国立大学等のキャンパス整備の在り方に関する検討会(第2回)議事要旨

日時

平成24年10月3日(水曜日)15時30分から17時30分

場所

東京大学 総合図書館3階大会議室 (本郷キャンパス)

議題

(1)国立大学法人等のキャンパス整備の在り方について

(2)その他

出席者

(委員)古山主査、小林副主査、伊香賀委員、石黒委員、上野委員、澤野委員、田村委員、鶴崎委員、中西委員、西村委員、山重委員、山田委員

(特別協力者)齋藤特別協力者

(文部科学省)長坂技術参事官、山下計画課長、山﨑参事官(技術担当)、笠原計画課整備計画室長、堀田企画官、阿部補佐 他

議事要旨 

○:委員の発言 ●:事務局の発言

(1)国立大学法人等のキャンパス整備の在り方について

・斉藤委員より資料1-2について説明。

○国の競争力と直結する大学の競争力を維持するためには、国際的に優れた人材を獲得し、それを確保し続けるということが重要であり、豊かなキャンパス環境を整備していくことは、日本の大学が競争力を維持するための必要条件。

○ICTが発達した現代において、一堂に関係者、学生、研究者、多様な人々の相互触発を促す公共的な場が重要。

○コミュニケーションを促すスペースは、キャンパス全体の各レベルに備えられるべきものであり、個別の建物、公共的な性格の強い図書館、交流施設、カフェテリア等を含め一体的に考えていくことが必要。

○諸外国に比べ日本の学生は自主的な学修の時間が少なく、キャンパスにおいては自主的な学修の場や居場所が少ないことが課題。キャンパス環境全体に自主的な学修の場の充実を図っていく視点が必要。

○地域社会における大学の果たす役割として、地域産業との連携、防災拠点としての機能充実、環境配慮などへの先進的・模範的な取組など多様なニーズへの対応が求められており、社会貢献を意識したキャンパス環境の整備が重要。

○学生宿舎などのキャンパス住宅は、米国などではキャンパスにおける知的コミュニティーの形成の重要な要素として位置づけられており、日本の大学でもそこに注意を払っていくことが必要。

○キャンパスの姿は大学のミッションの遂行のために変容していくことは当然なことである。大学の使命と目標を達成するために、キャンパスの価値を最大化することがキャンパス整備の目的であり、大学の使命や目標とキャンパスの在り方の整合を図る姿勢こそが不変であるべきである。

○キャンパス環境を充実させていく取組として、施設整備を行う際、建物群と屋外空間の整備を一体的に実施することをメニュー化したり、個別の事業に合わせてキャンパス環境の充実も段階的に図ることができると良い。

○昔、学校施設の整備において、予算の1%を文化的環境の整備のために使うという仕組みがあったが、同じ様な考え方でキャンパス環境の充実を図ることも考えられる。

○事業採択の評価において、その施設整備がキャンパス環境全体の向上にいかに寄与するかという要素を加えることによって、学生生活を向上させる整備やキャンパス環境の整備の優先度を高めるということもある。

○キャンパスの評価について、定量化できる要素は限定されていると考えられる。総合的なキャンパス環境を評価するのであれば、有識者による委員会などで、個別に計画内容を審査する仕組みが有効ではないか。

・事務局より、資料2、3-1、3-2について説明。

○資料3-1「(5)主要キャンパスの土地利用状況」について、主要キャンパスを分析する際には、地域の広さとの関係を考慮するなど、一定の尺度を設け比較する必要がある。

・事務局より資料4、資料5(1章)について説明

○現在大学が、社会に見合った形でミッションを明確にしつつ、大学で果たす役割をどのように改めていくかを問われている中で、それを支える大学キャンパスをより創造的に再生するためにはどうしたらいいのかということが大きな議論の枠組みではないか。

○東日本大震災に関する現段階の記述は突然降って湧いたような感じを受ける。学校で学生が被災したという実態があり、安全安心の確保が一層求められているということと、防災拠点としての社会的要請が高まっていることを記述した方が良い。

○社会的要請という点で、少子高齢化、地方都市の疲弊など大学を取り巻く社会の状況が大きく変わっている中で、大学が果たす役割を踏まえキャンパスをどのように整備していくか、考えていく必要がある。また、施設維持管理やエネルギー消費などの実態を考えると、建物を建設して面積を増やしていく時代は見直す時期にきており、質への転換を図ることが求められている。

○この骨子は国立大学のキャンパスが全て同じ方向に向かうように読めてしまう。キャンパスによっては地域を中心としたものやグローバル化、研究を中心とするものなど様々である。キャンパスは一律ではないということを踏まえ、記述する必要がある。

○あるソーシャル・ネットワーク・サービスにおいて、18歳人口、進学率等の推移と比較して、なぜ国公立大学の建物面積がこれからも増えていかなければいけないのかという議論が長期間されていた。それを前提にして、社会的なコンセンサスを得ることができるキャンパスの質の在りようについて考える必要がある。

○大学やキャンパスへの期待、求められるキャンパス像などを最初に記述し、その後にキャンパスの実態について分析してはどうか。

●現状の分析や課題の対応の仕方について今日の議論を踏まえ整理したい。ダウンサイジングのような話は、経営上の課題として整理したい。大学は一律ではないということについては、当然そういう意識で書かなければいけないので、どのように表現するかはまた検討して次回にお示ししたい。

○検討会の報告を取りまとめ、どう使うのかイメージがあると議論がしやすい。整備の在り方を言いたいのか、それとも大学に幾つかのグルーピングがあり、それぞれ現実的な課題を解決しないといけないという話なのか。

●大学のキャンパス整備に当たっては、法人化前に国立大学施設整備計画指針があり、キャンパス全体の整備について哲学的なものを整理していた。法人化以降、大学の取り巻く状況が変わる中で、この指針を見直し、今の時代に対応したキャンパス計画のあるべき姿を示すことが1つ。それと、大学の機能・役割を支えるための空間、ハード的な場を整理できればと考えている。

・事務局より資料5(2章)について説明 

○「将来変化への対応の場」について、具体的なイメージが湧かないが、どういうことを想定しているのか。

●大学の教育研究が発展・変化していく中で、発展の余地を残していろいろな変化に対応できる、そういう空間・場を確保するということを記述している。

○指標を示すのであれば、キャンパスの配置上に機能別に色分けをした方が良い。

○全部の大学がそれぞれの機能を全て均等に持てばすばらしいキャンパスということではない。大学の特徴により、歴史的なものに重きを置いている大学等、組合わせでパターンを出さないと、大学整備というのが一律になってしまう。

○東大は安田講堂周辺には、安田講堂より高い建物をつくらないということを地区計画にしようとしている。安田講堂前のオープンスペースを確保することはとても大事で、それは大学としてのアイデンティティーだという考えを持っている。キャンパスの空間には考え方がある。2章には各大学の個性といったキーワードがなく全て同じということになる。

○キャンパスの役割として「教育研究活動を支える」、「全人的な人格形成を促す」、「大学と地域をつなぐ」ことに加えて、公共性や大学の文化、歴史性も重要であり、このことを2章で記述した方が良い。

○これからの社会の情勢あるいはニーズを見たときに、予算を含め大学、キャンパスに求めていることが変わりつつある。 平成6年の国立大学施設整備計画指針を検証し、今日的な状況あるいは将来の状況を踏まえ、付加しなければいけない部分を記述すれば、新しいキャンパスの整備手法を社会・大学に提案できるのではないか。

○それぞれの大学に主張したい空間がある。そこから大学のアイデンティティーが生まれ、キャンパス整備の在り方につながることなど、もう少し形が持つ発信する力について記述してもいいのではないか。現状の記述は非常に分析的である。

○どの大学でも、空間に対する考えがあるのではないか。それがOBにとっては大学の帰属意識につながり、地域の人にとっては大学のイメージにつながっている。そういう空間が持つメッセージのようなものが大学に個性を与え、その個性が魅力的であるということの前提になるのではないか。

○秩序に乏しいキャンパスも存在しており、そういう実態も意識して、議論した方が良い。

・事務局より資料5(3)章について説明

○大学のキャンパス整備に関して日本で求められているのは、キャンパスの質的向上ということなのではないか。第3章(1)の基本的な視点は、日本のキャンパスの足りないところをリストアップし、足りないということを明確に言った方が良い。3章は1章で挙げられた現状と課題との対応により構成し、2章はその足りないところを埋めるための理論的な基礎の部分として記述すれば分かりやすくなるのではないか。

○今まで大学との連携と言うと、産学連携が主であったが、今後は、まちづくりの観点、健康などの地域課題解決のための連携に対して、自治体として主体的に取り組む必要があると考えている。このようなことを踏まえ、2章の「大学と地域をつなぐ」と3章の「公的空間の充実」の記述について、内容を充実するとともにつながりを持たせていただきたい。

○大学と地域が連携を強化するためには、連携する場所について、一方の施設を借りるのではなく、お互いの負担により確保しなければ主体的な取組が進まない。連携の場所の確保についても連携していくことが重要である。

○法人化して、独立採算で建物を整備することが可能になった。今までは予算が国から来るということを前提にしていたが、社会のニーズをうまく取り込めばハード的な整備につながることもある。そういう意味でも、社会との連携は非常に重要になってきている。

(2)その他

・事務局より資料6に基づき、今後のスケジュールについて説明

お問合せ先

文教施設企画部計画課整備計画室

(文教施設企画部計画課整備計画室)

-- 登録:平成24年12月 --