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第5章 キャリア教育の進め方の例

1 発達段階を重視した取組例

(1) キャリア発達課題と各学校段階で育成すべき能力・態度との関連性の理解

 キャリア教育は、学校教育の実状を踏まえるとともに、一人一人のキャリアが多様な側面を持ちながら段階を追って発達していくことを改めて深く認識し、子どもたちがそれぞれの発達段階に応じ、自己と働くこととを適切に関係付け、各発達段階における発達課題を達成できるよう取組を展開するところに特質がある。そして、これらのキャリア発達を促進するために、必要とされる諸能力を意図的、継続的に育成していく必要がある。
 各学校がキャリア教育に取り組むに当たっては、児童生徒が、小学校・中学校・高等学校の各発達段階にあって、どのようなキャリア発達上の課題を抱えているか、それを達成するために、どのような能力・態度を育成することが期待されているのかを理解するとともに、発達課題と育成すべき能力・態度とがどのように関連しているかを理解する必要がある。
 もとより、勤労観、職業観の育成は、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等、学校の全教育活動を通して行われるものである。このことを前提とし、国立教育政策研究所生徒指導研究センターによる「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」(第2章参照)は、小学校・中学校・高等学校における取組の参考例として、計画的、組織的かつ系統的に推進されるよう研究開発したものである。
 「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」から各学校がキャリア教育にどのように取り組んでいくかについての具体的な方法には、「人間関係形成能力」「情報活用能力」「将来設計能力」「意思決定能力」の「4つの能力」の育成などを通して、児童生徒がそれぞれの発達段階におけるキャリア発達課題を達成することができるよう取り組むことが考えられる。

(2) 「学習プログラムの枠組み」の作成-育成する能力・態度の焦点化-

 各学校がキャリア教育を推進するためには、児童生徒のキャリア発達課題及びその達成のために育成すべき能力・態度の理解と、キャリア教育の推進の要ともなるべき校内組織を確立した上で、その計画を立案することが不可欠である。しかし、各学校がキャリア教育を推進するに当たっては、計画の立案に先だって、児童生徒の生活や意識あるいは家庭、地域の実態などから、自校の児童生徒のキャリア発達を促す上で、何が課題か、どのような能力・態度の育成に重点を置くべきかなどを検討し、自校の児童生徒に育成すべき「能力・態度」に焦点を絞った、自校用のキャリア教育の「学習プログラムの枠組み」を作成することも考えられる。
 「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」では、キャリア発達を促すために育成することが期待される具体的な能力・態度が網羅的に示されている。表1は、A中学校第1学年において育成する能力・態度を学校の教育目標、生徒の実態等に照らして、焦点化した例である。

表1 4つの能力に視点をおいたA中学校(1学年)「学習プログラムの枠組み例」

人間関係形成能力 自他の理解能力
  • 自分のよさや個性が分かり,他者のよさや感情を理解し尊重する。
コミュニケーション能力
  • 他者に配慮しながら,積極的に人間関係を形成しようとする。
情報活用能力 情報収集・探索能力
  • 様々なメディアを通して産業・職業,進路等に関する情報を調査・収集,活用する。
職業理解能力
  • 体験等を通し,勤労の意義や働く人々の様々な思いが分かる。
将来設計能力 役割把握・認識能力
  • 様々な職業の社会的役割や意義を理解し,自己の生き方を考える。
計画実行能力
  • 希望する進路に基づいて当面の目標を立て,その達成に向けて努力する。
意思決定能力 選択能力
  • 自己の個性や興味・関心等に基づいて,よりよい選択をしようとする。
課題解決能力
  • 自ら課題を見い出すことの大切さを理解し,主体的にその課題に取り組もうとする。

 また、「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」では、「身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上」に関して、低・中・高学年それぞれについて、複数の「育成が期待される能力・態度」が示されているが、その中から、自校では、どのような能力・態度の育成に重点を置くべきかを明らかにしていくという視点から、B小学校として例にまとめたものが表2である。
 このように、自校用のキャリア教育の「学習プログラムの枠組み」を作成することによって、自校が取り組むキャリア教育について、育成すべき「能力・態度」のレベルで焦点化することができ、また、キャリア教育の全体像を把握することができることにもなる。

表2 発達課題に視点をおいたB小学校「学習プログラムの枠組み例」

発達課題 発達を促すために育成する能力・態度
低学年 中学年 高学年
自己及び他者への積極的関心の形成・発展

【人間関係形成能力】

  • あいさつや返事をする。
  • 「ありがとう」や「ごめんなさい」を言う。

 【人間関係形成能力】

  • 友達のよいところを認め、励まし合う。
  • 友達の気持ちや考えを理解しようとする。

 【人間関係形成能力】

  • 思いやりの気持ちを持ち、相手の立場に立って考え行動しようとする。
身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上

 【情報活用能力】

  • 係や当番の活動に取り組み、それらの大切さが分かる。

【将来設計能力】

  • 家事の手伝いや割り当てられた仕事・役割の必要性が分かる。

 【情報活用能力】

  • 係や当番活動に積極的に関わる。

【将来設計能力】

  • 互いの役割や役割分担の必要性が分かる。

 【意思決定能力】

  • 係活動などで自分のやりたい係、やれそうな係を選ぶ。
【将来設計能力】
  • 仕事における役割の関連性や変化に気付く。
夢や希望,憧れる自己イメージの獲得  【将来設計能力】
  • 家事の手伝いや割り当てられた仕事・役割の必要性が分かる。
 【意思決定能力】
  • 自分のやりたいこと、よいと思うことなどを考え、進んで取り組む。
 【将来設計能力】
  • 憧れとする職業を持つ。
勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成  【意思決定能力】
  • 自分のことは自分で行おうとする。
 【情報活用能力】
  • 働くことの楽しさがわかる。
【意思決定能力】
  • 自分の仕事に対して責任を感じ、最後までやり通そうとする。
 【情報活用能力】
  • 施設・職場見学等を通し、働くことの大切さや苦労がわかる。
【将来設計能力】
  • 生活や学習上の課題を見つけ、自分の力で解決しようとする。
 

 各学校は、自校の児童生徒のキャリア発達を促す上で、何が課題で、どのような能力・態度を育成すべきかを焦点化し、把握した上で、目標や内容・方法などから構成されるキャリア教育の計画を作成することとなる。このようなことから、次のようなことに留意しておく必要がある。

1.目標の設定

 学校が行うキャリア教育が目指すところは、児童生徒が社会生活・職業生活に円滑に移行し、よりよく適応するために必要な「能力・態度」を育成することにあり、端的には、「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる」ことにある。各学校が、キャリア教育の計画を立案するに当たっては、まず、このような共通的な目標を踏まえつつ、自校の児童生徒のキャリア発達上の課題、育成すべき「能力・態度」の明確な把握とその焦点化に基づいて、自校のキャリア教育の目標を明らかにする。

2.教育内容・方法の明確化

 キャリア教育の計画を立案するに当たって、次に、学校は、目標を実現するための教育内容・方法を明らかにしなければならない。すなわち、「自校のキャリア教育の学習プログラムの枠組み」を作成する過程で、自校の児童生徒に育成すべきことが明らかになった「能力・態度」を、どのような教育内容や方法で育成するかの計画を立てなければならない。
 それは、「身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上」という発達課題を、「身近な職業人の働く様子を見学したり、手伝ったりした体験を持つ。」ことなどによって達成するわけであるが、そのために、どのような指導内容・方法があるかを考え、具体的な手立てを含めて立案するということである。
 例えば、5、6年生の子どもと保護者の学習・体験活動として、午後児童が家で家事や家業を手伝い、保護者が学校でキャリア教育に関する学習を受ける「半日、親子逆転体験」や、「親子で綴るお手伝い日記」、あるいは家族や身近な大人の1日職場見学・訪問を実施することなどが考えられる。また、「いろいろな職業・産業があることが分かる。」という「能力・態度」の形成を、3、4年生の社会科の学習として計画したり、「身近で働く人々の様子に興味・関心を持つ。」という「能力・態度」の形成を、1、2年生の生活科の体験活動などで計画したりすることも考えられる。

3.「4つの能力」と特別活動、道徳等との関連

 キャリア教育はこれまでの中・高等学校が取り組んできた進路指導の枠組みにとどまるものではないが、「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」で示されている「人間関係形成能力」「情報活用能力」「将来設計能力」「意思決定能力」の「4つの能力」は、中・高等学校学習指導要領の学級活動・ホームルーム活動の内容(3)で示されている「進路適性の吟味(理解)と進路情報の活用」「望ましい職業観・勤労観の形成」「主体的な進路の選択(決定)と将来設計」の3つの項目及び学校行事の「勤労生産・奉仕的行事」の内容と、言葉の上で、多くが共通している。また、「4つの能力」として育成すべき「能力・態度」には、これまで中・高等学校が学級活動・ホームルーム活動における進路学習や「勤労生産・奉仕的行事」での体験活動で育成してきた「能力・態度」が多く含まれている。
 同様に、「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」で示されている「人間関係形成能力」は、言葉としては、学習指導要領の特別活動の学級活動・ホームルーム活動の内容(2)で示されている「望ましい人間関係の確立」などと共通しており、さらに、「4つの能力」として育成すべき「能力・態度」には、学級活動・ホームルーム活動の(1)で示されている「学級(ホームルーム)内の組織づくりや仕事の分担処理」のなかで育成してきた「能力・態度」と重なっている。
 このように、「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」で示されている「4つの能力」、それを育成するためのキャリア教育の内容は、学習指導要領の特別活動で示されている学級活動・ホームルーム活動や「勤労生産・奉仕的行事」の内容と、少なからず共通していることから、各学校が計画するキャリア教育の内容について、特別活動の同事項に位置付けることができるのである。
 また、キャリア教育における道徳性の育成にかかわる体験は、「道徳の時間」との関連を意図し内容を工夫することによって、道徳的価値の大切さを自覚し人間としての在り方や生き方についての思考を深める上で効果的にはたらく。例えば、4つの能力領域の「人間関係形成能力」の育成は、「道徳」の学習内容である「主として他の人とのかかわりに関すること」と深くかかわる。このように、キャリア教育における活動は、社会の構成員として求められる思いやりの心、奉仕の精神、公共の福祉、心身の健康、協力・責任、公徳心、勤労などにかかわる道徳性の育成に資するものである。そして、それらの内容項目を「道徳の時間」で取り扱うことは、キャリア教育の視点からみても児童生徒の内面的価値の形成を図ることにつながる。
 さらに、中学校における「情報活用能力」として、「生き方や進路に関する情報を、様々なメディアを通して調査・収集・整理し活用する。」ことが期待されるわけであるが、このような能力の育成は、「技術・家庭」の学習内容である「情報とコンピュータ」に位置付けることも考えられる。また同様に、中学校における「将来設計能力」として、「将来の夢や職業を思い描き、自分にふさわしい職業や仕事への関心を高める。」ことが期待されるわけであるが、このような興味・関心の育成は、ただ単に進路に関する学習としてではなく、各教科の学習に対する興味・関心と深く結びついているのである。
 ここでは、「4つの能力」で育成することが期待されている「能力・態度」について主に特別活動、道徳を中心に述べたが、各教科・科目、総合的な学習の時間における学習や活動、あるいは部活動等なども含め、学校教育活動全体で進めることが大切であることはいうまでもない。

(3)小学校・中学校・高等学校における発展的な取組の工夫

 キャリア教育には、小学校・中学校・高等学校を通じて一貫した教育活動として発展的に取り組まれることが期待されることから、小学校から中学校へ、中学校から高等学校へと段階的・漸次的な能力や態度の育成が求められる。
 図は、「4つの能力」のうち「情報活用能力」を取り上げてみたときの小学校・中学校・高等学校における育成すべき能力・態度のレベルの発展性を示したものである。
 小学校から中学校、中学校から高等学校へといった各学校段階間での発展的な取り上げ方について、「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」で考えると、小学校段階での「身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上」という発達課題は、中学校では、「興味・関心に基づく職業観・勤労観の形成」という発達課題に、そして高等学校では、「選択基準としての職業観・勤労観の確立」という発達課題につながる。また、同様に、「育成されることが期待される能力・態度」の「具体的な行為のレベル」では、小学校低学年での「身近で働く人々の様子が分かり、興味・関心を持つ」が、中学年での「いろいろな職業や生き方があることが分かる」に、さらに高学年での「身近な産業・職業の様子やその変化が分かる」へと、そして中学校での「産業・経済等の変化に伴う職業や仕事の変化のあらましを理解する」へと、さらには高等学校での「卒業後の進路や職業・産業の動向について、多面的・多角的に情報を集め検討する」へと、漸次発展するととらえることができる。
 このように、「人間関係形成能力」や「将来設計能力」、「意思決定能力」においても同様に育成すべき能力・態度を発展的にとらえることができる。

図 情報活用能力を例とした育成すべき能力・態度のレベルの発展性

 小学校から中学校へ、中学校から高等学校へと発展的に取り上げるためには、小学校と中学校あるいは中学校と高等学校との連携を考慮しなければならない。すなわち、小学校から見て中学校段階で育成すべき「能力・態度」の理解、中学校から見たときの小学校段階までで育成された「能力・態度」の理解が、あるいは、中学校から見て高等学校段階で育成すべき「能力・態度」の理解と高等学校から見たときの中学校段階までに育成が求められる「能力・態度」の理解が必要となる。そこで初めて、各学校段階で育成すべき「能力・態度」が系統的に再構成されて、それぞれの学校段階での発展的な取組が可能となるのである。
 「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」では、育成すべき能力・態度を、「…する。」「…取り組む。」「…分かる。」「…理解する。」などといった知識・理解や行為のレベルで提案している。そこで、小・中・高等学校の各学校段階でのキャリア発達課題の達成を、どのような能力・態度の育成を通じて行うかということについて、すなわち、「発達課題と育成すべき能力・態度との関連」の視点から、「学習プログラムの枠組み(例)」が示す「4つの能力」の具体的な知識・理解や行為について整理を試みたのが、次の表1、表2、表3である。各学校において、キャリア教育に取り組む上での一つの参考とされたい。

表3 キャリア発達課題に対し重点的に育成すべき能力・態度(小学校例)

発達課題 発達を促すために育成することが期待される能力・態度
低学年 中学年 高学年
自己及び他者への積極的関心の形成・発展  【人間関係形成能力】
  • 友達と仲良く遊び、助け合う。
  • あいさつや返事をする。
  • 「ありがとう」や「ごめんなさい」を言う。
 【人間関係形成能力】
  • 自分のよいところを見つける。
  • 友達のよいところを認め、励まし合う。
  • 自分の意見や気持ちをわかりやすく表現する。
  • 友達の気持ちや考えを理解しようとする。
  • 友達と協力して、学習や活動に取り組む。
 【人間関係形成能力】
  • 自分の長所や欠点に気づき、自分らしさを理解する。
  • 話し合いなどに積極的に参加し、自分と異なる意見も理解しようとする。
  • 思いやりの気持ちを持ち、相手の立場に立って考え行動しようとする。
身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上  【人間関係形成能力】
  • お世話になった人などに感謝し親切にする。
【情報活用能力】
  • 身近で働く人々の様子が分かり興味・関心を持つ。
  • 係や当番の活動に取り組み、それらの大切さが分かる。
【将来設計能力】
  • 家事の手伝いや割り当てられた仕事・役割の必要性が分かる。
  • 決められた時間やきまりを守ろうとする。
 【人間関係形成能力】
  • 自分の生活を支えている人に感謝する。
【情報活用能力】
  • いろいろな職業や生き方があることが分かる。
  • 係や当番活動に積極的に関わる。
【将来設計能力】
  • 互いの役割や役割分担の必要性が分かる。
 【情報活用能力】
  • 身近な産業・職業の様子やその変化が分かる。
【将来設計能力】
  • 社会生活にはいろいろな役割があることやその大切さが分かる。
【意思決定能力】
  • 係活動などで自分のやりたい係、やれそうな係を選ぶ。
夢や希望、憧れる自己イメージの獲得  【将来設計能力】
  • 家事の手伝いや割り当てられた仕事・役割の必要性が分かる。
【意思決定能力】
  • 自分の好きなもの、大切なものを持つ。
 【将来設計能力】
  • 将来の夢や希望を持つ。
【意思決定能力】
  • 自分のやりたいこと、よいと思うことなどを考え、進んで取り組む。
 【人間関係形成能力】
  • 異年齢集団の活動に進んで参加し役割と責任を果たそうとする。
【将来設計能力】
  • 憧れとする職業を持つ。
【意思決定能力】
  • 係活動などで自分のやりたい係、やれそうな係を選ぶ。
  • 将来の夢や希望を持ち、実現を目指して努力しようとする。
勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成  【情報活用能力】
  • 係や当番の活動に取り組み、それらの大切さが分かる。
【将来設計能力】
  • 家事の手伝いや割り当てられた仕事・役割の必要性が分かる。
【意思決定能力】
  • 自分のことは自分で行おうとする。
 【人間関係形成能力】
  • 自分の生活を支えている人に感謝する。
【情報活用能力】
  • いろいろな職業や生き方があることが分かる。
  • 係や当番活動に積極的に関わる。
  • 働くことの楽しさがわかる。
【意思決定能力】
  • 自分のやりたいこと、よいと思うことなどを考え、進んで取り組む。
  • 自分の仕事に対して責任を感じ、最後までやり通そうとする。
  • 計画づくりの必要性に気付き、作業の手順がわかる。
 【情報活用能力】
  • 施設・職場見学等を通し、働くことの大切さや苦労がわかる。
  • 学んだり体験したりしたことと、生活や職業との関連を考える。
【将来設計能力】
  • 憧れとする職業を持つ。
【意思決定能力】
  • 係活動などで自分のやりたい係、やれそうな係を選ぶ。
  • 生活や学習上の課題を見つけ、自分の力で解決しようとする。
  • 将来の夢や希望を持ち、実現を目指して努力しようとる。

※「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」(第2章参照)を参考に例示したものである。

表4 キャリア発達課題に対し重点的に育成すべき能力・態度(中学校例)

発達課題 発達を促すために育成することが期待される能力・態度
低・中学年 中・高学年
肯定的自己理解と自己有用感の獲得  【人間関係形成能力】
  • 新しい環境や人間関係に適応する。
  • 自分のよさや個性がわかり、他者のよさや感情を理解し、尊重する。
  • 人間関係の大切さを理解し、コミュニケーションスキルの基礎を習得する。
  • 自分の言動が相手や他者に及ぼす影響がわかる。
 【人間関係形成能力】
  • 他者に配慮しながら、積極的に人間関係を築こうとする。
  • リーダーとフォロアーの立場を理解し、チームを組んで互いに支え合いながら仕事をする。
  • 自分の悩みを話せる人を持つ。
【将来設計能力】
  • 自分の役割やその進め方、よりよい集団活動のための自分の役割やその方法等が分かる。
【意思決定能力】
  • 自己の個性や関心に基づいて、よりよい選択をしようとする。
興味・関心に基づく職 業観・勤労観の形成  【情報活用能力】
  • 体験等を通して、勤労の意義や働く人々の様々な思いが分かる。
【将来設計能力】
  • 将来の夢や職業を思い描き、自分にふさわしい職業や仕事への関心・意欲を高める。
  • 様々な職業の社会的役割や意義を理解し、自己の生き方を考える。
 【情報活用能力】
  • 将来の職業生活との関連の中で、今の学習の必要性や大切さを理解する。
【将来設計能力】
  • 自分の役割やその進め方、よりよい集団活動のための自分の役割やその方法等が分かる。
【意思決定能力】
  • 課題に積極的に取り組み、主体的に解決していこうとする。
進路計画の立案と暫定 的選択  【情報活用能力】
  • 産業・経済の変化に伴う職業や仕事の変化のあらましを理解する。
【将来設計能力】
  • 日常の生活や学習と将来の生き方との関係を理解する。
  • 様々な職業の社会的役割や意義を理解し、自己の生き方を考える。
  • 進路計画を立てる意義や方法を理解し、自分のめざすべき将来を暫定的に立案する。
【意思決定能力】
  • 自己の個性や興味・関心等に基づいて、よりよい選択をしようとする。
  • 選択の意味や判断・決定の過程、結果には責任が伴うことを理解する。
 【情報活用能力】
  • 上級学校等の種類や特徴及び職業に求められる資格や学習歴が分かる。
  • 係・委員会活動や職場体験等で得たことを、以後の学習や選択に生かす。
【将来設計能力】
  • 自分の役割やその進め方、よりよい集団活動のための自分の役割やその方法等が分かる。
  • 将来の進路希望に基づいて当面の目標を立て、その達成に向けて努力する。
【意思決定能力】
  • 教員や保護者と相談しながら、当面の進路を選択し、その結果を受け入れる。
  • 課題に積極的に取り組み、主体的に解決していこうとする。
生き方や進路に関する現実的探索  【情報活用能力】
  • 産業・経済の変化に伴う職業や仕事の変化のあらましを理解する。
  • 生き方や進路に関する情報を、様々なメディアを通して調査・収集・整理し、活用する。
  • 体験等を通して、勤労の意義や働く人々の様々な思いが分かる。
【将来設計能力】
  • 様々な職業の社会的役割や意義を理解し、自己の生き方を考える。
  • 将来の夢や職業を思い描き、自分にふさわしい職業や仕事への関心・意欲を高める。
  • 進路計画を立てる意義や方法を理解し、自分のめざすべき将来を暫定的に立案する。
【意思決定能力】
  • 自己の個性や興味・関心等に基づいて、よりよい選択をしようとする。
  • 選択の意味や判断・決定の過程、結果には責任が伴うことを理解する。
  • よりよい生活や学習、進路や生き方等をめざして、自ら課題を見出していくことの大切さを理解する。
 【情報活用能力】
  • 上級学校等の種類や特徴及び職業に求められる資格や学習歴が分かる。
  • 必要に応じ、獲得した情報に創意工夫を加え、提示、発表、発信する。
【将来設計能力】
  • 将来の進路希望に基づいて当面の目標を立て、その達成に向けて努力する。
【意思決定能力】
  • 教員や保護者と相談しながら、当面の進路を選択し、その結果を受け入れる。
  • 課題に積極的に取り組み、主体的に解決していこうとする。
  • 学習や選択の過程を振り返り、次の場面に生かそうとする。

※「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」(第2章参照)を参考に例示したものである。

表5 キャリア発達課題に対し重点的に育成すべき能力・態度(高等学校例)

発達課題 発達を促すために育成されることが期待される能力・態度
低・中学年 中・高学年
自己理解の深化と自己受容  【人間関係形成能力】
  • 新しい環境や人間関係を生かす。
  • 互いに支え合い分かり合える友人を得る。
  • 自己の思いや意見を適切に伝え、他者の意志等を的確に理解する。
  • 異年齢の人や異性等、多様な他者と場に応じた適切なコミュニケーションを図る。
【将来設計能力】
  • 学校・社会において自分の果たすべき役割を自覚し、積極的役割を果たす。
 【人間関係形成能力】
  • 他者の価値観や個性のユニークさを理解し、それを受け入れる。
  • リーダー・フォロアーシップを発揮して、相手の能力を引き出し、チームワークを高める。
【人間関係形成能力】
  • 自己の職業的な能力・適性を理解し、それを受け入れて伸ばそうとする。
【意思決定能力】
  • 自分を生かし役割を果たしていく上での様々な課題とその解決策について検討する。
選択基準としての職業観・勤労観の確立 【情報活用能力】
  • 職業生活における権利・義務や責任及び職業に就く手続き・方法などがわかる。
  • 就職後の学習の機会や上級学校卒業時の就職等に関する情報を探索する。
  • 調べたことなどを自分の考えを交え、各種メディアを通して発表・発信する。
【意思決定能力】
  • 選択の基準となる自分なりの価値観・勤労観を持つ。
 【情報活用能力】
  • 卒業後の進路や職業・産業の動向について、多面的・多角的に情報を集め検討する。
  • 多様な職業観・勤労観を理解し、職業・勤労に対する理解・認識を深める。
将来設計の立案と社会的移行の準備  【将来設計能力】
  • 学校・社会において自分の果たすべき役割を自覚し、積極的役割を果たす。
  • ライフステージに応じた個人的・社会的役割や責任を理解する。
  • 将来設計に基づいて、今取り組むべき学習や活動を理解する。
【意思決定能力】
  • 選択の基準となる自分なりの価値観・勤労観を持つ。
  • 進路希望を実現するための諸条件や課題を理解し、実現可能性について検討する。
 【情報活用能力】
  • 卒業後の進路や職業・産業の動向について、多面的・多角的に情報を集め検討する。
【将来設計能力】
  • 生きがい・やりがいがあり自己を生かせる生き方や進路を現実的に考える。
  • 職業についての総合的・現実的な理解に基づいて将来を設計し、進路設計を立案する。
【意思決定能力】
  • 多様な選択肢の中から、自己の意志と責任で当面の進路や学習を主体的に選択する。
進路の現実準備と試行的参加  【情報活用能力】
  • 社会規範やマナー等の必要性や意義を体験を通して理解し、習得する。
  • 就業等の社会参加や上級学校での学習等に関する探索的・試行的な体験に取り組む。
【将来設計能力】
  • 将来設計に基づいて、今取り組むべき学習や活動を理解する。
 【人間関係形成能力】
  • 自己の職業的な能力・適性を理解し、それを受け入れて伸ばそうとする。
【将来設計能力】
  • 将来設計・進路設計の見直し再検討を行い、その実現に取り組む。
【意思決定能力】
  • 将来設計、進路設計の実現を目指して課題を設定し、その解決に取り組む。
  • 選択結果を受容し、決定に伴う責任を果たす。
  • 理想と現実との葛藤経験等を通し、様々な困難を克服するスキルを身に付ける。

※「職業観・勤労観を育むための学習プログラムの枠組み(例)」(第2章参照)を参考に例示したものである。

2 研修プログラム例

(1)キャリア教育推進のための研修計画

 キャリア教育の推進には、すべての教員が児童生徒のキャリア発達や、社会環境、産業構造をよく理解し、キャリア教育の意義を十分認識することが重要である。また、キャリア教育を進めるためには、児童生徒と適切にかかわり、その変化を的確にとらえることのできる人間関係形成能力(コミュニケーション能力、コミュニケーション・スキル)や基本的なキャリア・カウンセリング能力の習得が求められる。
 さらに、キャリア教育の指導的な立場の教員には、これらに加えてキャリア教育のプログラム開発・運営・評価能力や、様々な場面での連携を円滑に進めるための調整能力(コーディネーション能力)など、より専門的な能力の向上が求められる。
 このようなことから、計画的・系統的な研修を実施していくことが、今後必要であることから、ここでは、以下のように「全教員を対象とする研修」と、「指導者養成研修」について具体的な研修プログラムを例示する。

研修のタイプ

1 全教員を対象とする研修 校内研修…1
都道府県等での研修…2
2 キャリア教育の指導者養成研修 都道府県等での研修

(2) 全教員を対象とする研修

 この研修は、教員として、キャリア教育についての理解とその推進のために必要な知識の習得及び基本的な資質向上を図ることを目的としたものである。
研修で取り上げる項目例

1)キャリア教育についての理解の深化

a.)キャリア教育の求められる背景の理解
b.)キャリア教育についての理解
c.)キャリア教育を通じて育成すべき能力・態度と「学習プログラムの枠組み」についての理解
d.)小・中・高を通じたキャリア教育推進のための相互理解の深化

2)キャリア教育の推進に必要な知識と基本的な能力の習得

a.)社会動向、経済状況についての理解
b.)児童生徒の心理的・社会的な発達、キャリア発達について理解すると同時に、児童生徒理解の意味や方法について学ぶ
c.)自校の教育課程をキャリア教育の視点から見直し学習プログラムを作成する能力の習得
d.)キャリア教育の中心に据えられる体験活動の意義と生かし方、さらに家庭・地域との連携の進め方についての理解
e.)キャリア教育の推進に欠かせないキャリア・カウンセリングの基本的能力の習得
 これらについての校内研修及び都道府県研修の展開例が、以下の通りである。

1.校内研修

 校内研修のプログラムは、上記の研修項目から校内で実施可能な項目を取り上げて、年間を通して5回程度で実施するものである。また、別途、授業案作りや小・中・高合同の授業研究会など、より実践的な研修についても、以下にその研修例を示してある。なお、実施においては、保護者、地域等の方々の参加についても考慮することが大切である。

研修例

研修のテーマ 目的 内容例及び留意点
第1回 キャリア教育の意義
  • キャリア教育の意義を理解する。
  • 「社会の仕組みや経済社会の構造」についての理解を深める。
  • キャリア教育推進に不可欠な教員全体の意識を高める。
  • 指導者養成研修を受講した講師を招きキャリア教育が求められる背景(社会の仕組みや経済社会の構造なども含む)やその基本的な理念について学ぶ。
  • グループに分かれて、キャリア教育についてのそれぞれが持つイメージを話し合う活動等も有効である。
第2回 キャリア教育の目標の設定
  • 自校の児童生徒のキャリア発達上の課題や育成すべき能力・態度を明らかにし、キャリア教育目標を設定して育成したい生徒像を明らかにする。
  • 「学習プログラムの枠組み(例)」を用い、学校独自のキャリア教育目標を検討し、育成したい生徒像を明確にする。
  • 育成すべき能力・態度と各教科や特別活動等との関連を考え、年間指導計画を作る。
第3回 小・中・高を通したキャリア教育
  • 小・中・高を通じたキャリア教育の必要性を理解する。
  • 相互のキャリア教育の内容の理解と連携の基礎を築く。
  • 地域の小学校、中学校、高等学校のキャリア教育推進担当教員間での情報交換会を行う。
  • 将来的に、小・中・高で一貫した流れを持ったキャリア教育の実践をめざす機会とする。
第4回 家庭・地域との効果的な連携
  • 家庭や地域との連携の重要性を理解する。
  • 家庭や地域のキャリア教育に対する理解を促進する。
  • 各学校の特性を生かした効果的な連携の進め方について考える。
  • 講師(企業人やキャリア教育関係者)を招き、教員、保護者、地域の人々を対象に講演を実施する。
  • 保護者や地域の人々に協力を依頼できる活動内容や協力を仰ぐ方法と同時に、キャリア教育の趣旨を的確に伝える方法について話し合う。
  • 日頃からの保護者との関係作りが重要であるという認識に立ち、保護者会の効果的な進め方などについても考える。
第5回 キャリア・カウンセリング
  • 基本的なカウンセリング能力が全教員に必要であることを理解し、その実際を学ぶ。
  • 講師を招き、講義と演習を行う。
  • ビデオ視聴やその逐語録を見ることで、生徒の話を聴く際の望ましい態度や応答のあり方について理解を深める。

校種間、保護者、地域社会との連携を視野に入れた研修例

研修のテーマ 目的 内容例及び留意点
キャリア教育の学習プログラム作り
  • キャリア教育目標を踏まえた学習プログラムを作る能力を高める。
  • 年間指導計画を受け、育成すべき能力・態度との関わりを明確にしながら、教科や総合的な学習の時間や特別活動などの題材系統図を作り、1時限のプログラムを作る。
小・中・高での公開授業研究会
  • 学習プログラムに基づく授業研究会で校種間の相互理解を深める。
  • 小・中・高におけるキャリア教育の内容を相互に理解することで校種間の連携を深める。
  • 保護者、地域に向けても公開し、キャリア教育についての理解を深める契機とするとともに、連携・協力を得られる手がかりとする。

都道府県等での研修
 この研修は、「講義と演習」を組み合わせ、専門的な内容構成とした集中研修プログラムである。

研修で取り上げる項目及び内容例

項目 内容
キャリア教育の理解  キャリア教育の概念について理解するともに、キャリア発達の中核となる能力についての理解を深め、日常生活での発達につなげることができるようにする。
児童生徒の心理的・社会的発達  児童・生徒の心理的・社会的発達について学び、小・中・高等学校段階における児童生徒理解と、それをキャリア教育の実践に生かすことができるようにする。
職業にかかわる体験活動の意義と生かし方  職業にかかわる体験活動の意義を理解するとともに、その活動と事前・事後の取組を通してキャリア・カウンセリングの実際を学ぶ。
児童生徒理解の意味と方法  キャリア教育、キャリア・カウンセリングにおける児童生徒理解の意味と方法について理解する。
児童生徒の生きる社会環境  高等学校卒業者等の進路の現状とそれらを取り巻く社会環境制度の変化について理解するともに、職業生活に関わる制度や法規について理解する。
キャリア・カウンセリングの基礎  カウンセリング場面だけでなく、すべての教育活動における基本的能力であるコミュニケーションスキル(話す、聴く、観る)を向上させ、その上で実際のキャリア・カウンセリングの進め方についての理解を深める。

上記の研修項目及び内容を「講義と演習」を交互に組み合わせる形で展開したプログラム例を以下に示す。

研修展開例

区分 研修順 1 2 3 4
1日目 研修内容 キャリア教育についての理解 コミュニケーションの基礎的能力・態度の修得 児童生徒の心理的・社会的発達について コミュニケーションの基礎的能力・態度の修得
研修形式 講義 演習 講義 演習
2日目 研修順 5 6 7  
研修内容 職業にかかわる体験活動の意義と生かし方 コミュニケーションの基礎的能力・態度の修得 児童生徒理解の意味と方法  
研修形式 演習 演習 講義・演習  
3日目 研修順 8 9 10  
研修内容
  • カウンセリングの基礎的理解
  • キャリア・カウンセリングについての理解
  • カウンセリングプロセスの理解
  • 相談関係づくりの大切さを知る
児童生徒の生きる社会環境についての理解  
研修形式 講義 演習 講義・演習  

(3)指導者養成のための研修

 キャリア教育のコーディネーターや指導者として、より専門的な知識と能力の習得を目的として実施する研修例が以下の通りである。

研修で取り上げる項目例

1) キャリア教育の実践者としての資質・能力向上

a)キャリア教育についての理解の深化
b)キャリア教育を推進する上での課題発見・解決能力の向上
c)キャリア教育プログラムの開発運営能力の向上
d)コミュニケーション能力の向上
e)カウンセリングプロセスの理解と援助能力の向上

2) キャリア教育の指導者としての能力向上

a)インストラクション能力の向上
b)コンサルテーション能力の向上
c)コーディネーション能力の向上
d)プログラム開発・評価能力の向上
e)グループダイナミックスについての理解
f)ポートフォリオについての理解


※インストラクション能力:受講者に応じて効果的かつ明確に教授する能力
※コンサルテーション能力:生徒の指導・援助に関わる担任、保護者等に対して援助する能力
※コーディネーション能力:組織内、外の活動や関係を目的に沿って効果的に働くよう調整する能力
※グループダイナミックス:集団活動における種々の関係において働く様々な力関係
※ポートフォリオ:児童生徒の学習成果を継続的に蓄積したもの

 上記のような項目を3日間で展開したプログラム例は以下の通りである。なお、この研修プログラムでは、研究・協議・発表という作業を通して、様々な能力の向上に資することをねらいとしている。

研修展開例

区分 研修順 1 2 3
1日目 研修内容
  • キャリア教育についての理解の深化と推進する上での課題の明確化
  • インストラクション能力の向上
  • キャリア教育についての理解の深化と推進する上での課題の明確化
  • インストラクション能力の向上
  • グループダイナミックス(集団における力学)の基本
  • プログラム開発運営能力の向上
  • プログラム開発能力の向上1.
  • グループダイナミックス(集団における力学)の基本
研修形式 研究協議・演習 研究協議・演習 研究協議・演習
2日目 研修順 4 5 6
研修内容
  • プログラム開発運営能力の向上2.
  • プログラム評価能力の向上
  • コミュニケーションスキルの基礎の復習
  • 援助能力の向上
  • 職業・進路情報の活用
  • カウンセリングプロセスの基本の実践
研修形式 研究協議・演習 演習 演習
3日目 研修順 7 8  
研修内容
  • ポートフォリオの活用
  • コンサルテーション能力とコーディネーション能力の向上
 
研修形式 講義・演習 演習  

この研修プログラムで取り上げる具体的な内容及びその進め方としては以下のようなものが考えられる。

項目及び内容例

項目 内容
キャリア教育についての理解の深化と推進する上での課題の明確化  グループに分かれ、各自がキャリア教育を推進する上での疑問や課題を発表し、その解決に向けて協議する中でキャリア教育の意義を明確にし、その理解を深め、課題の解決策を見出す力を向上する。
インストラクション能力の向上  各グループでの討議内容を全体に発表するに当たり、プレゼンテーションや、インストラクションの技術についての能力を高める。
グループダイナミックスの(集団における力学)基本  グループに分かれての活動を通して、そのグループメンバー間の関係やその変化を見る視点を身に付ける。集団で行うことのメリット、デメリット、及び集団の効果を高めるためのポイントを実践的に理解し、小集団を通して行われるガイダンス活動や教育活動の中で生かす力を身に付ける。
プログラム開発・運営能力の向上(1)
プログラム開発能力の向上
 各校種毎にグループに分かれ、各自が開発してきたキャリア教育のプログラムを全体に提案し、相互に評価し合う。その中でプログラム開発運営能力と同時に発表能力を高める実習を行う。さらに、グループとして一つのプログラムを開発・発表する活動を通して、グループダイナミックスについての理解を一層深める。
プログラム開発運営能力の向上(2)
プログラム評価能力の向上
 「プログラム開発運営能力の向上1」では、自らが実践者としてプログラムを開発するために必要な知識・能力を身に付け、「2」では指導者として他者、他校が考えたプログラムを評価できる能力を高める。グループ単位で発表されたものに対して、自らの評価の視点を明確にしながら評価し、同時に他者の評価の視点を知ることで、評価の視点の幅を広げ、指導者としての評価能力を高める。
コミュニケーションスキルの基礎の復習  コミュニケーションスキルの基礎となる「話す能力」、「聴く能力」、「観る能力」について再度意識し、その意味を理解するとともに、キャリア教育におけるこの能力の重要さについての理解を深める。
援助能力の向上
職業・進路情報の活用
キャリア・カウンセリング
プロセスの基本の実践
 ビデオを通して、キャリア・カウンセリングの重要な部分である、職業・進路情報を活用して課題の明確化を図る対応のプロセスを学ぶ。
 また、実際にロールプレイを通して、援助をより効果的にするためのキャリア・カウンセリング過程についての基礎を学び、教員としての援助能力を向上させる。
ポートフォリオの活用  ポートフォリオは、児童生徒の諸能力・態度・技能の習得の履歴を把握し、児童生徒のキャリア発達を評価するものであること、そして、その活用によって児童生徒自身に自己の能力や自己の成長に気付かせ、将来への目標を持たせることができることを理解する。
コンサルテーション能力の基本  キャリア教育の中核を担う教員には、個々の生徒への援助のみならず、生徒の指導・援助に関わる担任、保護者等への援助能力が求められる。この活動をコンサルテーションと呼ぶ。その留意点を理解するとともに、コンサルテーションの基本を習得する。
コーディネーション能力の向上  学校等の組織では、組織内(例:校務分掌同士等)や組織外(例:求人先事業所、ハローワーク等)の活動や関係を、目的に沿って効果的に働くように調整(コーディネート)することが求められる。この活動を「コーディネーション」と呼び、このコーディネーションの基本を習得する。