1.南極地域観測統合推進本部 第85回輸送計画委員会議事の記録(案)

日時

平成30年5月25日(金曜日)10時00分-12時00分


場所

文部科学省3階 2特別会議室


出席者

委員

飯島 朋子

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構主任研究開発員


石坂 丞二

国立大学法人名古屋大学宇宙地球環境研究所教授


宇都 正太郎

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所

理事・海上技術安全研究所長


梅村 行男

独立行政法人航空大学校特任教授


遠藤小百合

独立行政法人海技教育機構海技大学校航海科准教授


大沢 直樹

国立大学法人大阪大学大学院工学研究科教授


河内 啓二

国立大学法人東京大学名誉教授


庄司 るり

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


角 洋一

国立大学法人横浜国立大学名誉教授、放送大学客員教授


塚本 達郎

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


土屋 武司

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授


原田 尚美

国立研究開発法人海洋研究開発機構戦略研究開発領域
地球環境観測研究開発センター研究開発センター長代理
 /第60次南極地域観測隊副隊長(兼夏隊長)


中西 礎之

防衛省人事教育局人材育成課長


伊東 圭市

防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官(艦船担当)付事業計画調整官
(加藤 隆広 同事業監理官(艦船担当)代理)


岩切 雄二

防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官(航空機担当)付事業監理官補佐
(坂本 大祐 同事業監理官(航空機担当)代理)


長谷川寿一

防衛装備庁長官官房艦船設計官付主任設計官


黒田 英史

防衛省海上幕僚監部防衛部装備体系課艦船体系班員
(大川 努 同装備体系課長代理)


岳本宏太郎

防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課南極観測支援班長


小野彰一郎

防衛省海上幕僚監部装備計画部艦船・武器課長


松岡 広哲

防衛省海上幕僚監部装備計画部航空機課長


冨山 新一

海上保安庁海洋情報部環境調査課長

(島田 勘資 同総務部政務課長代理)


木下 敏和

海上保安庁装備技術部航空機課長


野木 義史

国立極地研究所副所長


末広 峰政

国立極地研究所南極観測センター副センター長(事業担当)


阿蘇 隆之

文部科学省研究開発局海洋地球課長

オブザーバー

中村 卓司

国立極地研究所長


伊村 智

国立極地研究所副所長


土井浩一郎

第59次南極地域観測隊長(兼夏隊長)


岡田 雅樹

第58次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)


堤  雅基

第60次南極地域観測隊長(兼越冬隊長)


八木 佑己

防衛省海上幕僚監部装備計画部艦船・武器課船体班員

事務局

小酒井克也

文部科学省研究開発局海洋地球課極域科学企画官


土井 大輔

文部科学省研究開発局海洋地球課課長補佐


議事

(1)事務局より、当日の議題・配付資料について確認があった。
(2)以下の議題について、報告及び審議がなされた。

≪報告事項≫
1.前回議事について(事務局)
2.第58次越冬隊・第59次観測隊の活動結果及び現状について(国立極地研究所)
3.第59次南極地域観測における輸送協力等について(防衛省)
4.平成30年度南極地域観測事業予算の概要について(事務局)

≪審議事項≫
5.第60次南極地域観測実施計画の概要(案)等について
(事務局及び国立極地研究所)
6.第61次南極地域観測計画の概要(素案)等について
(事務局及び国立極地研究所)

7.その他(事務局)

主な意見は以下のとおり。

(議題2)
【梅村委員】
 59次夏隊の活動報告で、DROMLANが利用できなかったと記されているが、これはDROMLANで使用しているIlyushin76のトラブルか何かだったのか。原因がわかれば教えてほしい。
【野木副所長】
今回持ち込んだ荷物量によって航空機に搭乗できる人員が限られてしまったため、DROMLANの枠でノルウェーの機体を使って運ぶという形で今回は対応した。外国隊もかなりスケジュールが狂っているところがあったが、その混乱は今回だけであろうと考えている。
【梅村委員】
ノルウェーの航空機は、いつでも使えるのか。
【野木副所長】
ノルウェーのフライトをDROMLANとして、スロットに入れて今回運用したという形になるが、そこはやはり総合的に、その辺のシステムがあるので、そこに乗り入れたという形になる。

(議題3)
【梅村委員】
 物資輸送等の実績で、空輸で物資と燃料を合わせると250トンくらい運んでいるが、今回、CH-101に関して重大なトラブルはなかったか。
【岳本南極観測支援班長】
今回使用した機体については、大きなトラブルはなかった。

【梅村委員】
2機で運用できたのか。
【岳本南極観測支援班長】
 そのとおり。
【大沢委員】
「しらせ」の年次検査で、外板に損傷があるので修理するという話があったが、軽微な、毎回、必ず出るような損傷なのか。また、部位はどの辺か。
【八木艦船・武器課船体班員】
船体後部に若干、約50ミリ程度のへこみが発見されたので、切り替え工事を実施する予定。部位は、フレーム番号として123から126の部分、船体の本当に後部の部分である。
【宇都委員】
今回、非常に苦労されて輸送されたと思う。3回係留点を移動しているが、どういう判断で1、2、3というふうに係留点を移動したのか。
【岳本南極観測支援班長】
当初、パイプラインでの貨油輸送をするために止まったところでは、人間が氷上に降りること、パイプラインをはわせることは、できると判断した。しかし、重量物を下ろすには氷の状況が悪く、重量物を下ろせる場所を探した結果、2の位置。この位置では後部での輸送ができなかったため3の位置に移動した。荷物を下ろした場所は変わっていない。最も氷上輸送する際に適した場所であったと判断している。
【庄司委員】
ヘリコプター事故の概要について、こういう事故が起こった後に、今後どういう対応をするのかとか、原因はこうだったけれども、それに対してどうするのかということも検討されていると思うので、簡単に御報告頂きたい。
【岳本南極観測支援班長】
対策としては、知識、実技の再教育と再徹底、これをまず重視してやっている。また、
51航空隊という指導的な航空隊により巡回講習をやるといった教育も再度徹底している。
【松岡海幕航空機課長】
対策で、搭乗員の再教育、特に操作方法に係る部分については、機体の運動特性等を加味して、特に機長とコパイロット間でのハンドオフの要領と、機体がかなり自動化されているため、それらの応答特性等に応じた教育を再徹底している。
 もう一つは、こういった事象がある特殊な条件下で起こり得るということで、海上自衛隊が保有する教育用シミュレータにこの状況を模擬できるプログラムを付加して、平素の訓練においてその状況を再現させ、それを早期に察知し、かつ搭乗員のハンドオフ等の訓練が地上でできるように、搭乗員訓練装置の改修を実施する予定である。
【塚本主査】
 この事故原因については、今回の報告で、確定ということでよろしいか。
【松岡海幕航空機課長】
そのように考えている。
【塚本主査】
修理の見通しはこれからということか。
【松岡海幕航空機課長】
93号機の事故で、輸送の今後の計画についていろいろ御心配、御不安をおかけしていると重々承知している。現在、海上自衛隊においては、内局等と調整をして当該機体の修復に関する経費を算出するための修復前調査を実施する予定にしている。この機体のノックダウン生産と航空機の技術上の支援は川崎重工業が行っているが、今年度予算で今のところ8月目途で契約をして修理前調査ということで、機体の損傷に係る詳細調査を実施し、修復に係る経費を正確に算出し、かつ、その修復にかかる期間等の見積もりを出す予定にしている。今のところ、機体の損傷はフレーム等の歪み等を含めるとかなりあると思っており、修復にかかる経費、期間や、新造機を再度購入した場合の経費、調達期間の比較結果等を正確に出した後、文科省とどのように処置していくかという協議に入りたいと考えている。
なお、修理前調査は、8月契約が可能になったとしてという前提であるが、年内いっぱいかかると考えている。そうすると来年度予算の要求に乗るかどうかというところもあり、来年度の輸送計画に影響があるかどうかというところが御懸念のところになろうかと考える。来年度は92号機を定期修理に入れる予定にしているが、搬入時期を南極行動に影響がない時期に前倒しして、2機の搭載を可能とする見積もりを立てており、詳細については、また、文科省を通じて御報告したい。
【梅村委員】
事故に関連して、再発防止策の中でフライトシミュレータを使って訓練をやられるということだが、民間では定期的に機長やコパイロットとのクルーコーディネーションということでCRM訓練というのを、定期審査は1年に1回で、その中に一度、半年に1回、CRMを必ずやっている。海上自衛隊でも定期的にやる必要があるのではないか。
【防衛省】
海上自衛隊においても定期的にCRMの訓練は実施している。
【遠藤委員】
先ほど3回、位置を変えて輸送計画を行ったということで、1番についても最適ということで多年氷に突っ込んで燃料パイプ輸送等行ったという御説明があったが、写真を見る限り、薄くなっているところ、何回か前後進を繰り返したという跡があるように見受けられるが、当初からこの1番の位置に突っ込もうと思ってされたのか。若しくは流されていたのか、お聞かせ頂きたい。
【岳本南極観測支援班長】
位置としては、越冬隊等と氷状の調査の結果をやりとりして場所を選んだので、狙ったところに入っている。2番目、3番目についても、当初、氷の状況から2番のところでできるという判断だったが、着いたところで後方の氷が割れたので、それに合わせて移動して、最終的にはこの3の位置で実施した。
【河内委員】
事故報告書の中で縦振動と書いてあるのは、この前も議論になったが、上下に運動してしまったと、そういうことでよいか。
【松岡海幕航空機課長】
先生のおっしゃられたとおりである。
【河内委員】
それともう一つ、これが極地で起こったのではなくて非常に幸いだったが、同じような状況だったら極地でも起こった可能性はあるのか。それともこれは非常に特殊なオペレーションで、そういうオペレーションは極地ではやらないのか。
【松岡海幕航空機課長】
今回の事故は、スリング訓練中に外気の状況やクルーコーディネートの問題が重なって起きたものであり、そういった状況が重なればあり得ると考えている。今回の事故を教訓に、搭乗員の教育も含めて徹底して再発防止に取り組んでいる。
【河内委員】
Crew resource managementを既に定期的に実施しているという話だが、実施していながらこういうことが起こってしまったというのは、この機体固有の特性が大きな原因なのか。
【松岡海幕航空機課長】
この機体の特性というのはやはりあり、非常に自動化が進んだ機体ということで、機体の姿勢を通常は収束する方にシステムはコントロールする。したがって、極論すると、人の操作は基本的にあまり加えない方が機体としてはリカバリーするような特性を持っており、元々の機体システムの安全性等を加味すると、本来は起こりにくい事象である。機長とコパイロットのコーディネートが不十分であったことによって、機体の姿勢を発散させる方向にコントロールされてしまったというのが原因であり、そういったクルーコーディネートと機体の特性を理解した模擬というのを徹底することによって、再発を防止できると考えている。
【原田委員】
南極地域観測の輸送に支障がないようにということで非常に御尽力頂いているという様子が分かって大変ありがたいと思っている。92号機の定期検査を前倒しすることで、第61次の輸送はCH-101、2機体制を何とか確保したいと先ほど御説明があったかと思うが、今般のその大破の見積もりを年内に終えることができて、来年度予算に乗せることができれば、61次についても引き続き何とか修理等も間に合わせるべく、そういう体制で行けると認識してよいか。
 それともう1点、もし来年度要求に間に合わなかった場合に62次以降の輸送体制がどのようになっていく可能性があるのか。
【防衛省】
航空機の新造若しくは修理については、最低でも4年かかると見込んでおり、仮に来年度予算に計上された場合でも34年度いっぱいまでかかると見積もっている。それまでの間が航空機は2機しかないため、この2機が定期修理に入る場合は南極行動期間外の4月から10月のこの半年間で定期修理を行い、11月からの南極行動に間に合わすべく、計画したいと考えているが、定期修理中に航空機の不具合が見つかり、修復に時間を要することが出てきた場合は、南極行動に2機搭載ができないということも可能性としてあると考えている。
【飯島委員】
CH-101の事故で、製造会社にフィードバックするとか、機体メーカーに同じような事例があったかとか、例えばソフトウェアを改修した方がいいのかとか、そういった可能性があれば教えていただきたい。
【防衛省】
海外でも同様の事象で事故があったということは確認している。今回、機体については操縦桿に人が力を加えても振動が出にくくするコレクティブ・ダンパーを付けるという改修を行うべく、現在、予算要求を行っている。
【松岡海幕航空機課長】
ソフトウェアというよりは、人間の操作が過敏になった場合に、機体の運動が収束する方向に向かわない可能性があるため、それをダンピングするようなメカニズムを操縦系統に付加することによって人間の過敏な応答が機体のシステムに入らないようにするという改修になる。
【遠藤委員】
今回のような航空機の事故は、氷上でも起き得るという旨、御説明があったが、第83回の輸送計画委員会で極地研の白石前所長から、何かあったら「しらせ」は、他国においてもすごく頼りにされているという話があり、その上で何かあったら、どういうふうに対応するのか、そしてレスキュー・コーディネーションセンターとのやりとりも必要だけれども、少なくとも海上自衛隊、極地研、そして本部がどういった行動をするか、シミュレーションを含めて検討すべきだという話があったと思う。
 その中で、まずは極地研の方にどのような事例があるかを関係者の方々に聴取させていただいた上で検討したいということで締めくくられており、約1年経ったが、どういった調査をされているのか、若しくは調査をされていないのか、検討されているのか、その点をお聞きしたい。
【野木副所長】 
過去の事例等がいろいろあるのは把握している。しかし、そのフィードバックをまだかけていない状況で、まだ進んでいないので検討したい。

(議題5)
【野木副所長】
「しらせ」の行動日程だが、55度からシドニーまでの期間が1日増えているが、これに関して、観測隊の帰国が1日ずれることになるので、理由があればお聞きしたい。
【岳本南極観測支援班長】
59次で若干ここの移動の日数に余裕がなかったということで、天候不良等を加味し、計画の段階で1日増やしたいという船からの要望である。
【野木副所長】
今後、ここを1日増やすということになるか。これまでやってきた日数より1日増えることは結構大きな案件というのが私の意見。
【塚本主査】
要するに55度以南の活動が1日増えるということか。
【野木副所長】
55度以北。南極圏の行動日数は変わらない。ただ、観測隊員の拘束が1日増えることになることが、私どもとしては懸念事項。
【塚本主査】
61次も同じ計画になっているのか。
【岳本南極観測支援班長】
今回、1日余裕を持たせたのは、実際に59次で天候不良により航程に向かい風等で、非常に影響があったという実体験から。そのため、先の61次には現時点では反映させられていない。
【塚本主査】
これにより観測隊が乗船する期間が1日延びるということになるわけだが、御意見あるか。
【庄司委員】
この海域のことに詳しいわけではないが、59次のときに非常に状況が悪かったということで、今回はという説明があったが、59次までの間でどれぐらいの確率があったのかとか、通常、本来だったら余裕が必要だとかという、そのデータがあって御説明頂ければ、観測が1日増えてもしようがないなという話になるかと思う。たまたま今回、最初の出航も早まっているとか、そういう関係も多少関係して余裕があるのならばという形もちょっとあるのかなと。61次以降についてどうなるかというのはともかくとして、今回だけ、とりあえずこの形で行きたいのか、そこら辺を少し整理して、もう一度御検討頂いてはどうか。
【塚本主査】
ただいまの御意見も踏まえ、防衛省と極地研究所で再度調整いただいた結果を受けて事務局にて修正するかどうか検討していただき、内容を私が確認した上、本委員会として承認し、次回の本部総会にお諮りしたいと思うので、修正等については、主査に御一任頂きたい。
(委員会了承)

(議題6)
【梅村委員】
 CHの定期点検について、今、2機体制になってしまっているので、是非61次以降についても、2機体制を確保していただきたい。
【松岡海幕航空機課長】
最大限の努力を持って2機派遣できるようにしたい。
【角委員】
越冬隊員が急にかなり重い病気になったりしたときに、冬の期間でも飛行機による救護は可能なのか。
【野木副所長】
現在、外国の基地では、越冬期間中も飛行機を飛ばしているが、昭和基地までどのように来れるかということは、現状でははっきりとしたことは申し上げられない。
【角委員】
今までに越冬中に飛行機で救援したという実績はないのか。
【野木副所長】
昭和基地ではない。
【角委員】
やろうと思えばできるのか。
【野木副所長】
昭和基地のあたりで、越冬期間だと多分滑走路に降りると思うが、どういう機体がどのように来れるかということになると思う。実際問題として、今、オーストラリアの基地や特にアメリカの基地は越冬期間中も飛行機を飛ばすようになってきたので、そのあたりをうまく延長してということになると思うが、今のところはできると断言はできない。
【角委員】
世の中の方向としては、そういう方向に、ほかの国などでは動いていると、そういうことか。
【野木副所長】
そういう意味では、越冬中も飛行機で行き来できる。数はすごく限られるが、そういう方向に動きつつあると認識はしている。
【梅村委員】
ノボとノルウェーの基地、二つとも行かせていただいたので、これは個人的な意見だが、GCAとかGBAS、GBASであればそれほど大きな費用はかからないと思うので、昭和基地にそういったシステムを設ければ、たとえ冬期間であれ、除雪がちゃんとされていれば、バスラターボというDC3の発展型のような機材であれば到達可能なのではないかと思う。
【松岡海幕航空機課長】
どういった設備を置くかといった環境の状況等もあるが、実際、米国等で航空機の運航を行っているので、必要な機材等がそろえば、そうしたことは可能だと考える。冬期間で天候が良い状況で滑走路が確保でき、必要な進入管制機材が整備できるということになれば可能だと考える。
【河内委員】
そういう緊急事態を想定して事前に内々で良いので、計画を持っていていただきたいが、現在はそういうものはあるのか。
【野木副所長】
現在もCOMNAPと言われる設営の実施機関の会合とサージャネスの体制はできているので、それがあると動きはするが、これまで昭和基地での航空機のアクセスが非常に難しいポイントだった。現在、徐々に海外でも越冬期間中に飛べるような状態になってきたというふうに状態が変わったということ。
【河内委員】
状態が変わったのはいいが、そこでまだ航空機が行けないか、行けるかというのを検討する前に、本当に急病人が出たとき、当座どうするかという素案みたいなものは内々では持っているのか。
【野木副所長】
その意味でリスクをいろいろ下げるような努力はしているし、以前だと例えば飛行機よりは、「しらせ」が出れば「しらせ」が行った方が早いというケースもあるし、そういうことを想定しながら今やっている。
【河内委員】
是非そういうのをドキュメント化して所内でお持ち頂きたいと思うが、緊急事態が起こってから何かいろいろやっても、とても間に合わないと思う。
【野木副所長】
緊急時の対応ということで、こちらはそれなりのドキュメントは持ってはいる。
そこから、そういう事態になると国際的なネットワークを使わないといけないと思うので、そのあたりと協議しながらということになる。
【河内委員】
現実の問題になると、いろいろ細かい点が違ってくるので、順位付けて、最初はこの案で、2番目はこの案で、3番目はこの案でというようなものを内々でお持ち頂ければありがたいと思う。
【庄司委員】
是非ともマルチビームが復活して海底地形の観測の予定ということを明記していただけると、より予算が取りやすいのかなと思う。
【遠藤委員】
フリーマントルを出てから真っ直ぐ南下するという理由が何かあるのか。海洋観測のためなのか、それとも何か国際的に決められているのか。
【野木副所長】
これまでずっと「しらせ」は、110度ラインで海洋観測を実施し、データを蓄積してきたことによって、海洋環境がどう変わってきたかということをモニタリングする場としては非常に重要なポイントとなっているため、110度ラインを南下してから昭和基地に向かうというのが通常のルートとしている。
【大沢委員】
マルチビームを仮に修理する場合、入きょしないとできないのか。そうすると、今度の定期点検でドライドックに入ったときを逃すと次はいつできるのか。
【八木海幕艦船・武器課船体班員】
入きょは不可欠のため、31年度の定期検査でできなかった場合は次年度の年次検査で行うこととなる。
【塚本主査】
第61次観測計画(素案)を本委員会として承認し、次回の本部総会に諮ることとしたい。
(委員会了承)
(議題7(その他))
【土屋委員】
ヘリ事故について、コレクティブピッチのダンパーの改修は、どの程度のものなのか。軽微な改修なのか、それとも航空機、いろいろ認証とかあると思うが、そういうのも含めたものなのか。
【松岡海幕航空機課長】
本改修については、海外でも同様な事例があったということで、製造会社のレオナルドヘリコプターズで改修の技術的な検討がなされ、適用するという内容になっており、基本的に飛行機の認証は、改修をもって担保するという形になっている。大規模な改修等は必要なく、ダンパーを新たに付加するものであり、それほど大きな工数はかからない。
【土屋委員】
そうすると、現状の2機も短い期間で改修をするということか。
【松岡海幕航空機課長】
そのとおりである。
【土屋委員】
無人機が結構使われているようだが、例えば物資輸送も最近、無人とかドローンが使われているようになっているので、そういうところで常時、24時間休まずに物資輸送も可能になるのではないか。自動化も大分進んでいるので、是非そういうところも検討頂ければよいのではないか。
 あと、「しらせ」にも、そういう無人機のようなものを積めば、例えば先行する氷、船の前方の氷の様子とかを事前に察知できるとか、いろいろメリットも考えられるので、是非そういう検討を進める機会があればいいのではないか。
【大沢委員】
年次検査で、板の切り替えをされるということだが、舵よりも前なのか後ろなのかということと、あと水線に対して上なのか下なのか、へこんだ原因は氷荷重なのか、それ以外のものなのか、その辺というのは何か情報はあるか。
【八木海幕艦船・武器課船体班員】
舵よりも前の部分、スケグの部分で、水面下。へこんだ原因については定かではないが、恐らく氷か何かにぶつかったのではないかと考えている。
【大沢委員】
板厚は何ミリぐらい。
【八木海幕艦船・武器課船体班員】
板厚32ミリ。
【大沢委員】
フレームスパンはどれぐらいか。
【八木海幕艦船・武器課船体班員】
おおむね1メートル程度。
【大沢委員】
水線からどれぐらい下か。
【八木海幕艦船・武器課船体班員】
ほぼ船底部分。
【宇都委員】
定着氷の状況について、やはり多年氷が今のところ氷上輸送の命綱みたいになっているが、これの安定性が少し気になる。「しらせ」が貫入することによって削り取っていくというような、不安定化するというようなメカニズムも起こり得るのかなと思うし、極地研でモニターとか、研究していただければいいのかなと思うのでよろしくお願いしたい。
【野木副所長】 
越冬隊でも氷状の調査をしながら、衛星のデータやドローンの結果、いろいろなことを総合しながら検討していきたいと思う。

(3)事務局から次回の会議日程については、委員の都合を確認の上、連絡する旨の説明があった。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

極域研究振興係
電話番号:03-5253-4111(内線4144,4451)