留学生受入れ制度百年に当たり、我が国における留学生の受入れに携わってきた関係者と共に、外国からの留学生を交え、この記念式典に臨むことを誠に喜ばしく思います。 明治三十四年、当時の帝国大学などに留学生を受け入れるための「文部省直轄学校外国人特別入学規程」が制定され、その翌年、我が国は五十八人の留学生を近隣諸国などから受け入れました。以来百年を経て、現在では、世界のすべての地域から、八万人に近い留学生が我が国を訪れ、勉学にいそしんでいます。この間、制度の充実や、実際に日本を訪れる留学生の接遇に長年力を尽くしてきた関係者の努力に深く敬意を表します。 我が国は、その歴史を通じて、多くの留学生を海外に送り、その恩恵を受けてきました。古くは七世紀から九世紀にかけて遣隋使、遣唐使に同行して中国に学んだ留学生や、十九世紀後半に国の近代化に貢献するべく欧米諸国に学んだ留学生があり、戦後は、ガリオア留学生やフルブライト留学生を始めとし、今日に至るまで、多くの学生が様々な形で外国に学んできました。これらの留学生は、外国での見聞や経験を持ち帰り、それぞれの時代の国や社会の発展に寄与し、国際親善にも貢献してきました。 外国留学には、専門分野の研鑽を積むことに加えて、留学先の歴史や文化を学び、他国に友を得るという大きな意義があります。外国から我が国を訪れる留学生が、帰国後、それぞれの母国で留学の成果を十分に役立て、また、母国と我が国との相互理解や友好関係の増進に寄与していくためには、各自が安心して勉学に励み、多くの知己を得て、実り多い滞在をなし得るよう、我が国の人々が十分に配慮をすることが重要であると思われます。 我が国の留学生受入れ制度が、今後ますます充実していくことを期待し、日本を訪れる外国人留学生、そして海外に学ぶ日本人留学生双方が、周囲の温かな理解の下、良き留学生活を送れることを願い、式典に寄せる言葉といたします。 |
本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、留学生受入れ制度百年記念式典が挙行されますことは、誠に慶ばしく、心からお祝い申し上げます。 平成十三年十一月二日 内閣総理大臣 小泉 純一郎 |
本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、天皇陛下御在位十年記念事業の一環として建設されました、ここ国際研究交流大学村の「プラザ平成」において、留学生受入れ制度百年記念式典が挙行され、皆様とともに我が国における留学生交流の発展を祝うことができますことは、主催者の一員として深く光栄とし、かつ、大きな喜びとするところでございます。 平成十三年十一月二日 文部科学大臣 遠山 敦子 |
本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、留学生受入れ制度百年記念式典を挙行し、皆様とともに百年にわたる我が国の留学生交流の足跡と、その発展を祝うことができますことは、深く光栄とし、喜びとするところであります。 平成十三年十一月二日 留学生受入れ制度百年記念事業実行委員会委員長 小林 陽太郎 |
○ヤング・リーダーズ・プログラム留学生代表
ニシト・ケオパンヤ氏 挨拶
ADDRESS by Mr. Nisith Keopanya,
Representative of Young Leader’s Program Students Your Majesties, Ladies and Gentlemen, |
(和訳) この留学生受入れ制度100年記念式典に際し、日本政府に対し心からお慶び申し上げるとともに、ここにいらっしゃる皆さまに深く感謝申し上げます。日本への全ての留学生を代表してスピーチをする機会を得られたことを大変光栄に存じます。 私はラオスからの留学生でNisith Keopanya(ニシト・ケオパンヤ)と申します。偶然ではありますが、Nisithは学生という意味を持っております。1993年より、母国ラオスの首相府において行政官として勤務した後、文部科学省の奨学金プログラムであるヤング・リーダーズ・プログラムのおかげで、私は政策研究大学院大学で研究を行なうまたとない機会を得ることができました。日本を訪れたいと願いつつ、その機会に恵まれなかった私は、39カ国の136名におよぶ留学生が在籍している政策研究大学院大学で、日本の経験について、そして世界の他の国々の経験について学ぶことができる貴重な機会を得ることができました。 ヤング・リーダーズ・プログラムを始めとする、多くの留学生のための奨学金プログラムを通して、日本は国際交流および国際協力に積極的に貢献してきました。実に100年もの長きにわたって、日本が国際交流に多大な貢献をしてきたことに私は深い感銘を覚えます。日本が他の国々から高く評価されているのは、素晴らしい経済発展を遂げたからだけではなく、強い意欲を持って国際交流に力を注ぎ、人的ネットワークを形成してきたためだと私は考えます。 1年にわたる日本での研究生活を通して、私は日本の制度と文化について、より見識を深めたいと思います。そしてラオスが日本のような民主的で豊かな社会を築くことができるよう、日本の経験を祖国ラオスに持ち帰るのが私の願いです。国際交流における日本の貢献は、世界の協力関係をよりよいものへと導き、さらなる発展をもたらすものと確信しております。日本に留学しているすべての留学生もきっと同じ思いを抱いていることでしょう。 最後に、ここでもう一度、全ての留学生を代表して、100年にわたり国際教育と協力に貢献してくださった日本政府及びすべての関係者の方々に、心から感謝申し上げ、私のスピーチを終わります。御清聴ありがとうございました。 |
○国際研究交流大学村居住留学生代表
ハイケ・シュローダ氏 挨拶
本日、天皇皇后両陛下がおいで下さいまして、留学生受入れ制度100年記念式典が開催されるにあたり、国際研究交流大学村に居住する留学生を代表してご挨拶させていただきますハイケ・シュローダと申します。 東京での生活は非常に貴重な経験だと感じております。来日するのは、今回が初めてではありません。実は、兵庫県の神戸で生まれ、3歳までそこで育ったため、日本にはもともと親しみがありました。 それだけではありません。新しく建てられたこの国際研究交流大学村・東京国際交流館に、今年6月に入居しました。ここの施設の充実度や雰囲気には感動しました。部屋も広く、リクレーション施設や学習設備も充実しています。 さて、日本が留学生受入れ制度を始めてから、ちょうど今年で100年を迎えました。 最後になりましたが、本日ご列席の皆様をはじめ、長い間にわたって留学生を応援していただいているすべての皆様にこの場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。皆様のご期待にお応えできるよう、充実した生活を日本で送り、一つでも多くのことをドイツへ持ち帰りたいと思います。 ご静聴ありがとうございました。 |
-- 登録:平成21年以前 --