「大学知的財産本部整備事業」事後評価結果報告書 おわりに

 審査・評価小委員会では、「大学知的財産本部整備事業」事後評価結果について以上のように報告書を取りまとめた。
 平成15年度から5か年計画で実施された「大学知的財産本部整備事業」を実施した大学等をはじめとして、知的財産の機関一元管理の体制や知的財産ルールの策定など知的財産に関する整備が進み、知的財産本部は、大学等において産学官連携を支える組織として重要な役割を担いつつある。また、一部の大学では、組織的な産学官連携活動を推進する体制の整備が進み、事業化支援、人材育成、技術指導等、多面的な産学官連携活動を行う体制へと移行する動きもある。その過程においては、平成18年12月には約60年ぶりに「教育基本法」が改正され、これまでの教育・研究という大学の基本的役割に加えて、「大学等で生まれた成果を広く社会に提供し、社会の発展に寄与する」という社会貢献が新たに明確に位置付けられた。これを受けて、平成19年6月に「学校教育法」が改正され、大学及び高等専門学校はそれぞれの教育・研究の「成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」こととされ、産学官連携の重要性が一層強く認識されるようになっている。
 その一方で、現在、各大学は競争的な環境の中で切磋琢磨し、自らの選択に基づき、世界的な教育研究、幅広い職業人育成、総合的、国際的な教養教育、地域密着型、さらには地域の生涯学習など、機能別に分化し、それぞれが特色を出していくことが求められている。こうした大学等を取り巻く環境の変化に対応し、いかに、自らの教育研究活動を高度化・活性化し、優れた特色ある活動を展開していくのかということが、課題となっている。
 今後は、知的財産活動をはじめとする産学官連携活動の展開に当たっても、大学等自らが、それぞれ全体の経営を考える中で産学官連携についての戦略を描き、イノベーションの創出や教育研究の高度化・活性化に向けて、主体的かつ多様な取組を行うことが求められていると言えよう。
 平成20年度より、イノベーション創出の原動力である大学等の戦略的な知的財産活動などの持続的な展開を支援し、我が国の産学官連携活動全体の質の向上を図る「産学官連携戦略展開事業」が開始する。本報告書に示した「大学知的財産本部整備事業」から得られた知見を参考にして、関係各位により積極的な取組がなされることを期待したい。

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