私立学校法の一部を改正する法律等の施行に伴う財務情報の公開等について(通知)

16文科高第304号
平成16年7月23日

文部科学大臣所轄各学校法人理事長 殿
各都道府県知事

文部科学省高等教育局私学部長
金森 越哉

  「私立学校法の一部を改正する法律(平成16年法律第42号)」等の施行については、平成16年7月23日付け16文科高第305号により、その趣旨、概要及び留意すべき事項について通知したところですが、改正後の私立学校法(以下「法」という。)第47条の規定に基づく財務情報の公開に係る書類の様式参考例等については下記のとおりですので、十分に御了知の上、適切な事務処理をお願いします。
   また、都道府県知事におかれては、所轄の学校法人及び法第64条第4項の法人に対して周知を図るとともに、指導に当たっては、各学校法人の設置する学校の種類や規模等に応じ、十分に配慮されるようお願いします。

1.財務情報の公開について

(1)閲覧に供することが義務付けられる書類の様式参考例等について

  • ア 今回の法改正により、閲覧に供することが義務付けられる書類は、次のとおりであること。
    1.財産目録、2.貸借対照表、3.収支計算書、4.事業報告書、5.監事による監査報告書
  • イ 収支計算書は、基本的に資金収支計算書及び消費収支計算書がこれに該当するものであること。
      なお、複数の学校を設置している場合等、必要に応じ、学校ごとの内訳を示すなど積極的な取組が望まれること。
  • ウ 財産目録、貸借対照表、収支計算書については、別添1~3(PDF:109KB)のとおり様式参考例を定めたので、各学校法人におかれては、これらを参考とされたいこと。
      なお、学校法人会計基準(昭和46年4月1日文部省令第18号)に従い貸借対照表及び収支計算書を作成している学校法人にあっては、これらを閲覧に供すれば足りること。ただし、この場合は、同会計基準による様式は補助金交付の観点からの表示区分となっているものである旨を注記等により示すことが適当であること。
  • エ 法第26条第3項に規定する収益事業に係る財務書類についても、閲覧の対象となるものであること。これらの財務書類については、その事業に応じて適宜作成されたいこと。
  • オ 今回、新たに事業報告書の作成を義務付けたのは、財務書類だけでは、専門家以外の者に容易に理解できない場合が多いと考えられることから、財務書類の背景となる学校法人の事業方針やその内容を分かりやすく説明し、理解を得るためであること。
      事業報告書については、法人の概要、事業の概要及び財務の概要に区分し作成することが適当であり、別添4(PDF:40KB)のとおり記載する事項の例示を記載例として定めたので、各学校法人におかれては、これを参考としつつ適宜作成されたいこと。
  • カ 監事による監査報告書の内容については、各学校法人の規模や実情等に応じ各監事において適切に判断し作成されたいこと。
  • キ 法第47条第2項の規定に違反して、ア1~5の書類の備付けを怠り、又は記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたときは、法第66条第4号の規定により罰則の対象になること。
  • ク 次官通知(平成16年7月23日付け16文科高第305号)第三(2)2のとおり、法律による義務付けの内容に加えて積極的に外部へ情報提供を行う場合の財務書類の記載内容については、各学校法人において適宜判断されたいこと。

(2)閲覧の対象者等について

  • ア 法第47条の規定による閲覧の対象者は、「当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人」であること。
      ここにいう「利害関係人」とは、在学者のほか、学校法人との間で法律上の権利義務関係を有する者を指すものであり、具体的には、例えば、
    1. 当該学校法人の設置する私立学校に在学する学生生徒やその保護者
    2. 当該学校法人と雇用契約にある者
    3. 当該学校法人に対する債権者、抵当権者
      等がこれに該当すること。
      したがって、例えば、当該学校法人の設置する私立学校の近隣に居住する者ということのみでは、利害関係人には該当しないこと。
      また、当該学校法人の設置する私立学校に入学を希望する者については、当該学校法人において、入学する意思が明確に確認できると判断した場合等には、利害関係人に該当すると考えられること。
      なお、これら法律による閲覧請求権が認められる者以外の者に対しても、各学校法人の判断により、積極的な情報公開の観点から、柔軟に対応することが望ましいこと。
  • イ 閲覧請求があった場合でも、「正当な理由がある場合」には、閲覧を拒むことができること。
      この「正当な理由がある場合」とは、具体的には、例えば、
    1. 就業時間外や休業日に請求がなされた場合等、請求権の濫用に当たる場合
    2. 当該学校法人を誹謗中傷することを目的とする場合等、明らかに不法・不当な目的である場合
    3. 公開すべきでない個人情報が含まれる場合
      等が考えられること。
      この「正当な理由がある場合」に該当するか否かは、個別の事例に応じ、各学校法人において適切に判断すべきものであるが、積極的な情報公開の観点から慎重に判断することが望ましいこと。
      なお、「正当な理由がある場合」に該当する場合であっても、例えば個人情報が含まれる部分を除いて閲覧に供すれば問題が生じないと考えられる場合には、当該部分を除いて閲覧に供するなど、積極的な対応を工夫すべきであること。

(3)小規模法人への配慮等について

  各学校法人におかれては、法律に規定する内容に加え、設置する学校や法人の規模等それぞれの実情に応じ、より積極的な情報提供に自主的に取り組むことが期待されること。
  また、学校法人の規模や実情等が様々であることにかんがみ、各都道府県において所轄の学校法人に対して指導を行うに際しては、小規模法人に過度の負担とならないよう配慮されたいこと。

(4)その他

  • ア 文部科学省としては、今後とも、大臣所轄学校法人の財務情報の公開状況を継続的に調査し、その結果を公表する予定であること。
  • イ 学校法人会計基準の見直しについては、本年3月31日の「今後の学校法人会計基準の在り方について(検討のまとめ)」(学校法人会計基準の在り方に関する検討会)を踏まえ、改正について検討中であり、これについては別途通知する予定であること。

2.登記について

  • ア 今回の改正により、原則として理事長のみが代表権を有することとなり、理事長以外の理事については、寄附行為の規定により代表権を付与された場合にのみ代表権を有することとなること。したがって、例えば、従前は特段寄附行為による代表権の制限を行わず理事全員が代表権を有していた学校法人が、改正後も引き続き理事全員に代表権を付与したい場合には、寄附行為に理事全員に代表権を付与する旨の定めを設ける必要があること。
      なお、理事長以外の理事の代表権の在り方については、各学校法人においてそれぞれの実情等に応じて適切に判断されたいこと。
  • イ 登記については、従前は代表権の有無にかかわらず理事全員を登記することとされていたが、今後は理事長及び代表権を有する理事のみを登記することとなること。
      また、代表権を有する理事についてその代表権の範囲に限定がある場合には、その範囲についても登記することとなること。
  • ウ 具体的な登記事項の変更に当たっての参考に資するよう変更例を添付別添5(PDF:50KB)しているので適宜参照されたいこと。

本件担当

  • 財務情報の公開について
      私学部参事官付財務調査係
      03‐5253‐4111(代表)(3328)
  • 登記について
      私学部私学行政課企画係
      03‐5253‐4111(代表)(2533)

お問合せ先

高等教育局私学部参事官付

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