4. 科学研究費補助金「特別推進研究」の追跡評価の試行に関する評価方針

 科学研究費補助金「特別推進研究」の追跡評価の試行に関する評価方針

平成19年11月1日
科学技術・学術審議会学術分科会
科学研究費補助金審査部会決定

科学研究費補助金「特別推進研究」の追跡評価の試行については、この評価方針により行うものとする。

1.基本的考え方

 科学研究費補助金による研究はその成果が短期間に確認しづらいこともあり、研究終了後、一定期間経た後にその研究成果から生み出された効果・効用や波及効果を検証することが必要である。このため、科学研究費補助金のうち「国際的に高い評価を得ている研究であって、格段に優れた研究成果をもたらす可能性のある研究」を研究種目の目的・内容としている「特別推進研究」で追跡評価の試行を実施するものである。

2.用語の定義

 本評価方針における用語の定義は次に掲げるところによる。

(1)追跡評価の試行

  本評価方針に基づき実施する科学研究費補助金「特別推進研究」の追跡評価の試行をいう。

(2)審査部会

  科学技術・学術審議会学術分科会科学研究費補助金審査部会をいう。

(3)評価者

  審査部会に属する委員、臨時委員及び専門委員をいう。

(4)被評価者

  過去に特別推進研究の研究課題で研究を実施し、当該研究課題の研究期間を終了した元研究代表者であり、追跡評価の対象となる者をいう。

(5)評価資料

  追跡評価の試行に当たり、被評価者が作成・準備する資料をいう。

(6)評価参考資料

  追跡評価の試行に当たり、文部科学省が作成・準備する資料をいう。

(7)評価意見書

  追跡評価の試行に当たり、より専門的な意見を加味するため所定の様式により作成された意見書をいう。

(8)評価意見書作成者

  追跡評価の試行に当たり、評価意見書の作成を依頼された者をいう。

(9)学術調査官

  文部科学省組織規則第53条及び第62条に定める者であって、命を受けて文部科学省研究振興局の所掌事務のうち学術に関する事項についての調査、指導及び助言に当たる者をいう。

3.守秘の徹底等

 守秘の徹底及び利害関係者の排除については、「科学研究費補助金における評価に関する規程(平成14年科学技術・学術審議会学術分科会科学研究費補助金審査部会決定)」を参照し適切に対応することとする。

4.追跡評価の試行の対象

 特別推進研究の研究課題で研究期間を終了し、終了後5年目に当たる研究課題を対象とする。ただし、追跡評価はあくまで試行として実施することから、被評価者の協力が得られない場合は対象から除外することができるものとする。
 なお、「COE形成基礎研究費」から特別推進研究に移行した研究課題については、研究の実施形態等が異なるため対象から除外するものとする。

5.評価意見書の作成

(1)審査部会は、評価に当たっての参考とするため、2名程度の評価意見書作成者に評価意見書の作成を依頼する。

(2)評価意見書作成者は、学術調査官が推薦する対象研究課題に精通する候補者の中から、審査部会長が選考し、評価資料及び評価参考資料を添えて依頼する。

(3)評価意見書作成者候補の推薦にあたり、学術調査官は、次の各号に掲げる点に留意するものとする。

 <1>同一の研究機関又は部局からの重複推薦をできる限り避けること

 <2>審査部会及び審査部会各系委員会に属する評価者をできる限り避けること

(4)評価意見書作成者の氏名等は、部会長以外の評価者に開示しないものとする。また、評価意見書作成者及びその候補者となった者の氏名等については、公表しないものとする。

(5)評価意見書は、評価意見書作成者により次の着目点に従って作成する。

 <1>特別推進研究の研究期間終了後、被評価者自身の研究は順調に発展し、また、被評価者によって新たな発見・知見は生み出されているか。
  ただし、研究期間終了後における被評価者の研究環境の変化(例えば退職)等の事情により研究が進めにくい状況も想定されるため、そのような状況が確認できる場合にあっては、評価基準はあくまで参考として使用する。(参考として使用するか否かの判断は評価意見書作成者に委ねる。)
  ・研究の発展の程度はどうか
  ・新たな発見・知見は生み出されているか

評価基準

A+

格段の発展を遂げ、新たな発見・知見が生み出されている

A

順調に発展している

B

 順調な発展とは考えにくい

 <2>特別推進研究の研究成果は、他の研究者に活用されているか。

  ・学界への貢献度はどうか
  ・論文の引用状況はどうか

評価基準

A+

他の研究者に対し絶大な貢献がある

A

他の研究者に対し十分な貢献がある

B

他の研究者に対する貢献度は低い

 <3>研究成果の社会還元等の状況はどうか。

  ただし、特別推進研究による研究によって直ちに社会還元等が期待できるものではない点には留意する。

  ・研究成果は社会還元されているか
  ・研究計画に関与した若手研究者は成長しているか

評価基準

A+

社会還元、若手研究者の育成に大いに貢献している

A

社会還元、若手研究者の育成のいずれかに貢献があった

B

社会還元、若手研究者の育成に対する貢献はあまりない

6.評価の実施

(1)評価は、審査部会において評価資料、評価参考資料及び評価意見書により実施する。

(2)評価に当たっては、評価意見書の内容を参考にし、次の着目点における効果・効用等を検証するものとする。

 <1>特別推進研究の研究期間終了後、被評価者自身の研究は順調に発展し、また、被評価者によって新たな発見・知見は生み出されているか。
  ただし、研究期間終了後における被評価者の研究環境の変化(例えば退職)等の事情により研究が進めにくい状況も想定されるため、そのような状況が確認できる場合にあっては、評価の際に配慮する。

  ・研究の発展の程度はどうか
  ・新たな発見・知見は生み出されているか

<2>特別推進研究の研究成果は、他の研究者に活用されているか。

  ・学界への貢献度はどうか
  ・論文の引用状況はどうか

<3>研究成果の社会還元等の状況はどうか。

  ただし、特別推進研究による研究によって直ちに効果・効用が期待できるものではない点に留意する。

  ・研究成果は社会還元されているか
  ・研究計画に関与した若手研究者は成長しているか

(3)評価結果については、学術調査官が所見の原案を作成し、審査部会で決定後被評価者に対し通知するものとする。

7.その他

 被評価者である元研究代表者の対応が困難な場合であって、研究課題に研究分担者として参加していた者が対応できる場合にあっては、4.の「被評価者の協力が得られない場合」の規定にかかわらず、元研究分担者を被評価者と読みかえて協力を要請できるものとする。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課

-- 登録:平成23年02月 --