産業技術力強化法等に係る公立大学及び公立高等専門学校における産学連携の推進について

平成12年6月2日   文学助第124号
各公立大学長、各公立高等専門学校長あて文部省
学術国際局長通知

   今日、公立大学及び公立高等専門学校と企業等産業界との間の産学連携は、大学等の責務としての社会貢献を進める上でも、学術研究の進展の上でも、ますます重要なものとなってきています。
   このたび、その重要性にかんがみ、「産業技術力強化法」(平成12年法律第44号)(以下「法」という。)が平成12年4月20日から施行され、法第5条により、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を実施することが地方公共団体の責務とされたところです。
   法やその他の法令に基づく公立大学及び公立高等専門学校に係る産学連携の推進に関する措置については別紙の通りですので、関係教職員に対し周知するとともに、必要に応じ、適切な措置を講じられるようお願いいたします。


(別紙)

            産業技術力強化法等に係る公立大学及び公立高等専門学校における
            産学連携の推進について

   今日、公立大学及び公立高等専門学校と企業等産業界との間の産学連携は、大学等の責務としての社会貢献を進める上でも、学術研究の進展の上でも、ますます重要なものとなってきている。その重要性にかんがみ、産業技術力強化法(以下「法」という。)第5条により、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を実施することが地方公共団体の責務とされた。さらに、法及び関連法令の改正等により、次のような措置がとられているところである。
 
1   受託研究等に係る資金の受入れ等の円滑化(法第13条第2項関係)
      地方公共団体が、国の施策に準じて、公立大学又は公立高等専門学校において地方公共団体以外の者から提供される研究に係る資金の受入れ及び使用を円滑に行うため、以下の措置を講ずることを可能とする。
      なお、自治省行政局行政課長から各都道府県総務部長に対し、平成12年5月17日付け自治行第27号通知「公立学校における民間等からの資金受入れ等の円滑化措置について」により周知している。
(1)奨学を目的とする寄附金を受けて行う研究
      1   地方公共団体の長は、奨学寄附金を原資とする現金又は有価証券を地方自治法施行規則第15条第2項に規定する歳出予算に係る節の区分のうち、「負担金、補助及び交付金」の区分により公立大学長又は公立高等専門学校長に交付することができる。
      2   地方自治法施行規則(昭和22年内務省令第29号)第12条の4の改正により、地方公共団体以外の者から奨学を目的として提供された寄附金を原資として交付された現金又は有価証券を公立大学長又は公立高等専門学校長が歳入歳出外現金又は保管有価証券として保管することを可能とする。
(2)委託を受けて行う研究又は共同して行う研究
      1   地方公共団体の長は、当該地方公共団体以外の者から委託を受けて行う研究(以下「受託研究」という。)又は当該地方公共団体以外の者と共同して行う研究(以下「共同研究」という。)のため、地方公共団体以外の者から提供されるこれらの研究に係る資金(以下「受託研究費等」という。)を地方自治法施行規則第15条第2項に規定する歳出予算に係る節の区分のうち、「負担金、補助及び交付金」の区分により歳出することができる。
            なお、地方公共団体の長は、概算払により公立大学長又は公立高等専門学校長に交付することとし、公立大学及び公立高等専門学校に対し節区分以下の内訳を明らかにすることは求めないこととする。
      2   受託研究及び共同研究については、以下の考え方により、地方公共団体以外の者と複数の会計年度にわたる契約を行うことができる。
            受託研究費等の受入れ契約自体は、研究成果を提供する対価として資金の提供を受ける歳入原因契約であり、地方公共団体が直接に経費の支払義務を負うものではないことから、債務負担行為の手続を経ることなく会計年度を越えた受託研究等契約を締結することができる。
      3   地方公共団体における受託研究費等の受入れ額のうち当該年度に歳出化されないもの及び不用として剰余金となった額を積み立てるため、地方自治法第241条に規定する基金を設けることができる。
 
2   大学等の研究成果を活用する事業者への支援(法第14条第2項、人事院規則
   14-18、同規則11-4関係)
      法第14条第2項の規定により、地方公共団体は、国の施策に準じて、公立大学及び公立高等専門学校における研究成果を活用する事業を実施する事業者に対する支援に必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている。
      国立大学等においては、法を受け、(1)(2)の措置が講じられるとともに、民間企業の企業活動の適法性を確保するため(3)の措置が講じられた。また、産学連携を推進するため、従前より(4)の措置が講じられてきたところである。
      各地方公共団体に対しては、自治省より連絡済みであるので、法の趣旨を踏まえ、必要に応じ、適切な対応をお願いしたい。
(1)研究成果活用企業の役員等との兼業
         人事院規則14-18(国立大学教員等の研究成果活用企業の役員等との兼業)が平成12年4月20日より施行され、国立大学教員等がその研究成果を活用する事業を実施する営利企業の役員、顧問又は評議員の職を兼ねることを可能とした。
(2)研究成果活用兼業のための休職
         人事院規則11-9(職員の身分保障)の一部が改正され、平成12年4月20日より、国立大学教員等が研究成果活用企業の役員等の職を兼ねる場合において、人事院の承認を得て休職にすることができることとした。
(3)株式会社等の監査役との兼業
         人事院規則14-19(国立大学教員等の株式会社等の監査役との兼業)が平成12年4月20日より施行され、国立大学教員等が株式会社又は有限会社の監査役の職を兼ねることを可能とした。
(4)その他
      1技術コンサルティング兼業
            平成9年4月より、国立大学教員等が営利企業における研究開発又は研究開発に関する技術指導に従事することを可能とした。
            また、兼業の許可件数及び従事時間数についての制限を撤廃した。
      2技術移転事業者の役員等との兼業
            人事院規則14-17(国立大学教員等の技術移転事業者の役員等との兼業)が平成12年4月1日より施行され、国立大学教員等が技術移転事業者(TLO)の役員、顧問又は評議員の職を兼ねることを可能とした。
      3技術移転事業者への兼業
            平成12年4月より、技術移転事業者が業務として行う他の企業に対する技術コンサルティングに国立大学教員等が従事する場合の兼業を可能とした。
            また、技術移転事業者が行う技術に関する研究成果の発掘、評価、選別に関する業務に従事する場合の兼業を可能とした。
      4共同研究等休職
            平成9年10月より、国以外の者が国と共同して行う研究又は国の委託を受けて行う研究に国立大学教員等が休職して従事することを可能とするとともに、教育公務員特例法第21条の2により、当該休職に係る期間の退職手当算定上の不利益を解消した。
 
3   特許料等の特例(法第16条関係)
      公立大学及び公立高等専門学校の研究成果の特許化が自主的かつ積極的に図られるよう、法第16条の規定により、公立大学及び公立高等専門学校の研究者並びに設置者に係る出願審査の請求の手数料及び特許料を2分の1に軽減する。
      なお、特許料等の特例に係る手続き等については、別途通知する。

 

-- 登録:平成21年以前 --