キャリア教育は個々人の生き方にかかわる教育であり、キャリアの形成には、一人一人の成長・発達の過程における様々な経験や人とのふれあいなどが総合的にかかわってくる。そのため、キャリア教育を推進するに当たっては、学校が児童生徒の生活時間の多くを占める家庭と積極的にかかわりを持ち、ともに連携・協力をして進めることが重 要である。
また、産業構造の変化等について、事業所の担当者等から学んだり、情報交換したりするなど、地域や関係諸機関との連携・協力も必要となってくる。そして、それぞれの役割を認識しながらキャリア教育を推進することが重要である。

家庭は、子どもたちの成長・発達を支える重要な場であり、様々な職業生活の実際や仕事には困難もあるが大きなやりがいもあることを、有形無形のうちに感じ取らせることが重要である。同時に保護者が学校の取組を理解し、学校と一体となって子どもたちの成長・発達を支えていくことが、今後ますます強く求められてくる。
家庭教育の在り方、働くことに対する保護者の考え方や態度は、子どもたちの人格形成や心身の発達に大きな影響を及ぼすものである。また、キャリア教育は、生活基盤である地域や周囲の大人、社会や産業等とのかかわり無しには考えることはできない。子どもたちは、家庭や地域での人間関係や生活体験を通して、社会性を身に付け、「生き方」の基礎を培っていくのである。
かつての子どもたちは、保護者の働く姿を否応なしに目にし、そこから多くのことを学んでいた。しかし、昨今、社会の変化が目まぐるしく、核家族化や価値観の多様化等で、家庭生活も変わってきている。家事の合理化、外部化により、子どもたちが家事などの仕事を果たす経験も少なくなり、親子の会話も少なくなっている。ましてや親の働く姿や祖母や祖父から引き継がれた仕事などに接する機会がなくなってきているのが現状である。
一方、地域は、本来、子どもたちが同年齢、異年齢の人たちと、自由に遊び、活動できる場のはずである。また、子どもたちが地域の中で、多様な人間関係を体験することができる場でもある。「子どもは地域の宝」ともいわれ、地域で子どもたちを育てていこうという機運が高まりつつある中で、大人も含め、生涯学習の観点からも、地域でキャリア教育を進めていくことが今求められている。
しかしながら、子どもたちにとって地域は、学校と家庭とを結ぶ単なる通学路の役割しか果たしていないとの指摘もある。今後は、家庭・地域がそれぞれの役割を認識し、子どもたちの家庭での生活、地域での活動の在り方を考え、キャリア発達をはぐくむ連携システムを構築していく必要がある。
キャリア教育を進めるに当たっては、学校と家庭、地域がパートナーシップを発揮して、互いにそれぞれの役割を自覚し、一体となった取組を進めることがますます重要となる。職場体験やインターンシップ等の体験活動をより円滑に実施し、キャリア教育を十全に展開するためには、家庭との連携のほか、地域や関係機関等との連携も必要不可欠である。学校外の教育資源を有効に活用し、子どもたちに望ましい勤労観、職業観をはぐくみ、将来に向けての主体的な進路の選択や決定を指導したり、支援したりできるよう共通理解を図ることが大切である。
さらには、産業構造や雇用形態、進路をめぐる環境の変化などについて、また、キャリアを形成していく方法等について専門的な知識や情報をもっている保護者、社会人、職業人など外部講師から直接学んだりする機会を持つことが大切である。
家庭や地域、特に事業所や関係諸機関等とのかかわり方をどのようにしたらよいかを、具体的に次に示す。
これらの各活動を、それぞれの立場、役割を認識し、連携・協力して実施していくことが大切である。また、職場体験の発表会を外部にも公開し、地域の方々等も参加することによって、教員、児童生徒、保護者、地域の方々と授業や体験活動を共有することも大切である。そうすることで、お互いに意見や考えを出し合い、キャリア教育の理解に関して、相乗効果を得ることができる。これらのコーディネーターとしての役割を学校、地域が担うこともまた重要である。
地域の教育力を活用した体験活動として現在推進されているものに、職場体験、インターンシップなどがある。
キャリア教育を推進するためには、小学校・中学校・高等学校における児童生徒の発達段階に応じた系統的な体験活動として、職場体験、インターンシップなどはきわめて有効である。次の表は、小学校・中学校・高等学校で行われている働くことや、職業・進路にかかわる体験学習について、具体的な取組をまとめたものである。
職場体験、インターンシップ等の体験活動が普及するようになった背景には、体験がもたらす大きな教育効果に対する理解と認識が、学校関係者だけではなく家庭・保護者、地域、事業所等の関係者に広がったこと、様々な施策や協力体制が地域に整備されてきたことなどが考えられる。今後、さらに推進していくためには、受入事業所等のメリットという面でも理解を求め、相互の信頼関係を築いていくことが重要である。
また、内容のさらなる充実を図るためには、事前指導において、生徒に職場体験、インターンシップの意義をしっかりと理解させるとともに、職業調べ等と組み合わせたり、事後にまとめの話し合いや討論会、発表会等を計画したりするなど、周到な準備と計画のもとに実施することが大切である。
さらに、キャリア教育の視点から充実を図るためには、実施直前、直後の指導のみならず、入学から卒業までも見据えて、学校教育全体における体験活動の位置付け、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等との有機的な連携を図ったキャリア教育のプログラムの作成等を考えていく必要がある。
現在、中学校にあっては、5日間以上の職場体験の実施を全国的に推進しており、実施内容や実施期間の拡充や地域との連携など、一層の充実が求められている。
今後、キャリア教育を効果的に進めるためにも、学校はキャリア教育の意義を家庭や地域に幅広く発信するとともに、学校、家庭、地域、それぞれの場で子どもたちのキャリア発達が促されるよう、社会全体でキャリア教育を進めていくことが重要である。
| 小学校 | 中学校 | 高等学校 | |
|---|---|---|---|
| <キャリア発達段階> | 進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期 | 現実的探索と暫定的選択の時期 | 現実的探索・試行と社会的移行準備の時期 |
|
|
|
|
| 体験的活動(例) |
|
|
|
| 児童生徒の感想から |
|
|
|
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology