高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育に関する検討会議(第7回)議事要旨

1.日時

平成24年1月26日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

(委員)
水谷座長、荒木委員、安藤委員、石原委員、伊藤委員、江副委員、奥田委員、加藤委員、岸澤委員、武田委員、田村委員、西澤委員、西原純子委員、西原鈴子委員、林委員、福田委員、堀江委員、堀委員、山口委員、山本委員

(関係省庁)
法務省、外務省、経済産業省

(文部科学省)
松尾学生・留学生課長、早川文化庁国語課長 他

4.議事録

(1)配布資料について、事務局より説明があった。
(2)以下のとおり議論がなされた。

(○:委員、●:事務局)

○第一次まとめ以降の検討状況全般については、資料1にあるとおり。それから、個別の項目について座長案として提案するものが資料2から資料5となっている。議論は資料1の項目順に、個別の資料を用いながら進めたい。資料2「新規審査の枠組み(案)」について、御意見を伺いたい。

○在留資格認定証明書交付申請後に告示を行うということは、確かに日振協前はそうだったが、そうすると、学生、申請者は認定されていない学校に申請を行うということになる。このことは当面の措置ではなく、今後このような形を日本としてはとっていくということになると思う。
 そうなると、申請者は認定されていない学校に申請をするという形をずっと今後も引き継いでいくのは、どうしてもおかしい気がする。やはり先に認定を出す形はできないのか。

●従前、日本語教育振興協会の審査状況を参考にし、あらかじめ告示をしていたが、告示の行為がそもそも法定化されていないということで、その契機をどうするかと考え、在留資格認定申請が告示を求める行為の契機になるだろうという法的な整理のもとに、今回この手続を行っている。
 新規校についてはまず地方入国管理局で相談を受け、それに基づいて法務省で調査、あるいは文部科学省、文化庁に意見聴取を行い、その結果を事前に案内している。この案内は、基本的には告示であるところの条件はクリアしているという内容で、それは確かに委員が言われるとおり、外国の学生にはわかりづらいのではないか、例えば募集の後に告示されなかったらどうするかという問題等があるが、先に説明したとおり、法的な整理の関係で現状では暫定的というか、こういう枠組みの中で法務省としてはやっていきたいと考えている。

○これは新規校にかかわることなので、既存校については関係なさそうに見えるが、新規校が募集活動を行うときに、告示校かどうかというのは判断する上で非常に重要である。ところが、今の枠組みでは告示校でないので、新規校が海外で学生を募集することがほぼ不可能に近くなる。例えば具体的に何かの協定を結ぶ等ということがあればいいかもしれないが、それはごく一部でしかないかもしれない。
 それから、学生がいるということが告示の条件になるのであれば、既に日本国内にいる日本語教育機関の在籍者をいろいろな優遇措置をとって転校生として受け入れる。そうするとその対象になるわけだが、逆に学生の動き、既存校についても影響を与えるような気がする。
 ですから、その点では例えば法務省入国管理局に申請中であるとか、内示を受けたということを対外的に公表できるような仕組みをつくれば、ちょうど学校が新設のときに認可申請中、いついつからはできるという形になると思うので、それに準ずるような形をとれば、既存校、あるいは新規校についてももっと自由というか、広い募集活動も可能になって、留学生の受け入れにはプラスになるのではないかと思う。

●今の委員の意見は、法務省でも参考にしたい。現行は案内書として、告示校の条件に現状では問題ないというものを渡しているが、これは各国語に訳されたものでもなく、先ほど申しました法的な条文に基づいた手続ではないので、法務省がクレジットをつけたような形の文書ではないが、何らかの形で示していく。以前の会議の中でも、例えば法務省がそういう学校から相談を受けていることを公表したらどうかという意見もいただいた。これは、今後委員の意見も参考にして、検討させていただきたい。

○審査の基本的な枠組みのところで、従前のような形で具体的な実際の審査を外部の機関等にアウトソースするということについては、あえて触れていないのか。それとも、全く別の方向性を今は目指しているのか。

●もちろん事務負担上行政で全部やり切るわけではないので、一部事務について外の団体の力もお借りすることはあり得るが、今後は行政が責任を持ってやっていくという意味である。行政の権限と責任でやらせていただく中で、部分的にお手伝いいただくということはあるが、過去のように行政から日振協という団体にいわば丸々お願いしてやっていただくという体制は、今後はとらないということである。

○今の話に関連して、この文章は法務省と文科省が協力すると書いてあるが、実際に事務手続上まず申請はどこへ出すのか、それを法務省と文部科学省が協力して審査するということだと思うが、法務省と文部科学省の間でどういう手続でやるのか、審査の結果は結局法務省に返ってきて、法務省がオーケーして告示を出すのか、その辺の手続をもう少し明確に書いてはどうか。

●この書き方については、工夫したいと思うが、今委員が言われた件については、ビザの告示については一義的に法務省の担当であるので、基本的には地方入国管理局、法務省に申請を出し、法務省と文部科学省で中身について確認させていただく。
 文部科学省は、法務省からの依頼を受けて、教育についてのあり方が適切かを見て、法務省に返し、結果については法務省から日本語学校に通知する。したがって、形式的、外形的なことを言えば、日本語学校とのやりとりは法務省との間で行って、行政内部で文部科学省が協力するというのが基本的な原則である。

○どうしても納得できないのは、中国語だったら中国語の専門学校が開ける、英語だったら英語の専門学校が開けるのに、日本語に関してだけは突如として専門学校が開けない。我が国の言葉が重要な言葉だとみんなが認識していながら、本来のところが全く触れられないまま周辺を整理していこうという考え方が、自分にはどうもいま一つ納得いかない。
 専ら規定の例の専ら居住するという一文だけが、すべてを大混乱させたのではないかという印象がある。今の状態だと、ほかの学習科目をすることの付属で日本語学校をやる場合はオーケーで、常に日本語は脇役というベースの中ででき上がっているが、日本語教育を中心にやっていただきたい。
 日本語学校が何で専門学校になれないのか。ずっと読んでいくと、常に脇役としての日本語学校という位置づけを明確にしようというか、ビザを出そうという、これまでの日振協の仕事をそのままある種引き継いだ形になっているのではないか、むしろ日本語教育は、日本語教育だけで専門学校という枠組みがつくれていいはずではないかと思う。
 要するに、日本語学校をつくろうとして文部科学省に相談に行くと、日本語学校は外国人学校であり、外国人学校は専門学校になれないので各種学校になり、各種学校になると株式会社と同じであると、掘り下げていけばマイナスになってしまうというのが納得いかない。もっと政府は、日本語教育をメインにできるように押し上げてもらいたいという気持ちがある。

○重要な問題であり、今この報告を出す第1段階としては入れにくいかもしれないが、日本の高等教育の中の日本語学科のあり方も含めて考え直す必要がある。
 というのは、対象者から言えば、フランス人向けの日本語学科、英語人向けの日本語学科が学科レベルであるので、むしろ学部のような枠組みを用意しておかなければ、日本語教育の未来の地図は描けないだろうと思っている。だから、大事な問題ではあるけれども、今の問題として入れられるかどうかは事務局にしっかり考えていただき、記録はきちんとしておいて欲しい。

○今の座長のお話に関連して、この報告書のどこかに、日本語教育機関を学校教育法上で位置づけることを検討すべきであるという方向性は何とか示していただきたいと思う。

○それは実は日本の教育の国際的な枠組みづくりの中ではすごく大事なこと思う。方向性をこの時代のこの時期に打ち出したということは歴史的に残るだろうと思う。

●この会議は基本的にまずはビザのことを議論するものであり、委員構成等もあるので、いろいろな会議体でそういうところは議論していただくことが必要だと思う。
 じゃあ、日本に公に問うこととしていいのかどうかというのも、多分いろいろな方の意見を聞かないと、我々としても書くというのもあれなので、表現ぶりはいろいろあると思うんですけれども、まずはビザを片づけていただいて、あとはどこまで書けるかというのはいろいろな方とよく相談していただいてと思っております。ただ、水谷先生も言われたように、今回いただいたのは確実に議事録という形では残りますので、そういう声があるということは公になると思いますので、工夫はしてみたいと思う。

○こういう国政全体、国の教育全体に関わるようなことは中教審でも取り上げて欲しいと思う。
 次に資料3-1「新審査基準(案)」については、校舎に関する基準については第17の3で原則自己所有としつつも、ただし書きとして、特別な事情がある場合について従前の基準と同じとする案1と、自己所有であることを要しないとする案2の2つの案を提案しているが、これについてはご意見をいただきたい。

○もともと文部省から出された基準には、自己所有の要件はなかったと記憶しているが、日本語教育振興協会が改定したときに追加された。1つには、あまりにも日本語学校が安易につくられ過ぎるのではないかというところから、こういうものが加わった。現在は専修学校についても土地、建物はすべて自己所有は求められていないということだが、決定的に違うのは、専修学校であれば設置者が学校法人で、そして、そこのところで縛りがかかっている。ところが、設置者について特に制限しないということになると、だれでもほんとうに簡単につくれて、明日にでもやめられるという、どこにも縛りがかからないということになる。これは、以前の日本語学校の乱立を招きかねないと思う。
 もう一つは、既存の日本語学校にとっても、このような形で次々に安易につくられるということは、非常に大きな迷惑を受けるのではないかと私は思うので、これについては慎重な取り扱いが必要ではないか。ただ、既存校がどうなのか、ダブルスタンダードを認めるのかということについては、何らかの経過措置ということで、当面は現行を認めるが、将来的には厳しい形にすべきではないか。

○質問だが、対照表で見ると、9ページの案2の二の一番下だけに(新規)と書いてある。これについては、第17の3、「新規に開設する」というのは新規校の場合だからわかるが、「位置の変更を行う」という場合も入っている中での案1、案2となっている。では、位置の変更を行う場合は、二は含まれないのか。
 それから、案2の「ただし」の文章の最後の「次のような事例を含むこととする」ということは勉強不足でわからないが、次のような事例であるものしか受け付けないということなのか、例えばこういうことであるということなのか。

●2つ目の質問については、この2点だけが限定的というのではなく、この2点を含めその他いろいろな事情が生じてくると思うので、状況に応じて判断されるものだと思っている。
 1つ目の質問は、確かに8ページの第17の3の「新規に開設する又は位置の変更」は従来の基準、内規にない。ただ、3は「原則として自己所有とするものとする」と原則を書いており、その後ただし書きとして案1と案2の両方が書かれているので、位置の変更の場合も案1になった場合は適用され、案2になった場合も当然適用されるとご理解いただきたい。

○では、新規校かどうかということではなく、新しくつけ加えたという意味で第13の主任教員のところと同じということでよろしいか。
 もともとの9ページの一番右の日本語教育振興協会の審査内規では、「平成7年10月以降新規に開設する又は位置の変更を行う」ということで、ここのところが要するに先ほど指摘されたダブルスタンダードになっている。既存校は、平成7年10月以降は全部自己所有という縛りがあって、それまでの学校については、移転するときにも自己所有しなければならないという縛りはないのが旧の扱いであった。
 ということは、もし平成7年10月以前に設立していて、自己所有でないところが位置の変更をしようとするときには、案1では大きな縛りがかかってしまうので、それが非常にダブルスタンダードだとさっきおっしゃったことだと思う。しかし、そういう学校が数的に何十校かあるわけで、細かい数字は持っていないが、そういうところはおそらくほとんどが平成7年以前に設立されたので、20年前後は安定的、継続的にやっている。そういう現状を考えると、ダブルスタンダードというより、そういった現状を踏まえる必要があると思う。
 そういう意味では、私は案2のほうがいいと思うが、先ほど言ったように、案2でいくと日本語学校の乱立ということが出てくる。ですから、経過措置として、平成7年10月以前にできた学校が位置変更する場合への配慮をここに入れる必要があるのではないか。具体的には、基本的には自己所有であるけれども、平成7年10月以前のところが位置変更する場合については、先ほどあったような安定性、継続性が担保されるということであるのならば、それを認めるということが足される必要があるのではないかと考える。

●基本的に新規については厳し目に自己所有、したがって案1。ただし、平成7年以降既に15年くらい経っている日本語学校の位置変更等については、経済的な安定性、継続性が担保できることを前提に、自己所有でなくても認めるというただし書きで経過措置を足す。基本的に、新規の申請については案1でという理解でよろしいか。

●理屈としては、平成7年9月以前のものを決して特別扱いするわけではなく、それはそれで今平成24年なので既に15年以上継続したという歴史を踏まえて、特別措置というか別の扱いをしてもいいのではないかというご意見でよろしいか。

○学校経営に当たる人物なり機関等のスクリーニングのためのハードルとして自己所有の物件を持つことを求める。のは、教育に限らずいかがなのかなという思いが若干ある。そのほかのところでスクリーニングするためのハードルを設けるべきではないか。ただ、例えば東京都等の大都市圏では土地、建物は非常に高価になるという現実がある。
 それはどうことかというと、過去にも一部それが原因で問題になってしまった学校があったように聞いているが、例えば非常に高邁な理念と志を持ってやりたい、だけどお金がないという人たちをつぶしてしまうのはいかがか。あまり青臭い議論をここでする必要もないが、そういう中で、例えばあまりぎちぎちにやらずに、学校教育法上の最低限の学校法人認可の床面積は大分減ってきて、ハードルが下がっているわけですが、一定の基準の大きささえ満たせばできることを明確にすべきかどうかということ。
 もう一つは、借地等について、その場合特に大きな条件はついていなかったと記憶しているので、一定のものを借り上げて、一定の割合これに充てることができる。そうすれば、その中で増員を図っていって、資金的余裕ができればそれを買い取って校舎を増やしていって、健全な発展が望めるのではないか。あるいは、逆にショックアブソーバーとして、今回の3.11以降の事態のように学生数が減じてしまった場合は、それをとにかく返して縮小して、身の丈に合った教育に一旦戻って耐え忍ぶという形ができるとか、いろいろな方向を考えられると思う。
 附則のようなものでやっていくべきか、あるいはここできちっとその辺に踏み込んで具体的に基準の中に盛り込んでいくべきなのか。私は、その辺は検討の上で考慮して盛り込んでいくのが筋と考えるが、いかがか。
 自己所有するべきものについて、まず最低限の床面積で、これについては、さっき言ったハードルであるのなら、あるいは最低限の教育を提供するのに必要だというのであれば、それを明記するのかどうか。もう一つは、一定の割合部分を借り上げる土地、建物で充てることができるようにするかどうかということ。

●現在の案では、第17と18を合わせて読むと、最低115平米で基本的には自己所有である。賃貸を認める場合であっても、どれぐらいの範囲にとどめるべきというのが必要であれば、盛り込むことはできるが、こちらでは専門的知見を持ち合わせていないので、委員で議論いただきたい。

○どの制度にしていくかということは、最終的にきちんと方針を決めていかなければならないと思うが、今のようなところまでという意見があったということはお受けしておきたい。

○教員のところで、420時間の研修とあるが、420時間というのがひとり歩きしている。養成講座についてただ単に時間だけでよろしいのかどうか。420時間の中身をもう少しガイドラインのところで書いていただかないと、20年前に逆戻りしてしまうような感じがする。

○420時間は以前のものが生き残っている。それはいいとすれば説明が必要だし、必要がないとすれば消してしまったほうがいいかもしれない。

○同様に副専攻についても、当初の副専攻とその後カリキュラム等が自由になった段階の副専攻は全く違うので、このあたりについてもご検討いただきたい。

○今の教員の資格等については、ガイドラインの第14にある。また、日本語教育振興協会の内規に420時間等もあるが、これは今から20年前、平成12年度に大学の副専攻26単位に相当するものとしてとりあえず置かれたものであり、このことや日本語教育機関、日本語学校の教員の資格云々を全般的に、もう一度専門委員を立てて議論していくことが必要ではないかと思う。今の420時間だけではなく、学歴、高等学校、その他いろいろな問題があるので、ぜひとも専門的な委員を立てて新たに議論していただくということを提案したい。

○多分これは国語課の仕事になっていくのではないかと思うが、資格の基準の根本的な問題の洗い直しをしなければならないと思う。

●座長より新審査基準ガイドラインにおける420時間についての専門的な検討は国語課という話があった。決してこちらはやらないという話ではないが、射程距離はあくまでも在留資格、留学のかかわりの中での審査基準なので、あくまでもそこは当会議において議論いただくというのが筋であろうと考えている。

○むしろ全体で教員養成の問題として、どういう能力と資格を目安とするかということをどこかでやり直す必要がある。数字を消してしまったために、目標が立てられない。だからいろいろなところで困って、420時間を使って実際の仕事をしようとなっていると思う。
 それから、新審査基準の中で今ご指摘を受けたが、専任教員に関し当分の間3分の1以上とするということについても、ご意見を伺いたい。

○当分の間のこの規定だが、かなり当分の間が過ぎてしまっているので、緩める形じゃなくてもとの形に戻す、教員の数については最初の規定に戻した形で各学校で用意していただくのが適当ではないか。今その時期に来ているのではないかと考える。

○現状の日本語学校は過去3年間学生がどんどん減少して、昨年の3.11以降学生そのものが減少している。確かに歴史的な時間も相当たったというのは理解できるが、今の円高の状況も考えて、自分の学校というより日本語学校全体がこんなに沈んでいるときに、我々に補助金があるのであれば理解できる。我々は先生たちを何とかしたいと思っている。ほんとうに一生懸命経営努力をしているが、外的要因によるマイナスは個々の学校のレベルで復活のしようのないところまで今来ている気がする。
 世界の語学学校の授業料の中で、日本語教育は一番安く最下位である。こんなに安い授業料でやっている現状を考えると、規則ばかりを厳しくするのはいかがか。

○やはり3分の1がいいと思う。私も過去15年から20年全部うちの数字を見てみたが、4年おきぐらいに上がったり下がったりというのがずっと繰り返されいる。それが日本語学校で、世界中の語学学校は同じ宿命である。これについて、さっき江副先生がおっしゃったように、何か助成のような確定したものがないのであれば、保障するところは自分のところでしかない、そこで乗り切るしかないと考えると、常にリスクヘッジできる形にしておかなければいけない。そうすると、専任が2分の1というのはとても無理だと思う。

○何か注釈が要るかもしれない。例えば3分の1という限定はつけるけれども、将来どうするかということはあり得る。数値は、どうしてもそれでみんな動くので、3分の1でいいとなってしまって、しかも悪い3分の1になると学校が壊れてしまう可能性もある。

○変えていただきたい文言がある。第18の2番のところで、「教室、教員室、事務室、図書室、保健室その他必要な附帯施設を備えるものとする」とあるが、これは専修学校の設置基準よりも厳しくなっている。専修学校の場合だと、23条の2項のところで、図書室、保健室についてはなるべくという言葉が頭にあるので、図書室、保健室については専修学校と同じような形に修正していただけなか。

○保健室についてだけ話をさせていただきたいが、今のいろいろな日本語学校の内容を見ても、保健室がほんとうに必要なのかどうか私は疑問を感じる。それよりも、むしろ近くの病院と提携して、病気になったらさっと連れていったほうが、よほど学生のためにはいい。保健室が必要だということになれば、保健婦も必要になってくる。ですから、もっと適応したものとして、そういう部屋があるなら進学指導室にするとか、学生指導室にするとかいろいろ使い勝手があるので、そこのところは今委員が言われたような形でよいのではないかと思う。

○第21に「日本語教育機関には、生活指導担当者を置くものとする」となっている。専修学校のほうは事務職員を置くとするという規定が入っていると思うが、日本語学校の場合は教員と生活指導担当者だけなんですけれども、全員が外国人であり、在留資格という法的なことにもかかわってくること、外国とのやりとり等もあるので、ここに例えばもう一つ、生活指導担当者及び事務職員と言わずに在留管理担当者を置く、要するに、生活指導担当者とは別の意味で、在留資格の申請、取り次ぎ、あるいは入管法についてよく知っている、つまり外国人アドバイザーとか留学アドバイザーになるような事務職員を置くというのを入れたらどうかと思う。

○次の、「専修学校、各種学校の審査事項との重複について」は、意外に差がなかったということなのでお認めいただきたい。
 次の議題の、資料5「日本語教育機関に変更が生じた際の取扱いについて(案)」のご意見を伺いたい。

○資料5に関して、変更の取り扱いについては、1でいろいろな変更が生じた場合は報告するということになっている。「上記1の報告を踏まえ、改善を要する場合は」ということになっているが、具体的に心配なのは、今までであれば変更の内容によっては項目ごとに再審査をしている。今の枠組みの中で考えると、各変更についてその都度審査していくことはできないのではないかなと思うが、どう報告を判断し、改善する場合は指導するとお考えなのかなという疑問は持っている。

●報告いただくものについては、必要最小限のものにしている。報告いただいて、すなわち法務省が改善を求めるということは基本的には想定していない。報告をいただいたものは把握に努め、それが重大な変更であれば、事実関係を確認することになる。3に続く部分になると思うが、新たな認定申請、新規告示にかかわらず、新たに学生を受け入れようとする場合は一定の条件をクリアしなければならないという部分があり、この中で再度1についても確認行為、あるいは何かの指導が要るのであれば指導をする必要がある。また、そもそも適合しないものであれば、新たに留学生を受け入れることができないということで、新規告示を受けた段階で確認された状況を常に維持するということは、学校側が担保しなければならない。
 それと、1点だけ3に係る部分だが、当分の間の教員の関係で、当分の間というのが何を指しているのか。この基準自体ができた当分の間なのか、それとも学校を設置した当分の間なのかということで、当分の間にある程度メルクマール的なものを設けないと、3に係るときにこの基準を適合できなくなるということが出てくる。いつまで当分の間を引っ張るのか、もしくは当分の間をなくすのかという部分が新たな枠組みの中では問題になってくるのかなと感じた。

○当分の間というのは、審査基準ができてから審査をしている当分の間ということで、学校ができて開校してから当分の間ということを指しているのではないかと私は考えている。先ほどの皆さんのご意見から見れば、基本的に日本語学校は非常に経営が安定しないので、当分の間というのは名ばかりで、3分の1という規定でやらなければ継続できないというご意見だったと理解している。

○さっき補足したかったのは、大学進学を目指している学校なので、我々の非常勤教員の中には英語の先生もいれば数学の先生もいるし、物理の先生もいる。それを非常勤教員の中の半数と切られた場合には、賄い切れません。

●当分の間ということで、将来はより高い水準にしたという思いがありながらも、現実的になかなかそういかずに当分の間といって何十年も続いている例はある。あまり白黒はっきりつけづらいところで、こういう言葉でなるべく高めていこうという意味も含みながら置かれている規定はあるので、そういう意味では、初めて見た方にはあいまいに見えるかもしれないが、いろいろな事情を含んでいる規定だということで、同様の規定を続けていかざるを得ないのかなと思う。

○法務省の見解としては、法的に当分の間というのはあってもいいのか。

●学校の実情を聞いたところでは外せないのかなと思うが、そうなると、基準の中でどう読んでいくかという部分が出てくると思う。結果的に3分の1が数になってくるのかなと思うが、そのあたりは現行の基準で見るということで、特段外して欲しいという意見ではない。

○実施していく場合には、ここで言う「当分の間」が何カ月だというデータがないと、困るかもしれない

●少なくとも、新規校ではない学校、いわゆる告示校が新たに留学生を呼ぶ場合であっても、この規定によれば3分の1はクリアしなければならないので、それを読めばよい。

○「日本語教育機関に変更が生じた際の取扱いについて(案)」の1に「次の事項に変更が生じた場合」とありますが、これを「変更しようとする場合」に改めることはできないか。
 日本語教育振興協会のやり方だと、「変更しようとする場合」で、事前に審査を受け問題ないと認められ安心して変えることができる。ところが、変更してしまってから報告して、これはだめと言われても戻れないということが実際に例として今までも生じている。

●日本語学校がその形態とか名称を変えることに対して、法務省で主体的に物が言えるのかという部分はあると思う。もちろん告示校であるという状況を前提とした話はできるとは思うが、それはあくまでも今議論いただいている審査基準やガイドラインとどう違ってくるのかという部分について、軌道修正や告示という業務を所管している所管庁としての意見を述べることはできると思うが、学校に関しての強制力はない。法務省としては、基準に満たないのであれば交付しないという結果しかない。

○告示削除ではなく、交付しないだけなのか。

●3のところですが、例えば学生10人お呼びになられるAという学校があったとする。これが例えば事業時間数とか教員の数が足らない、基準を満たせないということであれば、一端学生10人については受け入れが認められず認定証明書が交付されない。それが4月、10月と何期かに及び学校が体をなしておらず、その改善を図れないような状況であれば、そのときに告示を削除することを検討するということになると思うが、一定の期間がどれだけであるということは今のところ考えていない。

○それならば、その場合に学習者、将来の計画をしてこれから日本に来ようとする人間が、本人の責任ではないところで日本に来られなくなってしまうわけで、そういうことを少なくするためにも、もし事前に確認等ができるのであれば、そのほうが学習者、あるいは学習予定者にとっても望ましいのではないかと思う。

●今委員がおっしゃっている「変更しようとする場合」について、指摘の「変更が生じた場合」というのは、報告を受けること自体が事後的なものだろうということだと思うが、変更が生じる場合は当然現行においてもご相談等は受けている。それに対して、一般的なお話は申し上げているというところである。

○今まで日本語教育振興協会が審査しているときにも、相談しないでやってしまうというケースがあった。

●そういうものも想定して3番であるところの新たな認定申請におきまして、告示校たる水準といいますか、その条件を満たしているかどうかを確認させていただくということである。

○この文章の中に、そもそも「生じた場合」と書いてありますけれども、「その旨を事前の行政相談として地方入国管理局に報告する」という言葉を使っているわけですから、その事柄が起こる以前にという意味に理解すればいいのではないか。

○行政相談があるから、それでいいのではないか。

○今の委員の意見を勘案して了承で、しっかり文案をまとめていただきたい。
 資料6「『高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育に関する検討会議』取りまとめ報告書(案)」について意見をうかがいたい。

○先ほど資料3-3の変更の早見表の5ページの部分で教員のお話が出たので、ちょっと話の筋が違ってしまうかもしれないが、「新審査基準ガイドライン(案)」で専任のデフィニションが行われている。、私も前々から常勤者イコール専任者、専任教員という枠組みをもう少し柔軟にとらえることによって、安定的な学校の経営、教育を学生に提供できるような環境ができるのではないか。ここに書いてあるようなものを総合的に判断するとガイドライン(案)には書いてあるので、これを別の機会にもうちょっときちんと議論して、デフィニションを正しくして、運用の仕方を明快にしておくことを近未来の課題にしたほうがいいかなと感じる。

○それは、大枠の打ち出しと同時に実施要項のようなマニュアルを用意したほうがいいという提案か。報告書のあり方についてご意見をどうぞ。

○2ページの※2の法務省告示のところに専修学校と書いてあるが、その後ろは「除く専ら日本語教育を行うもの」ではなくて、課程と考えたほうがいいのかなと思う。そうしないと、専ら日本語教育を行う専修学校があるように見えてしまう。

●法務省告示の表現をそのまま使用している。

○告示の表現だとすると、あたかも日本語教育を行う専修学校があるように読めてしまう。課程だったらまだわかるが、これだけ読んで「専修学校(除く専ら日本語教育を行うもの)」というと日本語教育を専ら行う専修学校が存在するようだが実は存在しない。

●ここは、法務省告示が必要な学校種を書かれているところをそのまま引用しているので、法務省に確認する。

○案の7ページ「日本語教育機関の校長又は教員となる者は、次の各号に該当する者ではないものとする」ということで、一で成年被後見人又は被保佐人ということになっているが、この後もう一つ被補助人というのが要ると思うが、これを除いた理由は何かあるのか。
 昔は禁治産者と準禁治産者しかなかったのが、法律が変わって3類型になった。その関係で、成年被後見人と被保佐人と被補助人となっている。

●確認して、正確な表現にする。

○議事次第の3にも関係して、日本語教育をめぐる最近の状況等の問題も含めて文化庁のほうからご報告、あるいは皆さんへのお願い等もしていただきたい。

●資料7に基づき、日本語教育推進会議について簡単に説明させていただきたい。
 日本語教育を推進していく上で、日本語教育の関係機関、団体や関係府省がしっかり連携して取り組んでいくべしということについては、これまでも指摘されてきたが、このたび資料7の裏面の関係機関、団体と関係府省から成る日本語教育推進会議というものを立ち上げ、第1回目のキックオフ会議を今週1月23日月曜日に開催した。
 会議の趣旨につきましては、資料7の1にあるとおりで、具体的に第1回の会議においては、関係府省からの24年度の予算案等についての説明と、関係機関、団体における取り組みの現状と課題について2つの団体から発表していただき、その後質疑応答などを行った。今後の予定としては、4の(2)のとおり、次回の第2回の会議で第1回目の会議で発表いただいた団体とは別の団体からそれぞれ発表をいただくことを考えている。
 その上で、第1回目の会議と第2回目の会議で出された課題等を整理し、今後文化庁の文化審議会の国語分科会のもとに新たに設置を予定している検討の場に示し、その場での検討につなげていきたいと考えている。あわせて、関係府省における今後の取り組みを進める上でも活用し、必要に応じ日本語教育推進会議での対応状況の報告を考えている。
 最後のところに書いてあるとおり、この推進会議は2回で終わりではなく、第3回目以降の会議については、必要に応じて概算要求後や予算案決定後などに開催し、適宜上記の検討の場における審議状況等も報告しながら、関係者一丸となって情報を共有して、日本語教育の推進につなげていきたいと考えている。

○私も日本語教育推進会議に参加しているが、先ほど冒頭で山口委員が提案された日本語学校の教育法上の位置づけも、今後のあり方として検討する必要があるというのを議事録に載せると最初に確認されたと思うが、日本語教育の質の向上であるとか、日本語学校の学校教育法上の位置づけ、あるいは教育の中身の法的な部分については、ここではすぐに扱えないけれども重要、だけど教員のことも含めて文化庁だけではできないとなってくると、重要だけれどもそれだけが浮いてしまうということになるのではないか。
 それで、例えば資料6の取りまとめの「3.日本語教育機関等における在るべき日本語教育について」というところで、日本語学校の学校教育法上の位置づけ等についても検討する必要があるということを明言しておいたほうがいいのではないか。

●ここでやるとは、どちらになるか。

○ここも文化庁の推進会議も含めて。

○今出ている案自体が今までの国語課の仕事よりもかなり拡大している。文部科学省全体の仕事としてこの領域のことをやってもらうように我々が要望しないと行政も動けないので、それを出す責任があるだろうと思う。

●貴重な意見をいただき感謝する。文化庁で今考えている新たな検討の場で検討できること、検討できないこと、本会議でご提言いただいている内容についても、つなげられるもの、つなげられないもの、どこが受け皿として検討をつなぐのかということは、まだまだ交通整理が必要な部分があるので、関係部局と整理をしながら、できる限り先生方からいただいた提言を実現する方向でという気持ちは事務局で共有しているので、ご理解いただきだい。

お問合せ先

高等教育局学生・留学生課留学生交流室

-- 登録:平成24年07月 --