国立大学等施設緊急整備5か年計画-施設の重点的・計画的整備-

平成13年4月18日
文部科学省

 平成13年3月30日に閣議決定された第2期科学技術基本計画(以下「基本計画」という。)では、科学技術振興のための基盤の整備として、大学等施設の老朽化・狭隘化の改善を国の最重要の課題として位置付けるとともに、国立大学等(国立大学、大学共同利用機関及び国立高等専門学校をいう。以下同じ。)の施設の整備について、基本計画期間中において、「大学院の狭隘化の解消、卓越した教育研究の実績がある研究拠点の整備、既存施設の活性化などの観点から、5年間に緊急に整備すべき施設を盛り込んだ施設整備計画を策定し、計画的に実施する。」としている。
 国立大学等の施設は、独創的・先端的な学術研究や創造性豊かな人材育成のための活動拠点であり、科学技術創造立国を目指す我が国にとって、不可欠な基盤である。
 しかしながら、国立大学等の施設においては、経年による老朽化・機能劣化や大学院学生・留学生の飛躍的な増加等による狭隘化が進行し、学術研究や人材育成の場の確保が困難になりつつある。
 このような状況を踏まえ、文部科学省では、世界水準の教育研究成果の確保を目指し「国立大学等施設緊急整備5か年計画」を策定し、今後の社会経済の動向、厳しい財政状況等を勘案しつつ、基本計画期間中における国立大学等施設の重点的・計画的整備を図る。

1.計画期間

本計画の計画期間は、基本計画期間(平成13年度から5か年)とする。

2.整備対象

国立大学等の施設については、今後、約1,100万平方メートルの整備が必要と見込まれているが、各大学等における教育研究の活性化や現下の厳しい財政状況等を踏まえ、老朽化・狭隘化問題の解消に向けて緊急に整備すべき対象を明確化し、重点的・計画的整備を図る観点から、次のような施設を整備の対象とする。

(1)次に掲げる施設を優先的な目標とする。(約210万平方メートル)

<1>大学院充実等に伴う大学院施設の狭隘解消等(約120万平方メートル)
 国際社会で活躍できる豊かな創造性を持った優れた研究者や社会的要請に的確かつ機動的に応える高度専門職業人の養成、独創的・先端的な学術研究等の推進など、大学院への期待は益々増大しているところである。しかしながら、大学院施設については、大学院学生や留学生数の急増等による狭隘化等の問題が深刻化しており、その改善が強く求められている。このため、大学院の拡充に伴い必要となっている施設の整備など、大学院施設の整備に重点的に取り組むとともに、整備に当たっては、施設の効果的・効率的な利用を図る観点から、各部局が共有する総合的・複合的な研究棟等の整備を図る。
 また、施設の老朽化、狭隘化解消等の観点から、新敷地への統合移転による施設整備を進めているものについては、引き続き、計画的に整備を推進する。

<2>卓越した研究拠点等(約40万平方メートル) 
 我が国が世界に貢献し、国際的な責任を果たしていくためには、卓越した研究拠点に国内外の優秀な研究者や学生を集め、世界水準の学術研究を推進していく必要があり、施設の整備は、それにふさわしい魅力ある研究環境を整える上で不可欠となっている。しかしながら、老朽化とともに、研究設備の大型化等に伴い狭隘化が進んでいる。このため、特に、基本計画に基づき重点的に推進すべきとされる研究分野、国際共同研究において我が国が大きな役割を担い積極的に取り組んでいる分野、世界的に水準の高い独創的・先端的な基礎研究の分野等に係る研究施設及び国立大学等と地域との連携や国際学術交流促進のための関連施設について重点的な整備を図る。

<3>先端医療に対応した大学附属病院(約50万平方メートル)
 国立大学附属病院は、先端医療の先駆的役割を果たすとともに、診療のみを行う一般の医療機関とは異なる臨床医学の教育研究の場であり、地域における中核的医療機関としての役割も果たしている。しかしながら、施設の老朽化や機能劣化が進み、近年の医学の進歩に伴う医療の専門化・高度化への対応が困難になるとともに、医療機器の増大、社会の変化に伴う患者数の増加等により施設は狭隘となり、教育研究活動、医療活動及び病院の管理運営に支障を来している。
 このため、逐次、再開発整備を進めているところであり、引き続き、計画的に整備を図る。

(2)老朽化した施設の改善整備に当たっては、昭和45年以前の施設のうち、約390万平方メートル(附属病院施設分を除き、当該施設整備に伴う狭隘化解消分を含む。)に関し、個別の施設についての次のような要件を総合的に勘案しつつ、優先順位に基づき適切に判断する。

○耐震性能が著しく劣るものであること。
○教育研究の活性度が高く、施設整備によりその一層の充実が期待されるものであること。

(3)上記(1)及び(2)のそれぞれの面積の算出は、例えば、必要面積から現有面積を控除して、大学院の狭隘化解消のための整備面積を算出するなど、具体的な整備対象施設を特定せず機械的に行っている。これらについて、仮に従来の手法により整備した場合、現時点で、所要経費は最大約1兆6,000億円と見込まれる。

3.具体的実施方針

本計画の実施については、上記2を対象としつつ、具体的には以下の方針により行う。

(1)個々の施設の整備に当たっては、大学等からの意見を聴取しつつも、当該施設の現況や利用状況の点検等を含む適切な調査・評価等を行い、それらの結果に基づき、真に重点整備を行うべき施設をさらに厳選する。

(2)各大学等における施設の利用に当たっては、従来、各大学の部局等別の利用になりがちであった点を改め、既存の組織の枠を越えた施設の利用を推進するとともに、大学等の組織全体の視点に立った施設運営を推進するためのシステムを確立し、既存施設の効率的な利用を促進する。

(3)各大学の研究棟の整備に当たっては、各大学の部局等が共有する総合的・複合的な研究棟やプロジェクト的な教育研究活動に供するスペースなど、弾力的・流動的に使用可能な共同利用の教育研究スペースに重点化する。

(4)国有財産処分収入や民間資金の確保はもとより、他省庁・地方公共団体との連携やPFI等新たな整備手法等の導入を検討するとともに、コスト縮減を図る。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)

-- 登録:平成22年11月 --