産学官連携の推進及び科学技術振興のための基盤の強化-平成20年度予算案のポイント-

平成20年1月
文部科学省研究振興局
研究環境・産業連携課

  1. 産学官連携の戦略的な展開
     産学官連携は、基礎研究の成果から絶えざるイノベーション創出を実現していくための重要な手段であり、その持続的な発展に向け、国内のみならず国際的な視点に立った戦略的な展開を図る。
     大学の規模、教育研究分野、地域等を踏まえた主体的かつ多様な産学官連携に係る取組を支援するとともに、大学等の研究成果を基にした共同研究や技術移転に係る研究開発を推進する。
  2. 科学技術振興のための基盤の強化
     先端的な研究施設・設備・機器、知的基盤等は、独創的・先端的な基礎研究からイノベーション創出に至るまでの科学技術活動全般を支える基盤として不可欠なものであることから、その整備や効果的な利用を促進する。

主要施策

1.産学官連携の戦略的な展開

大学等の体制整備・システム強化

  • 産学官連携戦略展開事業

28億円(新規)

  • 技術移転支援センター事業(JST)

26億円(26)

大学等の研究成果を基にした共同研究等の推進

  • 産学共同シーズイノベーション化事業(JST)

22億円(18)

  • 独創的シーズ展開事業(JST)

81億円(90)

2.科学技術振興のための基盤の強化

  • 先端研究施設共用イノベーション創出事業

31億円(32)

  • 先端計測分析技術・機器開発プロジェクトの推進

100億円(104)

うち 先端計測分析技術・機器開発事業(JST)

55億円(48)

産学官連携戦略展開事業

28億円(新規)

ポイント

 イノベーション創出の原動力である大学等の知的財産戦略などが持続的に展開されるよう、主体的かつ多様な特色ある取組を国公私立大学等を通じて支援し、産学官連携活動全体の質の向上を図る。

内容等

戦略展開プログラム

  • 大学等毎に中長期的な“産学官連携戦略(資金計画を含む)”を作成。
  • 大学等の“産学官連携戦略”の展開に当たり、大学等の活動としては実施のリスクが高く、かつ、国として政策的観点から積極的に促進すべき活動を重点的に支援。
    • 国際的な基本特許の権利取得など国際的な産学官連携の推進。
    • 特色ある産学官連携の推進(ライフサイエンス分野等の分野別産学官連携活動の深化、事業化支援体制の強化、大学間連携等による地域の多様な知的財産活動体制の構築、大学等の知財人材の育成・確保 等)。
    • 知的財産基盤が脆弱な大学等の知的財産活動(人文社会系を含む)の強化。

コーディネートプログラム

  • 大学等が、地域における企業や地方公共団体等との連携を図ることにより、地域の大学等を核とした地域活力の好循環の形成を促進するために、「地域の知の拠点再生担当」のコーディネーターを重点配置する。
  • 制度を越えて研究費制度への応募を促進し、優れた研究成果を切れ目なく実用化につなぎ、イノベーション創出や社会への成果還元に資するため、「目利き・制度間つなぎ担当」のコーディネーターを重点配置する。

技術移転支援センター事業(JST)

26億円(26)

ポイント

 大学等の海外特許出願を支援するとともに、研究成果の応用・発展性の評価分析等による「つなぐ仕組み」の構築を推進するなど優れた研究成果の技術移転活動を総合的に支援する。

内容等

  • 特許の目利き機能を有した者が適時的確に支援を行いつつ、大学等における研究開発成果の海外特許出願を支援する。

20.1億円(20.3)

  • 大学等で創出・育成される技術シーズやJST制度の技術シーズにおける有望課題について、応用・発展性を抽出・検証するための評価分析を行い、評価結果を活用して次なる発展へつなげる。

1.0億円(1.0)

  • 大学等で技術移転業務に携わる人材を対象に、技術移転活動における実践的能力向上を目的とした研修を行う。
  • 大学等の特許等研究開発成果を産業界において有効に活用するために全国レベルの見本市を開催。
  • 大学等やJST事業の特許等研究成果について、新技術の開発に取り組む企業を探索し、研究者と企業との間にたってライセンス(開発あっせん、実施許諾)等による実用化を促進。

産学共同シーズイノベーション化事業(JST)

22億円(18)

ポイント

 大学等の基礎研究に潜在するシーズ候補を産業界の視点で見出し、産学共同によるシーズの顕在化を目的としたフィージビリティスタディや、官民の共同負担による最終的な製品開発までを視野に入れた共同研究を促進する。

内容等

  • 大学等の基礎研究に潜在するシーズ候補を産業界の視点で見出し、イノベーション創出に向けたシーズとしての可能性を検証するため、「顕在化ステージ」にて産学共同によるフィージビリティスタディを実施。
  • 顕在化されたシーズを育成し実用性を検証するため「育成ステージ」(マッチングファンド形式)にて、産学の共同研究開発を実施。

独創的シーズ展開事業(JST)

81億円(90)

ポイント

 大学等にて特許化された独創的な研究成果(シーズ)について、実用化に向けた展開を図るため、国民経済上重要な新技術の企業化開発(医薬系分野等)、成長力のある大学発ベンチャーの創出、中堅・中小企業の製品構想のモデル化を推進する。

内容等

  • 独創モデル化型
     大学等の研究成果に基づく研究開発型中堅中小企業が有する新技術コンセプトの実用化に向けて、試作・可能性試験等の研究開発を推進

3.2億円(3.9)

  • 大学発ベンチャー創出推進型
     核となる技術を中心として継続的に技術開発を支援するとともに、人材等の側面支援を行うことにより、成長力のある大学発ベンチャーの創出を推進

26.5億円(38.5)

  • 委託開発型
     大学等の国民経済上重要な新技術のうち、企業化が著しく困難な新技術について研究開発を推進

46.5億円(46.5)

  • 革新的ベンチャー活用開発型
     大学等の研究成果について、革新的な研究開発型ベンチャーを活用した研究開発を推進。医薬系分野における研究開発リスクの高い新技術について企業化開発を推進する大学発革新創薬イノベーションプログラム(新規)を含む

5.0億円(1.5)

先端研究施設共用イノベーション創出事業

31億円(32億円)

ポイント

 独法・大学等の有する先端研究施設の共用を進めるため、適切な施設利用時間を確保して産学から共同研究や産業利用等の提案を募るとともに、共用に係る体制を構築するための経費を支援することによりイノベーション創出を促進する。

内容等

  • 産業戦略利用
     分野を限らず、産業利用のポテンシャルが高い国内有数の先端研究施設を採択し、産業界利用や産学官の共同研究利用による技術課題の解決のための研究環境を提供。
  • ナノテクノロジー・ネットワーク
     ナノテクノロジー研究の特性にふさわしい機器を配し、ナノテクノロジー研究環境として求められる研究機能(「ナノ計測・分析」、「超微細加工」、「分子合成」、「極限環境」)を有する機関(群)を採択し、全国の産学官の研究者に最先端の研究環境を提供。

先端計測分析技術・機器開発プロジェクトの推進

100億円(104億円)

ポイント

 科学技術を先導していく上で計測分析技術・機器の整備は極めて重要であるが、我が国は、最先端の研究開発用機器・分析技術の研究基盤の多くを海外に依存。世界初の、あるいは世界最高水準の計測分析技術・機器の開発を推進。

内容等

  • 基盤技術の創出から実用化(製品化)まで一貫して開発を支援
  • 自由な発想に基づく提案を広く募る提案公募型と特定目標を実現するための課題設定型の推進
  • 「先端計測分析技術・機器開発事業」(JST)では、平成20年度より、機器開発者とユーザーのネットワークを構築することにより、実用化に向けたプロトタイプ機の性能実証、並びに応用開発を強力に推進。

55.0億円(48.0)

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

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