ゲノムを支える非コードDNA領域の機能(小林 武彦)

研究領域名

ゲノムを支える非コードDNA領域の機能

研究期間

平成23年度~平成27年度

領域代表者

小林 武彦(国立遺伝学研究所・細胞遺伝研究系・教授)

研究領域の概要

 遺伝子の発現を担う染色体は細胞分裂に先立ち複製、修復、組換え、凝縮、そして分配される。染色体のそれらの機能(染色体諸機能)の制御に働くDNA配列は、ヒト染色体の場合、その約98%を占める非コードDNA領域に存在すると推定される。既知の例では染色体の末端の複製、維持に働くテロメア、分配に働くセントロメアがある。しかしその間に挟まれた一番重要な染色体の本体部分が、全体としてどのような機構で制御、維持されているのか不明である。本申請研究では染色体諸機能を統合的に支える非コードDNA領域の機能について、そこに特徴的に存在するDNA配列、クロマチン構造、そしてそれらの相互作用(クロマチンネットワーク)に着目し、解明を目指す。

領域代表者からの報告

審査部会における所見

A (研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる)

1.総合所見

 本研究領域は、異なる分野の研究者の連携研究により、染色体を制御・維持する機能を担う真核生物ゲノムの大半を占めるタンパク質をコードしていない非コードDNA領域を詳細に解析することで、非コードDNA領域の未知なる機能の解明に取り組むものである。研究領域を構成する各研究組織が、ゲノミクス、構造生物学、生物化学、遺伝学、細胞生物学の手法を、領域内の共同研究によって自在に取り入れることができる体制が整っており、各計画研究も順調に進捗している。リエゾニンの発見など、本研究領域の目的に合致した興味深い研究成果が得られつつあり、全体として期待どおりの進展が認められる。今後、本研究領域が提唱する「インターメア」に関する新規発見や新しい概念の抽出を期待したい。

2.評価の着目点ごとの所見

(1)研究の進展状況

 「異なる学問分野の研究者が連携して行う共同研究等の推進」という点については、期待されたとおり生物情報学的視点からの共同研究が数多く進められている。総括班主催の技術講習会や次世代シーケンサーの共同利用に関しても、領域代表者のリーダーシップにより効率的な運用が図られている。
 また、「多様な研究者による新たな視点や手法による共同研究等の推進」状況については、計画研究だけでなく公募研究も組み込む形で多くの共同研究が進められており、研究領域の新たな展開が実感できる。次世代シークエンサーから算出される膨大なデータから重要な情報を抽出する画期的なアイデアや4つの研究階層を統合した新たなパラダイムの構築など、新学術領域として期待される研究成果が得られることを望む。今後は、領域研究における重要性が高い生物情報学を強化することが必要である。

(2)研究成果

 リエゾニンの発見など、本研究領域の目的に合致した興味深い研究成果が得られつつあり、また、人工染色体などの共有ツールの活用も期待できる。研究者間の情報交換・意見交換も活発で、共同研究も数多く進行しており、今後、共同研究成果の論文化が望まれる。

(3)研究組織

 領域代表者のリーダーシップのもと、領域内共同研究や情報交換が順調に行われている点は高く評価できる。また、非常に魅力的なニュースレターを作り、領域内外に向けた情報発信を充実させている点も評価できる。
 一方、公募研究をうまく組み込む形で極めて効率的な連携研究体制が実現しているが、異分野融合の観点からは学際性をより高くする工夫が望まれる。

(4)研究費の使用

 特に問題点はなかった。

(5)今後の研究領域の推進方策

 生物情報学の重要性が大きいことから、その点を公募研究により強化するとともに、学際性をより高くする工夫が望まれる。本研究領域が提唱する「インターメア」の定義をより明確にすること、また、インターメアに関する新規発見や新しい概念の抽出が今後の重要な課題と考えられる。

(6)各計画研究の継続に係る審査の必要性・経費の適切性

 いずれの計画研究も順調に進行しており、継続に係る審査の必要はない。

審査部会における所見

A (研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる)

1.総合所見

 本研究領域は、異なる分野の研究者の連携研究により、染色体を制御・維持する機能を担う真核生物ゲノムの大半を占めるタンパク質をコードしていない非コードDNA領域を詳細に解析することで、非コードDNA領域の未知なる機能の解明に取り組むものである。研究領域を構成する各研究組織が、ゲノミクス、構造生物学、生物化学、遺伝学、細胞生物学の手法を、領域内の共同研究によって自在に取り入れることができる体制が整っており、各計画研究も順調に進捗している。リエゾニンの発見など、本研究領域の目的に合致した興味深い研究成果が得られつつあり、全体として期待どおりの進展が認められる。今後、本研究領域が提唱する「インターメア」に関する新規発見や新しい概念の抽出を期待したい。

2.評価の着目点ごとの所見

(1)研究の進展状況

 「異なる学問分野の研究者が連携して行う共同研究等の推進」という点については、期待されたとおり生物情報学的視点からの共同研究が数多く進められている。総括班主催の技術講習会や次世代シーケンサーの共同利用に関しても、領域代表者のリーダーシップにより効率的な運用が図られている。
 また、「多様な研究者による新たな視点や手法による共同研究等の推進」状況については、計画研究だけでなく公募研究も組み込む形で多くの共同研究が進められており、研究領域の新たな展開が実感できる。次世代シークエンサーから算出される膨大なデータから重要な情報を抽出する画期的なアイデアや4つの研究階層を統合した新たなパラダイムの構築など、新学術領域として期待される研究成果が得られることを望む。今後は、領域研究における重要性が高い生物情報学を強化することが必要である。

(2)研究成果

 リエゾニンの発見など、本研究領域の目的に合致した興味深い研究成果が得られつつあり、また、人工染色体などの共有ツールの活用も期待できる。研究者間の情報交換・意見交換も活発で、共同研究も数多く進行しており、今後、共同研究成果の論文化が望まれる。

(3)研究組織

 領域代表者のリーダーシップのもと、領域内共同研究や情報交換が順調に行われている点は高く評価できる。また、非常に魅力的なニュースレターを作り、領域内外に向けた情報発信を充実させている点も評価できる。
 一方、公募研究をうまく組み込む形で極めて効率的な連携研究体制が実現しているが、異分野融合の観点からは学際性をより高くする工夫が望まれる。

(4)研究費の使用

 特に問題点はなかった。

(5)今後の研究領域の推進方策

 生物情報学の重要性が大きいことから、その点を公募研究により強化するとともに、学際性をより高くする工夫が望まれる。本研究領域が提唱する「インターメア」の定義をより明確にすること、また、インターメアに関する新規発見や新しい概念の抽出が今後の重要な課題と考えられる。

(6)各計画研究の継続に係る審査の必要性・経費の適切性

 いずれの計画研究も順調に進行しており、継続に係る審査の必要はない。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課

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-- 登録:平成25年11月 --