけ
○ 多くの大人が子どもたちとかかわる様々な場や機会を積極的に設けていくことが重要

第4章 キャリア教育を推進するための条件整備

1 教員の資質の向上と専門的能力を有する教員の養成

(1)教員一人一人の資質向上

○ キャリア教育の本質的理解をすべての教員が共有し,各教育活動等における個々の取組がキャリア教育においてどのような位置付けと役割を果たすものかについて,十分な理解と認識を確立することが不可欠

(2)学校のカリキュラム開発能力の向上

○ 各学校におけるキャリア発達への支援を軸としたカリキュラムの開発と,家庭,地域,企業等との幅広い連携・協力関係を得られるようなコーディネート(調整)能力を有する教員を養成するため,キャリア教育の中核的役割を担う教員を対象とした研修の充実

(3)キャリア・カウンセリングを担当する教員の養成

○ すべての教員が基本的なキャリア・カウンセリングを行うことができるような研修の充実
○ 「キャリア・カウンセリング研修(基礎)」,「キャリア・カウンセリング研修(専門)」の二つの研修プログラム例を示す
○ 教員養成段階においても,キャリア教育及びキャリア・カウンセリングにかかる基礎的・基本的な知識や理解が得られるような改善が必要

2 保護者との連携の推進

(1)学校からの保護者への積極的な働きかけ

○ キャリア教育の推進に際しては,家庭や保護者の役割や影響の大きさを念頭に置き,家庭・保護者との共通理解を図りながら取り組むことが重要
○ 産業構造や進路をめぐる環境の変化等について,企業の人事担当者などから共に学んだり,積極的に情報提供したりするなどして,現実に即した情報交換や面談等を実施

(2)家庭の役割の自覚と学校教育への積極的な参画

○ 子どもたちに,様々な職業生活の実際や仕事には苦労もあるが大きなやりがいや達成感もあることを家庭の中で有形無形のうちに感じ取らせたりすることが重要

3 学校外の教育資源活用にかかるシステムづくり

(1)受入事業所等の確保と地域におけるシステムづくり

○ 子体験活動の普及・円滑な実施・定着のためには関係機関が一体となって取り組むことが大切であり,体験活動推進のための協議会を組織するなど,地域のシステムづくりが必要

(2)キャリア・アドバイザーの確保と活用

○ キャリアを形成していく方法等について専門的な知識や情報を持っている人々をキャリア・アドバイザーとして学校に招き,講演・講話,懇談会等を実施
○ 職種,経歴,年齢等,幅広い層からキャリア・アドバイザーを確保できるよう,対象となる人材の名簿づくりや人材バンク登録システムなどを構築

4 関係機関等の連携と社会全体の理解の促進

○ キャリア教育の意義を教育界から各界,各層に幅広く発信
○ 関係機関等が職場体験,インターンシップ等の実施やキャリア・アドバイザーの活用等について連絡・協議して推進していく場を国,地方の各レベルで整備

(1)ハローワーク等との緊密な連携

○ 国,都道府県教育委員会等は,ハローワークの幅広い業務・施策について学校への周知を図り,各学校においては,日頃から緊密な情報交換に努めることが必要

(2)大学・専門学校等との連携

○ 高大連携にかかる取組は,大学・専門学校等への進学や大学・専門学校等卒業後の進路や職業について考えることになるなど,子どもたちのキャリア意識を高めるという視点を重視し,関係者が一体となった一層の工夫が望まれること

(3)関係団体・企業等の理解と協力の推進

○ 経済団体においては,職場体験やインターンシップ等の意義の周知及び受け入れへの協力等について,より広く傘下の企業に働きかけるとともに,企業等においては,社会的責任という認識のもと,学校の取組や生徒の活動を積極的に支援していく姿勢を持って協力していくことを期待

おわりに

○ 今後,本報告の提言に基づく具体的な取組や事例等を紹介する「キャリア教育推進の手引き」(仮称)の作成など,様々な施策が必要
○ 大人自身が自己の在り方生き方を考えたり見直したりする姿勢を持つとともに,キャリア発達を支援する社会的気運を醸成し,社会全体で子どもたちに働きかけていくことが大きな課題

キャリア教育推進の手引作成協力者会議要項

平成16年6月21日
初等中等教育局長決定

1 趣旨

 今日、少子高齢化社会の到来、産業・経済の構造的変化や雇用の多様化・流動化等を背景として子どもたちの進路をめぐる環境は大きく変化している。また、若者の勤労観、職業観の未熟さ、社会人・職業人としての基本的な資質・能力の低下等も指摘されている。
 こうしたなか、児童生徒の発達段階に応じた組織的・系統的なキャリア教育の推進が求められていることから、平成16年1月28日に「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」の報告書がまとめられた。
 本報告書の提言を受け、児童生徒の発達段階に応じた組織的・系統的なキャリア教育を推進するために、キャリア教育の具体的な取組や事例等を紹介する手引を作成する。

2 実施期間

 平成16年6月21日から平成17年3月31日までの間とする。

3 内容

(1) キャリア教育の意義と教育課程への位置付け
(2) 小・中・高等学校を通した組織的・系統的なキャリア教育
(3) キャリア教育と家庭・地域との連携
(4) 教員の資質の向上
(5) その他

4 実施方法

 別紙の関係者の協力を得て協力者会議を実施する。

5 庶務

 この協力者会議に関する庶務は、初等中等教育局児童生徒課において処理する。

キャリア教育推進の手引作成協力者会議協力者

(五十音順、敬称略)

 

池田 英乗 (千葉県立天羽高等学校教諭)

 

板橋 孝志 (和歌山県教育委員会県立学校課長)

 

大木 りえ子 (東京都渋谷区立代々木小学校教頭)

 

鹿嶋 研之助 (千葉商科大学教授)

 

菊地 武剋 (東北大学教育学部長)(平成16年11月〜)

 

高橋 妃彩子 (東京都渋谷区立笹塚小学校長)

 

白木 みどり (石川県松任市立北星中学校教諭)

 

藤川 喜久男 (埼玉県所沢市立所沢中学校教頭)

 

本城 慎二 (東京都立つばさ総合高等学校教諭)

渡辺 三枝子 (筑波大学教授)

※◎…主査 職名は委嘱時のもの

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