次の図は、小学校段階でキャリア教育を実践していく、全体的なイメージを1つの例として図式化したものである。

| 低学年 | 中学年 | 高学年 |
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| 学校への適応→ | 友達づくり集団の結束力づくり→ | 集団の中での役割の自覚中学校への心の準備 |
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キャリア教育は、全教育活動の中で6年間を通して意図的・継続的に推進していくものである。特に小学校は、低学年、中学年、高学年と成長が著しく、社会的自立・職業的自立に向けて、その基盤を形成する重要な時期である。そのため、児童一人一人の発達に応じて、人、社会、自然、文化とかかわる体験活動を、身近なところから徐々に広げ、ていねいに設定していくことが大切である。また、係活動や委員会活動、清掃活動、勤労生産的な活動等を通して、自らの役割を果たそうとする意欲や態度をはぐくんでいくことが大切である。
そのためにも、教職員や保護者、地域の大人には「小学校は、勤労観、職業観の基盤形成の大切な時期であるということを常に意識してかかわっていくこと」「一人一人の子どもの心に寄り添い、理解に努めること」「共に夢を持って生きていくこと」などの姿勢が求められている。
キャリア教育を全教育活動を通して推進するためには、「キャリア教育推進委員会」等を組織し、教育活動全体の中で効果的に機能するよう位置付けることが望まれる。

※ キャリア教育は、全教育活動を通して推進していくものである。そのためには、すべての教員が方針や内容を十分に理解し、情報交換を密にして各分掌間の意思疎通を図っていく必要がある。
※ キャリア教育を推進していく中で、教育相談機能を充実させ、一人一人の児童理解と支援方法について共通理解を図ることが大切である。
キャリア教育は、必ずしも新しい教育内容を導入しようとするものではない。例えば、学習指導要領の総則においては「各教科の指導に当たっては、児童が学習課題や活動を選択したり、自らの将来について考えたりする機会を設けるなど工夫すること」とあるように、教育活動の領域・単元の1つではなく、教育活動全体に働きかけていくという見方が大切である。小学校では、既存の教育活動のなかにキャリア教育と関連する内容が数多くある。それらをキャリア教育の視点でとらえ直すことで、それぞれの活動の関連が明確になる。学級担任がすべての教科を見渡しやすいという小学校の利点を生かし、キャリア教育の視点を意識して取り組むことが大切である。また、教員自身が研修を通してキャリア教育への理解を深めることが重要である。
小学校段階では、遊びや家での手伝い、学校での係活動、清掃活動、勤労生産的な活動や地域での活動等の中で、自分の役割を果たそうとする意欲や態度を育てていくことが重要である。日常的な様々な「役割」遂行の経験を積み重ねながら、内面的な価値形成に深くかかわる道徳の時間との関連を図るなど、「自己の生き方」を考えることができるようにしていくことが望まれる。
小学校でのキャリア教育を充実させるためにも幼稚園や保育所、中学校との連携を図ることは重要である。福祉体験や交流活動、授業参観などの機会をとらえ、キャリア教育についての理解を図ったり、「中学校ってどんなところ?」(次ページ)などのように、高学年向けのガイダンスで中学校への理解を深めたり、学校見学や出前授業を連携して企画するなど、児童生徒や教職員が交流する場を設けることが大切である。
キャリア教育について保護者の理解を得ることは非常に重要である。授業参観や保護者会、学校だよりなどを通して、学校のキャリア教育の方針や指導内容について理解を深めるよう工夫するとともに、キャリア教育の支援者として共に活動する場を提供したいものである。そのためにも、教員は、社会、自然、文化とのかかわりが豊かにもてるように、幼稚園、保育所、中学校、福祉施設、公共機関、農園、地域の方々等とのネットワークづくりに努めることが大切である。
教員は、児童一人一人の理解に努め、人間関係を築くなかでキャリア発達の個人差を認識し、個々の児童に応じた指導に当たることが望まれる。小学校は6年間であるということをメリットとして生かし、低・中・高学年と連続した6年間の育ちを見通して、担任同士の引き継ぎや情報交換を密にしていくことが望まれる。6年間を通して児童の成長の過程を見つめながら、一人一人の理解を図ることが重要である。
○中学校調べを通して、中学校についての知識を得たり、理解したりできるようにする。
○先輩たちへのインタビューをもとに、中学校生活について理解できるようにする。
○それぞれの中学校に入学した先輩たちからの手紙をもとに、生き生きと中学校生活を送っている先輩たちの様子を知り、中学校生活に夢や希望をえがけるようにする。
○中学校入学に向けて、今自分がすべきことを考えたり、中学生になった自分の姿を前向きに想像してえがいたりすることができるようにする。
| 学習内容 | 指導上の留意点 | 資料等 | |
|---|---|---|---|
| 導入 | 中学生になった自分の姿を想像してえがき、中学校生活に夢や希望をもつことができる。 | ||
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教師の中学校時代の卒業アルバム等 | |
| 展開 |
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卒業生からの手紙をプリントしたもの |
| まとめ |
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ワークシート(下記参照) ワークシートの自己評価欄 |
次の図は、中学校段階でキャリア教育を実践していく、全体的なイメージを1つの例として図式化したものである。

| 1年 | 2年 | 3年 |
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児童期から青年前期にさしかかる中学校3年間での心身の発達は著しく、多様な面での成長や変化をみることができる。生徒は自己の個性、能力、適性の理解を深めながら、新たに将来への道を歩み始める。また、興味・関心が自己から他者、そして社会認識へと広がる途上にあり、自己と他者や社会との適切な関係を構築していく力を身に付けていく時期である。
中学校では、新しい集団の中で、教科担任制をはじめとして、小学校とは大きく異なる学校生活が始まる。特に中学1年時には、初めて取り組む教科や定期考査、部活動など、生徒は急激な環境の変化の中に身をおくことになる。また、学校行事や生徒会活動などにおいても、係や委員会など責任を持って一定の役割を担う体験の機会が増し、それに伴って人間関係の輪が拡大する。そのため、時に集団への不適応やコミュニケーションにかかる苦手意識等の悩みが多くなる時期である。
一方、職業に対する知識と勤労の意義についての計画的、系統的な学習や体験活動などにより、発達段階に応じた望ましい勤労観、職業観が培われなければならない時期である。
生徒は、自己の将来設計に基づく具体的な進路選択の時期を迎え、高等学校入学者選抜をはじめとする具体的な進路選択に直面し、自らの積極的な情報収集と進路先に対する検討とともに、主体的、積極的な意思決定を迫られる。いわば人生における重要な選択の時を迎えるのである。
図は、学校長が委員長となり、進路指導主事を中心として、各校務分掌部会で計画、立案された内容が、各学年の実践へと繋がるよう工夫した組織の例である。「キャリア教育推進委員会」等は、学校の教育活動全体が、効果的に機能するよう位置付けられることが望まれる。

不安と期待をもって入学してくる生徒が、安心して学校生活を送ることができるよう、ガイダンスの内容は十分に検討した上で実施することが大切である。また、個々の生徒の行動や人間関係の観察、人間関係づくりのための活動、声かけ、面談等を通して、中学校生活に適応できる環境づくりに努めることが重要である。
学校の教育活動全般において、キャリア教育がどのように教科等の学習や活動とかかわり、位置付けられるかを示すのが全体的な指導計画である。キャリア教育に関する学習や活動の内容は、中学校の3年間を通した計画的、系統的なものとなるよう、教育課程を横断的視点で捉え、キャリア教育と関連する各教科・領域等相互の接点を考慮し計画することが求められる。とりわけ、学校行事や総合的な学習の時間における体験活動、道徳の時間等は、生徒の内面的価値形成やキャリア発達を促す上での有効な時間となる。学校は、それらキャリア教育に関わる内容に配慮した年間指導計画や授業計画を工夫することが大切である。
職場体験等の啓発的体験学習は、今やほとんどの中学校で実施されており、生徒のキャリア発達を促す上で極めて有効である。しかし、その実施方法や内容等についての課題として、例えば、職場体験は、イベント的要素が色濃く、学年行事として単発的に完結してしまうことなどが指摘されている。キャリア教育では、それが3年間の系統的な計画と意図的な事前事後の指導のもとで実施されることが大切である。そのためには、望ましい勤労観、職業観の内面的価値形成を意図した学習の計画と実施、それらが効果的に生きてはたらくよう体験活動を工夫することが重要である。さらに中学校での体験が、上級学校におけるインターンシップや将来への就業意識向上につながることを意図した教育活動となるよう高校等との連携が求められる。
教員は、生徒一人一人の理解に努め、相互の人間関係を築く中でキャリア発達における個人差を認識し、個々の生徒に応じた指導にあたる必要がある。そのためには、定期的な面談やキャリア・カウンセリングの機会を設け、個々の生徒の望ましいキャリア発達を支援することが大切である。その際、学校の年間指導計画に教育相談の機会を複数配置するなど、学校全体の共通理解のもとで取り組むことが望まれる。また、特に課題を抱える生徒については、家庭やカウンセラーとの連携を密にするなど、かかわりを持つ他者との協力体制を整え対応する必要がある。
中学校での進路選択は、卒業後の進路先の的確な情報収集のもとに、将来を見通して、自己の個性・能力・適性に対する十分な理解と検討の上に、自らが納得のいくものにすることが望ましい。そのため、進路情報の提供、体験入学への支援、三者面談等の活動を含む教員の適切な指導・援助が求められる。特に、特別な教育支援を必要とする生徒の卒業後の進路については、保護者との連携を密にし十分な配慮のもとに対応する必要がある。
○勤労の尊さや意義を理解し、奉仕の精神をもって、公共の福祉と社会の発展に努めようとする心情を育てる。
主題名 勤労の尊さと意義 内容項目 4-(5)
資料名 「在校生へのメッセージ」文部省 道徳教育推進指導資料(指導の手引き)5真理や学ぶことを愛する心を育てる
補助資料 「心のノート」文部科学省
| 学習活動 | 指導上の留意点 | 資料等 | |
|---|---|---|---|
| 導入 | 人は、何のために働くのか | ||
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| 展開 |
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| 終末 |
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次の図は、高等学校段階でキャリア教育を実践していく、全体的なイメージを1つの例として図式化したものである。

| 入学 | 卒業 |
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高校生ともなると、小学校、中学校で経験してきた様々な学習や体験の上に、また新たな学習や体験を積み重ね、自らの能力・適性を客観的に吟味し、今まで以上に現実的かつ具体的な将来への展望をえがく。一般的に、この時期は青年期の中期に位置しており、将来の社会での生活に移行していく準備をすることが課題である。中学生の時期よりも自分自身に対する意識が強まり、自分はどのような性格であるのか、自分にはどのような能力や適性があるのかを考える。自己と他者との違いに気づき、客観的に自分自身を受け入れ、自らの価値観を明確にして、様々なアドバイスを受容しながら進路を決定していく。今まで以上に具体的・実際的選択が求められるだけに、生徒にとっては不安感や焦燥感を持ちやすい時期でもある。
現代の高校生は、身体的には早熟傾向があるにもかかわらず、精神的・社会的な成熟が遅れ、社会生活に不可欠な一般常識や挨拶などの基本的な生活習慣、さらに人間関係形成能力等を十分に身に付けていない生徒が少なくない。また、自らの将来に対して肯定的に考えることができず、目的意識を持って意欲的に生活を送ることができない生徒も見受けられる。このことは、「なぜ学ぶのか」そして「なぜ学校に通うのか」といった高校での学習の意味を理解できず、長期欠席などの様々な問題を抱える生徒や、卒業時において自らの進路を主体的に決定できない生徒の事例などに顕著に現れている。その意味においても高等学校におけるキャリア教育の必要性は高く、その実践に当たっては、まず高校生活への適応を十分に援助し、学ぶことの楽しさを学習活動を通じて味わうことができるようにすることがキャリア教育の最重要課題である。さらに、インターンシップや奉仕体験などの種々の体験的な学習を通して働くことへの関心を高めていくことが、将来への目的意識を培う基盤となると考えられる。高等学校卒業後の進路は、中学校の時の進路選択に比べ、選択肢は多様であり、しかもその選択のプロセスがその後の生き方に大きくかかわっていく。この選択する行為は本来、自己の興味・関心、能力・適性、価値観を十分に吟味しつつ、様々な進路情報を活用しながら、自分の意志と責任で、行うべきものである。この選択に関わる一連のプロセスは、生徒にとって今後の人生において幾度も繰り返される様々な選択の基礎となる経験である。高等学校におけるキャリア教育は、生徒のキャリア発達を支援し、望ましい勤労観、職業観を育成しながら、多様な選択肢から自己の意志と責任において進路を主体的に選択することができるよう援助していくことが最大の目標となる。
キャリア教育を推進するためには校内組織を有機的に結びつける方策を考える必要 がある。そのためには「キャリア教育推進委員会」等の委員会を組織し、委員会が中心となって、学校教育目標を十分に踏まえ推進していくことが重要である。
生徒と直接的にかかわるのは学年・担任ではあるが、委員会は適切なキャリア教育 が展開できるよう、様々な機会をとらえて、適宜効果的な支援を加えられる組織として機能できるようにすることが重要である。
図で示すと、次のような体制が考えられる。

小学校、中学校でどのようなキャリア教育が展開されているかを地域交流や連携を通して理解することが必要である。高校の場合、複数の中学校から生徒が入学してくるため、学習歴が多種多様であることから、高校における新たな学習を展開するためには、生徒の実態を掌握することが不可欠である。さらに学習内容が重複する場合でも、キャリア発達の段階が異なり、身に付ける知識の深さや体験する内容も異なっているので、発達的な視点に立って学習をとらえる必要がある。一方、同じ内容が繰り返されることで生徒が学習意欲を低下させるおそれもあるので、見方、考え方は中学時代と高校では異なることを伝えるとともに教材等の工夫が大切である。
高度で専門的な職業能力を有する人材の養成が求められる中、将来、スペシャリストとして活躍するための基本的な能力・態度を身に付けることもキャリア教育に期待されている。近年の科学技術の進展や急速な技術革新、社会経済の急激な変化と多様化、複雑化、高度化、グローバル化等を受け、社会や企業から評価される付加価値を備えた人材を育成するための環境整備が進んでいる。そのような社会では、自ら考え、自己変革に励む態度を身に付けることが欠かせず、そのためには、現実の社会に触れたり、将来の職業生活を想像したりして、自己の個性や特徴をとらえ、伸長させようとする意識を持たせるとともに、将来のスペシャリストとしての基礎的・基本的な知識・技術を養うことが大切である。
「学ぶ」楽しさや意義を理解し、「もっと学びたい」意欲を培うこともキャリア教育に期待される一面でもある。これによって、生徒は自分の得意分野や能力・適性等に気づき、自分の在り方を発見する。この「気づき」と「発見」が、上級学校への進学意欲や生涯学習の重要性を理解することに結びついていく。上級学校に進学した後も、意欲的に学習する態度・態度を身に付けさせるために、キャリア教育を教科・科目や総合的な学習の時間等における学習活動にあっても、意図的、継続的に展開する必要がある。また、近年、大学でも、従来の就職指導を入学当初からのキャリア支援に切り替える学校も増えており、高等学校において学習したキャリア教育が進学先でも継続して展開されることが期待される。このため、上級学校において、どのようなキャリア教育が行われているのか関心を持つ必要がある。
高校1年生もしくは各学年の最初の時期に、生徒は高校での新生活が始まった不安感を抱えている。その心の不安定さを払拭し、学校や学級への帰属意識を培うための指導を、キャリア・カウンセリングの視点から、生徒を支援していくことが重要である。高校生になると、自己をより客観的に理解できるようになるとともに、社会情勢や将来設計の問題、職業生活に対する関心も高まってくることから、生徒の将来について生徒と教員が一緒に考えていくカウンセリングが必要になってくる。また、自分の生き方や在り方に悩む時期でもあり、精神的な支援・助言も欠かせない。そのためには、個性の多面的な理解と多様な価値観の受容に留意し、多くの進路情報を活用した相談活動を、年間に複数回設定して継続的に実施することが望ましい。
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