量子ビーム

(3)どんな成果があるの?

 SPring-8は、平成9年から、大学の研究者の方から産業界の方まで幅広い利用者に使われ、これまで多くの実験や研究開発が進められてきました。その結果、例えば、インフルエンザの新薬開発につながるタンパク質の構造解析といった科学の最先端を行くような成果から、ガムやタイヤ、シャンプー等の製品開発といった身近な成果まで、幅広い研究成果が生まれました。

(左)インフルエンザウイルス、(右)SPring-8で明らかにしたインフルエンザウイルスが持つ増殖に関係する酵素の構造の一部

図:(左)インフルエンザウイルス (右)SPring-8で明らかにしたインフルエンザウイルスが持つ増殖に関係する酵素の構造の一部


 一例として、SPring-8がタイヤの性能向上に役立った例をご紹介します。
 タイヤは、ゴムに加える添加剤の種類や量などを変えることで、乗り心地やグリップ性能、燃費性能などが変化しますが、その変化のメカニズムにはよく分かっていない部分がありました。そこで、SPring-8を用いてゴムの内部構造を観察することで、添加剤によって変化するサブマイクロメートル(1万分の1ミリメートル)領域の構造が、タイヤの燃費性能を左右する鍵になっていることが明らかになりました。この実験で得られたデータをもとに、シミュレーションを行い、添加剤の種類や量を調整し、従来よりも燃費を向上させた低燃費タイヤが開発されました。
 この研究成果はその後、中性子ビーム実験を行うJ-PARCとスーパーコンピュータ「京」を使ってさらに発展し、従来は両立しえなかった、タイヤの低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能を同時かつ大幅に向上させる技術開発にもつながりました。こうして生まれた高性能・高品質なタイヤは、いま町の中を走っています。
図:SPring-8・J-PARC・「京」を用いて開発された高性能・高品質なタイヤ
図:SPring-8・J-PARC・「京」を用いて開発された高性能・高品質なタイヤ

 【研究成果紹介】
 SPring-8を利用した研究成果は、SPring-8のホームページでたくさん紹介されています。ぜひ御覧ください。
※SPring-8 大型放射光施設 ウェブサイトへリンク

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(4)SPring-8のこれから

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科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室

(科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室)

-- 登録:平成24年02月 --