古地磁気・岩石磁気学的手法によるブランスフィールド海盆の拡大メカニズムの研究
平成22年12月31日 ~ 平成23年3月13日
世宗基地(韓国)
船木 實(国立極地研究所・准教授)
平成22年 | 12月31日 | 東京(成田空港)発 |
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平成23年 | 1月1日 | プンタアレナス(チリ)着 |
1月2日-6日 | チリ南極研究所と調査打ち合わせ | |
1月7日 | プンタアレナス発、エスクデロ基地(チリ)経由、世宗基地着 | |
1月8日 | 世宗基地偵察 | |
1月9日 | 世宗基地からエスクデロ基地に移動 | |
1月8日-31日 | 岩石試料採集、地磁気観測 | |
2月1日 | エスクデロ基地から世宗基地に移動 | |
2月2日-27日 | 世宗基地周辺で岩石採集、地磁気観測 | |
2月28日 | 世宗基地からエスクデロ基地に移動 | |
3月1日 | 岩石採集 | |
3月2日 | エスクデロ基地発、プンタアレナス着 | |
3月3日-9日 | チリ南極研究所で調査報告、および研究打ち合わせ | |
3月10日 | プンタアレナス発 | |
3月13日 | 東京(成田空港)着 |
南極半島とサウスシェトランド諸島の間にあるブランスフィールド海盆の形成過程を調べるため、キングジョージ島南部のエスクデロ基地と世宗基地の周辺で古地磁気学研究用の岩石採集と、地磁気観測を行った。調査はすべて徒歩によって行い、両基地周辺の露頭23地点から約200本の定方位岩石試料を採集した。地磁気観測については、徒歩で主に世宗基地のあるバートン半島と対岸のウィーバー半島で行い、また両半島の間にあるマリアン入り江においてはゴムボートを用いて行った。その結果、大きな磁気異常がマリアン入り江に沿って東西に発達していることが明らかになった。この大きな磁気異常は、キングジョージ島南部の最も若い花崗閃緑岩の分布と一致することから、花崗閃緑岩がこの磁気異常に起因していることが明らかになった。また、バートン半島の堆積層はウィーバー半島の堆積層より約100m低位にあることから、マリアン入り江に東西の正断層が推定され、花崗閃緑岩はこの断層に沿って貫入したと考えられた。なお、この断層の東西延長上には深い湾が直線状に並んでいることから、この断層はキングジョージ島の地形形成にも大きな影響を与えていると考えられる。
調査の期間を通して気温は0℃前後であったが、7m/s以上の強風の日が多く、また湿度が95%前後と高く、風の無い時は霧、降雨、または降雪の日が多く、野外活動に苦労した。
ベルギーとの共同隕石探査
平成22年12月14日~平成23年2月5日
プリンセスエリザベス基地(ベルギー)
海田 博司(国立極地研究所)
永木 毅(国立極地研究所)
平成22年 | 12月14日 | 東京(成田空港)発、ケープタウン着(翌日) |
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18日 | ケープタウン発、プリンスエリザベス基地着(翌日) | |
20日-29日 | レスキュー訓練、各種講習、旅行打合せ・準備 | |
30日 | プリンセスエリザベス基地発、ルート工作を実施しつつ、ナンセン氷原着 | |
31日 | ベースキャンプ設営、隕石探査準備 | |
平成23年 | 1月 1日-23日 | ナンセン氷原にて隕石探査 |
24日 | ベースキャンプ撤収 | |
25日 | ナンセン氷原発、プリンセスエリザベス基地着 | |
26日-31日 | 採集隕石および持ち帰り物資の整理・梱包 | |
2月 1日 | プリンセスエリザベス基地発、ケープタウン着 | |
4日 | ケープタウン発、東京(成田空港)着(翌日) |
セールロンダーネ山地東部のバルヒェン山周辺では、昨シーズンに第51次隊とベルギー隊との共同隕石探査によって635個の隕石が発見・採集されている。一方、山地南部のナンセン氷原では、第29次隊で約1,900個が採集されて以降、隕石探査が行われていないため、今シーズンと第54次隊においてベルギー隊と共同で隕石探査を実施する計画を立てた。今シーズンは外国共同観測として、同氷原までのルート工作と氷原北部域における組織的な隕石探査をベルギー隊と共同で実施した。日本人2名とベルギー人3名の計5名からなる合同探査チームはセールロンダーネ山地南部、標高約3,000 m地点にあるナンセン氷原に27日間滞在し、探査可能であった12日間で合計218個の隕石を発見・採集した。これらの大部分はコンドライトと呼ばれる始原隕石であり、分化した隕石であるエコンドライトと呼ばれる種類の隕石も少なくとも2個まれていることが現地での観察により分かっている。エコンドライトの1個については、これまでに分類されている隕石との類似性から小惑星ベスタを起源とする隕石であると考えられる。今後、ベルギーと共同で詳細な分析・研究を行う。なお、今回の探査の結果、日本が保有する隕石数は17,054個となった。
研究開発局海洋地球課
-- 登録:平成24年02月 --