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先端技術を駆使したHLA多型・進化・疾病に関する統合的研究(笹月 健彦)

研究領域名

先端技術を駆使したHLA多型・進化・疾病に関する統合的研究

研究期間

平成22年度~26年度

領域代表者

笹月 健彦(九州大学・高等研究院・特別主幹教授)

研究領域の概要

 HLAは、病原体由来のペプチドと結合し、生体防御の最前線で、抗原特異的免疫応答を制御する。一方では、自己ペプチドと結合し、難治性の自己免疫疾患を発症させる。多重遺伝子族からなるHLAは、4,000を超す対立遺伝子を有し、人種特異的HLAハプロタイプを形成している。本提案は、「HLAの成り立ちの進化学的解明」および「免疫関連疾患におけるHLAの役割の解明と、HLAを標的とした治療法開発への道を拓く」ことを目的とし、(1)HLA遺伝子を含む10Mbのゲノム領域の多様性と多型性の解明、(2)HLAが結合する自己および病原体ペプチドの解明、(3)結合ペプチドモチーフの同定、(4)病因HLAと病因ペプチドの解明とその結合阻止化合物の開発、(5)その中から免疫応答阻止化合物の同定、(6)これらを集約したHLA統合データベースを構築し、専門家が分野を超えて共同して、HLA研究を統合的に推進する。

領域代表者からの報告

1.研究領域の目的及び意義

 ヒト主要組織適合遺伝子複合体であるHLA遺伝子領域は、第6染色体短腕3.6Mbに多重遺伝子族を形成し、ヒトゲノムの中で最も多型性に富む遺伝子である。遺伝子座の特定の対立遺伝子間に強い連鎖不平衡があり、各人種ごとに特有のHLAハプロタイプを形成する。このHLAの比類ない特徴は、HLAが感染防御を担う免疫シムテムの中枢にあって、特定の病原体ペプチドと特異的に結合し、免疫応答を惹起することによる強い選択圧によってもたらされたと考えられる。
 本研究領域ではゲノム化学、タンパク科学、分子進化学の第一線の研究者およびHLAと疾病に関して永年にわたる研究を蓄積した研究者が一体となって、革新的技術開発を行ないながらHLA研究の体制を構築し、HLA遺伝子領域の成り立ち、HLAとペプチドの複合体形成における謎、および数々の難治性免疫関連疾患の病因におけるHLAの真の役割を、分子進化学、構造生物学の光を当てながら統合的に解析する。これらの基盤に立脚して個人化医療としてのペプチドがん免疫療法とHLAマッチングによる骨髄移植による白血病克服という二大臨床テーマをかかげて研究を進める。
 このことによりHLA遺伝子領域の完全解読、HLA・ペプチド相互作用の新たな理解、免疫関連疾患のHLAを中心に据えた病因の解明、そしてがんと白血病治療の新しい展開を図り、生命の深い理解と疾病克服とを目指す。

2.研究の進展状況及び成果の概要

 ヒト主要組織適合遺伝子複合体であるHLA遺伝子領域は、第6染色体短腕3.6Mbに多重遺伝子族を形成し、ヒトゲノムの中で最も多型性に富む遺伝子である。遺伝子座の特定の対立遺伝子間に強い連鎖不平衡があり、各人種ごとに特有のHLAハプロタイプを形成する。このHLAの比類ない特徴は、HLAが感染防御を担う免疫シムテムの中枢にあって、特定の病原体ペプチドと特異的に結合し、免疫応答を惹起することによる強い選択圧によってもたらされたと考えられる。
 本研究領域ではゲノム化学、タンパク科学、分子進化学の第一線の研究者およびHLAと疾病に関して永年にわたる研究を蓄積した研究者が一体となって、革新的技術開発を行ないながらHLA研究の体制を構築し、HLA遺伝子領域の成り立ち、HLAとペプチドの複合体形成における謎、および数々の難治性免疫関連疾患の病因におけるHLAの真の役割を、分子進化学、構造生物学の光を当てながら統合的に解析する。これらの基盤に立脚して個人化医療としてのペプチドがん免疫療法とHLAマッチングによる骨髄移植による白血病克服という二大臨床テーマをかかげて研究を進める。
 このことによりHLA遺伝子領域の完全解読、HLA・ペプチド相互作用の新たな理解、免疫関連疾患のHLAを中心に据えた病因の解明、そしてがんと白血病治療の新しい展開を図り、生命の深い理解と疾病克服とを目指す。

審査部会における所見

A (研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった)

1.総合所見

 本研究領域は、HLAの多型・進化・疾病という大きな研究対象について、大規模な研究組織を構成し、領域代表者のリーダーシップの下、連携・統合を図り、当該研究領域の当初の設定目的に照らして、総じて期待どおりの成果が認められる。また、若手研究者育成や研究成果の積極的な公表についても、様々な工夫が取り入れられ、領域運営が効果的に図られたと認められる。
 一方で、研究項目A03の研究目標の一つである、HLAと病原菌・ウイルスの共進化については大きな進展が見られなかったため、今後の更なる展開を期待したい。

2.評価の着目点ごとの所見

(1)研究領域の設定目的の達成度

 HLAのゲノム進化学、免疫学、臨床医学の残された課題を、最先端技術と先端情報を駆使して、先駆的医療法開発への道を拓こうとする重要な研究領域であり、期待どおりの成果を上げている。特に、超解像度DNAタイピング法を開発するとともにHLA統合データベースを公開したことは、他の研究領域の研究者にとっても有効であり、今後も研究の進展に伴い更新を継続することを期待したい。また、立体構造解析の成果は特筆すべきものがある。しかし、進化を扱う研究項目A03については、大きな進展が見られなかった。

(2)研究成果

 多くの成果が論文や国内外での学術集会で公表されており、当初の目的であるデータベースの構築と公開について成果を上げていることは評価できる。特に、立体構造情報が結合ペプチドの結合や多様性獲得に大きな寄与をするという知見が見出されており、特筆すべきものである。
 一方、HLAの進化の解明についての研究成果については疑問が残る。また、HLA関連疾患解析で非HLA遺伝子多型が同定されたが、本研究領域での位置づけが見えにくい。

(3)研究組織

 HLA研究において、我が国の最前線にいる研究者が配された中で、連携や共同研究が進んできたことが成果から見てとれる。
 一方、研究項目A02構造生物学やA03進化学の2つの研究項目間の連携がどのように進められ、「HLAと病原体の相互作用による、HLA領域の多様性と多型性の創成と、その維持機構に関する分子進化学的理解」について、どのように理解が進んだのかが明確ではなかった。

(4)研究費の使用

 若手研究者育成の活性化のため、ポスドクや若手研究者の雇用などの人件費に重点的に使用された点は、評価できる。

(5)当該学問分野、関連学問分野への貢献度

 これまでその多様性と疫学的な関連性にのみ、注目されてきた印象があるHLAについて、本研究領域の推進により、多様性と抗原結合メカニズムにまで解析を進めたことは高く評価される。自己免疫疾患関連HLA対立遺伝子の同定や、立体構造解析の成果は関連学問分野に大きな貢献をもたらした。また、HLA関連データベースの公開も評価できる。ただし、医療への波及効果は今のところ限定的であり、今後の展開を期待する。

(6)若手研究者育成への貢献度

 公募研究で積極的に若手研究者を採択し、計画研究・公募研究で多くの若手研究者が研究協力者、連携研究者、研究分担者として参画している。また、学位取得やポスドク、特別研究員への採用や海外留学、さらにアカデミックポジションの獲得、昇進など、若手研究者育成に大きな貢献が認められる。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課

-- 登録:平成28年02月 --