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第4次国立大学法人等施設整備5か年計画

平成28年3月29日
文部科学大臣決定

国立大学法人等(大学共同利用機関法人,独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。)の施設は,創造性豊かな人材養成,独創的・先端的な学術研究の推進など国立大学法人等の使命を果たすための基盤であり,その施設の整備充実を図っていくことは,我が国の未来を拓(ひら)き,我が国を成長・発展へと導くものである。
これまで,国立大学法人等の施設については,平成13年度から3次にわたり国の科学技術基本計画を受けて策定された「国立大学法人等施設整備5か年計画」に基づき整備充実が図られてきた。第3次国立大学法人等施設整備5か年計画期間(平成23~27年度)では,施設の耐震化を大きく進展させるとともに,卓越した教育研究拠点の形成や若手研究者・外国人留学生の増加等に対応する狭隘(きょうあい)解消整備,大学附属病院の再生整備について,一定の進展が図られてきた。
しかしながら,昭和40年代から50年代にかけて進められた学生定員増への対応や新構想大学の設置などにより整備された膨大な施設が,今まさに更新時期を迎えており,これらの施設の老朽化がこのまま進行すれば,基幹設備(ライフライン)の一層の劣化により,教育研究診療活動に支障が生じることや,人命に影響を与える重大な事故等が発生するおそれがあること,地域の防災拠点としての役割を果たすことが困難となることなど,その改善が喫緊の課題となっている。
また,国立大学法人等の施設は,大学改革の進展を踏まえながら,「大学教育の質的転換」,「大学の強み・特色の重点化」などの重要課題への対応が求められている。
厳しい財政状況の中,これらの課題等に適切に対応していくためには,長期的な視点に立って,その充実に向けての計画的かつ重点的な施設整備を行うことが不可欠である。
このような状況の下,平成28年1月に閣議決定された第5期の科学技術基本計画において,「国立大学法人等の施設については,国が策定する国立大学法人等の全体の施設整備計画に基づき,安定的・継続的な支援を通じて,計画的・重点的な施設整備を進める」こととされたところである。
このため,文部科学省では,「第4次国立大学法人等施設整備5か年計画」を策定し,以下のとおり国立大学法人等の施設の計画的かつ重点的な整備を推進することとする。

1.計画期間

本計画の期間は,第5期の科学技術基本計画期間(平成28~32年度)とする。

2.基本的な考え方

(1)国立大学法人等の施設が,質の高い,安全な教育研究環境を確保していくためには,国立大学法人等の施設の現状や課題を十分に踏まえた上で,以下の考え方に基づき,計画的かつ重点的な施設整備を推進していく必要がある。
第一に,施設の老朽対策については,今後,通常の維持管理では対応できない老朽化した基幹設備(ライフライン)に起因する事故や施設の劣化による教育研究診療活動への影響が危惧されることから,引き続き,耐震対策や防災機能の強化に配慮しつつ,インフラ長寿命化計画(行動計画)等を踏まえ,計画的かつ重点的に老朽改善整備を推進していく。
第二に,国立大学法人等の施設に求められる「大学教育の質的転換」,「大学の強み・特色の重点化」など重要課題への対応については,キャンパスマスタープランを踏まえつつ,的確に進めることが重要である。その際,学生等の学修活動や研究者等の研究活動等を活性化させていく観点から,様々な交流空間やフレキシブルな教育研究空間を確保していくことが重要である。
さらに,女性研究者や外国人研究者・留学生,障害のある学生,地域住民など多様な利用者に配慮した整備を行うことも重要である。
なお,整備に当たっては,スペースの利用状況の点検等により既存施設について最大限有効活用を図りつつ,計画的な改修等を進める中で,機能強化や教育の質的転換の推進のための施設面でのニーズに対して,リノベーション(教育研究の活性化を引き起こすため,施設計画・設計上の工夫を行って,新たな施設機能の創出を図る創造的な改修)の実施等により対応していくことが重要である。
また,改修や改築の際は,施設の集約化により敷地を有効活用することや,保有する建物の総面積を抑制することで維持管理費等を縮減し,その縮減した費用を教育研究水準の向上に資する環境整備に投資するなど,大学経営の視点を踏まえ,施設の管理運営を行っていくことが重要である。

以上の点を踏まえ,以下の三つの課題に取り組む必要がある。

1)安全・安心な教育研究環境の基盤の整備
教育研究活動を支える基盤として,安全・安心な教育研究環境を確保するため,耐震対策,老朽施設の改善整備により,国際的にも信頼性の高い施設基盤の整備を推進していく。
特に,老朽化が進行している基幹設備(ライフライン)については,事故防止や防災機能強化の観点から,計画的な更新等を推進していく。

2)国立大学等の機能強化等変化への対応
「国立大学経営力戦略」等に基づく大学等の機能強化や地域社会との連携等を一層進めるため,国立大学法人等の施設が,強み・特色の重点化,グローバル化,イノベーション創出や人材養成機能の強化等の機能強化を活性化させる役割を果たせるよう,施設の機能改善や施設・スペースの学内配分の最適化等を推進していく。
また,継続的に医療等の変化へ対応していくための大学附属病院施設の整備を推進していく。

3)サステイナブル・キャンパスの形成
経年劣化により施設が老朽化していく中で,施設の改修や基幹設備(ライフライン)の更新等に際しては,省エネルギーや環境負荷の低減に一層貢献できる整備を推進していく。
また,新増改築に際しては,キャンパスの通風,日照,雨水の利活用,自然環境との共生や再生可能エネルギーの導入などを推進していく。
これらの取組を通して,サステイナブル・キャンパスの形成を図り,次世代の社会モデルとなる施設の整備を推進するとともに,将来を担う学生に対するESD(持続可能な開発のための教育)における環境教育,エネルギー教育,生物多様性などの実践の場,最先端の知識を実践する場として大学キャンパスを活用していく。

(2)国立大学法人等は,本計画の趣旨を踏まえ,長期的な視点に立って,より効果的かつ効率的に施設整備を実施するため,基本理念やアカデミックプラン,経営戦略等を踏まえたキャンパス全体の整備計画(キャンパスマスタープラン)を策定・充実するとともに,当該プランに基づいた計画的な施設整備に努める。
また,経営者層のリーダーシップによる全学的体制により戦略的な施設マネジメント及び多様な財源を活用した施設整備をより一層推進する。

3.整備内容

国立大学法人等の施設については,東日本大震災発生以後,耐震化を最優先で進めてきた一方で、老朽化の進行により,平成27年度において,建築後25年以上の要改修面積が約846万平方メートルとなっており,これらの老朽施設の改善を計画的に進めていく必要がある。
これらを踏まえ,以下を優先的に整備すべきものとし,重点的に施設整備を推進する。
以下の重点的な整備に際しては,経営的な視点による戦略的な施設マネジメントの取組により,真に必要な施設整備とする必要がある。
なお,重点的な整備の目標については,老朽改善整備等の中長期的な試算を前提に,それらを計画的に整備することとした場合の仮定目標であり,今後の経済財政事情,各整備の進捗状況等を勘案しつつ,弾力的に取り扱うものとする。

(1)安全・安心な教育研究環境の基盤の整備(約475万平方メートル)
老朽施設について,安定した維持管理・更新を念頭に,耐震対策(非構造部材を含む。)や防災機能強化に配慮しつつ,長寿命化改修を推進する。なお,施設の現状が,経年による施設の機能陳腐化,建物構造・形状による用途変更の制約等のため,改修整備が困難であり,かつ,教育研究活動上,真に必要と認められるものについては,改築整備(約40万平方メートル(上記約475万平方メートルの内数))も可能とする。
通常の維持管理では対応できない老朽化に起因する機能劣化の著しい基幹設備(ライフライン)について,未然に事故を防止し,学生教職員の安全・安心の確保や教育研究の発展に対応できるよう,耐震性や機能の向上を図ることを目的として,おおむね法定耐用年数の2倍を超えるものを今後10年で計画的に整備することを目指す。

(2)国立大学等の機能強化等変化への対応
1)狭隘解消整備(約40万平方メートル)
「国立大学経営力戦略」等に基づく大学等の機能強化等に伴い必要となるスペースについては,施設マネジメントにより既存施設を有効活用すること等による確保を前提とするが,このような対応による確保が困難であり,特にスペースの不足が著しい場合に限り,教育研究活動上,真に必要と認められるものについて新増築整備を目指す。

2)改修・改築整備における機能強化に資する整備(約475万平方メートル(再掲))
上記「(1)安全・安心な教育研究環境の基盤の整備」の機会を捉えて,機能強化のための施設整備を実施していくことが必要である。その際,大学教育の質的転換のため,アクティブ・ラーニング・スペースを図書館はもとより,必要に応じて講義棟等にも導入することも考慮する。また,地域における知の拠点として,地域社会経済の活性化や地域医療に貢献するための教育研究環境の充実,地域産業を担う高度な地域人材の育成など,地域と大学の連携の強化に対応するための施設整備となることにも留意する。

3)大学附属病院の再生(約70万平方メートル)
大学附属病院の再開発整備については,教育研究診療機能を果たしており,これまでも計画的かつ着実に施設整備を推進してきた。引き続き,事業の継続性を十分踏まえつつ,施設整備を推進する。
また,大学附属病院における通常の維持管理では対応できない老朽化に起因する機能劣化の著しい基幹設備(ライフライン)についても,未然に事故を防止し,適切な診療機能が確保できるよう,機能の向上を図ることを目的として,計画的に整備することを目指す。

(3)サステイナブル・キャンパスの形成
国立大学法人等の施設整備では,平成27年度を基準として,今後5年間でエネルギー消費原単位を5%以上削減するとともに,省エネ法に基づく建築物の省エネルギー基準よりも高い省エネルギー性能を目指した取組を推進する。
また,設備機器の更新時におけるエネルギー消費効率の改善,設備機器の稼働時間の変更又は燃料等を使用する設備機器への転換を行うことにより電気需要平準化の取組を推進する。
さらに,ネット・ゼロ・エネルギー・ビルやキャンパスのスマート化等,社会の先導モデルとなる取組を推進する。

(4)上記の整備を行うための所要経費について,具体的な整備対象を特定せず,一定の仮定の下に試算した場合には,現時点で最大約1兆3,000億円と推計される。

4.実施方針

本計画の実施に当たっては,文部科学省による計画的かつ重点的な整備の支援を基本とした上で,以下の方針により行うものとする。

(1)文部科学省は,3.の整備内容を踏まえ,具体的な事業を選定するに当たり,国立大学法人等の施設の現況や教育研究の実施状況に加え,地球環境への配慮や施設マネジメントの取組状況などについて調査・評価を適切に行い,それらの結果に基づき実施事業を選定する。また,施設整備の実績と併せて施設整備によって得られた成果を把握することにより,本計画の進捗状況を適時確認する。

(2)国立大学法人等は,財政状況が厳しい中で,教育研究活動に要する財源を確保しつつ,良好な教育研究環境を維持・確保するため,自らの責任において主体的に施設整備・管理を行うことができるよう,経営的な視点による戦略的な施設マネジメントをより一層推進する。
また,文部科学省は,国立大学法人等の施設マネジメントの取組を一層推進するため,国立大学法人等の主体的な取組を促す仕組みの導入等を検討するなど必要な支援に努める。

1)施設マネジメントの推進のための仕組みの構築
施設マネジメントの実施に当たっては,施設マネジメントをトップマネジメントとして制度的・組織的に位置づけ,経営者層のリーダーシップによる全学的体制で実施する。また,部局の枠を越えた横断的な実務体制を構築するとともに,学内会議等における学内の合意形成を図り,実効性のある取組を進める。
さらに,各国立大学法人等の特徴や固有の事情に応じて,財務の現状・将来予測,既存施設等に係る情報や,施設に関する学内の要望を十分に活用しながら,クオリティ,スペース,コストについて総合的なバランスを図りつつ具体的な取組を検討するとともに,取組を継続的に改善していくことにより,教育研究環境の持続的向上を図る仕組みを構築する。

2)施設の有効活用
全学的にスペースを管理し,目的・用途に応じた施設の需給度合い,利用度などを踏まえながら,既存スペースを適切に配分し,施設の有効活用を積極的に行う。また,保有面積の増大は,施設管理に係るコストの増大につながることから,保有する建物の総面積の抑制を図る。

3)適切な維持管理
特に財源確保等が課題となっている維持管理については,予防保全により良好な教育研究環境を確保するとともに,施設に係るトータルコストの削減や毎年のコストの平準化を実現する観点から,維持管理費等の縮減や必要な財源の確保のための取組を進める。具体的には,長期の修繕計画に基づく計画的かつ定常的な修繕の実施,施設の集約化の一層の推進,保全業務に係る契約の一元化や複数年度化,光熱水費の可視化による省エネルギー対策の推進等により,維持管理等に係るコストを適正化する。また,学内予算の一元管理による効率的な配分,施設利用料を徴収する制度の導入等により,維持管理等に係る財源の計画的かつ適切な確保を図る。

(3)国立大学法人等は,現下の厳しい財政状況の中,本計画期間における目標を達成するためには,文部科学省が施設整備費の確保に努める一方,国立大学法人等の自主性にも配慮しつつ,多様な財源を活用した施設整備を一層推進する。
特に,寄宿料や施設使用料などの一定の収入が見込まれる施設(宿泊施設,産学官連携施設等)については,国立大学法人等において,資金調達の方法や管理運営の形態などを比較検討し,長期借入金や民間資金等の多様な財源を活用した施設整備の可能性を検討する。
また,地域の活性化を図る観点から,地方公共団体や地域産業界等との連携の下,多様な教育研究活動の場を形成することに努める。
文部科学省は,国立大学法人等が多様な財源を活用した施設整備を円滑に行えるよう,資産の有効活用に係る新たな方策の検討を行うことや,国立大学法人等の取組状況や具体的な整備事例等の情報提供を行うなど必要な支援を行うことに努める。

(4)文部科学省は,施設整備に係る投資の効果を最大限発揮させることを前提として,必要な経費の確保に努める。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)

-- 登録:平成28年03月 --