学校施設の防犯対策に係る点検・改善マニュアル作成の取組に関する調査研究 報告書 第2章 点検・改善マニュアルの調査分析1-4

1.点検・改善マニュアル作成の取組事例(文部科学省支援事業)の調査分析

1-4  整理・分析

紹介した3事例の取組内容について、その特徴を以下に整理する。

武蔵野市立境南小学校 滑川市立西部小学校 群馬大学附属小学校
検討方針  安全・安心の学校づくりのために、複数の目でマップを作成し、現状を確認するとともに、学内や市全体にその情報をフィードバックする。  地域性を考慮するとともに、大規模改修工事の完成までの工事期間中を踏まえた防犯対策と安全対策を検討する。  「防犯マネジメントシステム」を策定し、防犯施設の点検・改善を継続的に行なうとともに,システム自体も見直しを行なう。
手順
  1. 複数の目による点検で学校施設安全マップを作成。
  2. 市のチェックリストを基に学校のチェックリストを作成。
  3. 市の点検・改善項目を基に学校の点検項目を作成して、評価及び改善項目の検討を行う。
  1. 視認性や領域性について現状施設の点検を実施。
  2. 児童・来校者、車の動線や職員室からの視線の確認と図による整理。
  3. 今後の改修工事での問題点の検討及び工事期間中の対策の検討。
  1. 点検箇所が細かく記載された日常点検用防犯チェックシートを作成し、点検を実施。
  2. 学校全体での総合的な防犯対策を確認するため、図面によるチェックシートを用いた定期点検の実施。
  3. 問題箇所を確認し、優先度を決めて計画的に改善を実施。
検討委員会のコメント  施設・設備・人が一体となって、地域と連携した安全確保が必要。  学校と車の関係の検討、IT設備による安全対策が課題。
大規模改修工事に伴う対策の検討が必要。
 防犯マネジメントシステムのブラッシュアップ及び地域との協力体制の強化が重要。

3 事例の取組概要一覧

(1)検討体制・検討方針
  • 検討委員として、地域の青少年問題協議会が参加している。(武蔵野市)
  • 「点検・改善マニュアルの基本的な考え方」を明確にしている。(武蔵野市)
  • 点検・改善対策の実施手順をフローチャートでわかりやすく提示している。(武蔵野市)
  • 市教育委員会と各学校との役割を明確にしている。(武蔵野市)
  • 関係者共同での作業は、関係者の主体性・意識の向上に有効であるとともに、多角的・総合的な観点からの点検の実施に有効である。(武蔵野市)
  • 検討委員として、市教育センター所長が参加している。(滑川市)
  • 交通事故・工事期間中の事故も含めた総合的な安全確保の観点から点検を行い、改善方策を検討している。(滑川市)
  • 検討委員会として、警察や警備業協会が参加している。(群馬大学)
  • システム自体の自己点検・見直しの仕組みが組み込まれた「防犯マネジメントシステム」を構築している。(群馬大学)
(2)現状把握
  • 「学校施設安全マップ」の作成は、学校固有のマニュアルづくりに有効である。(武蔵野市)
  • 視認性や領域性に影響を与える植栽が記された図面で現状確認を行なっている。(武蔵野市)
  • 地図を使用して日常動線の種類(主体・手段)を明確に確認した上で、管理諸室からの視認性等の点検を行っている。(滑川市)
  • 周辺の道路状況等を踏まえ、校内、校舎内への侵入経路を想定し、問題点を抽出して、改善方策を検討している。(滑川市)
  • 点検で見つかった問題点は、写真と組み合わせて整理すると、関係者間(特に現場に立ち会っていない関係者)での情報の共有がさらに図りやすくなると考えられる。(滑川市)
  • 専門家を交えた現状施設の点検を実施し、ウィークポイントを明らかにしている。(群馬大学)
(3)チェックリスト
  • 学校施設安全マップを基に、学校の現状に即した点検リストを作成している。(武蔵野市)
  • 点検リストを基に写真付きの点検・改善項目を作成しており、関係者間の共通理解の形成や、経時変化の確認を図りやすくしている。(武蔵野市)
  • 点検時期に応じて区分したチェックリスト等を作成している。(滑川市)
  • 巡視記録簿を作成し、日々校内の巡視が行われている。(滑川市)
  • 日常点検及び定期点検ごとに、点検体制、方法、内容(チェックシート)を明確に設定している。(群馬大学)
  • 「学校施設整備指針」及び「学校施設の防犯対策に関する調査研究報告書」を基に、評価対象施設等及び評価方法を設定し、「現状」「評価の観点」「改善のための方策」及び「留意事項」で構成される「学校施設の状況評価用紙(チェックペーパー)」を作成し、自己点検(現状の把握、問題点の抽出、改善方策の検討)を実施している。また、この結果をチェックシートの作成につなげている。(群馬大学)
(4)改善
  • 点検・評価により「施設の改善項目の方針」を作成し、学校でできるものはすぐに行動に移している。(武蔵野市)
  • 防犯カメラによる監視ができない部分については、嘱託用務職員による巡視を実施している。(武蔵野市)
  • 緊急性(防犯上の重要性)を勘案して、段階的な改善ステップを計画している。(群馬大学)
(5)総括
  • 防犯対策を検討するに当たり、教職員だけでなくPTA、地域住民及び防犯の専門家等の関係者が協力して行うことで、幅広い観点からの総合的な点検・評価の実施や改善策の検討が可能となる。(P.47 第3章「3-1 検討体制の設置」参照)
  • 関係者間で現状を把握するに当たり、現地での点検結果を図面上に整理したり、写真を掲載するなど、視覚的に表現することでイメージの共有化が図りやすくなる。(P.48 第3章「3-2 現状の把握、問題点の抽出」参照)
  • 点検時期や点検の目的に応じた内容のチェックリストをそれぞれ作成することで、効率的に点検を行うことができる。(P.51 第3章「3-3 点検・改善マニュアルの作成」参照)
  • 点検・評価の結果、改善が必要な箇所については、学校ですぐに対応できるものとできないものを区別し、すぐに対応できないものについては、具体的な改善計画と改善までの代替措置を併せて検討する必要がある。(P.55 第3章「3-4 改善措置の実施」参照)

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)

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