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先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム(平成19年度採択)の最終評価について

平成24年3月
先導的情報セキュリティ人材育成推進委員会

 「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」は、大学間及び産学の壁を越えて潜在力を結集し、教育内容・体制を強化することにより、専門的スキルを有するとともに、社会情勢の変化等に先見性をもって対処できる世界最高水準のIT人材を育成するための教育拠点の形成を支援するプログラムである。

 平成23年度については、補助期間が終了した平成19年度採択のセキュリティ分野における高度IT人材育成を目的とした2拠点について、実績報告書の提出を受け、書面評価を実施するとともに、全ての拠点に対してヒアリングを行い、実施状況や成果等を確認し、当初の目的を達成できたか否かについて評価を行った。最終評価の結果は、当初の目的を良く達成できているプログラムが2件であった。

 各拠点においては、複数の大学・企業との連携による産学連携教育体制が構築されるとともに、セキュリティ人材の育成に関し、それぞれの特徴を生かした教育カリキュラムや教材、教育方法が開発されたことは特筆すべきものであった。また、拠点内の大学及び企業だけではなく、2つの拠点相互の連携も図られており、教員や学生の人的なネットワークも形成された。

 具体的な取組として、暗号技術から法制度・倫理までトータルにカバーした講義体系の構築や、企業の実務知識及び経験を習得するためのネットワークセキュリティに関する実践的演習の実施、産業界の第一線の講師陣による最新技術等を扱ったオムニバス講義及び分野横断型のワークショップの実施等が行われた。また、短期間の合宿形式による実習・演習や、連携企業における4週間程度のインターンシップといった先進的な取組も見られた。

 また、講義アーカイブなど新たに多くの教材等が開発され、公開されているのに加え、著作権の処理など、教員による教材作成を支援する取組が行われる等、本補助事業の成果が形になって現れていたと判断できる。さらに、さまざまなFD活動が行われており、産学連携による分野横断型のワークショップ開催のほか、幅広い分野のプログラム科目と専門性の高い研究分科会を組み合わせた研究と実務の融合による育成プログラム構築を図ることにより、教員と産業界の講師が連携して人材を育成する取組みが見られた。

 以上のことから、本事業が目指したセキュリティ分野における世界最高水準のIT人材を育成するための教育拠点の形成という目標に向けて着実に前進していると判断され、補助期間終了後もプログラムを継続している点は、プログラムの成果を社会に還元するものとして高く評価できる。なお、プログラムの修了生はセキュリティ関連の企業にも多く就職し、それらの企業へのアンケートにおいても、積極性・主体性、問題意識、忍耐力、プログラミング力、論理的思考力、ドキュメント作成力といった点で高く評価され、今後、ますます重要になるセキュリティ分野において、即戦力として活躍できる能力が身についていることが確認できた。また、学生に対するアンケート調査においても、特に、情報セキュリティに関する問題意識や専門知識が身についたと回答しており、本事業のプロジェクトに対する満足度は高い。

 しかしながら、本事業において形成された拠点における修了者数はまだ少なく、近年、情報セキュリティ分野の人材に対するニーズが急速に高まっている現状を踏まえると、これまでに構築してきた大学間の連携を深めるとともに、継続的な産学連携により、今後さらにプログラムの成果を発展させていくことが重要である。また、成果を普及させるための演習のパッケージ化や、開発教材の学部レベルへの展開を進めるとともに、教員が常に新しい知識や技術を取り入れるためのFDを充実していくことも必要である。さらに、カリキュラムについては、情報技術分野のみならず、情報セキュリティと関わりの深い経済・経営、法務・労務、心理等、人文科学・社会科学分野のみならず災害時における対応にも拡大・充実を図っていくことも望まれる。

 近年、政府機関や民間企業に対するサイバー攻撃の急増等により、セキュリティ人材の育成はますます重要性を増してきており、今後は、両拠点が引き続き、我が国のセキュリティ分野の産学連携教育のリーダーとして、作り上げた仕組みや教材等の成果について、他大学との共有や、広く社会への普及に努めていくことに期待したい。また、本事業の取組や作り上げてきた教員や学生の人的ネットワークをさらに発展させながら、現状の問題だけではなく未来に起こりうる危機を想定して対応できる、より多くのセキュリティ人材を全国的な産学官の連携により育成していくことが望まれる。

 本委員会では、我が国を支える基盤となるセキュリティ人材の育成について、今後も文部科学省が関連府省と連携を深め、大学間・産学間の連携による実践的教育の充実や、セキュリティ人材育成のための大学をはじめとする産学のネットワーク形成などに対して、必要とされる支援等の充実に向けて取り組んでいくことを要請する。

最終評価結果

総合評価結果

総合評価

件数

(1)達成 :当初の目的を、良く達成できている。

2件

(2)概ね達成 :当初の目的を、達成できている。

0件

(3)未達成 :当初の目的を、達成できていない。 

0件

(4)不適切 :全く当初から進展していない。

0件

 計 

2件

 総合評価内訳

(1)当初の目的を、良く達成できている。

大学名

プロジェクト名

奈良先端科学技術大学院大学(申請大学)、京都大学、大阪大学、北陸先端科学技術大学院大学

社会的ITリスク軽減のための情報セキュリティ技術者・管理者育成

情報セキュリティ大学院大学(申請大学)、中央大学、東京大学

研究と実務融合による高度情報セキュリティ人材育成プログラム

(2)~(4)
該当無し

拠点別最終評価結果

大学名

奈良先端科学技術大学院大学(申請大学)、京都大学、大阪大学、北陸先端科学技術大学院大学

設置形態(申請大学)

国立

教育プロジェクト

社会的ITリスク軽減のための情報セキュリティ技術者・管理者育成

学長の氏名(申請大学)

磯貝 彰

取組代表者

情報科学研究科 研究科長 湊 小太郎

【事業概要】
 「社会的ITリスク軽減のための情報セキュリティ技術者・管理者育成」(ITKeys:ITspecialistprogram to promote Key Engineers as security Specialists)は、企業等において情報セキュリティ対策を立案・遂行できる人材の育成を目的として、各大学院に分散している専門家を結集した連携型教育コース(体系化された基礎知識を学ぶ基礎科目群、総合的知識を学ぶ先進科目群、経験的知識を学ぶ実践科目群)を設けるとともに、企業等からの招聘講師による最新動向を反映した講義や実践的演習を通して、CIO/CSO/CISOあるいはその補佐として即戦力となる実務者を育成するプログラムである。
  このような高度な情報セキュリティの人材を育成するために、関西圏を中心とした高い専門性を有する国立大学法人の情報系4大学院(奈良先端科学技術大学院大学、大阪大学、京都大学、北陸先端科学技術大学院大学)の教員に加え、先進的な情報セキュリティ対策を行っている4企業・団体等の高度な技術者の力を結集し、産学連携型の教育拠点を形成し、今までにない実践的な教育プログラムを実施するものである。

【先導的情報セキュリティ人材育成推進委員会による所見】
 (総合評価)
 当初の目的を、良く達成できている。

 (優れた点)

  • 産学の教員が連携し、講義・実践的実習を通してCIO/CSO/CISOまたはその補佐として実践力を身につけた実務者を育成するという明確な目標をもち、短期の合宿による実習・演習を複数設けたカリキュラムによって、それを達成できる教育を実践していることは高く評価できる。
  • 特に、ネットワークセキュリティに関して高度な実践教育が行われたことは従来に比べて特筆すべきものである。
  • 企業との連携も実践的であり、企業の実務で必要となる実務的知識および経験を習得させるプログラムを構築するとともに、その修了率が高い。
  • 教員や就職した学生も含めた大学間の人的ネットワークの形成は、我が国のセキュリティ対応力の底上げに貢献し得るものでありよく工夫されている。
  • 事業の補助期間終了後も、ほぼ同様のプログラムを継続させている点は評価できる。

(今後に期待する点)

  • カリキュラムについて、情報技術分野のみならず、情報セキュリティと関わりの深い経済・経営、法務・労務、 心理等、人文科学・社会科学分野への拡大・充実を図っていくことが求められる。
  • 開発した教材を含む成果の社会への還元を進めるとともに、プログラムの対象を社会人にも広げることが望まれる。
  • サイバーセキュリティの分野に関する人材育成への期待が高まっており、演習のパッケージ化や、企業をまきこんだ事業展開など、今後のセキュリティ人材育成を発展させていくにあたり、先導的な役割を果たしていくことを期待する。

 

大学名

情報セキュリティ大学院大学(申請大学)、中央大学、東京大学

設置形態(申請大学)

私立

教育プロジェクト

研究と実務融合による高度情報セキュリティ人材育成プログラム

学長の氏名(申請大学)

林 紘一郎

取組代表者

情報セキュリティ研究科 研究科長 田中 英彦

【事業概要】
 「研究と実務融合による高度情報セキュリティ人材育成プログラム」(ISSスクエア) は情報セキュリティ大学院大学、中央大学大学院理工学研究科、東京大学大学院情報理工学系研究科が中核となり、国立情報学研究所他、各研究科がこれまで共同研究等を進めてきた企業・研究機関11社との連携により設計されたプログラムである。
 情報セキュリティに関する幅広い知識と高い実践力を備えたリーダー人材と、産学連携による高度かつオープンな研究会活動を通じて醸成される本質的な問題解決能力を備えた高度研究開発人材の育成を目的としている。
 3大学の研究科それぞれが強みを持つ分野の講義群により、高度情報セキュリティ人材として必要な幅広い知識を得ることができ、また、各企業や研究機関におけるインターンシップや、企業現場の実務家によるオムニバス講義等を通して、経営・研究開発現場における現状の理解と問題の把握が推進されるとともに、情報セキュリティ研究分科会や分野横断型のワークショップでの活動を通して、現場知識の充実に基づいた高度な問題発見能力と解決能力を身につけるものである。

【先導的情報セキュリティ人材育成推進委員会による所見】
(総合評価)
当初の目的を、良く達成できている。

(優れた点)

  • 社会人学生についても多数受け入れ、情報セキュリティの教育研究領域として、暗号技術から法制度・ 倫理までトータルにカバーされた講義体系を構築し、産業界から第一線の講師陣が指導にあたるなど、産学が連携した取組は高く評価できる。
  • 多くの民間企業と実施した分野横断型のワークショップ、4週間程度のセキュリティ分野のインターンシップは、受講生にとって効果的なものであった。
  • 幅広い各分野のプログラム科目と専門性の高い研究分科会を組み合わせた研究と実務融合による育成プログラムの枠組みは優れており、今後の教育改革に資する可能性が高い。
  • 多数の講義アーカイブに加え、著作権の処理など、教員の教材作成を支援する取組みが評価できる。

(今後に期待する点)

  • 高度研究開発人材の育成と実践リーダー育成の双方の人材育成の取組がよりうまく機能するように、プログラムに参加する学生間の交流をより一層活発に行う努力が必要である。
  • 継続的な産学連携によって、教員が常に新しい知識や技術を取り入れられるようにすることが今後も求められる。
  • 開発されてきた広範囲にわたる教材が、全国の大学をはじめ、広く社会において活用されるようにするため、教材を公開する際には、利用者により分かりやすくするような工夫を行っていくことを期待する。

お問合せ先

高等教育局専門教育課

-- 登録:平成24年05月 --