2‐1 全体的な防犯計画

※ 第2~7章では、「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定を枠内に記し、その下に防犯対策関係規定を具体的に解説している。

 建築計画的な対応と建築設備的な対応について、デザイン面での配慮や他機能とのバランス、費用面での検討、学校や地域の特性等を踏まえ、個々別々ではなく総合的に計画し、安全管理に関する運営体制等のソフト面の対策とも併せ全体として整合性がとれたものとすることが重要である。

(1)学校施設における防犯対策の目標

  • 学校施設における防犯対策の目標は、犯罪企図者の犯意、侵入及び犯行の抑制、並びに緊急時の適確な対応等により、児童生徒等が安全に安心して学校で生活・学習できるようにすることにある。

(2)防犯対策の対象

  • 学校施設における防犯対策は、児童生徒等の安全がまず第一に確保されることが重要である。
  • 教職員や学校を利用する地域住民等、関係者の安全を確保することや、学校施設における様々な財産を保全することも重要であり、夜間・休日における防犯対策についても充分に留意することが望ましい。

(3)児童生徒等の安全確保の方法

  • 児童生徒等の安全確保の方法としては、犯罪企図者の侵入や犯行をできる限り回避するとともに、万一の場合には避難誘導等の緊急対応により、被害を最小限にとどめられるよう、ソフト面とハード面の防犯対策をバランス良く組み合わせ、その学校の状況に応じた適切な対策を講じることが重要である。
  • ソフト面の防犯対策は、常勤の教職員のみならず、非常勤の教職員等を含めた学校関係者における防犯意識の向上と安全管理の徹底とともに、保護者や地域住民、関係機関等の連携による体制の整備が重要である。
  • 建築計画的な対応と建築設備的な対応によるハード面の防犯対策は、近年その重要性が増しており、一層それらの対応に留意することが求められている。

(4)ハード面の防犯対策のあり方の検討

  • ハード面の防犯対策は、学校や地域の特性、児童生徒の学齢等を踏まえつつ、それぞれの学校においてそのあり方を検討することが重要である。
  • 既存の学校施設については、現状の施設を防犯の観点から点検・評価し、部分的な改修や建築設備的な対応、並びにソフト面の対策等を総合的に検討し、効果的な対策を講じることが重要である。

(5)建築計画的な対応

  • 建築計画的な対応とは、各施設の配置計画、動線計画及び各部位の設計等による防犯対策を指す。
  • これらの計画・設計に当たっては、「視認性・領域性の確保」と「接近・侵入の制御」の両面から、その学校の状況に即した具体的な方法について検討することが重要である。
  • 建築計画的な対応と建築設備的な対応は、相互補完の関係にあり、設備に頼りすぎないよう、建築計画を工夫することが重要である。例えば、配置計画の工夫により「人の目」を確保するとともに、やむをえず死角となる部分について、防犯カメラ等により「人の目」を補完するよう計画することなどが考えられる。

(6)建築設備的な対応

  • 建築設備的な対応とは、敷地境界、敷地内、建物内における防犯監視システムや通報システム等による防犯対策を指す。
  • これらのシステムは、建築計画的な対応やソフト面の対応を補完する対策として位置づけ、計画の段階から、導入の方法や運用の方法等について検討することが重要である。

(7)総合的な計画・設計の実施

  • 学校施設は、児童生徒等の生活・学習の場であるとともに、地域住民の生涯学習の場、地域コミュニティの拠点としての役割を果たすことが求められている。これらの機能等をバランスよく確保しつつ、児童生徒等の安全を確保することはもとより、学校施設における様々な財産を保全するための対策について、デザイン面での配慮、費用面での検討等も踏まえ、学校や地域の特性等を総合的に判断した上で計画・設計することが重要である。

図2‐1‐1 全体的な防犯計画に係る概念図
 図2‐1‐1 全体的な防犯計画に係る概念図

お問合せ先

文教施設企画部施設企画課

-- 登録:平成21年以前 --