2.第41回南極条約協議国会議(ATCM41)の概要

平成30年6月14日


5月16日から5月18日まで第41回南極条約協議国会議(ATCM41)がブエノス・アイレス(アルゼンチン)で開催されたところ,概要は以下の通り。


1. 開催地・日程の変更

(1)今次ATCMは,エクアドルで開催する予定であったが,同国の事情により,協議国間で協議した結果,日程を短縮してアルゼンチンで開催することとなった(なお,例年,ATCMの前半に開催される環境保護委員会(CEP)も日程を短縮して開催(5月13日~5月15日))。
(2)日程上の制約もあり,今次ATCMでは,作業部会を設けず,議論はプレナリーのみで行い,また,議題も事務局予算や観光等の重要なものに絞って議論された。


2. 南極条約体制の運用等

(1)2017年5月に開催されたATCM40(於:北京)以降,南極条約を新たに締結した国はなく,締約国数は53のままであった。一方,環境保護に関する南極条約議定書(以下「環境保護議定書」)については,新たにトルコが締結し,締約国数は40となった。
(2)今回,開催地の変更を余儀なくされるという前例のない事態に直面したことを受けて,今次ATCMでは,開催予定国が予定通りATCMを開催する重要性を確認する一方で,急遽開催地を変更せざるをえない等の緊急事態にどのように対応するかについても,会期間ワーキンググループを設置して議論を続けていくこととなった。


3. 南極観光等に係る議論

(1)観光等での南極地域への渡航者数が年々増加し,当面増加傾向が見込まれることを踏まえて,今次ATCMでも,観光者数の増加に伴う南極の環境への影響や,政府が承知しないまま行われる渡航に伴う問題等について,活発な議論が行われた。
(2)観光に関わる問題については,会期間においても引き続き議論が行われることとなった。


4. 環境保護に関する議題

(1)南極特別保護地区(「ASPA」)管理計画の6件の改訂案が合意された。また,サイトガイドラインの追加・改訂(新規追加3件,改訂7件)が承認された。
(2)(ドローン等の)遠隔操作による飛行システムの運用に関し,環境上のガイドラインが承認された。
(3)「南極露岩域での科学調査における環境保全のための行動規範(Environmental Code of Conduct for Terrestrial Scientific Field Research in Antarctica)」が承認された。

(了)

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