1章 一般共通事項

1節 一般事項

1.1.1 適用範囲

(a) 本標準仕様書(以下「標準仕様書」という。)は,建築物等に関連する地盤調査業務(以下「業務」という。)に適用する。
(b) 標準仕様書に規定する事項は,別に定めがある場合を除き,受注者の責任において履行するものとする。
(c) 標準仕様書の2章以降の各章は,1章と併せて適用する。
(d) すべての設計図書は,相互に補完するものとする。ただし,設計図書間に相違がある場合の優先順位は,次の(1)から(5)の順番のとおりとし,これにより難い場合は,1.1.7による。
(1) 質問回答書((2)から(5)に対するもの)
(2) 現場説明書
(3) 特記仕様書
(4) 図面
(5) 標準仕様書

1.1.2 用語の定義

標準仕様書において用いる定義は,次のとおりとする。
 (1) 「監督職員」とは,文部科学省が定めた測量調査等請負契約要項に規定する監督職員をいう。
 (2) 「受注者等」とは,当該測量調査等請負契約の受注者又は測量調査等請負契約書(以下「契約書」という。)の規定により定められた現場代理人をいう。
 (3) 「監督職員の承諾」とは,受注者等が監督職員に対し,書面で申し出た事項について監督職員が書面をもって了解することをいう。
 (4) 「監督職員の指示」とは,監督職員が受注者等に対し,業務の作業上必要な事項を書面によって示すことをいう。
 (5) 「監督職員と協議」とは,協議事項について,監督職員と受注者等とが結論を得るために合議し,その結果を書面に残すことをいう。
 (6) 「監督職員の検査」とは,業務の各段階で受注者等が確認した作業状況等について,受注者等より提出された資料に基づき,監督職員が設計図書との適否を判断することをいう。
 (7) 「監督職員の立会い」とは,業務の作業上必要な指示,承諾,協議,検査及び調整を行うため,監督職員がその場に臨むことをいう。
 (8) 「監督職員に報告」とは,受注者等が監督職員に対し,業務の状況又は結果について書面をもって知らせることをいう。
 (9) 「監督職員に提出」とは,受注者等が監督職員に対し,業務にかかわる書面又はその他の資料を説明し,差し出すことをいう。
 (10) 「特記」とは,1.1.1(d)の(1)から(4)に指定された事項をいう。
 (11) 「書面」とは,発行年月日が記載され,署名又は捺印された文書をいう。
 (12) 「業務関係図書」とは,実施工程表,作業計画書,写真,その他これらに類する作業,試験等の報告及び記録に関する図書をいう。
 (13) 「JIS」とは,工業標準化法(昭和24年法律第185号)に基づく日本工業規格をいう。
 (14) 「JGS」とは,地盤工学会基準をいう。
 (15) 「業務検査」とは,契約書に規定する業務の完了の確認をするために発注者又は検査職員が行う検査をいう。

1.1.3 官公署その他への届出手続等

(a) 業務の着手,作業,完了に当たり,関係官公署その他関係機関への必要な届出手続き等を遅滞なく行う。
(b) (a)に規定する届出手続等を行うに当たっては,届出内容について,あらかじめ監督職員に報告する。

1.1.4 業務実績情報の登録

 業務実績情報を登録することが特記された場合は,登録内容について,あらかじめ監督職員の確認を受けたのちに,次に示す期間内に登録の手続きを行うとともに,登録されることを証明する資料を,監督職員に提出する。ただし,期間には,土曜日,日曜日,国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に定める国民の祝日(以下「祝日」という。)等は含まない。
(1) 業務受注時 契約締結後10日以内
(2) 登録内容の変更時 変更契約締結後10日以内
(3) 業務完了時 業務完了後10日以内
 なお,変更時と業務完了時の間が10日に満たない場合は,変更時の提出を省略できるものとする。

1.1.5 書類の書式等

 書類を提出する場合の書式は,別に定めがある場合を除き,監督職員の指示による。

1.1.6 設計図書等の取扱い

(a) 設計図書及び設計図書において適用される必要な図書を整備する。
(b) 設計図書及び業務関係図書を,業務のために使用する以外の目的で第三者に使用させない。また,その内容を漏えいしない。ただし,あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は,この限りでない。

1.1.7 疑義に対する協議等

(a) 設計図書に定められた内容に疑義を生じたり,設計図書によることが困難又は不都合が生じた場合は,監督職員と協議する。
(b) (a)の協議を行った結果,設計図書の訂正又は変更を行う場合の措置は,契約書の規定による。
(c) (a)の協議を行った結果,設計図書の訂正又は変更に至らない事項は,1. 2.3(b)による。

1.1.8 業務の一時中止に係る事項

次の(1)から(3)のいずれかに該当し,業務の一時中止が必要となった場合は, 直ちにその状況を監督職員に報告する。
 (1) 埋蔵文化財調査の遅延又は埋蔵文化財が新たに発見された場合
 (2) 業務の着手後,周辺環境問題等が発生した場合
 (3) 第三者又は業務関係者の安全を確保する場合

1.1.9 工期の変更に係る資料の提出

(a) 契約書の規定に基づく工期の短縮を発注者より求められた場合は,協議の対象となる事項について,可能な短縮日数の算出根拠,変更工程表その他の協議に必要な資料を,監督職員に提出する。
(b) 契約書の規定に基づく工期の変更についての協議を発注者と行うに当たっては,協議の対象となる事項について,必要とする変更日数の算出根拠,変更工程表その他の協議に必要な資料を,あらかじめ監督職員に提出する。

1.1.10 文化財その他の埋蔵物

 業務に当たり,文化財その他の埋蔵物を発見した場合は,直ちにその状況を監督職員に報告する。その後の措置については,監督職員の指示に従う。また,当該埋蔵物の発見者としての権利は,法律の定めるところにより,発注者が保有する。

1.1.11 関係法令等の遵守

 業務に当たり,適用を受ける関係法令等を遵守し,業務の円滑な進行を図る。

2節 業務関係図書

1.2.1 実施工程表

(a) 業務の着手に先立ち,実施工程表を作成し,監督職員の承諾を受ける。
(b) 契約書の規定に基づく条件変更等により,実施工程表を変更する必要が生じた場合は,作業等に支障がないよう実施工程表を遅滞なく変更し,当該部分の作業に先立ち,監督職員の承諾を受ける。
(c) (b)によるほか,実施工程表の内容を変更する必要が生じた場合は,監督職員に報告するとともに,作業等に支障がないよう適切な措置を講ずる。
(d) 監督職員の指示を受けた場合は,実施工程表の補足として,週間工程表, 月間工程表等を作成し,監督職員に提出する。

1.2.2 作業計画書

(a) 業務の着手に先立ち,総合的な計画及び各作業の具体的な計画を定めた作業計画書を作成し,監督職員に提出する。ただし,あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は,この限りではない。
(b) 作業計画書には,次の事項を記載する。また,監督職員がその他の項目について補足を求めた場合は追記する。
 (1) 業務概要
 (2) 実施方針
 (3) 業務工程
 (4) 業務組織計画
 (5) 打合せ計画
 (6) 成果品の内容,部数
 (7) 使用する主な図書及び基準
 (8) 連絡体制(緊急時含む)
 (9) 使用機械の種類,名称,性能(一覧表にする)
 (10) 仮設計画
 (11) その他
(c) 監督職員がさらに詳細な作業計画書を指示した場合には,作成し監督職員に提出する。
(d) 作業計画書の内容を変更する必要が生じた場合は,監督職員に報告するとともに,作業等に支障がないよう適切な措置を講ずる。

1.2.3 業務の記録

(a) 業務の全般的な経過を記録した書面を作成する。
(b) 監督職員の指示した事項及び監督職員と協議した結果について,記録を整備する。
(c) 関係官公署及び第三者との打ち合わせ又は協議した結果について,記録を整備する。
(d) 次の(1)(2)及び作業の適切なことを証明する必要があるとして監督職員の指示を受けた事項について,作業の記録,写真,試験成績書等を整備する。
 (1) 調査の各段階における出来形,品質等の記録
 (2) 現地の地形・周辺環境,各段階における調査状況,出来形等の記録写真
(e) (a)から(d)の記録について,監督職員より請求されたときは,提出又は提示する。

3節 業務管理

1.3.1 作業管理

(a) 設計図書に定められた業務を完了させるために,作業管理体制を確立し,品質,工程,安全等の作業管理を行う。
(b) 契約書の規定に基づき,業務の一部を委任し,又は請け負わせた者に対し,業務関係図書及び監督職員の指示を受けた内容を周知徹底する。
(c) 業務に必要な搬入路,足場,仮囲い等の仮設物は,原則として請負者の責任において施工する。

1.3.2 技術者

(a) 技術者は,設計図書に定められた者又はこれらと同等以上の能力のある者とする。
(b) 技術者は,資格又は能力を証明する資料を,監督職員に提出する。

1.3.3 現場作業

 作業は,設計図書及び作業計画書並びに監督職員の承諾を受けた実施工程表等に従って行う。

1.3.4 現場作業条件

(a) 作業時間は,次による。
 (1) 行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)に定める行政機関の休日に作業を行わない。ただし,設計図書に定めのある場合又はあらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は,この限りでない。
 (2) 設計図書に作業時間等が定められている場合で,その時間を変更する必要がある場合は,あらかじめ監督職員の承諾を受ける。
 (3) 設計図書に作業時間等が定められていない場合で,夜間に業務の作業を行う場合は,あらかじめ理由を付した書面を監督職員に提出する。

(b) (a)以外の作業条件は,特記による。

1.3.5 現場作業中の安全確保

(a) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)その他関係法令等に定めるところによるほか,建設工事公衆災害防止対策要綱(平成5年1月12日建設省経建発第1号)に従い,常に業務の安全に留意して現場管理を行い,作業に伴う災害及び事故の防止に努める。
(b) 気象予報又は警報等について,常に注意を払い,災害の予防に努める。
(c) 業務に当たっては,作業箇所並びにその周辺にある地上及び地下の既設構造物,既設配管等に対して,支障をきたさないような作業方法等を定める。
 ただし,これにより難い場合は,監督職員と協議する。
(d) 火気の使用等を行う場合は,火気の取扱いに十分注意するとともに,適切な消火設備,防炎シート等を設けるなど,火災の防止措置を講ずる。
(e) 作業に当たっての近隣等との折衝は,次による。また,その経過について記録し,遅滞なく監督職員に報告する。
 (1) 地域住民等と業務の作業上必要な折衝を行うものとし,あらかじめその概要を監督職員に報告する。
 (2) 作業に関して,第三者から説明の要求又は苦情があった場合は,直ちに誠意をもって対応する。

1.3.6 災害時の安全確保

 災害及び事故が発生した場合は,人命の安全確保を優先するとともに,二次災害の防止に努め,その経緯を監督職員に報告する。

1.3.7 現場作業中の環境保全等

 環境基本法(平成5年法律第91号),騒音規制法(昭和43年法律第98号),振動規制法(昭和51年法律第64号),大気汚染防止法(昭和43年法律第97号),水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号),廃棄物処理法,土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)その他関係法令等に従い,作業の各段階において,騒音,振動,粉塵,臭気,大気汚染,水質汚濁等の影響が生じないよう,周辺環境の保全に努める。

1.3.8 養生

 既存構造物等について,汚損しないよう適切な養生を行う。

1.3.9 後片付け

 業務の完了に際しては,後片付け及び清掃を行う。

1.3.10 作業の検査

 設計図書に定められた場合及び監督職員の指示を受けた場合は,監督職員の検査を受ける。

1.3.11 作業の立会い等

(a) 設計図書に定められた場合及び監督職員の指示を受けた場合は,監督職員の立会いを受ける。この際,適切な時期に監督職員に対して立会いの請求を行うものとし,立会いの日時について監督職員の指示を受ける。
(b) 監督職員の立会いに必要な資機材,労務等を提供する。

4節 業務検査

1.4.1 業務検査

(a) 契約書に規定する業務を完了したときの通知は,次の(1)から(3)に示す要件のすべてを満たす場合に,監督職員に提出することができる。
 (1) 設計図書に示すすべての業務が完了していること。
 (2) 監督職員の指示を受けた事項がすべて完了していること。
 (3) 設計図書に定められた業務関係図書の整備がすべて完了していること。
(b) 契約書に規定する部分払いを請求する場合は,当該請求に係る出来形部分等の算出方法について監督職員の指示を受けるものとし,当該請求部分に係る業務について,(a)の(2)及び(3)の要件を満たすものとする。
(c) 契約書に規定する指定部分に係る業務完了の通知を監督職員に提出する場合は,指定部分に係る業務について,(a)の(1)から(3)の要件を満たすものとする。
(d) (a)から(c)の通知又は請求に基づく検査は,発注者から通知された検査日に指定された場所で検査を受ける。
(e) 業務検査に必要な資機材,労務等を提供する。

5節 報告書等の提出

1.5.1 報告書等の提出

(a) 報告書等の提出は,次によるほか特記による。
 (1) 調査期限までに,各章に規定する成果品を10章の規定に従いとりまとめた報告書
 (2) 前記1.2.3の規定に従い整備した業務記録書,写真等(以下「報告書等」という。)
(b) 報告書等の仕上がり寸法はA4版とし,提出部数等は特記による。
(c) 報告書等において使用する計量単位は,国際単位系(SI)を使用する。

1.5.2 報告書等の帰属

 報告書等の所有権は,すべて発注者に帰属するものとし,発注者の承諾を得ないで使用,貸与又は公表してはならない。

6節 土質の分類及び調査地点等

1.6.1 土質の分類

 土質の分類は,JGS 0051(地盤材料の工学的分類方法)による。

1.6.2 調査地点等の確認

 地盤調査の範囲又は位置,調査の深度,標高基準の位置及び高さ,地下埋設物の位置等について,あらかじめ監督職員の立会いを受け確認する。なお,調査に使用する仮BMの位置及び高さは,監督職員の承諾を受ける。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部

-- 登録:平成23年05月 --