研究活動の不正行為への対応に関する規程

平成18年12月6日
平成18年規程第19号

趣旨

第1条 科学研究における不正行為は、科学を冒涜し、その発展を妨げるものであるとともに、人々の科学への信頼を揺るがし、貴重な国費を浪費するものであるという観点から、独立行政法人日本学術振興会(以下、「振興会」という。)は、競争的資金等を活用した研究活動における不正行為(以下、「不正行為」という。)への対応に関する取扱いについて必要な事項を以下のごとく定め、研究活動の公正性を厳正に確保することとする。

不正行為

第2条 不正行為とは、研究成果の中に示されたデータ、調査結果又は論文等の捏造、改ざん又は盗用等をいう。

対象となる競争的資金等

第3条 対象となる競争的資金等は、振興会が交付するすべての競争的資金、研究奨励金及び委託費等とする。

対象となる研究者等

第4条 対象となる研究者等は、対象となる競争的資金等の配分を受けて研究活動を行っている研究者・研究グループ等とする。

対象となる研究機関

第5条 対象となる研究機関は、競争的資金等の配分を受けている研究者等が所属する研究機関又は対象となる競争的資金等を受けている研究機関とする。

告発等の受付

第6条 告発者は、原則として、不正行為に関する告発等(以下、「告発等」という。)を被告発者が所属する研究機関の告発等受付窓口に行うものとする。
 ただし、振興会は、被告発者が研究機関に所属していない場合又はそれ以外であっても特別な事情があると判断した場合には、告発者からの告発等を受け付けることができる。

告発等受付窓口の設置

第7条 振興会は、第6条ただし書きの場合に備えて、告発等を受け付ける窓口を総務部総務課に設置し、以下により告発等を受け付ける。

  • (1)告発等は、書面、電話、FAX、電子メール又は面談により受け付けるものとする。
  • (2)総務部総務課は、告発等があったとき、告発者の所属・氏名・連絡先、不正を行ったとする研究者・研究グループ、不正行為の態様、不正とする科学的根拠、使用された競争的資金等の種別・名称、振興会以外の機関に対する告発の有無、告発者が秘匿したい事項等について把握するとともに、告発者に対し第18条の内容を伝達する。
  • (3)告発等が総務部総務課以外の部課にあったときは、当該部課は速やかに総務部総務課に連絡する。
  • (4)総務部総務課は、受け付けた告発等に係る競争的資金等の種別に応じて、当該告発等の内容を当該競争的資金等担当課に連絡する。

告発等の移送

第8条 振興会は、告発された事案に関する競争的資金等の配分主体が振興会以外の資金配分機関であるときは、当該資金配分機関に事案を移送し、告発者にこの旨通知するものとする。

告発等の取扱い

第9条 告発等の取扱いについては、以下の要領により、これを行う。

  • (1)振興会は、原則として、告発者の名前が明らかにされ、不正行為を行ったとする研究者・研究グループ、不正行為の態様が明示され、かつ不正とする科学的根拠が示されている告発等のみを受理するものとする。
  • (2)振興会は、匿名の告発等によるものであっても、その内容に応じ、顕名の場合に準じた取扱いをすることができる。
  • (3)振興会は、報道や学会等の研究者コミュニティーにより不正行為の疑いが指摘された場合には、匿名の告発等の場合に準じて取り扱うものとする。

告発者・被告発者の秘密保持

第10条 振興会は、告発者、被告発者、告発等の内容及び調査内容について、調査結果の公表まで、秘密保持を徹底する。

告発等に係る事案の調査

第11条 競争的資金等担当課は、告発等を受けた場合には、速やかに被告発者が所属する研究機関に当該告発等に係る事案の調査を依頼する。
 2 被告発者が研究機関に所属していない場合は、競争的資金等担当課が前項の調査を実施する。

調査中における一時的措置

第12条 振興会は、被告発者に対し、調査結果の報告を受けるまでの間、当該事案に係る研究費の使用停止を命ずることができる。被告発者に交付決定した当該研究に係る研究費の交付停止、被告発者から別に応募・申請されている競争的資金等の採択の決定又は採択決定後の研究費の交付を留保することができる。

不正行為が認定された者に対する措置を検討する体制等

第13条 配分した競争的資金等に不正行為があったと認定された場合には、理事長はただちに必要な措置を執るものとする。
 2 理事長は、競争的資金等に係る対応措置を検討する委員会(以下、「検討委員会」という。)に対し、対応措置の検討を求める。
 3 理事長は、検討委員会が被告発者の所属する研究機関の認定に基づき、当該被認定者に対して執るべき措置について検討した結果の報告を受けて措置を決定する。
 4 検討委員会の所掌事務及び組織等については、別に定める。

措置の対象者

第14条 措置の対象者は、次のとおりとする。
 一 不正行為があったと認定された研究に係る論文等の不正行為に関与したと認定された著者(共著者を含む。以下同じ。)。
 二 不正行為があったと認定された研究に係る論文等の著者ではないが、当該不正行為に関与したと認定された者。
 三 不正行為に関与したとまでは認定されないものの、不正行為があったと認定された研究に係る論文等の内容について責任を負う者として認定された著者。

措置の内容

第15条 措置の内容は、次のとおりとする。
 一 不正行為があったと認定された研究に係る競争的資金等を打ち切るとともに、既に配分された研究費の一部又は全部を返還させる。返還額は、不正行為の重大性、悪質性及び研究計画全体に与える影響等を考慮して定めるものとする。
 二 不正行為があったと認定された者が研究代表者として応募・申請している課題は採択しない。研究分担者となっているものについては、当人を除外しなければ採択しない。
 三 措置の対象者に対し、振興会の所管するすべての競争的資金等への応募・申請を制限する。制限期間は、不正行為の重大性等に応じて、次の範囲内で、検討委員会の検討を踏まえ、理事長が決定する。
 ア 第14条第1項第1号に該当する者については、認定された年度の翌年度以降2年から10年
 イ 第14条第1項第2号に該当する者については、認定された年度の翌年度以降2年から10年
 ウ 第14条第1項第3号に該当する者については、認定された年度の翌年度以降1年から3年

措置の通知、報告

第16条 振興会は、決定した措置及びその対象者等について、告発者、措置の対象者及びその者が所属する研究機関に通知する。
 2 振興会は、決定した措置について、文部科学省に速やかに報告する。

措置内容の公表

第17条 振興会は、措置を決定したときは、原則として、措置の対象となった者の氏名・所属、措置の内容、不正行為が行われた競争的資金等名、当該研究費の金額、不正行為の内容及び研究機関が行った調査結果報告書等を速やかに公表する。

悪意に基づく告発等の防止

第18条 告発が悪意に基づくものであることが判明した場合は、当該告発者に対して不正行為に準じた措置を行うことができるものとする。

措置と訴訟との関係

第19条 措置後に訴訟が提起された場合、措置の内容が不適切であるとする内容の裁判所の判断が確定しない限り、措置を継続する。措置前に訴訟が提起された場合にも、訴訟の結果を待たずに措置を行うことを妨げない。
 2 措置後の訴訟において認定が不適切とされた場合、一部撤回又は撤回の措置を講ずるものとする。研究費の返還がなされていた場合は、打ち切りの対象となった研究の状況に応じて再交付するか否か検討し判断する。

措置内容等の公募要領等への記載

第20条 振興会は、不正行為を行った場合にとる措置の内容及び措置の対象者の範囲について、あらかじめ競争的資金等の公募要領及び委託契約書(附属資料を含む。)等に記載する。

雑則

第21条 この要項に定めるもののほか、振興会の不正行為への対応に関し必要な事項は、別に定める。

附則
 この規程は、平成18年12月6日から施行する。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課

-- 登録:平成21年以前 --