国立大学等の「企業等との共同研究」の平成14年度の実施状況について

平成15年7月31日

   国立大学等が企業等との間で行う共同研究は、昭和58年度に制度が発足して以来、平成14年度で20年目を迎えた。このほど、各国立大学等における平成14年度の実施状況を別紙のとおり取りまとめた。その要点は以下のとおり。


   「企業等との共同研究」制度発足以来の実施件数の増加傾向が平成14年度も続き、過去最高の6,767件の共同研究(複数年度契約で期間が継続しているものを含む。)が実施された。本制度発足時(昭和58年度)の120倍の実施件数となり、対前年度比28.6%の増をみた。このような伸びを示している背景としては、次のようなことが考えられる。
   
 
1 国立大学等の研究に対する企業等からの期待が一層高まっていること。
2 (TLOなど)学外組織と一層活発な連携が行われたこと。
3 国立大学への共同研究センターの設置(平成14年度現在62大学に設置済)が進み大学と産業界との連携・協力の拠点として活発な活動が行われたこと。
4 平成12年度から企業等との共同研究等において複数年度契約が可能になったことなど、種々の制度改善により受入れの円滑化等が図られたこと。
5 平成14年度から産業界の要望を反映して契約書の参考例を改訂したこと。
   
   特に中小企業との共同研究が増加(対前年度比35.9%増)している。厳しい経済情勢の中、中小企業が大学の持つ技術の蓄積、研究成果に着目し新たな技術開発に取り組んでいることが実を結んでいると考えられる。
   
   共同研究に伴って大学等が受け入れる企業等の研究員は、2,821人となり、前年度に比べ386人(対前年度比15.9%)増加している。
   
   実施機関は、87大学、1短期大学、12大学共同利用機関、45高等専門学校、合計145機関であり、前年度に比べ6機関(大学共同利用機関1機関、高等専門学校5機関)増加し、調査対象機関(平成14年度は170機関)に対して約85%を占めた。また、実施機関145機関のうち95機関において前年度より実施件数が増加しており、うち10件以上増加した機関は47機関あった。その割合は実施機関の約3割を占める。
   
   一方、「発明」状況(発明委員会における審議状況)について、増加傾向は平成14年度も続き、過去最高の3,832件となった。
   また、企業等との共同研究の結果生じ、企業と大学等(国)の共有となった「共有特許」等の出願件数についても過去最高の94件となった。
   これは、共同研究の件数の増加に伴い、その成果である共有特許等の出願件数も増加しているものと考えられる。


(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)

-- 登録:平成21年以前 --