高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育に関する検討会議(第2回)議事要旨

1.日時   

平成23年1月7日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所   

文部科学省3F1特別会議室

3.出席者

(委員)

水谷座長、伊藤委員、江副委員、安藤委員、太田委員、大沼委員、奥田委員、加藤委員、岸澤委員、五味委員、竹田委員、武田委員、田山委員、西澤委員、西原純子委員、西原鈴子委員、林委員、堀江委員、福田委員、堀委員、山口委員、山本委員、山田委員

(関係省庁)

法務省、外務省

(文部科学省)

加藤高等教育局審議官、舟橋文化庁国語課長、氷見谷留学生交流室長 他

(ヒアリング説明者)

財団法人日本語教育振興協会石川参事

 4.議事録

(1)配布資料について、事務局より説明があった。
(2)財団法人日本語教育振興協会石川参事これまで、財団法人日本語教育振興協会が行ってきた日本語教育機関の審査・認定業務についてヒアリングを行った。
(3)以下のとおり議論がなされた。

(○:委員、●:事務局)

○ 今日の会議では、日本語教育機関の教育の質保証に焦点を絞って、その枠組み等について議論していきたい。

○ 日本語教育機関という名前が曖昧に使われている。高等教育機関に進学・在籍する外国人学生の日本語教育とは、大学の中における日本語教育も含むのか。それとも、高等教育機関に進学する前の学生を対象とする準備機関における日本語教育のことなのか。

● 日本語教育について、質保証を考える際に、高等教育機関で行っている日本語教育と準備教育の形で行っている日本語教育がある。喫緊の課題としては、後者のシステムについて早急に明確にする必要がある。日本語教育全体を考える際、正規の学校教育課程を別にして、国内の民間教育事業の提供している日本語教育を焦点に置くのか、将来的に海外にも通用するものを議論するのか、今後整理したいが、本日は、大きな意味での議論をいただきたい。

○ 日振協の説明によると、審査の主たる着眼点は、教育のハード面、設置形態や財政管理等についてとのことだった。しかし、質の保証を議論するに、ブリティッシュ・カウンシルがやっているカリキュラムの内容など教育の質、ソフト面を保証している。このような各教育機関が掲げている教育目標に即して、どの程度教育内容を充実しているのか、基準は何かということについては、日振協においては、主たる着眼点ではないと感じた。この点について、この会議の検討に含めると考えてよいか。

● ハード面だけでなく、ソフト面も含めた形での質の保証を図るのかという点についても、この場で議論をいただきたい。

○ 受け入れ側として、日本語教育をどこまで保証すれば満足するのかと、日本語教育を担当する教師たちからよく質問される。学部と大学院レベル、文系、理系では、受入側の希望が全く違っており、質の保証を考える上で非常に大きい問題と考える。
 日本語学校の少ない地方の国立大学にとって、学内での日本語教育は重要である。受入れを増やすためにはこの問題を解決しなければいけないので、日本語教育の見直しを行っている。
 数の増加に伴う留学生の精神面のケアも非常に重要になっている。教育の質保証も重要だが、留学生の心のケアを怠ると、問題を起こす学生が出てきたりすることがあることから、大量に受け入れることに危惧を持っている。

○ 前回の議事録を読んだが、省庁横断的という視点が落ちている。そういう視点が日本留学全体の魅力の増加にやっぱり必要な視点ではないか。

● 資料については、質保証を中心に整理しており、特に省庁横断の部分については、留学生全体の受入れに関する部分が強かったため、今回の資料の中には入れていない。しかし、この質保証の関係で省庁横断的にこうすべきだという指摘があれば、いただければありがたい。

○ 大学の質保証に結びついた形の質保証システムをどう意識するかということ、さらに、国際的な質保証のシステムに対しての視点を持っているかどうかということも、議論する必要がある。広い大仕事と、具体的なこと、どちらも深い関係があって、偏ってしまうと、結果としては成功させられない。議論は広く、それから、今年だけの問題ではなくて、日本の10年、20年先についてどう考えるべきか、ということも含めたご意見があればよい。

○ いわゆる質の保証というものは何を指すのかというと、日本語教育機関と大学とは違う。日本語教育機関が大学進学のための準備予備教育だけではない時代が来ている。大学との連携の中で、日本語教育機関の役割が進学のための準備予備教育機関に限るものではないということが、新しい課題である。
 そのためには、すべての高等教育の中の日本語教育を日本語教育機関も共同で担えるという制度をつくれないか。
 そのためには、日本語教育機関の質の保証が外部評価としてなければならない。国内から見ても、海外から見ても、その日本語教育機関を外部的に保証していくことを明確にすることが必要。また、それを海外に向けて明確にするため、国家的な何か保証を持つような形にしないと、外に認知されない。認知度が低い場合には、教育の内容がよくても、外に訴えられず、外との連携ができない。こういう機会に制度化する必要がある。
 各種学校にするには、設置者に求められる条件が非常に厳しくできないので、そういうものを改善していくことや、社団・財団などの外部保証により、社会的な認知を得るなど、公益性を外に訴える何らかのシステムを国全体でつくることが必要。

○ 労働力が国境を越える時代にどう対応するかということだと思う。今、教育界は、OECDが仕掛けたPISAという、学力も国境を越えて評価される時代に入っているが、ヨーロッパが長いこと行ってきた、労働力が国境を越えるという仕組みがとても参考になる。日本語も含め、成人の学力がはかられる時代に入っている。質の保証は、いろんなレベルに分けながら、何点とかではなく、どのようなことができるのかということを、むしろ学校が、育てるほうが意識をして質を保証していくということになる。
 日本語がどのくらいできればいいのかというのはとても難しく、私の大学は、小さな大学で、カリフォルニアから30人程度の学生を受け入れているが、一番好評なのは、ホームステイで、お祭りに参加したり、生活を知ることである。学生は、文化系で、何をしたいのかと聞いてみると、漫画を読みたいなど。交換留学で来る人は、そういう感じ。それから、1年生から留学する学生は、漢字の読み書きができるかどうか、卒論も日本語で書くとなると、その壁がとても大きい。そうなると、会話は日本語でもいいが、読み書きは英語でもよいのではとなる。おそらく、理科系はそういう形になるのではないか。ということを考えると、いろんな質を評価する方向に動いていくのだろう。だから、ハードの面ことはこれまでやってきたので、座長がまとめられた形でいいと思うが、ソフトの面は、もう少し時間をかける必要がある。

○ このような陣容で集まり、教育の質を評価することなのだから、中心的なフォーカスとして、いわゆる留学生と呼ばれている人たちの教育、しかも日本語の教育ということから目をそらしてしまうと、とても広がってしまうので、例えば、日本語学校は存在を丸ごと評価するかどうかという問題ではなく、あらゆる経営形態のバラエティの中から、留学生に対する日本語教育の問題について質的なことのみという限定をつけないといけない。

○ 今広がろうとしていることを丁寧に拾っておいてほしい。

○ 質保証で、かなり教育の具体的な中身に入りそうであるが、この会議そのものは、仕分けがあったからでは。私が一番危惧するのは、二十数年前のことが繰り返されるのではないかと、非常に心配している。日振協ができる前に、法務省が中心になって、外国人就学生受入機関協議会というのができた。これは一定の機能を持っていたが、うまくいかなかった。そして、緊急避難的に今の基準ができて、その基準により、日本語学校が、一応一つの形にまとまった。この基準をまずどう評価するのか。この基準の足りない部分が何なのかということを、ここで議論をしていきたい。
 質の問題についてはすでに意見があったが、日振協に認定された機関においても質保証の必要性についての認識が高まっており、日振協内に自己点検、自己評価のプロジェクトチームが発足、点検・評価項目についての検討を重ねている。専修学校や大学の点検項目も参考にし、あわせてもっぱら外国人学生を受け入れるという特殊性にも留意しながら検討を進めている。これが将来の第三者評価にもつながっていくものと考えている。

○ これまで、日本語教育に直接携わってこなかったが、今回の日本語教育の質という言葉を聞いたときに、ハード面でのフォーマットばかりに気をとらわれていると、まずいのではないかと感じた。そのため、ここで言っている質というのが何なのかということを、事前にもう少し明確にしておく必要があるという気がしている。
 省庁横断的にというのは前回も申し上げたが、日本語教育機関にしても、国内外の日本語教育機関の連携ということも申し上げている。今後、質ということを議論する上で、海外における日本語教育と日本国内における日本語教育との連携というのも、常に意識しておかないといけないのではないか。

○ 政策的なお話になると、国内的になりすぎてしまい、国内的にも成功できなくなってしまう。今やはり世界規模、地球規模で考えを少なくとも出発させないと、国内での成功も危なくなってきている。

○ 当校は、大学と専門学校、それから留学生向けの日本語の専門学校を運営しており、比較的それぞれうまく機能している。参考になればと思うが、当校の教育の特徴は、服飾産業教育であり、産業の中では最もグローバル化をしている産業の一つである。そのため、留学生という非常に重要な産業人材は、服飾の能力と、日本語そして母国語という、2つの能力を持って社会に出ていくことになる。それが非常に好評であり、非常に順調に、いい状況で就職をしている。
 その結果、日本語教育で何が重要なのかというと、当校であれば、服飾の世界で役に立つ日本語である。高等教育機関だと、高度な能力があり、産業界に役に立って初めて高等教育機関の役割を果たしたということが基準だとすれば、欧米流に言うと、ソーシャル・コントリビューションであり、ソーシャル・レスポンシビリティということになると思う。それを果たすことが高等教育機関の役割だとすれば、その1つの能力としての日本語という考え方だと、その中身、どんな人材を、日本という国が産業界も含めて必要な人材として求めているのかということになる。
 就職までという話もあったが、この人たちには日本語が必要。国際的に日本のために活躍してくれることが明確になれば、高等教育機関も含め目的がはっきりしているので、それに沿ってやっているが、おそらく多くの日本語学校は、漠然と日本語教育を教えて、その先その学生がどういう高等教育機関に行って、どういう社会でどう活躍するかというところまでは、見えない状況があると思う。これが見えると、それぞれの日本語教育機関が、レベルに合わせ、それぞれの教育が進められると思う。そういう意味で言うと、グローバリゼーションを進める上でどういうことが人材育成に必要なのかということを検討した上で、他国の入国の仕組みや、産業を構築するという面からの協力が、必要なのではないか。

○ 先ほどの話の中で、質の保証、向上というテーマを議論することについて議論したいと思うが、引っかかっているところがあり、法務省出席ということでの確認であるが、どの日本語教育機関で学ぶかによって、留学ビザを出すのか出さないということについての議論は必要ないのかということ。それが必要でないのであれば、さきほどの議論に集中すればよいと思う。先ほど日振協の話があったということは、相当関連しているのでは。かなり各論の話をしないと話が発展しないのでは。

○ 25年前に、枠をきちんと締めて、そしてシステムをつくっていったということをまた繰り返すことになるかもしれない。しかし、ただ一つの組織体だけをつくるのでは、日本の国際化の現実を見ていると、複数のいろんな領域での国際化対応のシステムを用意する必要がある。

○ 議題は、質の保証を中心にということだが、先ほどから話があるように、ハード面、ソフト面の質等、いろんな話が出ている。特にソフト面の質のことでは、ここで今皆さんの考えはどのようなことなのか。この会議の主催は、文科省の高等教育局なので、留学生30万人計画や、高度人材の確保などからスタートしていると思う。そのときに、留学生が海外から日本に来てどんな道筋があるのかということをまず明確にする必要がある。日本に来るということは、どういう道筋があるのかいうことを、まず幾つかの道筋をはっきりさせる必要がある。
 海外からいろいろな目的で来日した人に対して、多様な道筋がある中で、日本語教育というものをどのように位置づけるのかということを整理する必要がある。ソフト面で何を目標にして、何を目的にするかということが曖昧になり、議論が拡散するのでは。道筋をまずはっきりさせて、道筋のところを対象にした日本語教育の質の確保について議論することを、はっきりさせないといけない。
 現在、どれを見ても日本語教育機関としか書きようがない。ただ、今ある日本語教育機関というのは、日振協が審査・認定してきただけで、学校教育法には何にもない。学校教育法の中で、各種学校までは学校種として認められているが、それ以外は何も法律的な裏づけがない。これを今後どうするのかが、非常に重要な話だと思う。時間がかかると思うが、ブリティッシュ・カウンシルなどのような権威があるところが、学校として認めるくらいのことをやらないと、今後、海外との競争や大学との連携をする場合に、国としての裏づけというのがないというのは、非常に問題になる。
 海外からプロジェクトにおいて、公益法人や学校法人でないとだめという条件がつくところがいっぱいある。例えば、新しい学校種を起こすことになると、10年ぐらいかかると思うが、そういうことをやっていくかということを、今後の方針としてぜひ出していただきたい。
 これはすぐにはできない。中央教育審議会で各種学校化にしたら、今後管理が行き届くから良いという案が出ている。意見の取りまとめにあるように、各種学校化にしてもメリットはないという面もある。しかし、そういう面だけではなくて、全体の日本語教育の質から考えると、各種学校化は良いという意見も出ているので、今後の質の保証の一つとして、ぜひ長期的に考えるべきではないか。
 実際は、各種学校化は、都道府県の権限であり、設置者は株式会社は認めないというケースがほとんど。しかし、大学でも株式会社の大学ができたぐらいだから、なぜ株式会社で各種学校ができないのか。
 各種学校をどうやって認めるか。私のアイデアだが、公益財団法人にするかどうかの猶予期間というのが5年ある。ですから、一定の猶予期間をおき、各種学校化を図りなさい、推進しなさいということを大きな方針として打ち出すことはできないか。そのときに、今まで株式会社で長期間日本語教育をやってきたところはあるわけで、そのときに過去の実績等を高く評価をしながら、5年以内には各種学校化を図りなさいという、長期的な方針というのはぜひ出してもらいたい。
 これを法律にすると、10年も15年もかかる。通達でできるのか、省令でできるのかはよく分からないが、そういう長期的な日本語教育に対する方針や、日本語教育機関を国として保証するか、海外に対してきちっと説明できるように保証するかどうかということを、考えていく必要がある。

○ 日本語教育機関の在り方、形、どういう可能性があるかということについては、前の懇談会のときにもあり、大学と日本語教育機関の協力体制について紹介があった。大学の留学生別科を一体将来どうするのかという問題もあるはず。別科を極端に縮小してしまったところもある。なぜそういうことが起こったかということも追及しておく必要があると思う。アメリカにおける大学と語学の教育機関との関係についても、情報をきちんと受けとめていない。

○ 留学生別科のことで話をしたい。現在、約60の留学生別科があり、ここ3年ぐらいの傾向を調べると、毎年3~4つの留学生別科が増えている。全体としては増加傾向。留学生30万人計画がスタートしたぐらいから、日本語能力を高めるには1.5年あるいは2年ぐらいの期間が必要ではないかということから、1.5年化を進めている留学生別科が増えている。
 また、今年も120人という規模の留学生別科も新たに加わってきた。1つの大学でキャンパスが複数あるところで、その複数のキャンパスに留学生別科を置くというところも出てきた。30万人計画がスタートしたことによって、留学生別科が活況を帯びてきたというような状況がある。
 JASSOから、22年度の留学生数調査が公開されている。22年度は14万人を超えた留学生が在籍しており、留学生が増えていく傾向にあると思う。
 そういう中で、別科、あるいは日本語学校がどのように日本語教育を支えていくのかについても、1つの大きな問題だと思う。しかし、その前に、留学生数の伸びがあるのかが、疑問に感じているし、質の問題で議論がずっとなされているが、どこまで求めればいいのか、その基準をどこに置くのかということは、日本の労働力ということにも通じるし、30万人計画にも通じる。非常に多くのことをはらんでいる問題ではないかなと、別科の問題と含めて、意見を言わせていただいた。

○ 質の保証は、日振協の場合は、運営の基準が使われている。しかし、実際は、運営の基準は設置の基準と半分は重なっている。運営の基準はソフト面の基準に見えるが実はハード面の設置基準になっていると思う。ソフト面の質の保証と設置というハード面の保証とは分けて考える必要があると思う。
 ソフト面では、国内外から、どのような日本語教育をしているかということについて、外からも目に見える形で示し、評価が可能になるようにするということと、実際の内実的なソフトの面の質というのは別の問題。本来はその中身のよさが評価されるべきであるが、それは、理念や方針と実際にやったこととの整合性があったかということしかない。理念や考え方が違う人たちにでも使えるような評価の枠組みが要るのではないか。ソフトの評価は、設置における基準と運営ということと二本立てで考える必要があると思う。そして、ハード面の評価も、設置の基準と、永続的な運営としての基準で考える。このように4つの象限で考えていくということが必要ではないか。
 それから、別科の話も、連携ということとも関係してくると思う。ある関西の私立大学では、留学生のうち、直接入学をした者と日本語学校経由の者では就職率に差が出てきた。今後は直接入学を減らして、日本語学校経由で入れたいとの話があった。それから、韓国の話であるが、韓国の大学へ行った中国人の留学生が非常に多くの不満を持って退学して、中国へ帰っている。それは、韓国の大学は、入れるのは熱心だが、その後のケアがない。韓国語がわからないから卒業できないということがネットのニュースにでていた。
 直接入学をしてきている5万3,000人の留学生が、当初の目的を果たして、どれぐらいの率で卒業しているのか、就職しているのかという数字があれば、いただきたい。

● 全部追跡調査をする必要がある。それぞれについて、個別に各大学で聞けるのかどうか、実現可能性については、これは各大学にもご相談しないとわからない。

○ 個別が無理でも、その5万3,000人の人たちの日本語教育はどうなっているのかということがわからないと、実際に連携するときの内容、質の話ができないのではないか。

○ 日本語教育機関の質保証、枠組みについて、日振協が今まで担ってきたものが廃止されたことによってどうするのかという議論を基礎にしていく必要がある。
 二通りの方法がある。1つは、日振協の機能はすべて法務省が担う。しかし、これは現実的には無理だと思う。日本語教育機関をビザの発給できる機関として認めるのは、法務省が担うことはできると思う。留学生を受け入れられるハードを持っているのか、ソフトを一部含めて、基準を持っているかということは、一時的に法務省が認定することは可能だと思う。
 ソフト面を中心とした質保証については、日振協のような団体が必要になる。それはどこが担うのか。質保証については、さまざまな意見があったとおり、高等教育機関への進学だけではない。やはり第三者の評価機関が必要ではないか。その中で、日本語教育機関をどのような形で評価を行うのか。高等教育機関に対する進学が中心なのか、直接就職をさせることを中心としているのか、あるいは文化の伝授を中心としているのか、そういった項目によって日本語教育機関は評価されるべきと考える。
 全く別の観点、日振協がなくなったときにはどうすればいいかということを考えると、基礎的な基準や設置基準については、法務省が新規校に対して認定を行う。新規の認定については、法務省が行うことが可能だと思う。新規に関しては、年間それほど多くのものはない。
    ただし、それだけでは質保証は成り立たないので、日本語教育機関は第三者評価を受けることとし、早急に第三者評価機関を設立する、あるいは、日振協がその第三者評価機関としての役割を担っていくということも可能かと思う。
 もう一つの観点では、イギリスにおける英語学校の認定スキームについての資料がある。このような全く別の認定のスキームを立ち上げていくということも可能かと思うが、時間的にはかなり押し迫っているので、一時的に避難案をつくっておく必要性があるも感じている。

○ 質的な保証が、重要なテーマになっている。ソフト面、ハード面の評価ということあったが、日振協の設置基準、審査の基準は、学校教育法をベースにしている。大学の審査の基準についても、基本的には、どういうところで、だれが、どういう考え方でやるかの3つしかない。これ以上の内容の質的な部分をどうしていくかというと、これは別の問題になる。現行の日振協の審査の基準をもう一回議論してみることが第一で、それをどこにゆだねていくのか、それが1つなのか複数なのかという筋道を、具体的に挙げていくことが必要と思う。
 自己評価をして、第三者機関による評価をすること、さらに教育サービスという観点で、マーケットの評価をきちっと受けるということは、必ず必要。我々はドメスティックな市場で仕事をしているわけではなく、世界中と競争している。そのため、それに打ち勝つために、制度的な整備も必要だが、こういったところも考える必要。
 第三者機関の評価は、1つは認定的な問題と、差別化する問題がある。差別化するのは格付機関または評価機関である。しかし、その次にマーケットの評価にゆだねるという点いおいて、日本語学校から他の日本語学校に転校するということは、非常にハードルが高い。制度的にはそうではないかもしれないが、非常に厳密な理由を求められたり、ハードルが高い。これは人権の問題以前に、ある学校に行って、教育上の問題で転校するすべがないと感じている。今後の議論と思う。
 こうすると、転校ブローカーみたいなのが現れることが考えられる。実際に数年前までオーストラリアとイギリスではやったことがあるが、これは一応対応はできる。
 1番目の自己評価、2番目の第三者機関による評価、そして、3つ目のマーケットによる評価、ここの部分で一番大切なのは、マーケットは海外にあるわけであり、教育の実態は日本にあるわけだが、その中で転校の自由化が認められないということ、大きな問題点である。ただ、これが機能すると違う結果も見えることが考えられる。

○ 少し前の話ですが、例えば、アメリカのミシガン州に英語学校があって、下からレベル1、レベル2とあり、9まであって、レベル8とか9になると、英語の試験なしで州内の大学に、専門科目だけの試験で行ける。例えば、「日本語スタンダード」等を設定し、同じようなシステムが日本でも導入できれば、例えば、大学院へ行くレベルが日本語スタンダードの8を超えていたら専門の試験だけで大学や大学院に行ける。そのような学習者が明確に描けるルートが必要だと思います。そうすると、フランス人が日本語を勉強するときの時間の長さと、中国人で漢字が全部わかっている人が日本語を勉強するときの長さは、全然違うけれども、目標が明確であれば、学習者は学習しやすいと考えられます。結果を考えると、大学との連携は無ければ行けないと思います。その意味で、教授法や教育の内容とは、こちらの学校では、これだけのレベルに行くのに1年かかる、あちらの学校では1年半かかるというのは、個々の学校の問題だと思います。
 あと、最近ある大学の中で、正規学生として1年生に入れてしまう例がある。日本語ゼロの学生を正規学生に入れて、1年目は全部日本語を勉強して、2年目はもう2年生に入れる。しかも、学費は日本語学校が1年の学費が平均67万円のところ、1年の学費が45万円が売りものになっています。大学がこれを始めると、日本語学校が入るすき間がなくなってしまいます。学生によっては、いろんな専門に行きたいので、やはり日本語学校と大学はきちんと連携する必要があると思います。

 今は、日振協や国際交流基金、大学においてそれぞれ、スタンダードがあるので、基金などと、もっと連携して、どうやって教えていくのか、何を教えるのかということをまとめて、日本の日本語スタンダードの設定の準備が非常に必要だと考えています。

 

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-- 登録:平成23年04月 --