2‐2 視認性・領域性の確保

 屋外各部及び建物内の共用部分等は周囲からの見通しを確保した上で死角となる場所をなくし、どの範囲を何によってどう守るのかが明確になるよう、配置計画、動線計画、建物計画、各部位の設計等について工夫することが重要である。

(1)視認性の確保

  • 「視認性の確保」とは、見通し及び「人の目」を確保することを指す。犯罪企図者の侵入や犯行の抑制、児童生徒等の被害防止を図る上で、基礎的で本質的な原則である。
  • 見通しの確保とは、施設や囲障等が死角の原因にならないように配置を工夫すること並びに窓の位置やガラスの素材等を検討して建物内外の可視性を確保すること等をいう。「人の目」の確保とは、犯罪企図者の侵入等を察知できるようにするとともに、犯罪の抑止を図るために、教職員、児童生徒、その他学校関係者等が滞在する場所の配置又は時間帯に応じた動線等に配慮すること等をいう。
  • 特に、教職員諸室、保健室、調理室等教職員が在室している部屋の窓から門、玄関、建物出入口及び小学校低学年の児童・幼児等の施設(教室及び遊び場等)に対する見通し及び「人の目」の確保は重要である。
  • 周辺住民や前面道路の通行人からの視線の確保も防犯上有効である。
  • やむを得ず死角となる部分や常時「人の目」を確保することが困難な部分については、防犯監視システムの活用を積極的に考慮することが重要である。

図 敷地外からの視認性の確保
 敷地外からの視認性の確保

図 建物内からの視認性の確保
 建物内からの視認性の確保

図 建物内での視認性の確保
 建物内での視認性の確保

図2‐2‐1 視認性の確保に関する概念図

写真2‐2‐1 敷地外からの視認性の確保の例
 写真2‐2‐1 敷地外からの視認性の確保の例

  • 隣接する公園から校庭への見通しを確保するとともに、校庭を見渡せる場所にベンチを配置(写真手前及び正面)して「人の目」を確保している。

写真2‐2‐2 建物内からの視認性の確保の例
 写真2‐2‐2 建物内からの視認性の確保の例

  • 職員室などの教職員諸室(写真手前)は、校内を見渡せる位置に配置している。

写真2‐2‐3 建物内での視認性の確保の例
 写真2‐2‐3 建物内での視認性の確保の例

  • 教室とオープンスペースを一体化し、室内への見通しを確保するとともに、教室付近に教師コーナーを配置して、「人の目」を確保している。

(2)領域性の確保

  • 「領域性の確保」とは、囲障や扉等により、守る範囲が物理的に画定されていることだけでなく、計画・設計上の工夫により守る範囲が心理的に知覚できる性能も含む。具体的には、校舎をコの字型に配置して囲われている印象を与える手法、路面の舗装材を変えて他とは別の領域であることを示す手法等がある。また、地域住民との協働で維持管理する植栽帯の設置や地域のシンボルとなるようなデザイン等により関係者の帰属意識や共同意識を促す手法もある。
  • 計画・設計等に当たっては、学校や地域の特性等を踏まえつつ、敷地境界部、敷地内(特に、建物出入口等の建物外周部)、建物内部において守る範囲を設定し、配置計画、動線計画、建物計画、各部位の計画等を工夫して、物理的にその範囲を明確にすることが重要である。
  • 守る範囲は、犯罪企図者が容易に接近・侵入しにくいように、重層的に構成することが望ましい。特に、小学校低学年の児童や幼児等に関する施設については、犯罪企図者が容易に門、玄関、建物出入口等から当該施設に接近・侵入しにくいように、教職員が在室している部屋等からの視認性の確保に配慮しつつ、配置計画や動線計画等を工夫することが望ましい。

概念図

図2‐2‐2 守る範囲の構成に係る概念図

写真2‐2‐4 領域性の確保の例
 写真2‐2‐4 領域性の確保の例

  • 正門付近の塀を見通しの利くフェンスに替えるとともに、沿道部分に植栽帯を整備し、地域住民等と協働して花と緑の手入れを行い、領域性を確保している。

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文教施設企画部施設企画課

-- 登録:平成21年以前 --