学校施設の換気設備に関する調査研究報告書 第1章 学校施設における換気計画の基本的な考え方(3)

(3)換気方式の使い分け

 換気方式には、大きく分けると自然換気と機械換気の2種類があります。
 建築基準法の改正によるシックハウス対策のための規制の導入により、新築・改築・改修等をする際には、教室等の居室に一定の換気量が確保される機械換気設備の設置が原則として義務付けられました。
 機械換気設備の方式は、1.給排気とも機械換気設備で行う第1種機械換気設備、2.給気を機械換気設備で行い排気は自然排気口または隙間から行う第2種機械換気設備、3.排気を機械換気設備で行い給気は自然給気口または隙間から行う第3種機械換気設備の3種類に分類されます。
 これらの3種類には、それぞれ特徴があり、使う場所や目的によって方式を選択することになります。
 換気方式の使い分けの例としては、コンピュータ教室等の空調設備が設置されていて窓を開放する事が困難な室や外気の取り入れに熱回収機能が必要な場合、あるいは廊下等を換気経路としないで教室単位で換気を完結したい場合等は第1種機械換気設備、特別な汚染質の発生が認められない室で廊下等からの汚染質の流入を防止したい場合等は第2種機械換気設備、接着剤や塗料等の汚染質が発生する可能性のある室では第3種機械換気設備とする方式が考えられます。

1.第1種機械換気設備は、給気ファン、排気ファンの両方が設置されるため、室内の圧力を自由にコントロールすることにより換気を確実に行うことができる方式です。また、全熱交換機を用いることにより室内へ取り入れる外気温をコントロールすることができます。部屋単体で換気システムを完結したい場合等に用いられます。

図1‐3 第1種機械換気設備のイメージ図
図1‐3 第1種機械換気設備のイメージ図

2.第2種機械換気設備は、給気ファンが設置されるため、室内の圧力が正圧に保たれます(他の部屋より高い圧力になる)。従って、室内の空気を清浄に保ちたい部屋等に用いられます。但し、外気を直接室内へ取り入れる方式のため、寒冷地等では給気を余熱する等の配慮が必要です。また、廊下等から排気する場合は、換気経路となる廊下やトイレ等についても建築基準法に基づく内装仕上げの制限を受けることになるとともに、建築基準法の規定による必要換気回数の算定に際しては、廊下やトイレ等を含めた換気量とする必要があります。(第1章(4)1)建築基準法への対応参照)

図1‐4 第2種機械換気設備のイメージ図
図1‐4 第2種機械換気設備のイメージ図

3.第3種機械換気設備は、排気ファンを設置するため、室内の圧力が負圧に保たれます(他の部屋より低い圧力になる)。汚染質が発生し易い部屋等に多く用いられます。
 なお、廊下等から給気する場合は、換気経路となる廊下やトイレ等についても建築基準法に基づく内装仕上げの制限を受けることになるとともに、建築基準法の規定による必要換気回数の算定に際しては、廊下やトイレ等を含めた換気量とする必要があります。(第1章(4)1)建築基準法への対応参照)

図1‐5 第3種機械換気設備のイメージ図
図1‐5 第3種機械換気設備のイメージ図

お問合せ先

文教施設企画部施設企画課

-- 登録:平成21年以前 --