平成20年度科学研究費補助金における制度改正について(通知)[別添]

別添

1 研究種目の新設(現在、検討中の内容)

(1)「新学術領域研究」(研究領域提案型)の概要(予定)

  • 1目的
    研究者又は研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成等の取り組みを通じて発展させることを目的とする。
  • 2対象
    次のいずれかに該当する研究領域であって、協同して推進する複数の研究者で構成される研究グループの有機的な連携の下に領域の学術水準の向上を図ることにより、革新的・創造的な学術研究の発展が期待できるもの。
    • 既存の学問分野の枠に収まらない新興・融合領域の創成を目指すもの。
    • 異なる学問分野の研究者が連携して行う共同研究等の推進により、当該研究領域の発展を目指すもの。
    • 多様な研究者による新たな視点や手法による共同研究等の推進により、当該研究領域の新たな展開を目指すもの。
    • 当該領域の研究の発展が他の研究領域の研究の発展に大きな波及効果をもたらすもの。
    • 学術の国際的趨勢等の観点から見て重要であるが、我が国において立ち遅れており、当該領域の進展に格段の配慮を必要とするもの。
  • 3応募金額
    領域毎に単年度当たり1千万円から3億円程度
  • 4研究期間
    5年間
  • 5研究領域の構成
    • 複数の計画研究課題と公募研究課題により構成(公募研究課題は必須)。
    • 総括班は必須とし、支援班は必要に応じ形成(調整班は総括班に含め形成しない)。
  • 6公募時期
    (平成20年2月以降を予定)
  • 7採択予定領域数
    (平成20年度予算額に応じて設定)
  • 8重複応募の制限
    • 同一研究者が、計画研究の研究代表者又は研究分担者として応募できる領域は1件に限る。
    • 同一研究者が、同一領域内で研究代表者又は研究分担者として応募できる研究課題数は、計画研究及び公募研究を通じて1件に限る。
    • 計画研究の研究代表者として応募する者は、他領域の公募研究に応募できるが、計画研究が採択された場合、同時に応募した公募研究を廃止しなければならない。(分担者の場合は研究組織から外れなければならない。)
    • 計画研究の研究代表者は、他領域の計画研究及び公募研究の分担者として応募できない。
    • 計画研究代表者は「特別推進研究」、「基盤研究(S)」、「若手研究(S)」、「学術創成研究費」を重複受給できない。
    • 既存の「特定領域研究」における計画研究及び公募研究についても、この重複制限に含まれる。
  • 9審査希望分野の選定
    従来の「特定領域研究」における3つの系、「人文社会系」、「理工系」、「生物系」に、複数の系にまたがるものとして、「人文社会・理工」、「人文社会・生物」、「理工・生物」、「人文社会・理工・生物」の4つを加えた計7分野から選択。
    なお、「理工系」については、「数物系科学」「化学」「工学」の3つに区分し、1つ又は複数の区分を選択。
  • 10審査方法及び応募書類の提出
    審査にあたっては、書面及びヒアリングによる審査のほか合議審査を行う。
    なお、応募書類の提出にあたって、2段階で提出することとし、1ヒアリング領域を選定する際の審査資料については、従来の「特定領域計画書」の前半部分(20ページ)程度、2採択候補課題を選定する際には詳細な計画書(計画研究の計画調書等)を追加。

(2)「新学術領域研究」(研究課題提案型)の概要(予定)

  • 1目的
    確実な研究成果が見込めるとは限らないものの、当該研究課題が進展することにより、学術研究のブレークスルーをもたらす可能性のある、革新的・挑戦的な研究を支援すること。
  • 2対象
    一人又は少数の研究者で組織する研究計画であって、従来の分科・細目区分では採択されにくい、新興・融合分野等における革新的・挑戦的な研究計画。
  • 3応募金額
    単年度当たり1千万円程度
  • 4研究期間
    3年間(評価により2年程度の延長を認めることを検討)
  • 5公募時期
    (平成20年2月以降を予定)
  • 6採択予定課題数
    (平成20年度予算額に応じて設定)
  • 7重複応募の制限
    • 研究代表者は、「特別推進研究」、「特定領域研究」(計画研究)、「新学術領域研究」、「基盤研究(S・A・B)」、「若手研究(S・A)」、「萌芽研究」との間で重複制限がかかる。
  • 8審査希望分野の選定
    「系・分野・分科・細目表」から関係の深い分科を2つ選択。
  • 9審査方法及び応募書類の提出
    審査にあたっては、書面審査及び合議審査を行う。
    なお、書面審査の際には、「氏名・所属・職」、「研究組織」、「研究実績」、「研究費の応募・受入状況等」は使用しない。
    (応募書類の提出にあたっては、書面審査の際、使用しない様式も含めすべて一括して提出。)

研究計画調書のイメージ(公募に向け検討中)

  • 「氏名・所属・職」及び「研究組織」→書面審査では使用しない
  • 「研究課題名」、「研究経費」及び「分野・分科・細目」
  • 研究目的
  • 研究計画、方法
  • 準備状況等
  • 研究経費の妥当性・必要性
  • 研究実績→書面審査では使用しない
  • 研究費の応募・受入状況等→書面審査では使用しない
  • 人権の保護及び法令等の遵守への対応
  • (注1)上記(1)及び(2)の内容については、平成20年度予算案の編成及びそれに関する国会審議等の状況を踏まえつつ、公募要領を作成・決定し、公募を行う予定。

2 評価の充実、及び評価結果を踏まえた支援

(1)「自己点検中間評価」の導入

  • 1概要
    科研費における研究課題に対する評価は、「特別推進研究」、「特定領域研究」、「基盤研究(S)」、「学術創成研究費」の4つの研究種目以外では中間・事後評価を実施しておらず、全体として不十分であることから、3年目に自己点検による中間評価を実施し、評価結果をインターネットで公開する。
  • 2対象
    「特別推進研究」、「基盤研究」、「若手研究」、「学術創成研究費」、「特定領域研究」(計画研究)のうち、研究期間が4年以上の研究課題。(「特定領域研究」、「新学術領域研究」の4年以上の領域の評価については、従来型の中間・事後評価を行う。)
    ただし、研究期間の3年目に後述の「研究進捗評価」((2)を参照)を受ける研究課題を除く。
    上記対象のうち、平成20年度が研究期間の3年目にあたる研究課題から実施する。
  • 3提出方法
    研究期間の3年目の実績報告書提出時にあわせて「自己点検中間評価報告書」を提出。様式とその内容(現在までの達成度、今後の推進方策などを記載してもらう予定)については、平成20年度科学研究費補助金の交付決定時に示す他の様式とあわせて通知。電子媒体での提出を予定。
  • 4提出時期
    平成21年5月
  • 5公開方法及び時期
    平成21年度中に、国立情報学研究所のデータベース「KAKEN」において公開。

(2)「研究進捗評価」の導入

  • 1概要
    現在、中間・事後評価を実施している大型の研究種目等において、両評価を統一し、研究期間の最終年度の前年度に「研究進捗評価」を実施する。
  • 2対象
    従来、中間・事後評価を実施している研究種目(「特別推進研究」、「基盤研究(S)」、「学術創成研究費」)に加え、「若手研究(S)」も対象として加える。
    また、「特定領域研究」については、従前と同様の中間・事後評価を実施する。
  • 3実施時期
    上記対象のうち、研究期間の最終年度の前年度にあたる研究課題について、平成20年度から実施する。
    ただし、研究期間が3年の研究課題については最終年度にあたる研究課題について実施する。
  • 4評価方法
    書面及びヒアリングにより実施する。
    評価方法としては、従来の中間評価と同様、当初の研究目的に沿って着実に研究が進展しているかなど、それまでの研究の進捗状況等について評価するほか、事後評価の要素を加えるため、評価後研究期間が終了するまでの間に研究目的を達成する見込みが十分であるかなど、研究の達成見込み等も含む評価を行う。
    なお、現地調査については、「研究進捗評価」の一環として、従前の例にならい実施する。

(3)「研究進捗評価」の結果を次の審査に生かす仕組みの導入

  • 1概要
    優れた研究課題を継続して支援するため、「研究進捗評価」を受けた研究者が当該研究を更に発展させるなど研究を継続して実施しようとする場合に、前述の「研究進捗評価」結果を活用し、次の審査に活かす仕組みを構築する。
  • 2対象
    「特別推進研究」、「基盤研究(S)」及び「若手研究(S)」のほか、「基盤研究(A・B・C)」及び「若手研究(A・B)」
  • 3実施時期
    「研究進捗評価」実施以降に新たに応募された研究課題のうち、1「最終年度前年度応募」されたもの及び2「研究進捗評価を受けた研究課題の研究期間に引き続いて応募」され、応募者により「継続実施」と意思表示があったもの、について実施する。
  • 4活用方法
    「研究進捗評価」結果を次の応募の際の研究計画調書に、審査実施主体において添付し、次の審査に反映させる。

(4)追跡評価(試行)の導入

  • 1概要
    科学研究費補助金による研究は、基本的にその成果が短期間に確認しづらいものであるが、研究終了後、一定期間経た後にその研究成果から生み出された効果を検証することも重要である。このため、科学研究費補助金のうち「国際的に高い評価を得ている研究」であって、「格段に優れた研究成果が期待される」研究を対象としている「特別推進研究」で研究成果等に関する追跡評価を試行的に実施する。
  • 2対象
    特別推進研究の研究課題で研究期間を終了し、終了後5年目に当たる研究課題を対象とする。
    なお、「COE形成基礎研究費」から「特別推進研究」に移行した研究課題については、研究の実施形態等が異なるため対象から除外する。
  • 3実施時期
    平成19年度から実施。(今年度は平成14年度に研究期間が終了した特別推進研究の中から対象研究課題を抽出)
  • 4実施方法
    書面により、研究期間終了後の効果・効用及び波及効果に関する評価を行う。

3 研究成果報告書の見直し

  • 1概要
    科学研究費補助金による研究の成果について、適切に把握するとともに、その活用や情報公開を進めるため、国立国会図書館関西館に冊子で納付している「研究成果報告書(冊子体)」について廃止(注2)するとともに、これまでの様式C-19「研究成果報告書概要」を充実させた新たな様式による研究成果報告書をインターネット上で公開する。

    • (注2) 平成19年度が研究期間の最終年度にあたり、研究成果報告書(冊子体)の提出が必要な研究課題については、これまでどおり平成20年6月に研究成果報告書(冊子体)の提出が必要です。
  • 2対象
    「特別推進研究」、「特定領域研究」(計画研究)、「新学術領域研究」(計画研究)、「基盤研究」、「若手研究」、「学術創成研究費」
    上記対象のうち、平成20年度が研究期間の最終年度にあたる研究課題から実施する。
  • 3提出方法
    研究期間の最終年度の次年度に、研究機関を通じて文部科学省または日本学術振興会へ提出。電子媒体での提出を予定。
    様式については、A4で4ページ程度を予定しているが、図・表などについての容量制限について別途検討した上で、平成20年度科学研究費補助金の交付決定時に示す他の様式とあわせて通知。
    また、「特定領域研究」及び「新学術領域研究」(研究領域提案型)については、領域としての成果報告書(冊子体)をこれまでどおり作成し、文部科学省へ提出する。
  • 4提出時期
    平成21年6月
  • 5公開方法及び時期
    平成21年度中に、国立情報学研究所のデータベース「KAKEN」において公開。

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