技術移転事業の認定に関する要綱

文部科学大臣決定
平成14年3月13日
平成20年11月20日一部改正
平成31年2月18日一部改正
令和元年6月14日一部改正
令和2年12月25日一部改正

1.制定の趣旨

 この要綱は、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(平成十年法律第五十二号。以下「法」という。)第十一条に規定する国の試験研究機関であって政令で定めるもののうち文部科学大臣が所管するもの(以下「特定試験研究機関」という。)における技術に関する研究成果について民間事業者に対し移転する事業の認定に関し、認定の要件、手続その他必要な事項を定め、もって当該事業の適正かつ円滑な推進を図ることを目的とする。

2.認定の要件

 特定試験研究機関認定技術移転事業(法第十一条第一項の規定に基づき、特定試験研究機関における技術に関する研究成果について、当該研究成果の活用を行おうとする民間事業者に対し移転する事業であって、当該特定試験研究機関における研究活動の活性化に資するものをいう。)を実施する者(以下「特定試験研究機関認定技術移転事業者」という。)は、次に掲げる要件を満たすものとする。

(1)特定試験研究機関認定技術移転事業者となる法人の範囲に関する事項

 特定試験研究機関認定技術移転事業者は、株式会社、有限会社、一般社団法人、一般財団法人、学校法人その他の法人(日本国内に住所又は居所を有する外国法人を含む。)であって、特定試験研究機関認定技術移転事業を適正に行うことができるものであること。

(2)法第十一条第一項第一号に関する事項

  1. 特定試験研究機関認定技術移転事業を適確かつ円滑に実施するために必要な知識及び経験を有する者を確保するなど、研究成果の評価及び選別を行うことのできる体制が整備されているものであること。
  2. 特許権、特許を受ける権利、実用新案権、実用新案登録を受ける権利、特許を受ける権利に基づいて取得した特許権又は実用新案登録を受ける権利に基づいて取得した実用新案権(以下「特許権等」という。)の譲渡、専用実施権の設定等に当たる職員について、その責任、権限及び相互の関係その他業務の実施の方法を規程等により定めていること。

(3)法第十一条第一項第三号に関する事項

  1. 特定試験研究機関認定技術移転事業に係る特許権等に関する民間事業者への情報の提供に際し、特定の民間事業者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
  2. 会員制を採用し、会員に対して優先的に特許権等についての情報提供を行う場合は、会員になるための条件において不当な差別的取扱いをすることなく、広く会員を募集すること。
  3. 特許権等の譲受に関し特定試験研究機関との提携関係を有するものであること。
  4. 特定試験研究機関認定技術移転事業に係る特許権等を譲渡した国及び発明者に対して、当該特許権等に係る実施料等収入の一定割合の還流を行うこと。ただし、国が発明者への還流に係る規定を設けている場合は、発明者への還流は国の規定によることができる。
  5. 国から特許を受ける権利又は実用新案登録を受ける権利の形態で研究成果を譲り受けた場合においては、可能な限り特許権又は実用新案権の取得に努めること。
  6. 特定試験研究機関認定技術移転事業に係る特許権等について、可能な限り技術移転の実現に努めること。
  7. 特定試験研究機関認定技術移転事業に係る特許権等について、特許出願若しくは実用新案登録出願(以下「特許出願等」という。)を行わない場合、特許出願等を維持しない場合又は保有する特許権若しくは実用新案権を維持しない場合は、当該特許権等を譲渡した国に対して権利を返還すること。ただし、国が権利の返還を望まない場合はこの限りではない。

3.その他特定試験研究機関認定技術移転事業者が配慮すべき事項

 中小企業者は、機動的な意思決定が可能なため、新技術の企業化に適しており、大企業においては死蔵されてしまうような市場規模が小さい技術を活用することが可能であることから、特定試験研究機関における技術に関する研究成果を活用し新規産業を創出していく主体として重要な役割を有するものである。
 このため、特定試験研究機関認定技術移転事業者は、情報の提供及び実施許諾等に際し、中小企業者に対して不当な差別的取扱いをすることのないよう適切に配慮することとする。

4.認定等に係る手続

(1)認定の申請

 法第十一条第一項の規定に基づき認定を受けようとする者は、様式第一による申請書に当該申請者の定款、寄附行為、法人登記簿の写しその他の書類であって、2.(1)に定める要件に該当することを証するものを添付して、文部科学大臣に提出するものとする。

(2)事業の認定

  1. 文部科学大臣は、4.(1)の申請書の提出を受けたときは、速やかに法第十一条第一項の規定に照らしてその内容を審査し、当該事業を認定するときは様式第二によりその旨を、当該事業を不認定とするときは様式第三によりその旨及び不認定とする理由を、それぞれ申請者に通知するものとする。
  2. 文部科学大臣は、法第十一条第一項の規定に基づく認定をしたときは、法第十一条第三項の規定に基づき、様式第四によりその旨を特許庁長官に通知するものとする。
  3. 文部科学大臣は、法第十一条第一項の規定に基づく認定をしたときは、当該認定をした日付、当該認定を受けた申請者の名称その他必要な事項を公表するものとする。

(3)変更の届出

 特定試験研究機関認定技術移転事業者は、申請事項に変更が生じたときは、様式第五により、速やかに文部科学大臣に対し変更の届出をするものとする。

(4)認定の取消し

  1. 文部科学大臣は、法第十一条第二項に規定する場合のほか、4.(1)の規定による認定の申請に際し虚偽の申請が行われたときは、当該申請に係る認定を取り消すことができる。
  2. 認定を取り消すときは、様式第六によりその旨及び取消しの理由を当該特定試験研究機関認定技術移転事業者に通知するものとする。
  3. 文部科学大臣は、認定を取り消したときは、法第十一条第三項の規定に基づき、様式第七によりその旨を特許庁長官に通知するものとする。
  4. 文部科学大臣は、4.(4)1の規定により認定を取り消したときは、当該認定を取り消した日付、当該認定を取り消された特定試験研究機関認定技術移転事業者の名称その他必要な事項を公表するものとする。

(5)実施状況の報告

 特定試験研究機関認定技術移転事業者は、各事業年度における特定試験研究機関認定技術移転事業の実施状況について、原則として当該事業年度終了後三月以内に、文部科学大臣に様式第八により報告しなければならない。
 特定試験研究機関認定技術移転事業者は、文部科学大臣から特定試験研究機関認定技術移転事業の実施に関して必要な資料を求められたときは、当該資料を提出するよう努めなければならない。

様式