高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育に関する検討会議(第6回)議事要旨

1.日時

平成23年7月28日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.出席者

(委員)

水谷座長、安藤委員、江副委員、太田委員、奥田委員、加藤委員、岸澤委員、竹田委員、武田委員、伊東委員、西澤委員、西原純子委員、西原鈴子委員、林委員、福田委員、堀江委員、堀委員、山口委員、山田委員、山本委員

(関係省庁)

法務省、外務省

(文部科学省)

松尾学生・留学生課長、舟橋文化庁国語課長 他

4.議事録

(1)配布資料について、事務局より説明があった。
(2)以下のとおり議論がなされた。

(○:委員、●:事務局)

○この会議では、法務省の告示にかかわる審査の枠組みや日本語教育機関の水準の維持等について今まで議論を進めてきたが、その中で皆さんからは大変貴重な意見を多くいただいた。本日の会議をもって報告書を取りまとめることにしたい。
 前文、1(ローマ数字)から6(ローマ数字)にかけて、1つ1つ御意見を伺っていきたい。

○ここで言っている日本語教育機関が何なのかをはっきりさせておきたい。日本語教育機関について、前の会議から言われているように、設置形態の多様性は認めると言っている。専門学校でも各種学校でも株式会社でもよい。広義に日本語教育機関というといろいろなところがあるが、そこのところはきちっと皆さんの認識を統一しておいたほうがいいのではないか。
 もう1つ、日本語教育機関の位置づけの問題も将来出てくると思う。日本語教育機関の位置づけを考えたときに、日本語教育機関を管理・監督するのはどこかという話にもし及ぶと、審査・認定・告示するのは法務省であるから、日本語教育機関の監督官庁は法務省なのか。そういうことは、現在こういう範囲で議論しているということをどこかではっきりさせておいたほうがいい気がする。
 日本語教育機関という考え方の範囲をもっと広げるかどうかというのは、今後の日本語教育のあり方というようなところで別に出てくる課題かもしれない。今これが出てきたのは、事業仕分けに端を発したようなものなので、審査・認定・告示という頭でやっているが、そこのところはどこかではっきりさせておいたほうがいいのではないか。将来そこの範囲を広げるのかどうかというのはまた別の問題。それから日本語教育機関を管理・監督することが必要ならば、それはどこなのかということは必要。

○そのことに関しては、2ページの下から始まる※1、及び3ページの※2を読むと、今回の議論の対象となっている日本語教育機関が何かということはかなり明確に示されていると思う。日本語教育機関全体をどう定義するかということに関連して、この報告書がそれを言っていないというのは、おそらくこの会議の名前である「高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育」について審議しているので、例えば小学校で教えている日本語教育も日本語教育ではあるが、そのあたりは排除されていると考えられていると私は読んでいた。ただし、今おっしゃったようなことがもし懸念の材料として残るのであれば、この※1及び※2にそのことも言及しておいて、本文そのものを最初から定義し直さないほうが、まとまりやすいと思う。

○確かにこの※2に「法務省告示を得られないと入学する学生が在留資格「留学」を取得できる日本語教育機関になれない」とあるので、それを前提にして議論しているということはわかるが、少なくともそれを定義した上で議論しているということはどこかではっきりさせておいた方がいいのではないか。

●2(ローマ数字)と3(ローマ数字)についてはいわゆる日本語学校のことを言っている。外国人を受け入れて、学生がビザをもらえる学校になりたいということで告示を求める、または既に受けた学校を念頭に置いて書かれている。5(ローマ数字)は広く日本語教育のことを念頭に置いているので、同じ文章の中だが、前半よりもやや広い意味で使っている。そこは工夫をさせていただきたい。
 書きかえるとすれば、1(ローマ数字)、2(ローマ数字)、3(ローマ数字)で使っている「日本語教育機関」を、例えば「いわゆる日本語学校」とするなど、議論の対象がわかりやすくなるような言葉の使い方の工夫について、座長と相談させていただいて、適切に修正をさせていただく。
 また、日本語学校の監督官庁はどこかということについては、告示の対象となる、なりたいという学校にとっては法務省であるし、学校法人格を持っている、または専修学校、各種学校として認可されている学校という意味では文部科学省である。世の中の全ての事象に監督官庁があるということでは必ずしもなく、現状、統一的に日本語学校を専管で見る省庁はない。このことについては昔から議論があり、将来的には検討の俎上に上がることと思うが、現在のところ、どこかで統一的に日本語学校に関する制度等の所管の整理をということは、この喫緊の課題をクリアしなければいけない現状においては、難しいと思っている。

○先ほどの監督官庁に関して、特に危機管理の面で、これまでいわゆる日本語学校、日本語教育機関の場合は統一的なものがなかったので、日振協が代わってやっていた。監督官庁がないことで、本当に助けが必要なとき、学生たちを本当に守らなければならないときに孤立してしまう可能性があると思うので、ぜひ将来的にこれも検討していただきたい。

○この報告書に、今のような話を3年先、5年先の仕事の中へ何らかの形で取り込んでいけるような理想も入っていて良いのではないか。

●この報告書に将来の検討課題として挙げるかどうかということだが、監督官庁ができれば、当然規制がかかる。それを本当に日本語教育関係者が望むのかというところから議論を始めなければならないので、それを目指して議論を進めるという言い方は私どもとしては難しいと思う。
 また、監督官庁の問題もあるが、日本語学校を一くくりにするかどうかという問題もある。問題ごとに別な観点で見るという方法もあるので、そこは今後の検討課題だと思う。
 また、危機管理の面では、日振協が存在しなくなるわけではなく、事業仕分けで言われたのは審査と協会独自でやる行為との区分けがあいまいということ。今回は審査部分だけをきちんと法的な枠組みにするかどうかという議論であった。役所から上意下達でやるというのも1つの方法だが、それだけではなく、協会独自の行為は自主的にやっていただくということ。どの目的でどうやるかというのは、結果を所与のものとするのではなく、今申し上げたようにさまざまな検討が必要と思っている。

○監督官庁という言い方をすると非常に難しいと思うが、例えば告示された日本語教育機関の団体ができたらそれを認めてくれればよい。何かあったときに、その業界団体を通じて指示・連絡が来るというルートができればいいと思う。このようなことを含めて、危機管理もぜひ忘れないでいただきたい。

○国による法的な位置づけを明確にするということと同時に、この会議では日本語教育機関の位置づけを明確にするということが重大な基本的な課題であったと認識しているので、そのことを書いていただけるとありがたいと思う。

●日本語教育機関が我が国の留学生政策、もしくは留学生交流の推進の中で果たしてきた、またこれからも果たすべき重要な役割については盛り込みたい。しかし、その法的位置づけについては、前文の2にもあるように設置形態の多様性が日本語教育機関の特色であるので、今後統一的に云々ということまでは今までの議論では難しいと思っている。少なくとも、留学生交流の中でどういう役割を持っているか、これまでどういう役割を果たしてきたかということは、確かにやや書き足りない感じもするので、座長と相談をさせていただきたいと思う。

○3(ローマ数字)の4.当面の審査のあり方について。最後の3行に「当分の間以降の審査の枠組みを検討するため、本検討会議にワーキンググループを設置し、早急に最終的な提言をするための基本的な考え方を取りまとめることとする」とあるが、いつまでに結論を出すかを書けないか。

●我々も書きたい気持ちは十分あるが、どの程度までワーキンググループで議論するかということについては、まだ考えねばならないポイントがいくつかある。まずは現在の審査基準がこれでいいのかどうか。例えば専修学校・各種学校についてはもう既に審査を受けている部分があるので、それをどこまで省くことができるか。また、法的な位置づけを審査にどう与えていくのか。我々としても秋を目指したいところだが、周りの環境要因を考えると、基本的な考え方をそこで持つことはあり得ると思うが、そこから先、どう進めていくのかという工程表まで考えるともう少し時間がかかる可能性もあるので、「早急に」としている。

○自分はこの部分は9月までぐらいに目鼻つけないと、先、みんな困るのではないかと思っている。しかし、この会議の報告書を実質化するために、仕分けの問題を考えても何カ月かかるか読めないようなので、そこはちょっと我慢してほしい。

○同じことは、「当分の間は、国による審査を行うべき」という箇所の「当分の間」についても言える。

●我々としては2年程度という気持ちはあるが、予算と法律と枠組みとを考えたときに、本当にそれで可能かという問題がある。したがって「当分の間」と記載したところだが、後ろを切るのは難しいのが現状。表現はもう少し工夫する。

○4ページの4に関するこれまでの意見はそのとおりだと思うが、この文面は、この法的位置づけが確立しない限り、当分の間は国による審査を行うという結論でよいのか。ということは、最大の目標は審査団体の法的位置づけということになるのか。法的位置づけを確立しない限り、問題が全部は解決しないと読んでよいか。

●端的にはそのとおりだが、3ページの一番下、(2)の1)、2)にあるように、まだ国による審査を続けるか、それとも法的位置づけを持った審査団体ができてそこに任せられるかということについては、これから細かい条件を詰めて議論をしなければならない。仕分けの結果を踏まえれば、審査団体にお願いする場合は、その審査団体が法的な位置づけを持っていなければならないので、審査団体にお願いするとすれば、法的位置づけができるまでは、当分の間、法務・文科両省で暫定的にやっていくしかない。

●例えば審査団体にお願いするとすれば、事業仕分けの結果を踏まえて法的な枠組みが必要になる。例えば、「当分の間」を「制度が整備されるまでの間は国が行う」とすれば、国が行うという帰結があれば国がずっと行い、審査団体が行うとしても当分の間は国が行うという、議論と合う形になると思うので、そのような用語をつけ加えてわかりやすくすることは考えられる。

○そうすると、先ほど言われていた日本語学校の法的位置づけ等の問題と関連するかもしれないが、3ページの上の方に「1(丸付き数字)高等教育機関への進学を希望する者に対する日本語教育」と書かれている。ところが※2では、「大学、短期大学、高等専門学校及び高等学校等以外の機関」となって、専修学校は丸々抜けている。上の方の文面では高等教育機関への進学を希望する者というのは既に専修学校は高等教育機関だから入らない。なおかつ※2には専修学校が入っていないので、結論を言えば、教育機関の全体を見た場合、専修学校部分で矛盾している気がする。

●3ページの一番上の段落の中の高等教育機関というのは、日本語教育を終えられた方が進学する先のこと。他方、※2の大学、短期大学、高等専門学校、高等学校というのは、日本語教育を行う機関として書いている。日本語教育機関において、現状のところ専修学校は告示校でないとビザを取れないのは御承知のとおり。

○4ページの4の先ほどのところだが、上の段落の最後に、「したがって、新規開設を希望する日本語教育機関に対する円滑な審査の実施の必要性を考慮すると、当分の間は、国による審査を行うべき」とあり、上の方には継続的な審査も重要だということが書かれている。そうすると、これが2年か3年かは別にして、この間の継続審査をどうするかはっきりさせる必要がある。

●御指摘のとおりだが、現実的には、国が当面行う場合に、今まで日振協が実施していたいわゆる更新認定のようなことは事実上非常に困難であるというのが現状。(2)に変更のことについても書いているが、確かに一度告示校となったら、仮にその更新ということが難しくても、告示という法的行為・効果に対する重大な変更が野放しでいいとは思っていない。法務省から見解を説明願う。

●継続的な水準の維持については法務省の省令等でも規定されていない。法務省の立場としては、例えば在留申請、あるいは新たな認定申請の都度、審査の中で受入機関の的確性を判断していたというところもあり、その他の行政相談及び申請の際の届出をもとに当局で把握していたという状況にある。
 今後明確な形で例えば省令を作るというような判断には現在は至っていない。これをやると、例えば年間に100を超える学校の水準を審査しなければならず、国が単体でやるのはかなり難しいと思っている。御心配の変更事項等に関する届出・報告は、地方入国管理局で承って把握し、もし告示に変更が生じるような学校名の変更、設置場所の変更等があれば本省に報告するという取扱いを暫定的に通知している。
 現在、届出事項を明確にしているわけではないが、従前の日振協で取り扱っていた届出・報告とのすみ分けを行い、御連絡いただく事項について最終的な案を練っている。ただ、既にそのような報告は把握するよう指示しているので、今後どのような部分の変更について報告をいただくかは、例えばホームページへの掲載、また在留資格認定申請の案内時に明確に学校側に伝えたいと考えている。

○その届出制は、不適切な場合に関して差戻しがあるという前提か。

●もちろん必要な資料等で確認できない部分、あるいは確認を必要とする部分については、一義的には地方入国管理局等で実地調査を行うことも検討しなければならないし、それが教育機関の水準として認められるレベルかどうかという知見のない部分については、例えば文科省、文化庁に相談しながら判断していくことになると思う。

●委員の質問は、変更で報告が上がってきたものについて不適切だった場合に、さらに再変更の指導等をするつもりかということだと思う。

●今申し上げたとおり、知見のない部分について確認した上で、必要があれば指導しなければならない。告示を削除ということもあり得るので、慎重に審査しなければならないと思っている。

○基準については、現在の日振協の審査基準が土台になると考えてよいか。

●そのとおり。この報告書でも書かれているように、新たな基準を早急に構築しなければいけないが、現行ではそれがその目安となっている。

●現状の報告書案では、4ページの3.(2)だけ読むと、新しい枠組みでは変更の手続をしっかり決めなければならないと読めるが、暫定期間中の変更についてどうするか、まだ明確ではないので、暫定期間中に大きな変更があった場合にどうするか、書ける範囲内で書けるように法務省と相談したいと思っている。

●この場では申し上げられないが、実務の話でご案内できる部分について盛り込むことができる可能性はあると思う。ただ、法的な整備がない手続なので、それを位置づけること自体を含めて検討させていただくということでよいか。

○設置者変更、買取りのようなことがかなり多くあると聞くので、そのあたりは非常にやはり危惧される。

○4(ローマ数字)の2「大学入学に必要な専門分野の学力は有しているが、日本語能力のみが不足している者を正規学生として…」という文言に2つの問題点がある。1つは大学での英語による教育を増やしてほしいという意味合い。もう1つは学部学生の入試と大学院の入試を分けて。「環境を整えることが重要である」とあるが、「大学入試に必要な専門分野の学力は有しているが、日本語能力のみが不足する者が正規入学生として入学することが増えている、またはこれから増加することが予想される」としてほしい。重要であるという言い方だと、大学としてもっと英語で授業をせよという意味に読める。また、「海外において高等教育機関と日本語教育機関が連携して学生選抜試験を実施するなど」という文言も、特別な枠を設けた上での留学生の受入れについては構わないが、一般の学部学生の入試には、国内の学生との平等性を考えると少し引っかかる。

●「例えば」等の文言を追記することとする。2は英語で教育を進めるということを言っているわけではなく、例えば条件つきの入学を認めて1年次から専門教育と日本語教育を、大学が日本語学校と連携して行うことを検討していこうという意味。ここに書いたことは今後の検討課題なので、書き改める。

○重要だということは別の観点からは十分に認識しているが、少し表現を変えてほしい。我々としても、大学の中で増やして、ということで進めているが、なかなか難しいというジレンマがある。

○1についても、この文章からこうしなさいというようなニュアンスを受けるので、外国語での入試がもちろんあるのだから、それを考慮した書き方にしてほしい。また、1の第2段落に「進学後の外国人留学生に対する追加的な日本語教育の提供」とあるので、バランスをうまくとれるといいと思う。

○日本語能力の不足を前提に留学生を受け入れるというのが多分大学の状況だと思う。2で「日本語能力のみが」の「のみ」は取ったほうがいいと思うが、不足の程度によって、さまざまなやり方がある。そのときにカリキュラムや講師の派遣などでの大学と日本語教育機関との協力がこれからは必要。

●ここはあくまで例で、それ以外にも今日指摘があったように、多様な必要性に応じた連携があるということがわかるようにしたい。

○この段階では、なるべく正確に今の事実を伝えるような書き方にした方がいいだろう。

○5に「協議体や会議が開催されることが望まれる」と書かれている。昨年も文科省で連携を考えるということで地域交流推進協議会が催されたが、実際に規模も設置形態も全く違う機関の間で協議体や会議が行われることで、本当に連携がうまくいくのかというのは少し疑問がある。とはいえ、それを推進することは必要で、そのためには例えば連携のいろいろなパターンのモデル事業を行い、それを共有することで広く推進していくというような、実現可能な推進策を1つ盛り込む。連携のモデル事業を行い、広く推進していくということを入れてはどうか。
 併せて、大学がどのような日本語学校と連携するのかというときに、位置づけの問題は出てくると思う。単位互換の問題、それから例えば日本語学校で勉強した単位をどのように振り替えるのかということもある。日本語教育機関の位置づけについても検討する必要があるということを,先ほどの3などに加える必要があるのではないか。
 もう1つの例として、大学等への仮入学の推進がある。これは法務省の在留資格、仮入学者がどこで在留資格を取るのかという問題もあるので、法務省とのすり合わせも必要と思う。しかし、日本語力がないと勉強できないということではないようにするには、在留資格等の付与も含めた仮入学等の新しい入学形態の設置等の検討も必要ということを文言に入れてはどうか。

●その点はこれから議論していくことであり、本日御了解をいただいて中間報告とするにはやや議論が足りないと思う。座長からもう少し事実中心に書いたらどうかという御示唆があった。喫緊の告示に関することのワーキンググループの終了後に、また御議論いただき、最終的な報告に可能な範囲で書き込むということでいかがか。

○今の段階では、まだ偏った部分的な情報しか誰も持っていないと思う。ワーキンググループか何かの組織的な仕事をした上で何かをすることを考えているならば、会議が開催されるというだけでなく、その会議は何のために何をするか、という内容が入っていればよいのではないか。これも審査の問題と並行して同時に開始する必要がある。

○4(ローマ数字)は将来大変重要なことだと思うし、5の最後に「協議体や会議が開催されることが望まれる」と書いてある。今までも、例えば様々な大学から日本語教育に関する学識経験者、国際センター等あるいは日本語別科で日本語教育をやっておられる方、及び日本語教育機関で多くの経験を持っている方が集まって意見交換する場はいくつかあったが、何も決まらない。前進するためには、国立大学の国大協のように、日本語教育機関の例えば代表、日本語教育機関同士が意見を交換し、取りまとめ、出た意見を持ち帰ってまた検討するという、実質的なやりとりが必要。いろいろな設置形態があるし、449の日本語教育機関をまとめることができるかどうかという問題はあるが、そういうことをぜひ念頭に置いてやっていただきたい。

●私どももいろいろな思いでここを協議体、会議と書いたが、今、委員が言われたように、団体同士が集まってルールを作ったとしても、例えば日本語学校も一律ではなく、それぞれ形態があってそれぞれの特徴があり、文科省が音頭を取るものではないと思う。先ほど言われたように、規模の異なる学校同士がいろいろ話し合うというのも、あまり実のあることではないかもしれない。そこは具体的なモデルを作り、例えばある地域の大学と日本語学校がいいモデルを作れば、それをグッドプラクティスとして披露する。協議体、会議についても、政府が関与しない形でも地域できちんとやっていただいて、それをいい例としてほかに展開し、そしていろいろな形態で連携していくというモデルを作っていく。
 したがって、上意下達で協議体、会議を文科省が一律で作るというよりは、いろいろなところでそういう場を作っていただいて、それを例えばエンドースするという形。いろいろな形態でいろいろな地域でいろいろなモデルの協力の体制を作っていただくというのがいいのではないかと思っている。それぞれがお互いに少しずつ汗をかき、全体としてよくなっていくということでないと、なかなかうまくいかないのではないか。

○これは今日やっていることのまず決着をつけたらすぐ始めなければいけないことの1つだろうと思う。そういうことで理解した。

○4(ローマ数字)に適切かどうかわからないが、日本語学校の入学の随時化を将来的な可能性として示唆できるような形で書き込めないか。今回の告示に当たっての議論とは離れてしまうかもしれないが、何とか次のステップ、ワーキンググループにつなぐような部分でもぜひ入れたい。おそらく法務省としては、上海事件等を引き起こした文化ビザでやったところの混乱の記憶があるので難しいかもしれないが、周辺環境が整備された現状と、文科省の管轄下の大学等でも秋入学、多学期入学を大学によっては進めざるを得ない。いわゆるグローバルな環境の中ではそのように多様化していかないと対応できない。
 特にアメリカではローリングの入学制度でいつでも入学できる。クオーターごとの入学などいろいろあるが、それに連動する形だと、語学教育についても、語学教育のシェアのおそらく9割ぐらいを占めているであろう英語教育の世界の中で、入学時期が4月、10月に限られているような国は全くないはず。そういうハンディキャップを背負いながら、ただでさえあまりコンペティティブではない日本語教育は外地で競争せざるを得ず、いつも歯がゆい思いをしている。
 今回の件についても、随時入学化していくについて、例えばビザ・ミルのような学校が出てくるのではないかというように、いろいろ懸念があると思うので、将来的な制度化を見据えた審査のあり方や、継続的な審査あるいはウオッチするシステムのあり方などを、きちっと考えておかなければいけない。

●教育行政より入管行政の話で、法令も伴い時間がかかるので、法務省と相談の上、最終報告までに間に合えばという感じでよいか。

○承知した。

○今の話に関連して、今回の資料の中で非常に注目すべき点は、この1ページの総論にある「障壁を乗り越えて入ってくることはない」ということと、今後その障壁を取り除く作業が必要だということが明確になっている点だと思う。
 委員の意見や、先ほどの条件つき入学は、この障壁に当たると思う。これらはやはりグローバルな視点で競争を考えた場合にものすごい大きな障壁なので、日本において、やはり大学と日本語教育機関、語学教育機関が連携していく、その中で障壁を取り除いていくという具体的なテーマについて、先ほど言われたような随時入学あるいは大学との連携が必要な条件つき入学という方向性をまず検討の課題として書き込むとわかりやすいと思う。単に障壁を取り除く、あるいは連携するということでは、どこに向かっていくのかと非常にわかりにくい。また民間に任せる協議会ではいけない理由というのはこの中にビザの問題が確実に入ってくること。やはり文科省あるいは法務省と我々教育機関との連携が必要。この辺の方向づけが明確になるように、先ほど言われたこういうことも検討する課題の1つとしてこの報告書に入れていただければありがたい。
 この会議は「高等教育機関に進学、在学する外国人と教育機関の連携」をテーマにしているので、やはり具体的な方向性を示さないと、報告書としては少し手落ちになるのではないか。その障壁になっているのは、随時入学より条件つき入学。大学は入れますよ、だから英語学校に何カ月行ってください、という形。アメリカ、イギリス、オーストラリアなど、これで売っているようなところもあり、非常に大きな我々のハンデになっている。これは日本語教育機関だけではなく大学にとっても非常に大きなプラスになる点だと思うので、個人的にはそういう具体性を持って方向性を示していただきたい。

●この報告書は審査のあり方の体制についてまずまとめ、その中身については次のワーキンググループ等に引き継ぎたい。その方向性については、障壁を除くということでここに書いているので、具体的な中身は今後議論を詰めていくこととして、まずここでは体制のことをしっかりとやり、それで障壁を除くという方向で次議論するということでどうかと思っている。

○中間まとめというより、第1段階のまとめというように、ほんとうに歩み出しの段階で最も重要なことをやるが、内容に関しては第2、第3のステップでやるというのがわかるようなタイトルをつけておくといろいろな問題が片づくかもしれない。

○3「諸外国における語学教育状況の現状とか質の保証の枠組み等」という文言があるが、現状調査を今までやられたことはあるか。また、質保証の枠組みを作ろうとしたことがあったか。さらに、日本語の担当の者に聞いたら、海外は外務省、国内は文科省とかなり線引きがされているという話を聞いたが、現状を教えてほしい。

●3の諸外国における当該国の語学教育状況というのは、例えばアメリカにおける英語教育という意味であり、外国における日本語教育ということではない。英語圏の国における語学教育の位置づけには、文科省にも若干蓄積があるが、十分ではないので、むしろ今後検討していかなければいけないということで書いている。

○今度OECDも成人のテストを始める。移民が多い国では学歴等があまり評価基準にならないので、ヨーロッパの場合は欧州評議会が語学を担当して、3言語使うという前提で動いているようだ。成人が働くときに手帳から経歴がわかるような方向に多分世界は動いていくだろう。この質保証の枠組みは、国境を越えて労働者が移動することを前提に、日本語学校で学んだのが将来日本で働くようになったときに使える、また働いた状況もすべてそこに書き込まれる、というような状況を想定して、少し長期的に構えた方がいいと思う。

○最後の文のところで、日本語教育の質の保証が担保され、安心して学べる環境であるという情報を海外に出していくのも必要だが、日本に来てどうなるかという道筋が見える文言がもう少し欲しいと思う。
 少し戻るが、2ページの一番上の4「各国間における質の高い学生獲得競争が激しくなる」というところに、「各国間の高等教育の変化により」と追加してほしい。というのは、10年たつと今の中国の18歳人口は半減する。少子高齢化というのは日本だけの問題ではなくて世界の問題であり、特に中国の激減の仕方は非常に激しい。その一方で2004年までに18歳人口の15パーセントを大学に、高等教育に入れましょうという運動があったために、中国国内では爆発的に大学と高等教育機関が増えた。例えばブラジルでも今人口が1億8,000万ぐらいになったが、爆発的に高等教育機関が増えた。したがって、どこも自分の国の大学を維持するために海外から学生を入れなければならなくなった。それを考えると、世界の教育機関の変化についても触れた方がいい気がした。
 それから、4ページ「当面の審査のあり方について」のところに、「学校法人に限る」という意見もあったと書いていただきたい。1つの大きい理由は、今既に中国の大学が日振協の学校をつくっている。学校をつくって自分の学生を、何年生になったら自分の日本語学校に入れるから、もう自分の世界がここででき上がってしまう。既に教育の市場が開かれた状態の中で何が起こるかというのは、ぜひ想定して考えておいていただきたい。

○大分幅広く今日は話が出た。ほとんどのことは実は今後の課題のようなので、ずっと続けてお世話になると思うが、まずはいただいた御意見を踏まえて第1弾の報告書を取りまとめなければならない。報告書の取りまとめについては座長に一任させていただきたい。
 それから中間まとめの案にも盛り込まれているが、審査の枠組みを検討するためのワーキンググループの人選をしなければならない。人選も一任願う。
 今年の3月で終わる予定が長くなったが、この検討会議における各委員の皆様方のご協力について、改めて御礼申し上げたい。大変熱心なご意見が多くあった。ワーキンググループの検討の終了後、いろいろな形でお集まりいただくことになると思うが、その際にはまたよろしくお願いしたい。

●長期間にわたり御議論いただき御礼申し上げる。これで終わるのではなく、引き続きワーキンググループで検討させていただき、今回第1弾のまとめということで、次また引き続きそのワーキンググループで他の先生方にご照会をさせていただいて、議論を積み重ねていきたい。今回第1弾ということで座長に御一任いただいたので、これを重く受けとめてやっていきたい。

お問合せ先

高等教育局学生・留学生課留学生交流室

-- 登録:平成24年02月 --