佐賀大学大学院農学研究科の改組(平成22年度)における大学院教育の実質化と国際化の推進に関わる高度な専門職業人の育成という設置理念を具現化するために、農業技術経営管理士を育成する副コース(2年・修了要件15単位)に履修証明を発行する特別の課程「佐賀大学農業技術経営管理士育成講座(1年未満・修了要件150時間)」を併設し、正規課程の大学院生と社会人が共に学ぶ教育プログラムを実施している(前者は平成21~23年度の組織的な大学院教育改革プログラム)。この教育プログラムは、農業版MOT教育と総称しているが、これは地域社会のニーズに対応して平成19年度に実施した社会人・市民対象の短期集中講座での実績を基盤に発展させたものである。
本プログラムは、近年の農業法人や集落営農組織体の増加、農地法の改正に伴う企業の農業への参入及びFTAやEPAなどの変化する地域的・国際的な農業・社会情勢に柔軟に対応でき、アジアの途上国を含む地域農業生産と農村の振興に向けてリーダーシップを発揮する農業のプロフェッショナルの育成を目指すものです。科目は、農学研究科の正規科目以外に、経営管理部門に関しては経済学研究科との連携をはかっている。また、問題解決型のケースメソッドを重視し、ケース分析演習・経営情報処理演習科目での発表と討論、国内と韓国でのインターンシップ研修、そして修了研究論文の提出と発表を義務付けている。教材は既存のケースメソッドの活用と、本学が独自に作成している教材を活用している(農業版MOTケースメソッド集として出版予定)。
特別の課程は定員10名程度(受講料15万円)としているが、受講希望者が多く22・23年度ともに12名を受け入れている。授業は夜間開講(18時~21時)を原則とし、土日等を活用した学外研修、夏季休暇中の韓国での海外研修を実施している。演習や個別指導を行う教員は専任教員3名と特任教員2名の合計5名の教員が担当している。これらの担当教員に加え、副学部長(教育担当)、大学院教育委員・FD委員を含めて農業版MOT教育ステアリング委員会が、プログラムの企画を行い、佐賀県における産学官連携包括協定に基づいて設置した「佐賀大学大学院農学研究科農業版MOT教育連絡協議会」を通して、地域社会・産業界・行政との連携をはかっている。
平成22年度は12名全員が優秀な成績で修了し、自己の農業経営の改善、自社の食品流通加工ビジネスの高度化、リタイア後のベンチャービジネス(きっず農業公園)などに取り組み、修了生同士での地場農産物の加工・販売・ブランド化を目指す6次産業化を志向するグループも生まれている。修了生は、「佐賀大学アグリ・マイスターの会」を設置し、修了後の交流や大学との連携を継続し、履修証明の社会的通用性の向上に繋がるフォローアップ教育の場として活用を進めている。
農業・農業関連産業・地域社会のニーズを的確に判断し、受講者ニーズを踏まえたケースメソッドの開発を強化し、受講希望者が通学エリアを超えた全国的スケールに広がりつつあるため、他大学・関係機関との連携によるケースメソッドの共同開発とe-learningの導入による教育プログラムの高度化と汎用化を計画している。
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