第2章 点検・改善マニュアルの調査分析1‐3

1.点検・改善マニュアル作成の取組事例(文部科学省支援事業)の調査分析

1‐3 取組事例の内容

(1)武蔵野市教育委員会〔境南小学校〕

1.学校の特徴

 校区は駅前の大型店舗がある商業地区と、これを取り巻く住宅地からなっている。地域との関係では、PTA、青少年問題協議会、防犯協会、武蔵野市安全パトロール隊(ホワイトイーグル)、警察署及び子供を守る家等との連携を進めている。

学校周辺の航空写真(武藏野市ホームページより)
 学校周辺の航空写真(武藏野市ホームページより)

 本校は、昭和26年に設立、戦後の児童数の増加とともに木造校舎での増築を行なってきたが、その後、昭和47年に東校舎、昭和50年に西校舎等を鉄筋化し、更に体育館の改築を行うなど、急増する児童の教室確保に対応してきた結果、現在の校舎の配置となった。近年は、少子化の中でクラス数が減少してはいるが、普通学級18学級に加えて、心身障害学級や病弱(病院内)学級を併設しており、市内では比較的学級規模の大きい学校である。

校舎配置図
 校舎配置図

2.防犯対策の現状

ハード面

  • 警察直通の緊急通報装置の設置(職員室と事務室)
  • 非常押しボタンの設置(全普通教室)
  • 防犯カメラの設置(門周辺及び校舎裏)
  • さすまたの設置
  • 登下校時以外は通用門を除き校門を施錠

ソフト面

  • 嘱託用務職員の配置(登下校時、20分休み、昼休みに門の周辺を巡視)
  • PTA、校庭開放委員、青少年問題協議会地区委員等で使用する腕章を統一し、地域全体の防犯意識の高揚を図る
  • 入校証の着用
  • 防犯訓練の実施(警察と連携して安全教室を実施)
  • 不審者情報や侵入時等に対応した危機管理マニュアルの整備
  • 通学路安全マップの作成
3.本事業に取り組む経緯

 武蔵野市では、学校独自の危機管理マニュアルはあるものの、定期的な見直しや更新が十分に行われていない、また、学校施設の安全管理に関するチェックリスト等による全校的な点検が不十分といった課題があった。そこで、マニュアルを定期的に見直し実効性のあるものにするために点検・改善マニュアル作成事業に取り組むこととした。

4.検討体制

 点検・改善マニュアルの作成事業に取り組むにあたり、学校建築の専門家、設計実務者、小学校PTA、地域の青少年問題協議会、校長、副校長、市教育委員会及び安全担当部局の計13名からなる「学校施設の防犯対策点検・改善マニュアル作成委員会」(以下、「検討委員会」という)を設置した。
 委員会を4回開催し、境南小学校の他、千川小学校も調査を行ったうえで、点検・改善マニュアルの検討を行った。

  • 第1回委員会:対象校の選定
  • 第2回委員会:境南小学校視察、マニュアルの検討
  • 第3回委員会:千川小学校視察、
  • 第4回委員会:マニュアルの検討、取りまとめ
5.検討方針

 「武蔵野市防犯対策4つの基本」として、点検・改善マニュアルの基本的な考え方を次のように定めた。

「武蔵野市防犯対策4つの基本」

  1. 安心・安全の学校づくりのために行動をおこす
  2. 複数の目・複数の視点で安全をチェックする
  3. はじめに学校施設安全マップを作る
  4. 現場からのフィードバックを活かす

安心・安全の学校づくりのために行動をおこす
 現地確認・学校施設安全マップの作成、チェックリスト・点検・改善項目の検討等を行うことで、学校の防犯対策に関する意識を高める。

複数の目・複数の視点で安全をチェックする
 学校の防犯対策の点検・改善は、教職員・保護者・地域の方の複数の目・視点で現地を確認することを基本とする。

はじめに学校施設安全マップを作る
 学校施設安全マップを作成し、それぞれの場所の安全を点検・評価する。マップ作りを複数の視点で行うことにより、実践的な防犯対策が可能となる。

現場からのフィードバックを活かす
 教育委員会が作成したチェック項目は、学校ごとに実態に即して追加・修正を行うが、その結果を再び教育委員会へフィードバックすることにより、市内全域で情報を共有する。

6.内容と手順

 境南小学校をモデル校として現状確認を行い、「学校施設安全マップ」を作成する。その後、市の「点検・改善チェックリスト」及び「点検・改善項目」と境南小学校の現状を照らし合わせて、学校独自の「点検・改善チェックリスト」と「点検・改善項目」を作成し、既存の点検・改善マニュアルの見直しを行う。学校独自で新たな項目があれば、教育委員会にフィードバックを行い、市内全域の学校で情報を共有する。

実施フローチャート
 実施フローチャート

学校施設安全マップ作成フローチャート
 学校施設安全マップ作成フローチャート

学校施設安全マップの作成
 学校での防犯対策に関する点検・改善の実施手順としては、まず教育委員会で作成されたマニュアルをもとに、各学校で「学校施設安全マップ」の作成を行うことから始める。教職員、保護者、児童、地域の方が協力し、現場での確認を行うことが重要となる。現場での確認を行い、気づいたところをチェックしていく中で、実際に管理しなければならない場所を特定していく。
 例:フェンスの破損、大人の目が届きにくい死角などの写真を撮り、図面に書き込んでいく。

校内の樹木の様子がわかる図面を用いて学校施設安全マップを作成
 校内の樹木の様子がわかる図面を用いて学校施設安全マップを作成

学校施設安全マップ最終版の例(左:外周 右:校舎)
 学校施設安全マップ最終版の例(左:外周 右:校舎)

点検・改善チェックリストの作成
 次に、作成した学校施設安全マップを基に「点検・改善チェックリスト」を作成する。これにより自分たちの学校の注意すべき場所を確認し、具体的に点検すべき項目を明確化する。

境南小学校の点検・改善チェックリストの作成要領
 境南小学校の点検・改善チェックリストの作成要領

境南小学校の点検・改善チェックリスト例
 境南小学校の点検・改善チェックリスト例

点検・改善項目の作成
 最後に、チェックリストの項目に対する対応を記載する点検・改善項目をまとめる。施設面だけでなく、運用面とも連動した対応までを考慮することが必要となる。

点検・改善項目の作成要領
 点検・改善項目の作成要領

境南小学校の点検・改善項目記入例
 境南小学校の点検・改善項目記入例

継続・フィードバック
 これらの手順で学校の防犯対策の評価を行う。評価結果を踏まえ、学校・保護者・地域の方で施設改善項目の方針を作成し、必要な措置を実施することでこれまでの防犯対策を補完する。
 以上の手順を毎年定期的に行うことで、保護者・地域の人々を交えた学校の安全を考える機会が持たれ、学校の防犯対策に関する意識が保持されることを目指している。
 また、毎年の見直しで新たに確認された項目を教育委員会へフィードバックすることにより、社会状況の変化による項目の追加や修正を、武蔵野市全体で共有することが可能となる。

7.検討委員会のコメント

 防犯施設・設備に頼るだけでなく運用と一体となった防犯対策、さらに、学校内に限らず通学路を含めた防犯対策といった総合的な取組が重要である。施設・設備・人が一体となった安全確保や地域と連携した安全確保を一層充実していくことが今後の課題である。

 武蔵野市の「点検・改善項目」を参考資料P.75~89に掲載。

(2)滑川市教育委員会〔西部小学校〕

1.学校の特徴

 校区は滑川市の南西部に位置し、周辺は田畑が目立つものの富山市に隣接する地区でもあることから、富山市のベッドタウンとして急速に宅地化が進み、人口が急増している。
 学校敷地の南東には大型ショッピングセンターが隣接し、国道8号線からの車の出入りも比較的多い。
 校区内では、PTAと教育振興会があり、さまざまな学校行事等にボランティアとして参加している。また、児童の安全を確保するため、学校安全パトロール隊が地域のボランティアとして平成18年2月に発足、活動を開始した。
 本校は、昭和52年に建築された校舎の耐震改修と大規模改造、さらに増築を組み合わせ、多様な学習空間、木の活用、情報化、エコスクール等の総合的な観点から新しい学校環境づくりを進めてきている。平成17年秋にはワークスペースを備えたオープン型教室の教室棟が完成し、新しい教室で児童が学んでいる。

西部小学校の校区地域図(学校要覧より)
 西部小学校の校区地域図(学校要覧より)

工事完成後の校舎配置図
 工事完成後の校舎配置図

2.防犯対策の現状

ハード面

  • カメラ付きインターホンの設置(職員玄関)
  • 非常押しボタンの設置(各教室)
  • 緊急連絡用PHSの携帯(全職員)
  • フェンスの整備
  • さすまたの設置

ソフト面

  • 来校者名札の着用
  • 防犯訓練の実施
  • 不審者侵入対応マニュアル、危機管理計画の整備
  • 学校安全パトロール隊の活動
3.本事業に取り組む経緯

 滑川市では、学校施設の防犯対策は従来から検討課題であり、特に、地域性を考慮した独自のマニュアルを作成することが求められていた。
 また、西部小学校については、平成18、19年度にかけて大規模改造工事が予定されており、施設的条件が刻々変化する中、児童の安全をいかに確保するかという課題を抱えていたことから、点検・改善マニュアル作成事業に取り組むこととした。

4.検討体制

 学校建築の専門家、設計実務者、小学校PTA、小学校教諭及び同市教育センター長らの計6名による検討委員会を設置し、点検・改善マニュアルの作成に取り組んだ。西部小学校における防犯対策の状況等について点検評価を行うための現況調査を3回、現況調査に基づき、点検・改善マニュアルを作成するためのマニュアル作成会議を2回開催して、報告書を取りまとめた。

  • 第1回現況調査
     :西部小学校において点検・評価を実施
     :市内の小中学校の実態をアンケート等で把握
  • 第1回マニュアル作成会議:現状報告を踏まえた実施計画の検討
  • 第2回現況調査
  • 第3回現況調査
  • 第2回マニュアル作成会議:報告書のとりまとめ
5.検討方針

 地域的な特性を考慮した上で、西部小学校における安全対策と防犯対策の視点から、施設・設備の状況とその運用方法等について点検・確認し、問題点とその対応策及び改修における留意点等を検討した。

6.内容と手順

 校舎及び敷地内外において、以下に示す点から点検を行い、現在の対応状況及び改善が必要とされる部分を確認し、改修工事による対応を含めた改善方策を検討した。

現状施設の点検と対策
 「児童・来訪者を確認できる施設か」「視認性や領域性を重視した施設か」「通報システムの導入」の視点から既存施設を点検し、問題点を抽出するとともに、対策方法を検討している。
自動車による来校者がほとんどであるため、敷地内の通行上の安全対策も考慮しながら、教師の動線、児童の動線及び自動車の動線を図面上で整理・検討している。

動線の整理と人の目の配置
 動線の整理と人の目の配置

 また、不審者の建物内への侵入に備えて全ての校舎入口及び周辺の巡視・確認を行なっている。
 不審者侵入時の対応についても、あらかじめ侵入経路を想定し、それに応じた避難経路を検討して、避難訓練を実施し、問題点を抽出している。
 改修工事に併せて、防犯カメラ及び学内LANによる不審者通報装置の整備を進めている。

巡視記録簿
 巡視記録簿

不審者の侵入経路と児童の避難経路の想定例
 不審者の侵入経路と児童の避難経路の想定例

防犯対策
 点検の実施と改善対策の検討結果を踏まえ、本小学校の安全管理に係る日常的な確認として「校舎内、外チェックリスト」「学校への不審者侵入時の対応マニュアル」等を作成している。

 校舎内、外チェックリストによる確認は、担当教職員だけでなく、地域のボランティアも共同で行い、点検内容に応じて、日常的な確認、月毎及び学期毎の確認に分類している。

校舎内、外チェックリスト
 校舎内、外チェックリスト

工事中の安全対策
 現在、耐震補強工事を含む大規模改造工事や周辺の外構工事を実施している。
 工事期間中は、児童、教職員、一般来校者や工事関係者の出入りが頻繁に交差し、危険であることから、学校、教育委員会及び工事関係者からなる協議会を設置し、定期的な協議を行っている。
 また、「工事中における校舎内、外のチェックリスト」による点検と対策を実施している。

工事中における校舎内、外チェックリスト
 工事中における校舎内、外チェックリスト

工事中における安全対策と児童の登下校動線
 工事中における安全対策と児童の登下校動線

7.検討委員会のコメント

 本校は、地域開放を基本方針とした学校であるため、校内での不審者の対応においては、地域の力の活用とともにマニュアルの作成により教職員による人為的なシステムとして対応している。今後は、地方都市における一般世帯の車の所有台数の増加を背景とした学校と車との関係、また、最近全国で多発している通学時の児童の被害への対策として多く提案されているIT設備による安全対策が課題と考えている。
 また本校では、大規模改造工事の関係から、最終的に工事が完了するまでの間、状況変化に応じた防犯対策についての弾力的な検討と改善が必要であり、このことを含めた施設点検・評価及び対策を実施していく予定である。

 滑川市立西部小学校の「校舎内、外チェックリスト」、「工事中における校舎内、外チェックリスト」及び「生活(不審者対応)巡視記録簿」を参考資料P.90~92に掲載。

(3)国立大学法人群馬大学〔附属小学校〕

1.学校の特徴

 群馬県庁がある前橋市のほぼ中心の住宅地区に位置する国立大学附属小学校であり、市内の公立小学校の校区とは違って、児童は学校を中心に半径約5キロメートルの広い範囲から通学している。
 北校舎(昭和36年~38年建築)に低学年、南校舎(平成8年建築)に高学年の教室を配置し、低学年は従来型教室、高学年はワークスペースを備えるオープン型教室となっている。
 なお、敷地内には大学附属養護学校も併設されている。

通学区域略図(学校要覧より)
 通学区域略図(学校要覧より)

校舎配置図
 校舎配置図

2.防犯対策の現状等

ハード面

  • カメラ付きインターホンの設置(西門)
  • 防犯カメラ(西門、東門)の設置と映像の保存
  • 電気錠の設置(各門常時施錠)
  • フェンス、植栽、有刺鉄線の整備
  • さすまた、防盾設置
  • 非常押しボタンの設置
  • 内線電話の設置

ソフト面

  • 警備員2名の常駐(西門)
  • 来校者名札の着用
  • 防犯訓練の実施
  • 不審者侵入対応マニュアル、危機管理計画の整備
3.本事業に取り組む経緯

 近年の学校を発生場所とする犯罪の件数の増加等を背景として、児童生徒等の安全確保及び学校の安全管理の一層の徹底が求められている。安全管理に関する取組を更に推進するためには、学校施設についても定期的に、より実効性のある点検を実施するなどの継続的な取組を行なうことが重要であるが、現状では学校施設の防犯に関する点検・改善マニュアルが整備されていない状況である。
 このため、防犯システムと運用が一体となった全体的な視点からの国立大学附属学校における施設の点検・改善マニュアルの作成を行うこととした。

4.検討体制

 点検・改善マニュアルを作成するにあたり、群馬県警察本部、群馬県総務局地域創造課、群馬県教育委員会、都市工学研究者、防犯設備の専門家、学校建築の専門家、群馬県警備業協会、地域防犯対策関係者、附属小学校PTA、附属小学校長、副校長、教諭及び大学施設担当者らの計16名からなる検討委員会、さらに13名によるワーキンググループを構築して検討を行った。
 学校施設防犯対策の先進的取組事例として大阪教育大学附属池田小学校を調査するとともに、検討委員会を3回、ワーキンググループ委員会を4回開催して、報告書を取りまとめた。

  • 第1回WG委員会:池田小学校視察
  • 第1回検討委員会:現状確認と防犯の在り方の検討
  • 第2回WG委員会:チェックリスト検討
  • 第3回WG委員会:防犯対策マネジメントシステムとマネジメントマニュアルの検討
  • 第2回検討委員会:報告書構成の検討
  • 第4回WG委員会:点検・改善マニュアル作成事業報告書検討
  • 第3回検討委員会:報告書のとりまとめ
5.検討方針

 点検・改善の基本的な考え方として、附属学校施設の防犯対策の一層の推進のためには、防犯対策が継続的に実施・改善されるような「防犯対策マネジメントシステム」が必要であり、そのシステム構築・運用にあたっては、次の項目に留意する必要がある。

防犯対策の基本方針

  • 学校の環境に応じた防犯の方針を明確にする。
  • 学校施設の防犯対策は、豊かな学校環境を整備することにつながることに留意する。

施設の点検・評価

  • 防犯対策の推進のためには、施設の定期的な点検・評価と予防措置が重要。
  • 定期的な点検・評価の実施は、異動を伴う教職員にとって学校安全に関する意識を維持していく上で有効。
  • 点検・評価には、教職員や警備員等による日常的な点検と、防犯対策の基本方針をもとに総合的な防犯対策が実施されているかを確認する定期的な点検が考えられ、この両者の点検・評価により学校の状況を把握し、改善につなげるための情報の蓄積が可能。
  • 総合的な防犯対策の点検・評価には、必要に応じて保護者、地域の関係機関・団体、建築や防犯に関する専門家の協力を得ることが有効。
  • 点検の目的に合わせてチェックシートを作成することが効果的。

施設の改善

  • 点検・評価で明らかになった施設の改善点については、大学全体で予算確保に努めることが必要。

システムの点検

  • システムの維持には、防犯マネジメントシステムが順調に運用されているか定期的にチェックすることが必要。

マネジメントレビュー

  • マネジメントシステムが引き続き適切かつ有効であることを確認するため、定期的に防犯マネジメントシステムの見直しを行うことが重要。

防犯対策マネジメントシステムの概念図
 防犯対策マネジメントシステムの概念図

6.内容と手順

「防犯対策マネジメントマニュアル」の項目

  1. 目的
  2. 適用範囲
  3. 防犯対策の基本方針
  4. 施設の点検・評価の実施
  5. 訓練
  6. マニュアルの見直し、周知徹底
  7. 防犯チェックシート
    • 7‐1 日常点検用
      7‐2 定期点検用

 防犯対策マネジメントシステムに基づいた防犯対策の実施と改善の手順を具体に示すため、「防犯マネジメントマニュアル」を作成している。
 特に、学校を守るにあたっては、敷地外周を第1警戒線としてフェンス等で守り、仮に不審者が侵入しても敷地内(警戒ゾーン)の見通しを確保することで早期発見に努めるとともに、校舎外周を第2警戒線として校舎内への侵入を防ぐこととしている。
 防犯チェックシートの項目及びその様式の作成にあたっては、事前に15項目からなる「学校施設の状況評価用紙(チェックペーパー)」により、学校施設の現状の把握・評価を実施してその結果を反映させている。
 (例)死角はあるか、校地周囲の道路の交通量、外灯の有無、施錠管理、緊急時の通報手段、ほか

学校施設の状況評価
 学校施設の状況評価

学校施設の状況評価用紙(チェックペーパー)の例
 学校施設の状況評価用紙(チェックペーパー)の例

 日常点検は、教職員及び警備員が防犯チェックシート(日常点検用)により毎日行う。これらの点検結果は、場所ごとに毎月集計して、校長・副校長に報告する体制を整えている。

防犯チェックシート(日常点検結果の月ごとの報告シート)
 防犯チェックシート(日常点検結果の月ごとの報告シート)

日常点検の体制
 日常点検の体制

 また定期点検では、学校施設全体の現状を確認しウィークポイントを調べた上で、その評価と改善方法の検討を実施する。これは、総合的に防犯対策が施されているかどうかを確認することが目的であるので、図面によるチェックシートを用いるとともに、必要に応じて、防犯の専門家等の協力を得て行なう。

図面による防犯チェックシート(定期点検用)
 図面による防犯チェックシート(定期点検用)

 これらの点検で発見された防犯施設・設備の問題箇所は、速やかに修繕等の措置を図るとともに、必要に応じて警察、教育委員会、PTA及び付近住民にも報告する。また、施設の改善等で経費を要する場合は教育学部事務及び事務局施設運営部と速やかに協議を行なう。

今回の点検で見つかった改善箇所についても、可能な限り早急に対策を講ずることが望ましいが、経費等の条件から、年次的・段階的な整備の検討を行った。以下、改善計画を示す。

緊急改善

  • 第1警戒線を重点ポイントとして、敷地外周についての改善を早期に実施。

第2次改善

  • 第2警戒線の対策として、校舎建物の出入り口に電気錠とセンサー付きカメラを設置し、確実な運用を計画。

第3次改善

  • 教職員室から死角になりやすい場所にセンサー付きカメラを設け、教職員室だけでなく警備室や事務室からも多くの目で確認できるように計画。
    そのほか、既に備えているさすまたの他に、ネットランチャーやカラースプレーなどの防護用品の充実を図る。

段階的な改善計画の検討の様子
 段階的な改善計画の検討の様子

7.検討委員会のコメント

 本事業において、様々な分野の専門家や地域関係者らの意見による防犯マネジメントシステムを構築し、マネジメントマニュアルを作成することができた。
 今後は、敷地外周の第1警戒線を環境と景観に配慮しながら整備するとともに、校舎外周の第2警戒線は当分の間、警備員や学校職員でカバーし、段階的に改善することとした。
 学校における防犯対策は、ハード・ソフト両面の継続的運用と、そのシステムのブラッシュアップが重要であるが、併せて公立小学校と同様に地域との協力体制も必要不可欠であることが確認された。

 群馬大学附属小学校の「防犯チェックシート(日常点検用)」と「防犯チェックシート(定期点検用)」及びこれらの活用方法、記入要領、チェック項目を参考資料P.93~101に掲載。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)

-- 登録:平成21年以前 --