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第2章 キャリア教育の推進

1 学校におけるキャリア教育の推進

 学校教育においてキャリア教育を推進していくためには、キャリア教育の意義を理解するとともに、校長のリーダーシップのもと、学校経営方針にキャリア教育を位置付ける必要がある。また、キャリア教育は地域との連携が不可欠なことから、校外の諸機関との連携を図りながら、適切な組織をつくることが重要である。
 このようなことから、各学校においてキャリア教育を推進していくためには、次のような手順例が考えられる。

学校におけるキャリア教育推進の手順例

(1)キャリア教育の視点を踏まえ、育てたい児童生徒像を明確にする

(2)学校教育目標、教育方針等にキャリア教育を位置付ける

(3)組織として、キャリア教育推進委員会(仮称)を設置する

 校内組織、異校種間連携組織、地域の組織との連携

(4)教職員のキャリア教育についての共通理解を図る(校内研修)

  1. 社会の動向、学校と社会との接続
  2. 4つの能力にかかわる学習プログラムの枠組み(例)
  3. キャリア・カウンセリングの必要性

(5)キャリア教育の視点で教育課程を見直し、改善する

  1. 学校の特色、課題の明確化
  2. 児童生徒の発達段階を踏まえたキャリア教育の理解
  3. 自校の学習プログラム及び取組内容の重点の設定
  4. 学校間及び校種間の関連
  5. 全体的な指導計画、年間指導計画、年間行事計画等への反映

(6)キャリア教育を実践する

(7)家庭、地域に対しキャリア教育に関する啓発を図る

 授業公開、学校だよりの発行等

(8)キャリア教育の評価を行い、その改善を図る

2 学校の教育活動全体での取組

 キャリア発達には、児童生徒が行う全ての学習活動等が影響するため、キャリア教育は、学校の全ての教育活動を通して推進されなければならない。
 従来、進路指導を中心とする学校教育の取組においては、発達課題の達成を支援する系統的な指導・援助といった意識や観点が希薄であったり、実践を通した指導方法の蓄積が少なかったりしたことなどから、取組が全体として脈絡や関連性に乏しく、多様な活動の寄せ集めになってしまいがちとなり、生徒の内面の変容や能力・態度の向上等に十分結びついていかないきらいがあった。こうした課題を克服するためには、教育課程の改善が不可欠である。
 例えば、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の取組が、児童生徒のキャリア発達を支援する観点に立って、有機的に関連付けられているのかどうか。児童生徒の発達段階や発達課題を踏まえた上で、具体的な活動計画が立てられ、全体として体系的な取組が展開できるようになっているかどうか。あるいは、高等学校の各学科における類型やコースが、各学校の生徒の実態や進路、学習ニーズ等に応じたものになっており、生徒が自己の将来を見通す中で、科目選択等を行うことができるような仕組みが工夫されているかどうか。そのためのガイダンスの場や機会は十分かどうかなど、各学校において点検し見直すべき事柄もあると考えられる。
 教育課程は、各教科と道徳、特別活動、総合的な学習の時間からなり、また、高等学校の教科・科目は、普通教育と職業教育を中心とする専門教育とに大別できる。これらとキャリア教育の関係は、大まかに下図のように示すことができる。

図 各教科等とキャリア教育

図 各教科等とキャリア教育

(キャリア教育報告書から)

 高等学校については、普通教育で行う活動や取組もあれば職業教育で行う場合もある。普通教育においては、各教科の学習を通して、自己の生き方を探求したり、将来就きたい職業や仕事への関心・意欲を高めたりすること、また、社会や産業の変化、労働者の権利や義務についての理解を深める取組を通して、将来目指すべき職業や上級学校の学部・学科を選択する力を身に付けさせる指導が望まれる。
 職業教育においては、生徒が自己の目指す将来の職業やその分野に関する知識や技能を習得したり、具体的な情報を得たりすることを通し、必要な資質・能力をより深く自覚し、専門的な知識・技能を一層高めようとする意欲や姿勢を身に付けさせる指導が大切である。
 また、特別活動、道徳、総合的な学習の時間は、それらが各教科の学習で学んだ成果等を様々な体験活動や話し合い活動等を通して深化・発展、統合させたり、逆に、その成果を教科の学習に還元し反映させていくというねらいを持っている。このため、そこで展開される職業や進路に関連する学習活動は、キャリア教育を進める上で、直接的かつ中核的な取組として最も重要な役割を担うものであり、その計画等を改善、充実することが求められる。

3 教育課程への位置付け

 現行の学習指導要領におけるキャリア教育に関連する事項は相当数に上る。指導計画の作成や内容の取扱い、教育課程の編成・実施に当たっての配慮事項等にも、生き方にかかわる指導や体験活動の充実及びそれらの計画的、組織的な実施を求める記述がなされている。
 小学校学習指導要領においても、中学校・高等学校のように進路指導に特化した記述はないが、全教育活動を通して行う生き方の指導や勤労観、職業観の育成等にかかわる内容は、かなり充実したものとなっていることを理解しておきたい。例えば、「第1章総則 第5 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」には「2(4)各教科等の指導に当たっては,児童が学習課題や活動を選択したり,自らの将来について考えたりする機会を設けるなど工夫すること」とあるが、この趣旨については、「小学校学習指導要領解説 総則編」で次のように述べられている。

4  課題選択や自己の生き方を考える機会の充実 (第1章第5の2(4))
 これからの学校教育においては、一層変化が激しくなると予想される社会の中で、児童が主体的に対応し、自分らしい生き方を実現していくことができるように、また、平成11年度からの中高一貫教育の導入も踏まえ、小学校において、児童の発達段階に応じて選択能力を育てたり将来の生き方や進路などを考えたりする指導を工夫することが大切である。なかでも、思春期に入り、自分の将来に目を向け始める児童が多い高学年段階では、工夫した指導が望まれる。
 そのためには、…(略)…。また、児童が自分自身を見つめ、自らの将来について目を向ける機会などを通して、自分のよさや可能性などに気付き、自分らしい生き方を実現していこうとする態度を育成していくことが大切である。
 このような能力や態度を育てるためには、学校の全教育活動を通じて、全教職員が児童の発達段階を考慮し、計画的、継続的な指導を行っていくことが必要である。(略)

 各学校においては、活動相互の関連性や系統性に留意するとともに、発達段階に応じた創意工夫あるキャリア教育の展開が必要である。キャリア教育の計画を立案する際には、どのような場や機会においてキャリア教育にかかわる内容を取り上げるのか、教育課程上の位置付けを明確にする必要がある。しかし、小学校・中学校・高等学校にはそれぞれの学習指導要領があり、取り上げる内容・方法もそれぞれ学校によって異なるため、教育課程への位置付けの在り方は一律に考えることができない。また、キャリア教育の取組は、その内容を特別活動の学級活動・ホームルーム活動や学校行事だけではなく、各教科や道徳、総合的な学習の時間においても取り上げたり、関連させたりすることが考えられる。さらに高等学校については、専門教育にかかわる各教科・科目の学習、あるいは学校設定教科・科目(「産業社会と人間」等)に位置付けることも考えられる。
 各学校においては、地域の状況、児童生徒の実態を踏まえ、組織的、系統的なキャリア教育が実施できるよう、教育課程を見直し、改善、充実していくことが求められる。その際、各教科の指導に当たっては、それぞれの目標や内容と、将来の職業や生活との関連や見通しを与えるなど、学ぶことや働くこと、生きることの尊さを実感させ、学ぶ意欲を高めることを重視する必要がある。
 なお、次の表は参考として、小学校・中学校・高等学校の学習指導要領におけるキャリア教育に関連する主な目標や内容等を抜粋したものである。

○ 小学校学習指導要領におけるキャリア教育に関連する主な目標・内容等

総則 第3 総合的な学習の時間の取扱い
2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(2)  学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
6 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
第5 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
(4)  各教科等の指導に当たっては,児童が学習課題や活動を選択したり,自らの将来について考えたりする機会を設けるなど工夫すること。
道徳 第1 目標
 (略〜)学校の教育活動全体を通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。
第2 内容
  1. 主として自分自身に関すること
  2. 主として他の人とのかかわりに関すること
  3. 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
  4. 主として集団や社会とのかかわりに関すること
特別活動 第1 目標
 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るとともに、集団の一員としての自覚を深め、協力してよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てる。
第2 内容
A 学級活動
 学級活動においては,学級を単位として,学級や学校の生活の充実と向上を図り,健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。
(1)  学級や学校の生活の充実と向上に関すること。
 学級や学校における生活上の諸問題の解決,学級内の組織づくりや仕事の分担処理など
(2)  日常の生活や学習への適応及び健康や安全に関すること。
 希望や目標をもって生きる態度の形成,基本的な生活習慣の形成,望ましい人間関係の育成,学校図書館の利用,心身ともに健康で安全な生活態度の形成,学校給食と望ましい食習慣の形成など
D  学校行事
 学校行事においては,全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。 
(5)  勤労生産・奉仕的行事
 勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動など社会奉仕の精神を涵養する体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  学級活動などにおいて,児童が自ら現在及び将来の生き方を考えることができるよう工夫すること。
  各教科の「目標」の中でキャリア教育に関連が深いと思われる箇所
国語  国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。
(1) 相手に応じ,経験した事などについて,事柄の順序を考えながら話すことや大事な事を落とさないように聞くことができるようにするとともに,話し合おうとする態度を育てる。〔第1学年及び第2学年〕(他学年略)
社会  社会生活についての理解を図り、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て、国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者としての必要な公民的資質の基礎を養う。

(1) 地域の産業や消費生活の様子,人々の健康な生活や安全を守るための諸活動について理解できるようにし,地域社会の一員としての自覚をもつようにする。〔第3学年及び第4学年〕
(2) 地域の地理的環境,人々の生活の変化や地域の発展に尽くした先人の働きについて理解できるようにし,地域社会に対する誇りと愛情を育てるようにする。〔第3学年及び第4学年〕
(3) 地域における社会的事象を観察,調査し,地図や各種の具体的資料を効果的に活用し,調べたことを表現するとともに,地域社会の社会的事象の特色や相互の関連などについて考える力を育てるようにする。〔第3学年及び第4学年〕(他学年略)
(1) 我が国の産業の様子,産業と国民生活との関連について理解できるようにし,我が国の産業の発展に関心をもつようにする。〔第5学年〕
(2) 我が国の国土の様子について理解できるようにし,環境の保全の重要性について関心を深めるようにするとともに,国土に対する愛情を育てるようにする。〔第5学年〕
(1) 国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について興味・関心と理解を深めるようにするとともに,我が国の歴史や伝統を大切にし,国を愛する心情を育てるようにする。〔第6学年〕
(2) 日常生活における政治の働きと我が国の政治の考え方及び我が国と関係の深い国の生活や国際社会における我が国の役割を理解できるようにし,平和を願う日本人として世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であることを自覚できるようにする。〔第6学年〕

算数  数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身に付け、日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに活動の楽しさや数理的の処理のよさに気付き、進んで生活に生かそうとする態度を育てる。
理科  自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。
(2) 光,電気及び磁石を働かせたときの現象を比較しながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して,光,電気及び磁石の性質についての見方や考え方を養う。〔第3学年〕(他学年略)
生活  具体的な活動や体験を通して、自分と身近な人々、社会及び自然とのかかわりに関心をもち、自分自身や自分の生活について考えさせるとともに、その過程において生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ、自立への基礎を養う。
(1) 自分と身近な人々及び地域の様々な場所,公共物などとのかかわりに関心をもち,それらに愛着をもつことができるようにするとともに,集団や社会の一員として自分の役割や行動の仕方について考え,適切に行動できるようにする。〔第1学年及び第2学年〕
(2) 自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち,自然を大切にしたり,自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。〔第1学年及び第2学年〕
(3) 身近な人々,社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに,それらを通して気付いたことや楽しかったことなどを言葉,絵,動作,劇化などにより表現できるようにする。〔第1学年及び第2学年〕
音楽  表現及び鑑賞の活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに、音楽活動の基礎的な能力を培い、豊かな情操を養う。
(1) 楽しい音楽活動を通して,音楽に対する興味・関心をもち,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。〔第1学年及び第2学年〕(他学年略)
図画工作  表現及び鑑賞の活動を通して、つくりだす喜びを味わうようにするとともに造形的な創造活動の基礎的な能力を育て、豊かな情操を養う。
(1) 豊かな発想や創造的な技能などを働かせ,その体験を深めることに関心をもつとともに,進んで表現する態度を育てるようにする。〔第3学年及び第4学年〕(他学年略) 
家庭  衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して、家庭生活への関心を高めるとともに日常生活に必要な基礎的な知識と技能を身に付け、家族の一員として生活を工夫しようとする実践的な態度を育てる。
(1) 衣食住や家族の生活などに関する実践的・体験的な活動を通して,家庭生活を支えているものが分かり,家庭生活の大切さに気付くようにする。〔第5学年及び第6学年〕
(2) 製作や調理など日常生活に必要な基礎的な技能を身に付け,自分の身の回りの生活に活用できるようにする。〔第5学年及び第6学年〕
(3) 自分と家族などとのかかわりを考えて実践する喜びを味わい,家庭生活をよりよくしようとする態度を育てる。〔第5学年及び第6学年〕
体育  心と体を一体としてとらえ、適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して、運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる。
(2) だれとでも仲よくし,健康・安全に留意して運動をする態度を育てる。〔第1学年及び第2学年〕(他学年略)
(2) 協力,公正などの態度を育てるとともに,健康・安全に留意して最後まで努力する態度を育てる。〔第3学年及び第4学年〕(他学年略)
(3) けがの防止,心の健康及び病気の予防について理解できるようにし,健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。〔第5学年及び第6学年〕(他学年略) 

○ 中学校学習指導要領におけるキャリア教育に関連する主な目標・内容等

総則

第4 総合的な学習の時間の取扱い
2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(2)  学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
6 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
第6 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
(4)  生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと。
(5)  生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,ガイダンスの機能の充実を図ること。

道徳

第1 目標
(略)〜学校の教育活動全体を通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。
第2 内容

  1. 主として自分自身に関すること
  2. 主として他の人とのかかわりに関すること
  3. 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
  4. 主として集団や社会とのかかわりに関すること
特別活動

第1 目標
 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団や社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間としての生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。
第2 内容
A  学級活動
 学級活動においては,学級を単位として,学級や学校の生活への適応を図るとともに,その充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応及び健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。
(2) 個人及び社会の一員としての在り方,健康や安全に関すること。
ア 青年期の不安や悩みとその解決,自己及び他者の個性の理解と尊重,社会の一員としての自覚と責任,男女相互の理解と協力,望ましい人間関係の確立,ボランティア活動の意義の理解など
イ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成,性的な発達への適応,学校給食と望ましい食習慣の形成など
(3) 学業生活の充実,将来の生き方と進路の適切な選択に関すること。
 学ぶことの意義の理解,自主的な学習態度の形成と学校図書館の利用,選択教科等の適切な選択,進路適性の吟味と進路情報の活用,望ましい職業観・勤労観の形成,主体的な進路の選択と将来設計など
C  学校行事
 学校行事においては,全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(5)  勤労生産・奉仕的行事
 勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職業や進路にかかわる啓発的な体験が得られるようにするとともに,ボランティア活動など社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
(3)  学校生活への適応や人間関係の形成,選択教科や進路の選択などの指導に当たっては ,ガイダンスの機能を充実するよう学級活動等の指導を工夫すること。

  各教科の「目標」の中でキャリア教育に関連が深いと思われる箇所
国語

 国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし、国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。
(1)  自分のものの見方や考え方を深め,目的や場面に応じて的確に話したり聞いたりする能力を身に付けさせるとともに,話し言葉を豊かにしようとする態度を育てる。〔第2学年及び第3学年〕(他学年略)

社会

 広い視野に立って、社会に対する関心を高め、諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め、公民としての基礎的教養を培い、国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者としての必要な公民的資質の基礎を養う。
〔地理的分野〕
(2)  日本や世界の地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ,それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し,地域的特色をとらえるための視点や方法を身に付けさせる。
(3)  大小様々な地域から成り立っている日本や世界の諸地域を比較し関連付けて考察し,それらの地域は相互に関係し合っていることや各地域の特色には地方的特殊性と一般的共通性があること,また,それらは諸条件の変化などに伴って変容していることを理解させる。
〔歴史的分野〕
(2)  国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を,その時代や地域との関連において理解させ,尊重する態度を育てる。
(3)  歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに,他民族の文化,生活などに関心をもたせ,国際協調の精神を養う。
〔公民的分野〕
(1)  個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務の関係を広い視野から正しく認識させ,民主主義に関する理解を深めるとともに,国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を培う。
(2)  民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動とのかかわり及び現代の社会生活などについて,個人と社会とのかかわりを中心に理解を深めるとともに,社会の諸問題に着目させ,自ら考えようとする態度を育てる。
(3)  国際的な相互依存関係の深まりの中で,世界平和の実現と人類の福祉の増大のために,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し合うことが重要であることを認識させるとともに,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることが大切であることを自覚させる。
(4)  現代の社会的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に収集,選択して多面的・多角的に考察し,事実を正確にとらえ,公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。

数学  数量、図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め、数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察する能力を高めるとともに、数学的活動の楽しさ、数学的な見方や考え方のよさを知り、それらを進んで活用する態度を育てる。
理科  自然に対する関心を高め、目的意識をもった観察、実験などを行い、科学的に調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。

[第1分野]
(4) 物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を通して,日常生活と関連付けて科学的に考える態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
[第2分野]
(4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い,自然の調べ方を身に付けるとともに,これらの活動を通して自然環境を保全し,生命を尊重する態度を育て,自然を総合的に見ることができるようにする。 
音楽  表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、音楽を愛好する心情を育てるとともに、音楽に対する感性を豊かにし、音楽活動の基礎的な能力を伸ばし、豊かな情操を養う。
(1) 音楽活動の楽しさを体験することを通して,音や音楽への興味・関心を養い,音楽によって生活を明るく豊かなものにする態度を育てる。〔第1学年〕(他学年略)
(2) 楽曲構成の豊かさや美しさを感じ取り,表現の技能を伸ばし,創造的に表現する能力を高める。〔第2学年及び第3学年〕(他学年略)
美術  表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、美術の創造活動の喜びを味わい美術を愛好する心情を育てるとともに、感性を豊かにし、美術の基礎的能力を伸ばし、豊かな情操を養う。
(1) 楽しく美術の活動に取り組み美術を愛好する心情を培い,心豊かな生活を創造していく意欲と態度を育てる。[第1学年](他学年略)
(2) 対象を深く見つめる力,感性や想像力を一層高め,独創的・総合的な見方や考え方を培い,豊かに発想し構想る能力や自分の表現方法を創意工夫し創造的に表現する能力を伸ばす。[第2学年及び第3学年](他学年略)
保健体育  心と体を一体としてとらえ、運動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を通して、積極的に運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育てる。
[体育分野]
(1) 各種の運動の合理的な実践を通して,課題を解決するなどにより運動の楽しさや喜びを味わうとともに運動技能を高めることができるようにし,生活を明るく健全にする態度を育てる。
(3) 運動における競争や協同の経験を通して,公正な態度や,進んで規則を守り互いに協力して責任を果たすなどの態度を育てる。また,健康・安全に留意して運動をすることができる態度を育てる。
[保健分野]
 個人生活における健康・安全に関する理解を通して,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる。
技術・家庭  生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。
〔技術分野〕
 実践的・体験的な学習活動を通して,ものづくりやエネルギー利用及びコンピュータ活用等に関する基礎的な知識と技術を習得するとともに,技術が果たす役割について理解を深め,それらを適切に活用する能力と態度を育てる。
〔家庭分野〕
 実践的・体験的な学習活動を通して,生活の自立に必要な衣食住に関する基礎的な知識と技術を習得するとともに,家庭の機能について理解を深め,課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。
英語  外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、聞くことや話すことなどの実践的コミュニケーション能力の基礎を養う。

○ 高等学校学習指導要領におけるキャリア教育に関連する主な目標・内容等

総則

第1款 教育課程編成の一般方針
4 学校においては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に資するものとする。
第2款 各教科・科目及び単位数等
5 学校設定教科
(2)  学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとともに,生徒の主体的な各教科・科目の選択に資するよう,就業体験等の体験的な学習や調査・研究などを通して,次のような事項について指導することに配慮するものとする。
ア  社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成
イ  我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
ウ  自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成
第4 款総合的な学習の時間
2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものと2総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(2)  学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。
3 各学校においては,上記1及び2に示す趣旨及びねらいを踏まえ,総合的な学習の時間の目標及び内容を定め,地域や学校の特色,生徒の特性等に応じ,例えば,次のような学習活動などを行うものとする。
イ  生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について,知識や技能の深化,総合化を図る学習活動
ウ  自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動
6 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  自然体験やボランティア活動,就業体験などの社会体験,観察・実験・実習,調査・研究,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
第6款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
4 職業教育に関して配慮すべき事項
(1)  普通科においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,必要に応じて,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。
(3)  学校においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,就業体験の機会の確保について配慮するものとする。
(4)  職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。
ア  職業に関する各教科・科目については,就業体験をもって実習に替えることができること。この場合,就業体験は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画されるものであることを要すること。
5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項
  以上のほか,次の事項について配慮するものとする。
(2)  学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図ること。また,生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,ガイダンスの機能の充実を図ること。
(4)  生徒が自己の在り方生き方を考え,主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと。

特別活動

第1 目標
 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団や社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。
第2 内容
A  ホームルーム活動
 ホームルーム活動においては,学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位として,ホームルームや学校の生活への適応を図るとともに,その充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応及び健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。
(2)  個人及び社会の一員としての在り方生き方,健康や安全に関すること。
ア  青年期の悩みや課題とその解決,自己及び他者の個性の理解と尊重,社会生活における役割の自覚と自己責任,男女相互の理解と協力,コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立,ボランティア活動の意義の理解,国際理解と国際交流など。
イ  心身の健康と健全な生活態度や習慣の確立,生命の尊重と安全な生活態度や習慣の確立など。
(3)  学業生活の充実,将来の生き方と進路の適切な選択決定に関すること。
 学ぶことの意義の理解,主体的な学習態度の確立と学校図書館の利用,教科・科目の適切な選択,進路適性の理解と進路情報の活用,望ましい職業観・勤労観の確立,主体的な進路の選択決定と将来設計など
C 学校行事
 学校行事においては,全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(5)  勤労生産・奉仕的行事
 勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職業観の形成や進路の選択決定などに資する体験が得られるようにするとともに,ボランティア活動など社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)  学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達段階及び特性等を考慮し,教師の適切な指導の下に,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。その際,ボランティア活動や就業体験など勤労にかかわる体験的な活動の機会をできるだけ取り入れるとともに,家庭や地域の人々との連携,社会教育施設等の活用などを工夫すること。
(2)  生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
(3)  学校生活への適応や人間関係の形成,教科・科目や進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するようホームルーム活動等の指導を工夫すること。

  各教科の「目標」の中でキャリア教育に関連が深いと思われる箇所
国語  国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力を伸ばし心情を豊かにし、言語感覚磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。

「国語表現1」
 国語で適切に表現する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力を伸ばし言語感覚を磨き,進んで表現することによって社会生活を充実させる態度を育てる。
「国語総合」
 国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力を伸ばし心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。
地理歴史  我が国及び世界の形成の歴史的過程と世界・文化の地域的特色についての理解と認識を深め、国際社会に主体的に生きる民主的、平和的な国家・社会の一員として必要な自覚と資質を養う。
公民  広い視野に立って、現代の社会について主体的に考察させ、理解を深めさせるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を育て、民主的、平和的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。

「現代社会」
 人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさせ,現代社会の基本的な問題について主体的に考え公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考える力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
「倫理」
 人間尊重の精神に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
「政治・経済」
 広い視野に立って,民主主義の本質に関する理解を深めさせ,現代における政治,経済,国際関係などについて客観的に理解させるとともに,それらに関する諸課題について主体的に考察させ,公正な判断力を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
数学  数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め、事象を数学的に考察し処理する能力を高め、数学的活動を通して創造性の基礎を培うとともに、数学的な見方や考え方の良さを認識し、それらを積極的に活用する態度を育てる。

「数学基礎」
 数学と人間とのかかわりや,社会生活において数学が果たしている役割について理解させ,数学に対する興味・関心を高めるとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識し数学を活用する態度を育てる。
「数学1」
 方程式と不等式,二次関数及び図形と計量について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。
理科  自然に対する関心や探求心を高め、観察、実験などを行い、科学的に探求する能力と態度を育てるとともに自然の事象・現象についての理解を深め、科学的な自然観を育成する。

「理科基礎」
 科学と人間生活とのかかわり,自然の探究・解明や科学の発展の過程について,観察,実験などを通して理解させ,科学に対する興味・関心を高めるとともに,科学的な見方や考え方を養う。
「理科総合A(B)」
 自然の事物・現象に関する観察,実験などを通して,エネルギーと物質の成り立ちを中心に(生物とそれを取り巻く環境を中心に),自然の事物・現象について理解させるとともに,人間と自然とのかかわりについて考察させ,自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
保健体育  心と体を一体としてとらえ、健康・安全や運動についての理解と運動の合理的な実践を通して、生涯にわたって計画的に運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り、明るく豊かで活力ある生活を営む態度を育てる。

「体育」
 各種の運動の合理的な実践を通して,運動技能を高め運動の楽しさや喜びを深く味わうことができるようにするとともに,体の調子を整え,体力の向上を図り,公正,協力,責任などの態度を育て,生涯を通じて継続的に運動ができる資質や能力を育てる。
「保健」
 個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるようにし,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる。
芸術  芸術の幅広い活動を通して、生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、芸術の諸能力を伸ばし、豊かな情操を養う。
外国語  外国語を通して、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う。

「オーラル・コミュニケーション」
 日常生活の身近な話題について,英語を聞いたり話したりして,情報や考えなどを理解し,伝える基礎的な能力を養うとともに,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
「英語1」
 日常的な話題について,聞いたことや読んだことを理解し,情報や考えなどを英語で話したり書いたりして伝える基礎的な能力を養うとともに,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
家庭  人間の健全な発達と生活の営みを総合的にとらえ、家族・家庭の意義、家族・家庭と社会のかかわりについて理解させるとともに、生活に必要な知識と技術を習得させ、男女が協力して家庭や地域の生活を創造する能力と実践的な態度を育てる。

「家庭基礎」
 人の一生と家族・福祉,衣食住,消費生活などに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,家庭生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。
「家庭総合」
 人の一生と家族,子どもの発達と保育,高齢者の生活と福祉,衣食住,消費生活などに関する知識と技術を総合的に習得させ,生活課題を主体的に解決するとともに,家庭生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。
「生活技術」
 人の一生と家族・福祉,消費生活,衣食住,家庭生活と技術革新などに関する知識と技術を体験的に習得させ,生活課題を主体的に解決するとともに,家庭生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。
情報  情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して、情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
専門教育に関する各教科
  • 「課題研究」専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。
  • 「工業技術基礎」や「ビジネス基礎」など各専門教育における基礎科目は専門領域への興味関心を高め、現代社会における専門領域の意義や役割を理解するとともに、社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。

4 キャリア教育の推進体制

(1)組織づくりと校長の役割

 学校の教育活動全体を通してキャリア教育を推進するためには、校長がキャリア教育の意義を十分に認識し、キャリア教育を学校経営計画の中核に据えることが考えられる。各学校においては、校内の関係する分掌すべてを有機的にかかわらせながら、学校全体でキャリア教育を推進する「キャリア教育推進委員会」などの組織を設けることが有効と考えられる。また、キャリア教育が学校内にとどまらず、家庭や地域との連携・協力を必要とする教育活動であることからも、学校の代表者としての校長の姿勢は、それらの連携・協力関係を深め、よりよい成果を生み出す上でも重要である。

(2)教員の資質・能力向上

 キャリア教育の推進には、全ての教員が、キャリア教育のベースになる児童生徒のキャリア発達や児童生徒を取り巻く社会環境の変化、さらに学校の教育活動全体を通して進められるキャリア教育の在り方などについて、十分な理解を深めることが重要となる。そして、それらを前提として、教員一人一人の資質の向上が、様々な面で求められる。
 例えば、一人一人の児童生徒のキャリア発達を促すキャリア教育においては、児童生徒の個々を理解し、その変容を的確にとらえて発達を支援する「キャリア・カウンセリング」や、校外での様々な体験活動場面で、家庭、地域、企業、関係機関・団体の関係者と円滑に連携を進める際にも不可欠な「コミュニケーション能力」の向上などがすべての教員に求められる。さらに、キャリア教育の指導者的な立場の教員には、他に必要な能力として、「プログラム開発・運営・評価能力」、「調整能力(コーディネーション能力)」、「指導・助言能力(インストラクション・コンサルテーション能力)」等が考えられる。(P57参照)

(3)研修の重要性

 キャリア教育の正しい理解や教員の資質・能力の向上を図るためには、いままでの校内研修の在り方や内容を再検討していく必要がある。また、様々な研修の機会を教員に提供することも求められている。
 既に、国においては「キャリア教育を推進するための指導者の養成を目的とした研修」を実施し、各都道府県等から指導的立場の教員が参加している。地域や学校では、この研修に参加した教員を招き研修会等を実施し、広く普及・啓発することが望まれる。
 キャリア教育の研修を計画する際には、次のような観点を参考にし、自校の研修課題に加えていくことが大切である。

(注) 研修の具体例については、第5章参照

5 学校と社会の接続

(1)体験活動等の活用

   「キャリア教育報告書」では、職場体験やインターンシップ等の体験活動には、「職業や仕事の可能性や適性の理解、自己有用感の獲得、学ぶことの意義の理解と学習意欲の向上等、様々な教育効果が期待される」と、その意義を述べている。また、職場体験やインターンシップの他、「企業見学や社会人・職業人講話・インタビュー、大学等上級学校等の見学、聴講及び大学等からの出前授業、図書館や美術館、博物館での調査研究活動、福祉施設や幼稚園、保育所等でのボランティア体験等々」と、体験活動の具体例を幅広く示している。
 そして、実施に当たっては、体験活動が一過性の行事に終わってしまわないよう、「事 前指導において子どもたちに体験活動の意義をしっかりと理解させるとともに、職業調 べやインタビューと組み合わせたり、事後にまとめの話し合いや討論会、発表会等を計 画したりするなど、周到な準備と計画のもとに実施することが望まれる」と、事前・事 後の指導の重要性を指摘している。
 この事前・事後の指導の大切さにかかわって、次の3点を強調したい。  

  1. 体験活動は、ただ単に事前・事後の指導ばかりでなく、キャリア教育においてどのような意義があるのか、そのねらいは何なのかなど、各学校が入学年次から 計画的、継続的に取り組む(あるいは、小学校・中学校・高等学校の12年間にわたる)キャリア教育における位置付けを明確にして、学習活動や相談活動などとの関連を図って、計画・実施されなければならない。
  2. 体験活動の事前指導では、特に、児童生徒がその意義やねらいを十分に理解し、自分なりに目標をもって望むことができるように指導することが大切である。また、事後指導では、特に、児童生徒が互いの体験を共有することができるようにすることや、それぞれが体験を通して何を感じ、考えたかなどを振り返り、その内面化を図るよう、指導内容・方法を工夫することが大切である。
  3. 各学校が、円滑かつ継続的に家庭や地域と連携して体験活動を実施するためには、体験活動の実施当日ばかりでなく、事前・事後の指導等においては無論のこと、日頃の学習活動においても保護者や地域の社会人・職業人を外部講師として招聘するなど、キャリア教育全般にわたって家庭や地域との連携を図っておくことが大切である。

(2)社会の仕組みや経済社会の仕組みについての現実的理解の促進等

 「キャリア教育報告書」は、調査研究協力者会議で検討されたキャリア教育の指導内容にかかわって、これまでの中学校・高等学校における進路指導において必ずしも十分には取り上げられていなかった次のような点に言及している。
 一つは、社会の仕組みや経済社会の構造と働きについての基本的理解の促進であり、もう一つは、キャリアを積み上げていく上で最低限持っていなければならない知識、例えば、労働者としての権利や義務、雇用契約の法的意味、求人情報の獲得方法、人権侵害等への対処方法、相談機関等に関する情報や知識等の習得である。
 前者で、「社会の仕組みや経済社会の構造」についての基本的理解とは、今日の経済社会が社会的な分業によって成り立っており、人は職に就き、働くことを通して、その一端を担っていること、また、そのような社会的な分業の下で、相互に支え合っていることを理解するということである。児童生徒が、学習や体験を通して、このような理解を得ることができるようにすることは、働く意義や目的が見い出せないままに、就職活動等にいっさい取り組まない生徒・学生が少なくないという現状にあって、彼らに働く意義を理解させ、積極的に社会参加しようとする意欲・態度を養う上で欠くことができない学習内容である。
 また、後者の学習内容は、高等学校の中途退学者や卒業時に進路が決まらないままに卒業する者が少なくない現状にあって、その後の生活や進路を考え、築く上で、また、高等学校の中途退学や卒業後に職に就き、働く上で不利益な扱いや不当な差別を受けないようにするために不可欠な学習内容である。

(3)学校外の教育資源の活用

 「キャリア教育を十全に展開するためには、家庭、地域や企業等との連携を積極的に進め、学校外の教育資源を有効に活用することが不可欠である」との「キャリア教育報告書」の指摘については、改めて説明を要しないであろう。教育委員会や各学校がキャリア教育に取り組むに当たっては、今日、国が取り組んでいる「若者自立・挑戦プラン」の一環に位置付けられ、厚生労働省や経済産業省等関係府省との協力・連携の下で進められていること、これらの関係機関、例えば労働・福祉・経済産業等の関係部局やハローワーク等の協力が得られてきていることを理解しておくことも大切である。

6 児童生徒の発達段階を踏まえた取組

 キャリア教育を推進していく上で重要なことは、社会的自立・職業的自立が、児童生徒の発達課題の達成と深くかかわりながら、順次段階を追って発達していくことを踏まえて、児童生徒の全人的な成長・発達を支援する視点に立って行うことである。
 人間の成長・発達の過程には、いくつかの段階(節目)と各段階で取り組まなければならない発達課題があるが、これをキャリア発達の視点から見れば、学校段階別に表1のように考えられる。また、こうした発達には、自己理解、進路への関心・意欲、勤労観、職業観、職業や進路先についての知識や情報、進路選択や意思決定能力、職業生活にかかる習慣や行動様式及び必要な技術・技能などといった様々な側面が含まれる。

表1 小学校・中学校・高等学校におけるキャリア発達

小学校 中学校 高等学校
<キャリア発達段階>
進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期 現実的探索と暫定的選択の時期 現実的探索・試行と社会的移行準備の時期
  • 自己及び他者への積極的関心の形成・発展
  • 身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上
  • 夢や希望、憧れる自己イメージの獲得
  • 勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成
  • 肯定的自己理解と自己有用感の獲得
  • 興味・関心等に基づく勤労観、職業観の形成
  • 進路計画の立案と暫定的選択
  • 生き方や進路に関する現実的探索
  • 自己理解の深化と自己受容
  • 選択基準としての勤労観、職業観の確立
  • 将来設計の立案と社会的移行の準備
  • 進路の現実吟味と試行的参加

(国立教育政策研究所生徒指導研究センター「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」から一部改訂)

 キャリア教育は、子どもたちがそれぞれの発達段階に応じて、自己と働くこととを適切に関係付け、各発達段階における発達課題を達成できるよう取組を展開するところにその特質がある。このため、キャリア教育を進めるためには、学校教育の実情を踏まえるとともに、一人一人のキャリアが多様な側面を持ちながら段階を追って発達していくことをあらためて深く認識し、必要とされる諸能力を意図的、継続的に育成していくことが重要である。

7 小学校・中学校・高等学校を通じた組織的・系統的なキャリア教育

 小学校・中学校・高等学校において、キャリア教育を理解し、進めていくためには、児童生徒のキャリア発達を支援する観点に立って、各領域の関連する諸活動を体系化し、計画的・組織的に実施することができるよう、各学校が連携を図りつつ、教育課程の編成の在り方を見直していく必要がある。すなわち、児童生徒のキャリア発達を促す能力・態度を育成するため、それぞれの学校に応じた適切な支援をしていくことが重要である。
 次の表は、「キャリア教育報告書」に示されている「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」(国立教育政策研究所生徒指導研究センター)で、社会的自立・職業的自立に向けて、キャリア発達にかかわる諸能力の育成の視点から、小学校の低・中・高学年、中学校、高等学校のそれぞれの段階において身に付けることが期待される能力・態度が、どの程度身に付いているか等児童生徒の発達をみていく見取図として作成したものである。
 この枠組み(例)を参考にするなどしながら、小学校・中学校・高等学校においては連携・協力しつつキャリア教育を推進していくことが重要である。

○職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)−職業的(進路)発達にかかわる諸能力の育成の視点から

※ 太字は,「職業観・勤労観の育成」との関連が特に強いものを示す  

小学校
低学年 中学年 中学年
職業的(進路)発達の段階 進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期
○職業的(進路)発達課題(小〜高等学校段階)
 各発達段階において達成しておくべき課題を,進路・職業の選択能力及び将来の職業人として必要な資質の形成という側面から捉えたもの。
  • 自己及び他者への積極的関心の形成・発展
  • 身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上
  • 夢や希望,憧れる自己イメージの獲得
  • 勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成
職業的(進路)発達にかかわる諸能力 職業的(進路)発達を促すために育成することが期待される具体的な能力・態度
領域 領域説明 能力説明
人間関係形成能力  他者の個性を尊重し,自己の個性を発揮しながら,様々な人々とコミュニケーションを図り,協力・共同してものごとに取り組む。 【自他の理解能力】
 自己理解を深め,他者の多様な個性を理解し,互いに認め合うことを大切にして行動していく能力
  • 自分の好きなことや嫌なことをはっきり言う。
  • 友達と仲良く遊び,助け合う。
  • お世話になった人などに感謝し親切にする。
  • 自分のよいところを見つける。
  • 友達のよいところを認め,励まし合う。
  • 自分の生活を支えている人に感謝する。
  • 自分の長所や欠点に気付き,自分らしさを発揮する。
  • 話し合いなどに積極的に参加し,自分と異なる意見も理解しようとする。
【コミュニケーション能力】
 多様な集団・組織の中で,コミュニケーションや豊かな人間関係を築きながら,自己の成長を果たしていく能力
  • あいさつや返事をする。 
  • 「ありがとう」や「ごめんなさい」を言う。
  • 自分の考えをみんなの前で話す。
  • 自分の意見や気持ちをわかりやすく表現する。
  • 友達の気持ちや考えを理解しようとする。
  • 友達と協力して,学習や活動に取り組む。
  • 思いやりの気持ちを持ち,相手の立場に立って考え行動しようとする。
  • 異年齢集団の活動に進んで参加し,役割と責任を果たそうとする。
情報活用能力  学ぶこと・働くことの意義や役割及びその多様性を理解し,幅広く情報を活用して,自己の進路や生き方の選択に生かす。 【情報収集・探索能力】
 進路や職業等に関する様々な情報を収集・探索するとともに,必要な情報を選択・活用し,自己の進路や生き方を考えていく能力
  • 身近で働く人々の様子が分かり,興味・関心を持つ。
  • いろいろな職業や生き方があることが分かる。
  • 分からないことを,図鑑などで調べたり,質問したりする。
  • 身近な産業・職業の様子やその変化が分かる。
  • 自分に必要な情報を探す。
  • 気付いたこと,分かったことや個人・グループでまとめたことを発表する。
【職業理解能力】
 様々な体験等を通して,学校で学ぶことと社会・職業生活との関連や,今しなければならないことなどを理解していく能力
  • 係や当番の活動に取り組み,それらの大切さが分かる。
  • 係や当番活動に積極的にかかわる。
  • 働くことの楽しさが分かる。
  • 施設・職場見学等を通し,働くことの大切さや苦労が分かる。
  • 学んだり体験したりしたことと,生活や職業との関連を考える。
将来設計能力  夢や希望を持って将来の生き方や生活を考え,社会の現実を踏まえながら,前向きに自己の将来を設計する。 【役割把握・認識能力】
 生活・仕事上の多様な役割や意義及びその関連等を理解し,自己の果たすべき役割等についての認識を深めていく能力
  • 家の手伝いや割り当てられた仕事・役割の必要性が分かる。

 

  • 互いの役割や役割分担の必要性が分かる。
  • 日常の生活や学習と将来の生き方との関係に気付く。

 

  • 社会生活にはいろいろな役割があることやその大切さが分かる。
  • 仕事における役割の関連性や変化に気付く。

 

【計画実行能力】
 目標とすべき将来の生き方や進路を考え,それを実現するための進路計画を立て,実際の選択行動等で実行していく能力
  • 作業の準備や片づけをする
  • 決められた時間やきまりを守ろうとする。
  • 将来の夢や希望を持つ。
  • 計画づくりの必要性に気付き,作業の手順が分かる。
  • 学習等の計画を立てる。
  • 将来のことを考える大切さが分かる。
  • 憧れとする職業を持ち,今,しなければならないことを考える。
意思決定能力  自らの意志と責任でよりよい選択・決定を行うとともに,その過程での課題や葛藤に積極的に取り組み克服する。 【選択能力】
 様々な選択肢について比較検討したり,葛藤を克服したりして,主体的に判断し,自らにふさわしい選択・決定を行っていく能力
  • 自分の好きなもの,大切なものを持つ。
  • 学校でしてよいことと悪いことがあることが分かる。
  • 自分のやりたいこと,よいと思うことなどを考え,進んで取り組む。
  • してはいけないことが分かり,自制する。
  • 係活動などで自分のやりたい係,やれそうな係を選ぶ。
  • 教師や保護者に自分の悩みや葛藤を話す。
【課題解決能力】
 意思決定に伴う責任を受け入れ,選択結果に適応するとともに,希望する進路の実現に向け,自ら課題を設定してその解決に取り組む能力
  • 自分のことは自分で行おうとする。
  • 自分の仕事に対して責任を感じ,最後までやり通そうとする。
  • 自分の力で課題を解決しようと努力する。
  • 生活や学習上の課題を見つけ,自分の力で解決しようとする。
  • 将来の夢や希望を持ち,実現を目指して努力しようとする。
  中学校
職業的(進路)発達の段階  現実的探索と暫定的選択の時期
○職業的(進路)発達課題(小〜高等学校段階)
 各発達段階において達成しておくべき課題を,進路・職業の選択能力及び将来の職業人として必要な資質の形成という側面から捉えたもの。
  • 肯定的自己理解と自己有用感の獲得
  • 興味・関心等に基づく職業観・勤労観の形成
  • 進路計画の立案と暫定的選択
  • 生き方や進路に関する現実的探索
職業的(進路)発達にかかわる諸能力 職業的(進路)発達を促すために育成することが期待される具体的な能力・態度
領域 領域説明 能力説明
人間関係形成能力  他者の個性を尊重し,自己の個性を発揮しながら,様々な人々とコミュニケーションを図り,協力・共同してものごとに取り組む。 【自他の理解能力】
 自己理解を深め,他者の多様な個性を理解し,互いに認め合うことを大切にして行動していく能力
  • 自分の良さや個性が分かり,他者の良さや感情を理解し,尊重する。
  • 自分の言動が相手や他者に及ぼす影響が分かる。
  • 自分の悩みを話せる人を持つ。

 

【コミュニケーション能力】
 多様な集団・組織の中で,コミュニケーションや豊かな人間関係を築きながら,自己の成長を果たしていく能力
  • 他者に配慮しながら,積極的に人間関係を築こうとする。
  • 人間関係の大切さを理解し,コミュニケーションスキルの基礎を習得する。
  • リーダーとフォロアーの立場を理解し,チームを組んで互いに支え合いながら仕事をする。
  • 新しい環境や人間関係に適応する。
情報活用能力  学ぶこと・働くことの意義や役割及びその多様性を理解し,幅広く情報を活用して,自己の進路や生き方の選択に生かす。 【情報収集・探索能力】
 進路や職業等に関する様々な情報を収集・探索するとともに,必要な情報を選択・活用し,自己の進路や生き方を考えていく能力
  • 産業・経済等の変化に伴う職業や仕事の変化のあらましを理解する。
  • 上級学校・学科等の種類や特徴及び職業に求められる資格や学習歴の概略が分かる。
  • 生き方や進路に関する情報を,様々なメディアを通して調査・収集・整理し活用する。
  • 必要応じ,獲得した情報に創意工夫を加え,提示,発表,発信する。
【職業理解能力】
 様々な体験等を通して,学校で学ぶことと社会・職業生活との関連や,今しなければならないことなどを理解していく能力
  • 将来の職業生活との関連の中で,今の学習の必要性や大切さを理解する。
  • 体験等を通して,勤労の意義や働く人々の様々な思いが分かる。
  • 係・委員会活動や職場体験等で得たことを,以後の学習や選択に生かす。
将来設計能力  夢や希望を持って将来の生き方や生活を考え,社会の現実を踏まえながら,前向きに自己の将来を設計する。 【役割把握・認識能力】
 生活・仕事上の多様な役割や意義及びその関連等を理解し,自己の果たすべき役割等についての認識を深めていく能力
  • 自分の役割やその進め方,よりよい集団活動のための役割分担やその方法等が分かる。
  • 日常の生活や学習と将来の生き方との関係を理解する。
  • 様々な職業の社会的役割や意義を理解し,自己の生き方を考える。
【計画実行能力】
 目標とすべき将来の生き方や進路を考え,それを実現するための進路計画を立て,実際の選択行動等で実行していく能力
  • 将来の夢や職業を思い描き,自分にふさわしい職業や仕事への関心・意欲を高める。
  • 進路計画を立てる意義や方法を理解し,自分の目指すべき将来を暫定的に計画する。
  • 将来の進路希望に基づいて当面の目標を立て,その達成に向けて努力する。
意思決定能力  自らの意志と責任でよりよい選択・決定を行うとともに,その過程での課題や葛藤に積極的に取り組み克服する。 【選択能力】
 様々な選択肢について比較検討したり,葛藤を克服したりして,主体的に判断し,自らにふさわしい選択・決定を行っていく能力
  • 自己の個性や興味・関心等に基づいて,よりよい選択をしようとする。
  • 選択の意味や判断・決定の過程,結果には責任が伴うことなどを理解する。
  • 教師や保護者と相談しながら,当面の進路を選択し,その結果を受け入れる。
【課題解決能力】
 意思決定に伴う責任を受け入れ,選択結果に適応するとともに,希望する進路の実現に向け,自ら課題を設定してその解決に取り組む能力
  • 学習や進路選択の過程を振り返り,次の選択場面に生かす。
  • よりよい生活や学習,進路や生き方等を目指して自ら課題を見出していくことの大切さを理解する。
  • 課題に積極的に取り組み,主体的に解決していこうとする。
  高等学校
職業的(進路)発達の段階 現実的探索・試行と社会的移行準備の時期
○職業的(進路)発達課題(小〜高等学校段階)
 各発達段階において達成しておくべき課題を,進路・職業の選択能力及び将来の職業人として必要な資質の形成という側面から捉えたもの。
  • 自己理解の深化と自己受容
  • 選択基準としての職業観・勤労観の確立
  • 将来設計の立案と社会的移行の準備
  • 進路の現実吟味と試行的参加
職業的(進路)発達にかかわる諸能力 職業的(進路)発達を促すために育成することが期待される具体的な能力・態度
領域 領域説明 能力説明
人間関係形成能力  他者の個性を尊重し,自己の個性を発揮しながら,様々な人々とコミュニケーションを図り,協力・共同してものごとに取り組む。 【自他の理解能力】
 自己理解を深め,他者の多様な個性を理解し,互いに認め合うことを大切にして行動していく能力
  • 自己の職業的な能力・適性を理解し,それを受け入れて伸ばそうとする。
  • 他者の価値観や個性のユニークさを理解し,それを受け入れる。
  • 互いに支え合い分かり合える友人を得る。
【コミュニケーション能力】
 多様な集団・組織の中で,コミュニケーションや豊かな人間関係を築きながら,自己の成長を果たしていく能力
  • 自己の思いや意見を適切に伝え,他者の意志等を的確に理解する。
  • 異年齢の人や異性等,多様な他者と,場に応じた適切なコミュニケーションを図る。
  • リーダー・フォロアーシップを発揮して,相手の能力を引き出し,チームワークを高める。
  • 新しい環境や人間関係を生かす。
情報活用能力  学ぶこと・働くことの意義や役割及びその多様性を理解し,幅広く情報を活用して,自己の進路や生き方の選択に生かす。 【情報収集・探索能力】
 進路や職業等に関する様々な情報を収集・探索するとともに,必要な情報を選択・活用し,自己の進路や生き方を考えていく能力
  • 卒業後の進路や職業・産業の動向について,多面的・多角的に情報を集め検討する。
  • 就職後の学習の機会や上級学校卒業時の就職等に関する情報を探索する。
  • 職業生活における権利・義務や責任及び職業に就く手続き・方法などが分かる。
  • 調べたことなどを自分の考えを交え,各種メデアを通して発表・発信する。
【職業理解能力】
 様々な体験等を通して,学校で学ぶことと社会・職業生活との関連や,今しなければならないことなどを理解していく能力
  • 就業等の社会参加や上級学校での学習等に関する探索的・試行的な体験に取り組む。
  • 社会規範やマナー等の必要性や意義を体験を通して理解し,習得する。
  • 多様な職業観・勤労観を理解し,職業・勤労に対する理解・認識を深める。
将来設計能力  夢や希望を持って将来の生き方や生活を考え,社会の現実を踏まえながら,前向きに自己の将来を設計する。 【役割把握・認識能力】
 生活・仕事上の多様な役割や意義及びその関連等を理解し,自己の果たすべき役割等についての認識を深めていく能力
  • 学校・社会において自分の果たすべき役割を自覚し,積極的に役割を果たす。
  • ライフステージに応じた個人的・社会的役割や責任を理解する。
  • 将来設計に基づいて,今取り組むべき学習や活動を理解する。
【計画実行能力】
 目標とすべき将来の生き方や進路を考え,それを実現するための進路計画を立て,実際の選択行動等で実行していく能力
  • 生きがい・やりがいがあり自己を生かせる生き方や進路を現実的に考える。
  • 職業についての総合的・現実的な理解に基づいて将来を設計し,進路計画を立案する。
  • 将来設計,進路計画の見直し再検討を行い,その実現に取り組む。
意思決定能力  自らの意志と責任でよりよい選択・決定を行うとともに,その過程での課題や葛藤に積極的に取り組み克服する。 【選択能力】
 様々な選択肢について比較検討したり,葛藤を克服したりして,主体的に判断し,自らにふさわしい選択・決定を行っていく能力
  • 選択の基準となる自分なりの価値観,職業観・勤労観を持つ。
  • 多様な選択肢の中から,自己の意志と責任で当面の進路や学習を主体的に選択する。
  • 進路希望を実現するための諸条件や課題を理解し,実現可能性について検討する。
  • 選択結果を受容し,決定に伴う責任を果たす。
【課題解決能力】
 意思決定に伴う責任を受け入れ,選択結果に適応するとともに,希望する進路の実現に向け,自ら課題を設定してその解決に取り組む能力
  • 将来設計,進路希望の実現を目指して,課題を設定し,その解決に取り組む。
  • 自分を生かし役割を果たしていく上での様々な課題とその解決策について検討する。
  • 理想と現実との葛藤経験等を通し,様々な困難を克服するスキルを身につける。

調査研究報告書「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」(国立教育政策研究所生徒指導研究センター 平成14年11月)

8 キャリア教育の評価

 キャリア教育の実践が、その教育的目標を達成し、さらにより効果的な活動の実践に発展させていくためには、適切な評価を行うことが重要である。

(1)キャリア教育全体の評価

 現在、マネジメント・サイクルとして、計画(Plan)を実行(Do)し、評価(Check)して改善(Action)に結びつけるPDCAサイクルが提案されている。学校運営・教育活動において有効であると考えられることから、キャリア教育の全体計画等においても、適切に評価するとともに、その評価が改善に結びつき、次期目標へ反映されることが重要である。

キャリア教育の評価

 また、評価に当たっては、「終了時の評価」として行う目標の達成状況の評価だけでなく、課題を客観的に検討すると同時に、「実践過程での評価」として、前もって計画した活動が、効果を上げつつあるかどうか、予測しなかった問題や課題が起きていないかを確認し、必要な場合には計画の修正を考慮することなども大切である。
 このようなことを踏まえ、キャリア教育全体の評価では、その前提として次のような点が考えられる。

  • キャリア教育の目指す目標が、具体的で明確であること
  • 目標が各学校や児童・生徒の実態に応じて、実行可能な内容であること
  • 教員がキャリア教育の意義と実践への計画、方法等を十分理解できていること
  • 教育活動の実行に際し、児童生徒にどのような変化や効果が期待されるか等が、具体的に示されていること
  • 評価方法等が適切に示されていること
  • 教員が、評価の目的、方法等について理解し、適切に評価できる能力を有すること
  • キャリア教育の推進体制が確立されていること など

 なお、キャリア教育を進めていくためには、各学校が創意工夫をこらして、実践していくことが大切であるが、その際、自校の取組や校内研修の在り方等について「チェックシート」を作成し点検していくことも大切である。次の表はその「簡易チェックシート(例)」として参考とされたい。

《学校におけるキャリア教育推進チェックシート(例)》

項目 チェック
学校教育目標にキャリア教育を位置付けている  
キャリア教育の全体計画を立てている  
校内にキャリア教育推進委員会等を設置している  
キャリア教育の校内研修を実施(計画)している  
教職員全体がキャリア教育について共通理解している  
小学校・中学校・高等学校でキャリア教育に関し連絡協議会を設置するなど連携を図っている  
職場体験、インターンシップ等を実施している  
職場体験、インターンシップ等の事前・事後指導を計画的に行っている  
各教科における指導も含めて、キャリア教育を教育活動全体で行っている  
学校だより、PTAだより等でキャリア教育の広報活動を行っている  
社会人講師等、地域の教育力を活用している  
ハローワーク等関係諸機関と連携している  
単独あるいは、学校評価等でキャリア教育の評価を行っている  
評価結果に基づき、指導等の改善を図っている  

(2)教員が行う評価

 キャリア教育を進め、児童生徒一人一人の評価を行う場合、児童生徒のキャリア発達の速度や様相は個人差が大きく、また環境の影響も大きいこと、特定の時間帯で実施されるとは限らないこと、さらに、目標も個々の児童生徒の状況や学校・地域によって多様であることに留意しなければならない。また、指導と評価の一体化を進めるためにも、キャリア教育の視点を踏まえた授業、活動の一層の工夫・改善が求められる。
 このようなことから、現状においては、個々の児童生徒に対するキャリア教育の評価については次のように考えられる。

○ 各教科(科目)、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等の目標やねらい、また、各教科(科目)等の評価の規準にキャリア教育の視点を盛り込むこと
○ 進路指導の評価にキャリア教育の観点や内容を取り入れること

 また、児童生徒の変化に視点を当てた場合、定量的評価だけではなく、担当教員が児童生徒の行動を観察したり、取り組んでいる時の児童生徒自身の感想など定性的な資料も大切である。このようなことから、評価には児童生徒が取り組んだ課題や、進路指導などで行った検査や調査、学業成績など、児童生徒の全資料を一括したポートフォリオが、キャリア教育を通しての児童生徒の変化や教員の取組の評価にも極めて有効な情報として活用できる。そこで、次に基本的な評価の観点について例示する。

基本的な評価の観点(例)

1.目標の設定について
  • 目標の設定は具体的で妥当であったか
  • 目標設定過程への各教員の参加度、理解度はどうか
  • 保護者などへの説明は適切であったか など
2.実践中の評価について
  • 児童生徒は積極的に取り組んでいるか、理解はどうか、予測した取組をしているか
  • 期待した変化や効果の兆しはあるか
  • 教員が適切な指導を行っているか
  • 児童生徒の感想はどうか など
3.評価の方法について
  • 評価のための計画は適切に立てられていたか
  • 評価方法やそのための資料は前もって用意されていたか、評価方法は妥当であったか
  • 教員、児童生徒の評価への理解は十分であったか など
4.「児童生徒の変化」の評価
  • プログラム実施中の児童生徒の態度の変化
  • プログラムの目標の達成状況(実施過程中、および終了時)
  • 特に顕著な児童生徒の行動・態度、課題など
5.評価を受けての改善について
  • 今までの評価を教職員、保護者等で客観的に見直し、共通理解されているか
  • 評価を適切に次の改善策として生かしているか
  • 改善策の実行プログラム(アクションプラン等)が立てられているか など

 なお、「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」は、各学校において、児童生徒がどのような能力・態度をどの程度身に付けているか等について点検したり、評価したりする際の一つの参考として、活用することも考えられる。しかし、本来この枠組み(例)は、4つの能力を観点として児童生徒の発達を見ていく見取り図として作成されたことに留意しておく必要がある。したがって、現在行われている各学校の一つ一つの活動が、どのような能力の育成を目指したものなのかを明確にしたり、全体としてバランスのとれた取組となっているか、どの能力・態度の育成にかかわる取組が不足しているのか等について、点検・見直しを行ったりする際の参考として活用することが望まれる。
 今後、キャリア教育についての評価をどのように進めていくかについては、文部科学省で実施しているキャリア教育推進地域事業等の実践研究等を参考にしつつ、研究・検討していくことが求められる。

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