第150回南極域観測統合推進本部総会議事の記録(案)

1.日時

平成29年6月23日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省庁舎3階 3F1特別会議室

3.出席者

(副本部長)
戸谷 一夫 文部科学事務次官

(委員) 
青木 周司 国立大学法人東北大学大学院理学研究科附属大気海洋変動観測研究センター センター長
池島 大策 早稲田大学国際教養学部 教授
石丸 隆 国立大学法人東京海洋大学船舶・海洋オペレーションセンター特任教授(東京海洋大学名誉教授)
江淵 直人 国立大学法人北海道大学低温科学研究所 所長・教授
大城 和恵 社会医療法人孝仁会北海道大野記念病院 医師
塚本 達郎 国立大学法人東京海洋大学学術研究院 教授
永原 裕子 日本学術振興会学術システム研究センター 副所長・国立大学法人東京工業大学地球生命研究所 フェロー
藤井 理行 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所 名誉教授
村上 広史 国土地理院長(代理:飛田測地部長)
橋田 俊彦 気象庁長官(代理:長谷川観測部長)
中島 敏 海上保安庁長官(代理:石澤総務部参事官)

(幹事)
野崎 雅稔 総務省情報通信国際戦略局技術政策課長(代理:中越企画官)
平  和昌 国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所長
西浦 博之 外務省国際協力局地球環境課長(代理:岩崎上席専門官)
大山 真未 文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当)
二村 英介 文部科学省研究開発局開発企画課長
林  孝浩 文部科学省研究開発局海洋地球課長
白石 和行 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所長
中村 卓司 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長
榎本 浩之 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長
野木 義史 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長
竹葉 有記 水産庁増殖推進部研究指導課長(代理:船本研究管理官)
鎌田 高造 国土地理院企画部長(代理:鵜生川企画部国際課長)
黒沢 敏行 気象庁総務部総務課長(代理:荻原観測部計画課南極観測事務室長)
石井 昌平 海上保安庁総務部政務課長(代理:楠海洋情報部海洋調査課長)
奥田 直久 環境省自然環境局自然環境計画課長

(オブザーバー)
竹原 真理 環境省自然環境局自然環境計画課係長
樋口 和生 第57次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)
本吉 洋一 第58次南極地域観測隊長(兼夏隊長)
赤塚 祐史朗 水産庁資源管理部国際課課長補佐(企画班担当) 
宮﨑 好司 防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課南極観測支援班長

(事務局)
小酒井 克也 文部科学省研究開発局海洋地球課極域科学企画官
土井 大輔 文部科学省研究開発局海洋地球課課長補佐

4.議事

(1)戸谷文部科学事務次官から挨拶があった。

(2)事務局から議事及び配付資料の確認があった。また、前回総会の議事の記録(案)について、意見等があれば6月30日(金曜日)までに事務局へ連絡することとされた。

(3)「報告事項」について、以下のとおり報告された。

1 各委員会等の審議状況について(事務局)
2 第40回南極条約協議国会議(ATCM)について(外務省)
3 第35回南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR33)について(水産庁)
4 第57次越冬隊・第58次観測隊の活動結果及び現状について(国立極地研究所)
5 第58次南極地域観測における輸送協力等について(防衛省)
6 南極地域観測第Ⅷ期6か年計画の外部評価について(事務局)
7 平成29年度南極地域観測事業予算の概要について(事務局)

(4)「審議事項」について個別に審議された。

1 南極条約第7条5に基づく事前通告のための電子情報交換システム(EIES)について、外務省より説明があり、原案のとおり了承された。
2 第59次南極地域観測実施計画の概要等について、防衛省及び国立極地研究所より説明があり、原案のとおり了承された。
3 第59次南極地域観測隊について、国立極地研究所より説明があり、原案のとおり了承された。
4 第59次南極地域観測隊同行者について、国立極地研究所より説明があり、原案のとおり了承された。
5 第60次南極地域観測計画の概要等について、事務局及び国立極地研究所より説明があり、原案のとおり了承された。

「報告事項」及び「審議事項」に係る主な意見は次のとおり。
報告事項4 について
【青木委員】
57次、58次の活動結果とか現状についての部分に関して、観測隊がすばらしい成果を上げて、現場で頑張っておられて、非常に大変だと心から思っている。それにも増して、いわゆる教員の南極派遣プログラムとか、それから今回、パレスチナ難民救済事業機関を通して依頼のあった、ガザの子供たちに向けての南極教室を実施されたというのは、これ非常にすばらしいことだと思う。特に日本の今後の南極観測を考える場合に、若者というか、子供たちに、いかに南極というところが魅力的かを実地で紹介される、こういう活動は、極地研究所が発案されて、こういうことを実施されていると思うが、是非今後も続けていっていただきたいと強く思う。
それから、南極の昭和基地周辺の海氷状況が最近、非常に海氷が流れて「しらせ」がアクセスしやすくなっているということをお聞きして、これも良かったなと思っているが、しばらく前には海氷が物すごく厚くてアクセスできなくて、着岸できなくて非常に苦労されたということもあって。海氷の状況の予測は非常に難しいと思うが、日本のみならず諸外国の基地で船を使って観測されている、その外国では状況、どんな状況になっているのか。いろいろ苦労されて、その結果を、海氷の将来予測につながる研究をやっているようなところというのは、もしあれば御紹介いただきたい。
【白石所長】
外国の状況は、COMNAPと言われる南極観測実施責任者評議会のチャンネルを通じて、いろいろ情報が入っている。実情は日本と余り変わらない。情報の収集に関しては、衛星を使って、多少は予測をしながらやるということだが、余り先の予測は、現在の知識では、やはりできない。現実に場所によって大分違うが。例えばフランスの基地の周辺では、いまだに厚い氷に阻まれてアクセスに苦労しているということで、国によって状況違うが、海氷予測は非常に難しいのは常識。
【野木副所長】
やはり南極からの情報発信、非常に私たちは重視しており、現場からのテレビ会議システムを使った南極教室、あるいは越冬隊がこれから行うが、南極教室という形で、できるだけリアルな情報を、最新の情報を日本の国内に届けたいということで、これまでもやってきているし、今後も是非続けていきたいと思っている。
【藤井委員】
海氷状況、大分緩くなってきて、夏の船の進入に際しては非常に有利な条件だが、越冬隊が海氷を渡って大陸に行って活動するといったようなことに関してはマイナスのということになる。観測隊が航空機を持たなくなってから久しく時間たつわけだが、最近、去年も報告あったが、ドローンを使った海氷状況のリコライサン等をやられているが、衛星ではとても詳細な状況を把握できない。ドローンは、それを補完するような機能があると思う。ドローンは今、試験運用的な段階なのか。今後ドローンを本格的に、もう少し強力なドローンだとか、もう少し広範囲に動けるドローンだとかと。そのドローンの導入について、報告いただきたい。
【野木副所長】
現在、小型のドローンで昭和基地周辺を監視しているという状況。
もう1点は、無人航空機の導入は進めていくつもりだが、リスクもあるので、規模や場所について考慮しながら今後進めていきたいと思う。ドローン自身も、それなりの操作技術は必要になるので、そういう方をしっかり養成しなきゃいけない部分も出てくる。
【白石所長】
ドローンについては、藤井委員のおっしゃったように非常に有効、利用価値の高いものだと認識しているが、一方で、ドローンをむやみに飛ばすと、いろいろな環境への影響、事故等が心配になってくる。それで、先般のATCMもそうであったし、その前からCOMNAPやSCARなどでもドローン、いわゆる人の乗っていないリモートコントロールの飛翔物、飛翔体についてのガイドラインを作って、事故のないようにしようという動きが非常に活発になっている。
【宮﨑南極観測支援班長】
防衛省としては、「しらせ」の砕氷航行の氷上偵察としてドローンを使用したらどうかという考えがあって、来年持っていく。今年も持っていったが、船が鉄でできているので、磁場の影響か、コントロール不能になることがあって、実際、活用できなかった。次回は性能の高いものを用意して来年使用し、全点の氷上偵察に使えればと考えている。

審議事項4 について
【永原委員】
重点課題を遂行中だが、同行者枠を何か上手に利用して、重点課題の成果をより高めるとかというような工夫はされているのか。それとも、これは単純に手を挙げて、どういう分野でも良いから参加できるような、そういう仕組みになっているのか。
【白石所長】
今回の同行者枠には重点の関係者は、直接関係する者はおりませんが、今までは民間  技術者等が重点課題を実施するために参加したという実績はある。
【永原委員】
重点課題は非常にいいテーマが設定されて、是非推進していただきたいと思っているので、もし可能であれば、こういう枠を上手に使って、よりいい研究成果が上がるといいんじゃないかと期待している。

審議事項5 について
【藤井委員】
60次隊で1年前倒しということで、内陸ドームふじ周辺での深層掘削のための雪氷学的調査を実施すると。それも国際的な連携の下で実施するというのは大変重要なことだと思う。是非、内陸というところで、設営的なことも大変だと思うが、国際的にも非常に注目されるプロジェクトだと思う。
特に最近、日本は、チバニアンと名前が付くかどうか分からないが、77万年前の地磁気の反転、それを遡る時期のアイスコアが採れる可能性、そこを狙っている。その77万年より古いのを狙うというよりも、地球上最古の氷を採取して、その気候・環境変動を探る。ちょうどタイミングよく、その77万年をまたぐようなアイスコア、狙えるわけなので。地球磁場の反転が地球環境に、あるいは地球の気候にどういう関係があったかということを探る意味でも非常に大事な研究だと思うので、この国際連携によるドームふじの雪氷調査、是非とも成功裏に実施されることを期待している。
【奥田自然環境計画課長】
南極観測の第Ⅸ期6か年計画の設営年次計画の表で、主な作業の中に夏期宿舎の汚水処理対策工事というのが、ペンディングのような形で書き込まれている。これは素案なので、今後いろいろ御検討いただくのかなと思うが、この辺の見込みについて、何かお考えがあれば、お知らせいただきたい。
【樋口第57次副隊長】
夏宿舎の汚水処理設備だが、確かに処理能力的に、あるいは処理の内容から十分なものとは言えないというのが現状。理想的には、国内基準に照らし合わせたような処理ができるのが理想。何度か検討は重ねてきているが、小規模で期待される処理内容に見合った汚水処理装置というのが今のところ、まだない。早急に、すぐに解決できるわけではないと思うが、今、夏宿舎と別の越冬隊が使っている汚水処理設備というのは、かなり能力の高いものなので、そちらに汚水を入れるとか、そういう対策も含めて、前向きに検討したい。
【奥田自然環境計画課長】
環境省でも水質保全の担当している部局もあり、新しい技術その他、また年次的には先になったとしても、今後、現実的な形で何か情報提供なり、具体的な施設に関して、ある程度現実的に改善ができるんじゃないかというような、技術的な部分で一緒になって、こちらも御協力ができる部分もあろうかと思う。前向きに御検討いただけるということなので、是非、密な情報交換、意見交換させていただけたらありがたいなと思っている。またそれが、いずれの機会に、こういったところの設営計画の中に反映していただけるとありがたい。


(5)その他

事務局より、次回の総会の日程については、11月7日の午後を予定している旨の連絡があった。

――了――

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