1.第152回南極地域観測統合推進本部総会議事の記録(案)

1.日時

平成30年6月22日(金曜日)16時00分~18時00分


2.場所

文部科学省東館15F特別会議室


3.出席者

委員

青木 周司

国立大学法人東北大学大学院理学研究科附属大気海洋変動観測研究センター長


池島 大策

早稲田大学国際教養学部教授


石丸 隆

国立大学法人東京海洋大学船舶・海洋オペレーションセンター特任教授

(東京海洋大学名誉教授)


江淵 直人

国立大学法人北海道大学低温科学研究所教授


大城 和恵

社会医療法人孝仁会北海道大野記念病院 医師


塚本 達郎

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


永原 裕子

日本学術振興会学術システム研究センター副所長

東京工業大学地球生命研究所フェロー


藤井 理行

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所 名誉教授


戸谷 一夫

文部科学事務次官


佐伯 浩治

文部科学省研究開発局長


村上 広史

国土地理院長(代理:長谷川基本図情報部管理課長)


橋田 俊彦

気象庁長官(代理:長谷川観測部長)


中島 敏

海上保安庁海洋情報部長(代理:加藤海洋情報部長)

幹事

粂川 泰一

日本学術会議事務局参事官(審議第二担当)


平  和昌

国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所長

(代理:津川宇宙環境研究室研究マネージャー)


西浦 博之

外務省国際協力局地球環境課長(代理:岩崎上席専門官)


大山 真未

文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当)


阿蘇 隆之

文部科学省研究開発局海洋地球課長


中村 卓司

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所長


野木 義史

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長


井上 清和

水産庁増殖推進部研究指導課長(代理:鈴木研究管理官)


鎌田 高造

国土地理院企画部長(代理:鵜生川企画部国際課長)


黒沢 敏行

気象庁総務部総務課長(代理:荻原観測部計画課南極観測事務室長)


島田 勘資

海上保安庁総務部政務課長(代理:楠海洋情報部海洋調査課長)


奥田 直久

環境省自然環境局自然環境計画課長(代理:藤原課長補佐)


中西 礎之

防衛省人事教育局人材育成課長

オブザーバー

岡田 雅樹

第58次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)


土井浩一郎

第59次南極地域観測隊長(兼夏隊長)


堤  雅基

第60次南極地域観測隊長(兼越冬隊長)


原田 尚美

第60次南極地域観測隊副隊長(兼夏隊長)


山田 千秋

水産庁資源管理部国際課国際協定第1係長


岳本 宏太郎

防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課南極観測支援班長

事務局

小酒井 克也

文部科学省研究開発局海洋地球課極域科学企画官


土井 大輔

文部科学省研究開発局海洋地球課課長補佐

  

4.議事

(1)戸谷事務次官から挨拶があった。

(2)事務局から議事及び配付資料の確認があった。また、前回総会の議事の記録(案)について、意見等があれば6月29日(金曜日)までに事務局へ連絡することとされた。

(3)「報告事項」について、以下のとおり報告された。

1 各委員会の審議状況について(事務局)
2 第41回南極条約協議国会議(ATCM)について(外務省)
3 第36回南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)について(水産庁)
4 第58次越冬隊・第59次観測隊の活動結果及び現状について(国立極地研究所)
5 平成29年度外国基地派遣結果について(国立極地研究所)
6 第59次南極地域観測における輸送協力等について(防衛省)
7 平成30年度南極地域観測事業予算の概要について(事務局)

「報告事項」に係る主な意見は次のとおり。

報告事項3 について

【戸谷事務次官】
メロの漁業について、総計が1万1,146トンということだが、この中でさらに各国ごとの割合があるの
かどうかということと、日本が352トンの漁獲実績があるということだが、それとその割り当てとの関係など、その辺がどうなっているのか、教えていただきたい。
【山田国際協定第1係長】 
CCAMLRにおいては、南極海に細かい海区を設け、その海区ごとの資源の状況に応じて、それぞれ細かく
枠が決められる。その分けられた海区の中で、各国がどこで操業できるかというのも決まっており、日本は5か所の海区が認められている。合計で4,339トンが最大で操業できるが、日本以外にも出漁する国があるので、この4,339トンのうち何トンかということになる。その中で去年は352トン我が国の船がとったということになる。

報告事項4 について

【大城委員】
実際に隊の方が派遣、任務に就かれているこの1年とか、夏隊でも良いが、何か病気やけがは発生したのか。
【岡田第58次副隊長】
58次越冬隊では大きなけがはなく、事故等はあったが、無事回復した。骨折等がある年もあるが、58次の越冬期間中においては、全員無事に帰国した。
【土井第59次隊長】
59次夏隊に関しても特に大きな事故等はなかった。一部けがをしたり、風邪といった症状を訴える隊員はいたが、重症ではなかった。
【大城委員】
基本的に作業に伴う軽いけががあるというのが例年のパターンか。
【土井第59次隊長】 
夏期間だと作業に伴って骨折などある場合があるが、59次隊に関してはそれもなかった。比較的定期的に休みをとるようにしたので、その分安全性も高まったのではないかと思っている。

【大城委員】
続けて、第59次越冬隊の現況で、3月に定期健康診断がされているが、結果的に定期健康診断は何か異常があったのか、それとも国内にいた方が良かったのか、向こうで生活をすることによって健康状態が悪くなったのかという、そういう結果に関しては記載がないので、どういうふうにされていらっしゃるかお聞きしたい。
【野木副所長】
健康診断等の結果は全て見ているわけではないが、特に何か発生したという報告はないので、健康状態は悪くなく推移している。
【大城委員】
1年間閉鎖された環境でお過ごしになるので、食生活や運動とかも限られてくるので、国内の時点でどうかというのと、国内の生活と変わってきたかとか、そういうことを、せっかく医者を2人も派遣しているので、その点を見てもらってあげていただくと、何をしたかだけで結果が分からないと、次に活かすことがもったいないかなと思う。
【野木副所長】
個人情報の観点から資料には出せないが、別途健康の状態をチェックしている。何かあればまた報告したい。
【青木委員】
ドロンイングモードランド航空網について、船だけではなくて航空機による人員輸送というのは、非常に今後、今回も含めて重要になっていくということがよく分かった。それで、滑走路だが、昭和基地前滑走路とS17の滑走路の2つを維持する理由をお聞きしたいのと、今後航空網の重要性が更に増すことに関して、滑走路をどのように今後維持発展させていくような計画なのかをお伺いしたい。
【野木副所長】
2つ滑走路を持っている理由は、昭和基地沖は海氷の上なので、夏期間は海氷が流れたりして使用できないということで、内陸のS17に1点いつでも使える滑走路を整備している。越冬期間中にどこまで滑走路が確保できるかということになるかと思うが、越冬隊の作業量も増えるので、そのあたりも含めながら考えている。現在のところは、S17は維持しながら、しかし大型機が降りられるような状態ではないので、そのあたりも考えながら今後考えていきたいと思う。S17は恒久的に続けていくこともあるが、去年も少し雪に埋まりつつあったので、そのあたりもどのような形にするかも考えながら進めていきたいと思う。
【池島委員】
旅券の扱いについて、彼らが一般的に持って行くのは、公用旅券か。日本を出国する際に、例えば、「しらせ」に乗っていく方もいれば、飛行機でフリーマントルで合流する方もおられると思うが、その場合に、日本を出国する際に判を押すのか、押さないのか。同時に、船で行った場合は、その際に何か押すのか。そして、オーストラリアに着いたときに、オーストラリアに入国するのか。その際の扱いや帰国時の扱い、その際の判こはどうなるのか。
同時に、住民票の扱いについて、特に短期であれば問題ないが、半年を超えて1年近く海外に観測へ行く場合、例えば、我々研究者だと、海外、在外研究その他では、3か月以上だと、当地の領事館等へ届を出して、住民票の扱いも海外にとなる。帰国した場合には、住民票にどこどこへ行ったというのが出るが、南極の場合はどういう表記になるのか。
【野木副所長】
旅券は基本的に公用旅券。「海鷹丸」は便宜供与等の関係で一般旅券で行っているが、日本を出国するときに判こが押される。また、基本的にはフリーマントルで乗船するが、フリーマントルは電子申請だけで判こはなしという形。ただし電子申請ではきちんと申請をしている。
住民票に関しては、市町村によって取扱いが異なるが、通常の海外出張みたいな形で扱われる場合もある。
【池島委員】
そうすると、各市町村の扱いに任せると同時に、各隊員の判断に任せるという理解でよろしいか。
【野木副所長】
そのように御理解いただければと思う。

報告事項6 について

【大城委員】
ヘリコプター事故で、8名脱出されているということだが、人的被害はなかったのか。
【岳本南極観測支援班長】
打撲等はあったが、特に大きなけがはなかった。
【藤井委員】
ヘリコプターCH-101の3号機の事故調査に関し、3号機の修理の状況、今後の予定、それから南極2機態勢への影響について御報告願いたい。
【岳本南極観測支援班長】
現在のところ、60次行動については、2機運用については影響ない。それ以降については、整備所要、これを「しらせ」が国内にいる間に全て済ませるという計画を立てて処理していくので、その整備の所要によっては以後も2機態勢は維持できるが、今後の見通しについては、現在のところは見通せていない。しばらくは、2機態勢は、整備時期をずらすことによって維持できると考えている。
【藤井委員】
3号機自体はどんな状況か。秋の本部総会では、修理そのものができるかどうかというような御報告もあったように記憶しているが。今おっしゃった整備というのは、1号機、2号機の整備時期を変えることによって2機態勢は維持できるだろうということ。
【岳本南極観測支援班長】
そのとおり。
【藤井委員】
3号機そのものの修理はどうなっているか。
【岳本南極観測支援班長】
以後の修理若しくは新規調達については、これから文科省と引き続き調整していく。
【藤井委員】
当然結構大きな修理になると思うので、予算が掛かる。平成30年度予算には入っていないのか。 
【小酒井極域科学企画官】
入っていない。
【藤井委員】
ということは、修理はまだ手がつけられていないと。
【小酒井極域科学企画官】
そのとおり。
【藤井委員】
やるとすれば、来年度以降ということか。
【小酒井極域科学企画官】
そのとおり。防衛省から聞いている話だが、どのぐらい壊れていて、新規調達するのか、それとも修理するのかということについて、防衛省で調査すると。調査といってもある程度期間が必要なので、31年度概算要求までにそれが間に合うかどうかというところもあるので、その辺については防衛省と文科省で調整、検討している。


(4)「審議事項」について以下のとおり審議・了承された。

1 南極条約第7条5に基づく事前通告のための電子情報交換システム(EIES)(案)について、外務省より説明があり、原案のとおり了承された。
2 第60次南極地域観測実施計画の概要(案)等について、国立極地研究所及び事務局より説明があり、原案のとおり了承された。
3 第60次南極地域観測隊員候補者(案)について、国立極地研究所より説明があり、原案のとおり了承された。
4 第60次南極地域観測隊同国者候補者(案)について、国立極地研究所より説明があり、原案のとおり了承された。
5 第61次南極地域観測計画の概要(素案)等について、国立極地研究所及び事務局より説明があり、原案のとおり了承された。

「審議事項」に係る主な意見は次のとおり。

報告事項5 について

【江淵委員】
61次隊では、サブテーマ2の海洋観測が非常にメインになるということで、現在、氷床と海洋の相互作用というのは、世界的にも研究が非常に盛んに進んでいるところで、この観測がうまくいくかどうかで、日本がイニシアチブをとれるかどうかという非常に大きなところだと思うので、非常に期待している。
その中で、「海鷹丸」等の耐氷船では行けない、砕氷船「しらせ」でなければ行けない氷縁ぎりぎりのところの観測をいかに機動的にやれるかというところが肝だと思うので、是非、船を十分に使った観測を行っていただきたいと思う。
【野木副所長】
トッテン氷河沖はかなり世界的にも注目されているので、国際連携も含めて可能な限りのことを実施したいと考えている。

(5)その他

1 南極地域観測の最近の主な成果について、国立極地研究所より説明があった。


主な意見は次のとおり。
【永原委員】
御紹介いただいた研究成果、スポット的には1つ1つ大変興味深いものだが、このシステム変動という非常に難しい、つまり何を、どういう研究結果を得たらそれをシステム変動という次元まで持っていけるかということは、単に観測を重ねているだけではなかなか難しいかと思うが、第Ⅸ期計画の大体半分が過ぎてというところで、何か少し戦略的にシステム変動という高い目標を掲げて、どのようにそれを達成していくのかということについてのお考えがあれば教えていただきたい。
【野木副所長】
今年、第Ⅸ期計画が3年目になるので、そろそろ中間的に見直すときが来ているし、特にサブテーマ2に関しては今後大きな進展が見られるだろうし、それを古環境、それから現在、大気の予想をつなげていくことで、極域のシステム自体を見ていって地球システムにフィードバックをかけるということを考えないといけないと思う。そのあたりも含めて、そろそろ全体的に進めていく、どの方面を進めていくかというようなことを考えながら次の後半のフェーズに入っていきたいとは考えているが、まだ結果が出てきたところなので、そのあたりを見ながらこのシステム変動というところにターゲットを持って見て、その観点から進めていきたいと思う。
【永原委員】
非常に重要かつ興味深いテーマなので、是非意識的にその成果を作り出していく方向に進めていただけると期待している。
【江淵委員】
大気の方で、日本主導の大型大気レーダー協同観測ということで、PANSYを含めて7基でキャンペーンをやっていると、16年、17年、18年、このあたりの成果というのは、そろそろ出てこないのか。
【中村所長】
  大型大気レーダーのキャンペーン観測は、何度か観測研究者との打ち合わせ等も開催したりして進めているが、何とかデータの比較ができるようなところになってきたということで、この後、このレーダー協同観測の一番の目玉は、そのモデル、この年、観測した状況のモデリングをやるというところ、ここがかなり時間が掛かるので、それが出てきたらかなり大きな成果になるのではないかということで、現在そのデータの比較を行っているところ。

2 事務局より、次回の総会は、11月8日を予定しており、それまでの間、緊急を要する案件などについては、本部連絡会において御審議いただく旨の連絡があった。

――了――

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

極域研究振興係
電話番号:03-5253-4111(内線4144,4451)