量子ビーム

(3)量子ビームは何ができるの?

 量子ビームを使えば、原子や分子といった極めて小さなレベルで、モノを“観る”、“創る”、“治す”、“加工する”、“識(知)る”など、色々なことが可能です。
 これにより、基礎研究から産業応用まで幅広い分野における今日の科学技術を支えています。


観る:
 量子ビームを物質に当てると、その物質がどういう原子や分子から成り立ち、どう結合し、どんな機能を持っているか、“観る”ことができます。例えば、医療分野では、日本を始めとする世界各国が新薬の開発に取り組んでいますが、症状改善に役立つ物質を創るためには、人体を構成する細胞のタンパク質等の構造や機能を調べる必要があります。このような微小サイズのモノをシャープに解析するために、量子ビームが役立ちます。

創る:
 他にも、イオンをビームにして物質に当てることで、人間の手ではとてもできないくらい細かい穴を開けたり削ったりして、ナノサイズのモノを“創る”ことができます。こうして創られたごく小部品は、様々な電子機器などに組み込まれ、私たちの生活に溶け込んでいます。

治す:
 病院の中にも量子ビームを使った治療装置があるのを知っているでしょうか。強力な量子ビームは狙い撃ちが得意で、体の中の健康な細胞を傷付けないようにしながらがん細胞だけをやっつけます。これにより、体にメスを入れずにがんを“治す”ことが可能です。

加工する:
 量子ビームを当てて、物質の細胞にアプローチすることで、対象を“加工”し、品種改良につなげることもできます。例えば、花の色や形を変えてその花の価値を高めたり、過酷な環境でも育つ作物を作ることで食糧の安定供給につなげたりすることが可能です。

識(知)る:
 量子ビームを使って粒子同士の衝突を引き起こすことで、理論上存在するといわれる新粒子の発見やビッグバンの再現に迫ることができます。量子ビームは、私たちの命の始まり、宇宙創成の謎を“識(知)る”ことにつながるのです。 


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(4)量子ビーム施設はどこにあるの?

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室

(科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室)

-- 登録:平成24年02月 --