学校施設の防犯対策に係る点検・改善マニュアル作成の取組に関する調査研究 報告書 第3章 点検・改善マニュアルの作成方法と留意点1

 本章では、本調査研究のまとめとして、これまでの調査研究報告及び「第2章 点検・改善の取組の調査分析」等から、学校施設の防犯対策の点検・改善の取組において必要と思われる視点、手順、留意事項等について整理する。
 また、点検・改善マニュアル作成の際の手順、留意事項等についても参考に示す。

1.点検・改善の目的と必要性

 学校施設の防犯対策に関する点検・改善の目的及び必要性として次のような点があげられる。

キーポイント

  • 総合的な視点に立った点検・改善の実施
  • ハード面のチェックの重要性
  • 安全管理及び防犯意識の維持・向上

1-1 総合的な視点に立った点検・改善の実施

  • (1)児童生徒の安全確保を第一に考え、不審者の侵入・犯行抑止のために、不審者が「入りにくく」「見えやすい」施設環境とすること、また、不審者侵入等の緊急時に適確に対応(連絡、防御等)できることを目的(視点)として点検・改善を行うことが重要である。
  • (2)点検・改善に当たっては、防犯性の向上とともに、学校環境の「総合的な質の向上」という視点に立ち、防災・事故防止等の安全性向上及び緑化・美観形成等の環境改善の取組の一環として取り組むことが望ましい。
  • (3)不審者の侵入・犯行抑止は、ソフト、ハード両面から総合的に進める必要があり、防犯訓練、巡回パトロール等のソフト面の対策を検討する上でも、施設の点検・改善は重要である。

関連事例

  • 防犯施設の点検マニュアルの基本的考え方として1児童の安全・安心を第一に確保する、2地域住民が利用しやすい開かれた学校とする、3ゆとりや潤いが感じられる学校とする、を挙げている。(雲南市立三刀屋小学校:P.36)
  • 防犯対策に係る施設・設備の点検・改善において、日常の来校車両等及び改修工事期間中の事故防止にも留意している。(滑川市立西部小学校:P.16~18)
  • 施設の点検結果により市内安全パトロール隊(ホワイトイーグル)に対して、管理諸室から確認できない「昇降口」の重点見廻りの依頼を検討している。(武蔵野市立境南小学校:P.11~12)
  • 不審者の侵入経路を想定した避難経路を設定し、避難経路の点検により問題点を抽出し、必要な改善を行い、実際にこれら避難経路を使い児童等による避難訓練を実施している。(滑川市立西部小学校:P.16~17)
  • 評価の観点のひとつとして「植栽による心理的に落ち着きを与える豊かな環境への配慮」を位置づけ、屋外環境の整備と景観の向上を兼ねて囲障の改善を提案している。(群馬大学附属小学校:P.23)

1‐2 ハード面のチェックの重要性

  • (1)防犯施設(ハード)は防犯対策上重要な役割を担っており、必要な機能を確実に発揮させる上でハード面のチェックは重要である。
  • (2)防犯対策は個々の学校の実情に応じた対策を講じ、継続させることが大切であり、そのためには施設・設備等の継続的なチェックにより防犯に対する現状を把握し、必要な改善を行うことが重要である。
  • (3)特に、校舎等の増築や改修の際は、施設環境が変化することになるので、整備を行わない既存施設を含め学校施設全体を対象として点検・改善を実施することは極めて重要である。

関連事例

  • 点検結果を踏まえ、大規模改修・耐震改修計画において、管理諸室の位置の検討、安全な避難経路の確保、防犯カメラの設置検討等を行うこととしている。(滑川市立西部小学校:P.16)

1‐3 安全管理及び防犯意識の維持・向上

(1)学校、保護者、地域住民、関係機関等が安全に関する共通認識の下で継続的に点検・改善を行うことは、安全管理及び防犯意識の維持・向上を図る上で有効である。

(2)学校施設の防犯に対する現状について、児童生徒への安全教育、教職員の役割分担、保護者や地域住民等のボランティアによる協力など、安全対策及び安全管理の実態について把握し、適切な対応を行うことが重要である。

関連事例

  • PTA、校庭開放委員、青少年地区委員等で使用する腕章を統一することで地域全体の防犯意識の向上を図っている。 (武蔵野市立境南小学校:P.8)
  • 教職員、保護者、児童、地域の方が協力して「学校施設安全マップ」を作成し、現場での確認を行っている。 (武蔵野市立境南小学校:P9)

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

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