3.基本金の取崩し:文部科学省
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3.基本金の取崩し

3.基本金の取崩し

3‐1 基準第31条と基本金の取崩し

Q

  基準第31条では、「学校法人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に定める額の範囲内で基本金を取り崩すことができる。」と規定されていますが、これらに該当する場合であっても、必ずしも取崩しを行わなくてもよいのでしょうか。

A

  「学校法人会計基準の一部改正について(通知)」(平成17年5月13日 17文科高第122号 以下「第122号通知」という。)第三1.(4)なお書きによれば、「第31条各号に該当する場合は、資産を他に転用するなどして継続的に保持する場合のほかは基本金取崩しの対象としなければならないこと」とされている。また、同通知第三1.(3)によれば「基本金を取り崩す場合には、教育の質的水準の低下を招かないよう十分に留意する必要があること」とされている。
  したがって、教育の質的水準の低下を招かないよう十分に留意している限りにおいて、基準第31条各号に該当し、これに該当する資産等を継続的に保持しない場合には当該基本金は取崩対象額となり、第1号基本金から第4号基本金の各号ごとに、基本金の取崩対象額が組入対象額を超える場合には、その差額を取り崩すこととなる。
  なお、例えば学部又は学科を廃止した場合であっても、当該学部又は学科で使用していた資産を他の学部又は学科等の教育研究活動に転用するなど、今後も当該資産を継続的に保持する場合あるいは除却又は売却した資産と同一種類の資産を再取得する場合には、これに該当する基本金は取崩対象額とすることなくそのまま維持する。

3‐2 基本金の取崩しの対象となる金額の把握について

Q

  基本金の取崩しの対象となる金額はどのように把握すればよいのでしょうか。

A

(1)取崩対象額の把握

  基準第31条の規定により、学校法人は、次のいずれかに該当する場合には、次に定める額の範囲内で基本金を取り崩すことができるとされている。

  1. その諸活動の一部又は全部を廃止した場合、その廃止した諸活動に係る基本金への組入額
  2. その経営の合理化により第1号基本金対象固定資産を有する必要がなくなった場合、その固定資産の価額
  3. 第2号基本金対象資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった場合、その金銭その他の資産の額
  4. その他やむを得ない事由がある場合、その事由に係る基本金への組入額

  これらの要因により把握された金額は基本金の取崩対象額となり、第1号基本金から第4号基本金の各号ごとに、取崩対象額が組入対象額を超える場合に、その差額を取り崩す。
  なお、第122号通知によると、4のその他やむを得ない事由がある場合とは、地方公共団体等による土地収用など、学校法人の自己都合による資産の処分ではなく外的要因によるものが該当するものとされている。

  (2)基本金の組入れ及び取崩しに係る全体的な流れについては、下図を参照されたい。

  取り崩しの対象

  基本金組入額又は基本金取崩額

3‐3 基本金の取崩しの具体例

Q

  基本金を取り崩すことができる場合とは、具体的にはどのような場合ですか。

A

  (1)第1号基本金を取り崩すことができるのは、基準第31条第1号に定める諸活動の一部又は全部を廃止した場合のほか、同条第2号に定める経営の合理化により固定資産を有する必要がなくなった場合若しくは同条第4号に定めるその他やむを得ない事由がある場合である。
  経営の合理化により固定資産を有する必要がなくなった場合とは次のア.の場合で基本金の設定対象となった資産と同一種類の資産を継続的に保持しない又はイ.の場合で当初に取得した資産の価額まで金額水準を回復する予定がない場合が該当する。これらによる基本金の取崩対象額が他の第1号基本金の組入対象額を上回る場合には第1号基本金を取り崩すこととなる。

  • ア.所有していた固定資産を維持する必要がなくなったとき
  • イ.除却又は売却した資産と同一種類の資産を、当初に取得した資産より低い価額で取得したとき
      具体的には次のような例が挙げられる。
    1. 諸活動の一部又は全部を廃止した場合
      • 学部、学科等を廃止し、又は定員が減少した場合
      • 学生寮事業を廃止した場合
    2. 経営の合理化により固定資産を有する必要がなくなった場合
      • 複数のキャンパスを統合した場合
      • 学生通学用バスを売却したが、今後取得しない場合
      • 校外の研修施設を処分したが、今後は学内施設において研修を行うこととし、今後再取得しない場合
      • パソコン等の備品を購入して所有することから賃借することに変更した場合
      • 校舎等の建替えに要した額が、当初取得価額を下回った場合
      • 年度一括対応によっている機器備品について、除却資産の取得価額より本年度に取得した資産の取得価額の合計額が少なく、今後当該除却資産と同等の金額水準まで機器備品を取得しない場合

  (2)第2号基本金を取り崩すことができるのは、基準第31条第1号に定める諸活動の一部又は全部を廃止した場合のほか、同条第3号に定める金銭その他の資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった場合若しくは同条第4号に定めるその他やむを得ない事由がある場合である。
  金銭その他の資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった場合とは、組入計画の縮小又は廃止を行った場合などが該当する。これらによる基本金の取崩対象額が第2号基本金の他の組入計画による基本金の組入対象額を上回る場合には第2号基本金を取り崩すこととなる。
  具体的には次のような例が挙げられる。

  • 施設設備計画を大幅に見直し、計画規模を縮小した場合
  • 学部設置計画や体育館新築計画を廃止又は変更した場合

  (3)第3号基本金を取り崩すことができるのは、基準第31条第1号に定める諸活動の一部又は全部を廃止した場合のほか、同条第4号に定めるその他やむを得ない事由がある場合である。
  これらによる基本金の取崩対象額が第3号基本金の他の組入計画による基本金の組入対象額を上回る場合には第3号基本金を取り崩すこととなる。
  具体的には次のような例が挙げられる。

  • 奨学事業を縮小又は廃止した場合
  • 教職員の住宅資金借入に係る利子補給事業を見直して廃止した場合
  • 配当金を奨学金に充てるように指定されて受け入れた株式の発行会社が銀行取引停止となり、当該有価証券を評価換えしたことにより資産価額が低下したが、他の資産を追加繰入することなく将来計画を見直す場合

  なお、基本金を取り崩した場合の基本金明細表の記載例は3‐4を参照されたい。

3‐4 学生寮の廃止に伴う除却と基本金の組入れ及び取崩し

Q

  3棟ある学生寮のうち1棟を取り壊しましたが、学生寮を再取得する場合としない場合とでは基本金の処理は異なりますか。

A

  第1号基本金の取崩しについての取扱いは、3‐3(1)に示したとおりであるが、この取扱いについて具体的に示すと次のとおりである。

(1)除却又は売却した資産と同一種類の資産を再取得する場合
  1. 資産を再取得するまで基本金を繰り延べる。
  2. 基本金の取崩対象額が組入対象額を下回る場合、その差額を組み入れる。
  3. 基本金の取崩対象額が組入対象額を上回る場合、その差額を取り崩す。
(2)除却又は売却した資産と同一種類の資産を再取得しない場合
  1. 基本金の取崩対象額が組入対象額を下回る場合、その差額を組み入れる。
  2. 基本金の取崩対象額が組入対象額を上回る場合、その差額を取り崩す。
      なお、基本金明細表の記載上の留意点は次のとおりである。
    • 当年度の組入れ、取崩しの内訳を記載し、基本金の各号ごとに計算して組入れが多い場合は「当期組入高」、取崩しが多い場合は「当期取崩高」として記載する。
    • 第2号基本金から第1号基本金への振替については、上記の計算に含めることなく「当期組入高」の中で取り扱う。
    • 各号の「当期組入高」を合計した額が合計欄の「当期組入高」と一致し、各号の「当期取崩高」を合計した額が合計欄の「当期取崩高」と一致する。
        これらの処理について、基本金の設定対象となった学生寮(取得価額1,000)を除却した場合について具体例で示すと次のようになる。
(1)除却又は売却した資産と同一種類の資産を再取得する場合
  1. 学生寮を再取得するまで基本金を繰り延べる。
    1.表イメージ
  2. 除却した資産の取得価額以上の価額で再取得する学生寮のほか、本年度中に取替更新により取得した教育研究用機器備品があり、その取得価額(2,000)は除却資産の取得価額(500)とこのほかに除却した車両の取得価額(1,000)の合計額を上回ったため、その上回った額(500)に相当する基本金を組み入れる。
    2.表イメージ
  3. 再取得を予定している学生寮の価額は800であり、除却した学生寮の取得価額(1,000)を200下回っている。また、本年度中にこの他に取替更新により取得した教育研究用機器備品の取得価額(1,500)は除却資産の取得価額(2,000)を下回ったが、その下回った額の合計額(700)については資産を再取得しないため、借入金の返済に伴う過年度未組入れに係る組入れ100との差額(600)について基本金を取り崩す。
    3.表イメージ
(2)除却又は売却した資産と同一種類の資産を再取得しない場合
  1. 他の種類の資産の取得に係る基本金の組入対象額(1,200)があるときは、取崩対象額(1,000)を上回る額(200)を基本金に組み入れる。
    1.表イメージ
  2. 他の種類の資産の取得に係る基本金の組入対象額(700)が取崩対象額(1,000)を下回るので、その差額(300)が第1号基本金の取崩額となる。
      なお、第2号基本金の計画廃止は800であり、当年度組入計画は500である。
    2.表イメージ

3‐5 体育館改築計画の廃止と第2号基本金の取扱い

Q

  体育館改築計画に基づき、第2号基本金の組入れと特定資産の積立てを実施してきましたが、本年度においてこの計画の廃止を決定しました。この場合、この第2号基本金はどのように処理すべきでしょうか。

A

  固定資産の取得計画に基づき、第2号基本金の組入れと特定資産の積立てを行う場合には、具体的かつ確実な計画に基づいて慎重に実施されるべきであり、安易な計画によって実施することは慎まなければならない。
  しかし、計画の見直しにより質問のような事態に至った場合には、当該特定資産及び第2号基本金はその意義を失うこととなり、基本金の取崩対象額が把握される。
  なお、計画の見直しを行い、計画の縮小又は廃止を決定した場合の「第2号基本金の組入れに係る計画表」においては、計画を変更した旨の記載を行い、「基本金組入計画及びその実行状況の摘要欄」に基本金の取崩し対象としたことを記載することとなろう。
  この処理について、計画廃止1,000のほか、校舎完成3,000に伴う第2号基本金から第1号基本金への振替が2,000、他の計画による第2号基本金の当期組入れが1,800あった場合を具体例で示すと次のようになる。
表イメージ

3‐6 第3号基本金の事業縮小と取崩し

Q

  経済環境の変化に伴い、運用果実による奨学事業を縮小しました。このような場合、第3号基本金はどのように処理すべきでしょうか。

A

  寄付者又は学校法人の意思に基づき、元本を継続的に保持運用するために基本金の対象とされ組み入れられた第3号基本金は、本来取り崩すべきものではない。
  しかし、質問のような事情の中で、寄付者等の意思を損なわず、教育水準の質の低下を伴わないような奨学事業の見直しを行い、基金を縮小した場合には、縮小した金額に相当する第3号基本金引当資産及び第3号基本金はその意義を失うこととなり、基本金の取崩対象額が把握される。
  なお、計画の見直しを行い、事業の縮小又は廃止を決定した場合の「第3号基本金の組入れに係る計画表」においては、計画を変更した旨の記載を行い、「基本金組入計画及びその実行状況の摘要欄」に基本金の取崩し対象としたことを記載することとなろう。
  この処理について、第1号基本金で組入れが3,000あり、第3号基本金において国際交流基金の新設が1,000、○○奨学基金の縮小が2,000あった場合を具体例で示すと次のようになる。
表イメージ

3‐7 取替更新と部門別把握

Q

  基本金は、諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、部門別に組入れを行うことになっていますが、基本金を取り崩すかどうかの判断、すなわち今後資産を継続的に保持するかどうかの判断も部門別に行うのでしょうか。

A

  基本金要組入額は、原則として基本金の設定対象資産と結び付けて算定され、基本金の組入計算も各法人の実態に応じて部門別に行うこととなっていることから、基本金の取崩しについても原則として部門別に判断することとなる。
  しかし、基本金の設定対象資産を複数の部門で共用したり、使用する部門が変更されることもあるため、学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を法人全体をもって判断し、継続的に維持すべき金額を基本金としている場合には、基本金の取崩しについても法人全体をもって判断することも認められよう。
  このことを具体例で示すと次のとおりである。

  第1号基本金の設定対象機器備品の部門別増減表
第1号基本金の設定対象機器備品の部門別増減表

  上記のほかに第2号基本金について○○大学で計画の廃止が10、○○短期大学で新たな計画が20あり、第3号基本金について○○大学で奨学基金の廃止が30、○○短期大学で基金の新設が10あるものとした場合の号別の増減表
増減表

(1)資産を継続的に保持するために維持すべき金額を、部門別に判断している場合

  第1号基本金

  1. 法人部門:組入れ 10 (10-0)
  2. 大学部門:組入れ 100 (200-100)
  3. 短大部門:取崩し マイナス20 (30-50)

  第2号基本金及び第3号基本金
  それぞれの増加額又は減少額が、組入れ又は取崩しとなる。

   他の号も含めた消費収支内訳表の記載例
他の号も含めた消費収支内訳表の記載例

  基本金明細表の例
基本金明細表の例

(2)資産を継続的に保持するために維持すべき金額を、法人全体をもって判断している場合

  この場合、部門別の組入額及び取崩額は、合理的な基準により按分計算しなければならない。
  記載例における按分計算の前提
  ○○大学と○○短期大学は資産を共有しており、その使用割合を3対2と仮定して按分している。また、奨学基金も共通の基金として運用しており、その使用割合を3対1と仮定して按分している。

   第1号基本金
  全体:組入れ 90 (240-150)

  1. 法人部門:組入れ 10 (10-0)
  2. 大学部門:組入れ 48 (90-10)×3÷5
  3. 短大部門:組入れ 32 (90-10)×2÷5

  第2号基本金
  全体:組入れ 10 (20-10)

  1. 大学部門:組入れ 6 (20-10)×3÷5
  2. 短大部門:組入れ 4 (20-10)×2÷5

  第3号基本金
  全体:取崩し 20 (10-30)

  1. 大学部門:取崩し 15 (10-30)×3÷4
  2. 短大部門:取崩し 5 (10-30)×1÷4

   他の号も含めた消費収支内訳表の記載例
他の号も含めた消費収支内訳表の記載例

   基本金明細表の例
基本金明細表の例

3‐8 公道として提供した土地に係る基本金について

Q

  校地の一部を無償で公道に提供した場合、基本金はどのようにすればよいでしょうか。

A

  公道として提供した土地が学校の教育活動に支障を生じさせる程度に大きい面積である場合又は学校の設置基準に定める校地面積に相当食込む面積である場合は、代替地を取得する必要があることにかんがみ、譲渡土地に係る基本金は、その代替地に係る基本金とならなければならないので、基本金要組入額及び基本金組入額を減額することは妥当ではない。
  しかし、公道に提供した結果、学校の土地が狭隘となっても教育活動に支障を生じないこと及び設置基準に定める所要面積に不足することがないこと並びに今後代替地を取得しないことを前提条件とすれば、基本金組入れの対象資産である土地勘定の額を減額する会計処理を行った場合には、当該土地の取得価額に相当する金額が基本金の取崩対象額となる。

3‐9 適用初年度における過年度基本金組入れの繰延高について

Q

  適用初年度における過年度基本金組入れの繰延高の処理はどのようにすればよいでしょうか。

A

  第1号通知1(2)によれば、「平成17年4月1日現在有している基本金の繰延額は、学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものを除き、平成17年度決算の基本金取崩しの対象とすること」とされている。したがって、平成17年4月1日現在の「過年度基本金組入れの繰延高」については、継続的に保持するために維持する場合には次年度以降に繰り延べ、継続的に維持する必要がない場合には平成18年3月31日をもって終了する会計年度の基本金の取崩対象額に含めることとなる。

  これらの処理について、「過年度基本金組入れの繰延高」が3,000ある場合について具体例で示すと次のようになる。

  (1)「過年度基本金組入れの繰延高」3,000のうち2,000の金額水準を維持する場合
(1)「過年度基本金組入れの繰延高」3,000のうち2,000の金額水準を維持する場合

  (2)「過年度基本金組入れの繰延高」3,000すべてを維持しない場合
(2)「過年度基本金組入れの繰延高」3,000すべてを維持しない場合

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高等教育局私学部参事官付

-- 登録:平成21年以前 --