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産学連携による実践型人材育成事業-長期インターンシップ・プログラム開発-(平成18年度採択分)の最終評価について

平成24年3月
産学連携高度人材育成推進委員会

 「産学連携による実践型人材育成事業-長期インターンシップ・プログラム開発-」は,これまでの主として就業体験や職業意識の形成を目的としたインターンシップとは峻別し,産学が人材の育成・活用に関して建設的に協力しあう体制を構築することにより,社会の抱える諸問題や産業界の取組を理解し,知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材を育成する,これまでにない新たなコンセプトのインターンシップの開発を目的として,平成17年度から開始された事業である。また,本事業は,自らの専門分野の位置付けを社会的活動全体の中で理解し,現実的課題の中から主体的に問題設定を行い,それに取り組む能力のある「高度専門人材」の育成が必要であるとの大学・産業界双方からの要求に対応するものである。
 今回は,平成18年度に採択された10件の教育プログラムについて,実績報告の内容に基づく書面審査及びヒアリング等による実施状況や成果の確認を行い,各プログラムに対する最終評価を実施した。
 平成18年度採択分は,平成17年度採択分が対象としていた大学の修士課程(博士前期課程を含む。以下同じ)中心の取組に加えて,博士課程(博士後期課程を含む。以下同じ)の取組も対象として公募を行ったものであり,多くの取組において博士課程の学生の参加が見られたことが特徴である。

 最終評価では,所期の計画以上の取組が行われたプログラムが2件,ほぼ所期の計画通りの取組が行われたプログラムが8件であった。

 具体的に,特徴ある取組例としては,

 1.社会的ニーズに合致した高度専門人材を養成する取組として,

  • 学生の研究課題を社会的価値の視点で見直し,かつ社会の要請に応える研究開発によりリーダーシップが発揮できる人材の育成を目指す「研究インターンシップ」を実施(名古屋大学)

 2.グローバル化を図っている取組として,

  • 多様な海外における受入先を開拓し,社会の課題解決型テーマのもと,産学連携による海外インターンシップを実現(東京工業大学)
  • アジアを中心に今後の国際的な発展が期待されるコンテンツ事業分野の知的財産専門家を養成するプログラムを実施(帝塚山大学)

 3.地域の活性化につながる取組として

  • 瀬戸内地域にある企業との密接な連携により,企業周辺にインターンシップサテライトラボを設置し,そこを拠点として企業インターンシップを実施(岡山大学)
  • 大学と地元企業とが有機的に連携するために地元の信用金庫が間に入るという他大学には見られない非常にユニークな教育手法を開発(立教大学)
  • 地域産業の発展を目指して,派遣先として地元企業を主対象に選定した結果,地元企業への学生の就職率が向上(福井大学)

など,産学が連携した多様な取組が展開された。

また,各大学において,プログラムの趣旨を生かしつつ,その運用を工夫し多様な派遣形式を具体化するとともに,派遣先の特徴を考慮したリスクマネジメントが見られたことも評価できる。これらの実施事例は,今後,我が国の大学が長期インターンシップ・プログラムを普及展開していく上で,大いに参考になるものである。

 一方,本事業を通して見えてきた共通的な課題としては,

  • 長期インターンシップなど産学が連携した取組について,その重要性や意義を理解し推進する教員はいまだ少数にとどまっており,大学としてのリーダーシップの発揮と,より多くの教員の理解・協力が必要であること。
  • 大学によっては修士課程と博士課程で人材育成目標が同じであるなど,育成すべき人材像が具体化されていないケースが見受けられたこと。
  • 参加学生が必ずしも多いとは言えない大学が散見されたこと。
    市場のグローバル化,特にアジア地域におけるものづくり拠点の急速な発展や,技術者に求められる役割と社会に対する説明責任への対応という,社会の変化に対応したカリキュラムの工夫や進化が必ずしも十分とは言えないこと。
  • プログラム参加学生と不参加の学生で,就職後の企業の評価や博士課程への進学率に違いが見られるのか等の検証が不足している大学が散見されたこと。
  • 特に地方においては,大学単独で産業界と連携を拡大していくことが容易ではなく,地域の他大学や自治体と共同で,産業界との連携拡大を図っていく必要性が感じられること。

などが明らかになった。

しかし,産学が将来の日本を担っていく人材育成に関して建設的に協力しあう体制を構築し,社会の抱える諸問題や産業界の取組を理解し知識基盤社会を多様に支える高度で素養のある人材育成のための新たなコンセプトのインターンシップを開発するという,本事業の所期の目的は,以下の点から達成したと言える。

事業に参加する学生数が年度を追って増加する傾向にあったこと
派遣先の企業数が年度を追って増加したこと
補助期間終了後も各大学において継続して事業を実施していること
取組によって育成すべき目標とした人材像に適した産業界への就職者が多く見られたこと

 また,事業に関わった学生・大学・企業それぞれの立場から,以下の評価が寄せられている点は,本事業が学生・大学・企業それぞれにとって有益であったことを示していると言える。

  • 参加学生からは,自身の専門・研究が社会や周辺専門分野とどう関連しているか意識するようになったと評価されていること
  • 大学(指導教員等)からは,大学教育に対する社会の要請の具体的内容が把握できたことや,参加学生の顕著な成長が評価されていること
  • 企業からは,大学との共同研究が進展したこと,社員の教育にも繋がったこと等の評価が出ていること

 採択大学においては,今後も,事業の趣旨を理解され,最終評価結果を踏まえた効率的・効果的な取組や,本事業を通じて開発したプログラムの普及・発展に向けて取り組んでいくことを期待したい。

 平成17年度から6年間に渡って実施された本事業を総括すると,本事業が開始された当初と比較して,我が国を取り巻く環境は大きく変化した。特に韓国,中国等東アジア諸国が躍進し,かつての海外生産拠点の国が消費国ともなる中で,我が国におけるものづくりの在り方も再考が求められている。各大学は,本事業の人材養成のプログラムを実施していく中で,このような潮流を社会の抱える問題と捉え,産業界と連携し,取組の位置付けや重点を所期の目的から発展させ,社会の変化を見据えた人材の養成へと進化させていった点は評価できる。
 最後に,長期インターンシップ・プログラムには特色ある多様な取組があることから,各大学においては,大学のホームページ等への掲載や,様々な発表の機会を通じて,その取組の内容や,得られた成果を積極的に他大学や産業界と共有していくことを期待したい。そのことにより,今後我が国の大学が直面するであろう社会的・国際的な大きな変化に対応していく際に,本事業による経験がその変化への対応の一つの指針となるよう期待するものである。

 

総合評価結果

1 総合評価結果

総合評価

件数

S:所期の計画を超えた取組が行われた

2件

A:所期の計画と同等の取組が行われた

8件

B:所期の計画以下の取組であるが、一部で当初計画と同等又はそれ以上の取り組みもみられる

0件

C:総じて所期の計画以下の取組である

0件

10件

 2 総合評価内訳

S:所期の計画を超えた取組が行われた

大学名

プロジェクト名

名古屋大学

研究開発リーダーを育てる派遣型実践教育

岡山大学

エンジニアリングデザイン能力の養成プラン
-瀬戸内圏企業と協同した実践的キャリア形成-


A:所期の計画と同等の取組が行われた

大学名

プロジェクト名

群馬大学

企業から期待されるナノテク技術人材の育成

東京工業大学

社会共生型創発力を育む産学連携実践教育

福井大学

地域産業との連携による派遣型高度人材育成

信州大学

長寿長野を支える機能性食品の開発人材養成
-地元企業と連携した高度専門技術と経営感覚の統合教育-

豊橋技術科学大学

社会環境即応型リーダー技術者育成プラン
-MOT指向生産システム技術科学教育によるリーダー人材の養成-

徳島大学

経営センスを有するπ型技術者の協働育成

立教大学

派遣型ビジネスクリエーター養成プログラム

帝塚山大学

マルチプレイ型コンテンツ知財専門人材育成

 

各大学のプロジェクト別最終評価結果

平成18年度選定教育プロジェクトの詳細(各大学のホームページへのリンク)

平成23年度 産学連携高度人材育成推進委員会 委員

委員名

所属等

有信  睦弘

国立大学法人東京大学監事

今成   真

元三菱化学株式会社常務執行役員

加藤  敏明

共通教育推進機構教授

(委員長)
北澤  宏一

独立行政法人科学技術振興機構顧問

神野  清勝

豊橋技術科学大学理事・副学長

松宮   徹

新日本製鐵株式会社顧問

村田  朋美

独立行政法人科学技術振興機構アドバイザー

山野井 昭雄

元味の素株式会社顧問

若見   昇

広島工業大学情報学部知的情報システム学科教授

計9名

 (平成24年3月現在)

 

最終評価の主な流れ

平成23年11月~12月

産学連携高度人材育成推進委員による書面審査の実施

平成24年1月26日、27日

ヒアリング審査の実施
(産学連携高度人材育成推進委員会)

平成24年2月16日

最終評価結果の審議
(産学連携高度人材育成推進委員会)

平成24年3月

最終評価結果の決定、
文部科学省ホームページで最終評価結果の公表

お問合せ先

高等教育局専門教育課

教育振興係

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-- 登録:平成24年03月 --