平成24年度「専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業選定委員会」所見

 このたび、専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業選定委員会は、チーム医療の推進に資する高度な看護師・薬剤師等の養成を図るために実施する「平成24年度 専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業」について、本年6月に申請のあった看護系29件、薬学系23件の取組のうち、特に優れた2件(看護系1件、薬学系1件)の取組を選定した。財政状況が非常に厳しい中、今年度は2件の取組募集に対して、各国公私立大学から多くの申請を頂いたことから、高度かつ専門的な医療人材の養成に向けて日々取り組んでいる各大学の関心の高さがうかがえた。

 我が国の医療現場は、医療技術の高度化の進展、高度先進医療の拡大とともに、在院日数の短縮や、医師の過重労働等の問題が山積している。これらの問題に対応するため、医療の効果的、効率的な提供を目的とするチーム医療の推進が喫緊の課題とされており、厚生労働省で開催中の「チーム医療推進会議」における議論の動向等も踏まえた上で、今回申請のあった取組について、昨年度10件(看護系6件、薬学系4件)を選定した取組と同様に、全体の理念や概要、人材養成に対するこれまでの取組実績、実施体制、評価体制等について審査を行った。

 今回の審査について概観する。在宅等多様な居住の場でチーム医療が展開される地域・社会のニーズを踏まえ、看護系大学院においては、地域全体のチーム医療実践力向上に貢献できる専門的看護師養成の取組や、多発する震災に関連し多様化する医療ニーズを踏まえ高度実践者としての役割を追求した専門的看護師養成の取組等があった。

 さらに、薬学系大学では、大学が拠点となって医学部、看護学部や医療施設等と連携しながら、地域医療に貢献する高い臨床能力を持つ薬局指導薬剤師の育成や、実務実習の均てん化に向けた指導薬剤師の養成の取組等があり、看護系・薬学系のいずれにおいても、魅力的で実効性のある取組が多数見受けられた。

 選定された大学におかれては、今後、看護系大学院では、高度実践能力を備えチーム医療の要となれる看護師の養成がより一層推進され、また、薬学系大学では、地域医療に貢献できる臨床能力に優れた薬剤師を養成する連携取組が進められ、これらの内容や得られた成果等について、積極的に社会に情報発信することを期待したい。

 また、残念ながら今回事業として選定はされなかったが、昨年に比べ、各大学から申請された計画は、人材養成目的がより具体的かつ詳細であり、確実にチーム医療の推進に資する高度な専門的看護師・薬剤師が養成される計画が立案されていたことを申し添えておく。今後、それぞれの大学において検討された取組を積極的に推進されることが望まれる。

 国民が安心・安全な医療を享受できる環境を確保し、医療の高度化等に対応していくためには、我が国全体を通じた、大学・大学病院における高度な専門医療人材養成は喫緊の課題である。

 今後とも、各大学・大学院においては、社会からの高いニーズに応えるべく、特色ある人材育成の機能強化に努めていくことを期待したい。

平成24年7月10日
専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業選定委員会
委員長 飯島 正文

お問合せ先

高等教育局医学教育課看護教育係、薬学教育係

(看護教育係)河野、西尾、太田 (薬学教育係)吉田、髙木
電話番号:(代表)03-5253-4111 (内線)2508、3326

-- 登録:平成24年07月 --