「公共事業コスト構造改革」平成18年度の実施状況とりまとめについて

平成19年12月11日
行政効率化
関係省庁連絡会議

(これまでの取り組み)

 公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議により平成9年1月に策定された行動指針に続き、平成12年9月に「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」(以下「新行動指針」)が策定され、工事コストの低減、工事の時間的コストの低減、施設のライフサイクルコストの低減等総合的なコスト縮減に取り組んできた。
 この結果、平成14年度までに、平成8年度と比較してのコスト縮減率は12.9パーセントとなり、物価、労務費等の変動を考慮した実際の工事コストは20.6パーセントの低減となった。
 さらに、平成15年度からは、新行動指針に加え、公共事業のすべてのプロセスをコストの観点から見直す、「コスト構造改革」に取り組むこととし、その施策プログラムである「公共事業コスト構造改革プログラム」(以下「プログラム」)を策定し、平成15年度から平成19年度までの5年間で、平成14年度と比較して、15パーセントの総合コスト縮減率を達成することを目標としている。
 新行動指針およびプログラムでは、「実施状況については、具体的施策の着実な推進を図る観点から、適切にフォローアップし、その結果を公表する。」こととしており、今回、平成18年度の実施状況をとりまとめ、報告するものである。

1.総合コスト縮減率 〜平成14年度の標準的な公共事業コストと比較して11.5パーセントの縮減

 平成18年度は、政府全体(全府省・全公団等)で、新行動指針に基づく30施策、さらにコスト構造改革プログラムに基づく10施策についてコスト縮減施策を実施(別紙−1-1、1-2)。その結果、平成14年度の標準的な公共事業コストと比較して、総合コスト縮減率は11.5パーセントとなった(関連施策にかかる物価変動分を除くと12.3パーセント)また、物価や労務費等の物価変動を含めた実際のコスト縮減率は、10.7パーセントとなった(別紙−2)。
 これらの縮減額は、新行動指針及びプログラムの本来の目的に準拠し、社会資本整備の推進に充当し、公共事業全体の進捗を図っている。

○全府省・全公団等の平成18年度実績

  • 総合コスト縮減率等
    • 縮減率
      11.5パーセント
    • 縮減額
      5,323億円
  • 物価等の変動を含めた縮減率等
    • 縮減率
      10.7パーセント
    • 縮減額
      5,006億円
  • 注)
    • 1.コスト縮減実績は、全省庁が共通の考え方で算定作業を実施しており、平成14年度における標準的な公共事業のコストと比較しています。
    • 2.総合コスト縮減率とは、従来からの工事コストの縮減に加え、規格の見直しによるコスト縮減、事業の迅速化が図られることによる便益の向上、将来の維持管理費の縮減及び建設資材・建設機械の技術開発や調達改革に伴う生産・流通コストの縮減効果を評価するものです。
    • 3.物価等の変動とは、労務単価の低減及び物価変動要因(企業物価指数の変動)です。

2.施策実施事例

(以下かっこ内は対応する新行動指針又はプログラムの施策項目(<参考1>参照)。また、各施策の詳細は<参考2>参照。)

1)公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針 関連施策

□工事コストの低減

●ランブルストリップスの設置かっこ15交通安全対策)
  • 路面補修工事において、正面衝突対策としてセンターポール・チャッターバーからランブルストリップス工法を採用することにより、建設コストを約73パーセント縮減。
  • ランブルストリップス上を車両が通過する事によりブルブル音の発生やハンドルも振動して運転者に対し覚醒や注意を促すことで、ぼんやりや居眠りによる車線逸脱による事故を回避。(国土交通省)
●設計VEの活用による工事コストの縮減かっこ8入札・契約制度の検討)
  • 設計VE手法を用いた検討案の採用により以下の建設コストの縮減が図られた。
  • 一次覆工のセグメント径を縮小することにより、建設コストを約4.4パーセント縮減。
  • 長尺セグメントの採用により工期の短縮と併せて、建設コストを約1.9パーセント縮減。
  • 長距離掘削が可能なビットの採用により、ビット交換を省略し、施工安全性の向上と併せて、建設コストを約0.5パーセント縮減。(農林水産省)
●耐候性外壁仕上げ材利用によるコスト縮減かっこ31施設の耐久性の向上)
  • 外壁仕上げ材において、従来のアクリル樹脂エナメル塗料から複層仕上塗材(RE)へ変更。
  • 複層仕上塗材を採用したことで、建設コストは増加(0.7百万円)しましたが、将来の維持管理費(塗装修繕作業:20年間)は27.8百万のコスト縮減が図られた。(内閣府)

2)公共事業コスト構造改革プログラム 関連施策

□計画・設計から管理までの各段階における最適化

●ジオグリッドを用いた多目的広場の整備かっこ1計画・設計の見直し)
  • 従来は、駐車場や園路等に特化した荷重対応型の芝生保護材を採用していたが、駐車場としての機能及び多様な利用者の快適性を追求しつつコスト縮減を図ることのできる新たなジオグリッド工法を採用することにより、建設コストを約38パーセント縮減。(国土交通省)
●新形式防波堤の採用によるコスト縮減かっこ1計画・設計の見直し)
  • 防波堤工事において、堤体上部のパラペットを港内側に設置することで、堤体への波力の作用に時間差をもたせることが可能となることから、堤体幅を縮小することができるとともに、天幅高を抑えられることにより、建設コストを約13パーセント縮減。(国土交通省)
●施設機能診断により既設の農業用調整池を有効利用かっこ3新技術の活用)
  • 調整池の改修工事において、既設調整池の機能診断を実施した結果、全面改修による調整池の新設ではなく、既設調整池をそのまま利用し、コンクリート表面を被覆する工法を採用。
  • 既設調整池の取壊しが無いため、産業廃棄物処理に係る運搬費及び処理費を削減し、建設コストを約48パーセント縮減。(農林水産省)

[お問い合わせ先]

内閣官房副長官補室
内閣参事官 野村正史
主査 中西貴子
電話:03-5253-2111(内線82415)、03-5253-2111(内線82448)、03-3581-2528(直通)


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