東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第8回)議事録

1.日時

平成28年9月8日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

経済産業省別館11階 1111会議室(東京都千代田区霞が関1-3-1)

3.議事

1.意見交換

2.その他

4.出席者

<委員>

遠藤座長、泉委員、木場委員、桐野委員、小山委員、邉見委員、山口委員


<文部科学省>

松尾大臣官房審議官、寺門医学教育課長、中安医学教育課課長補佐


<東北医科薬科大学>

高柳東北医科薬科大学理事長・学長、福田東北医科薬科大学医学部長、大野東北医科薬科大学医学教育推進センター長、

堀田東北薬科大学事務局長


<オブザーバー>

堀岡厚生労働省医政局医事課課長補佐


5.議事録

【遠藤座長】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから,東北地方における医学部設置に係る構想審査会第8回を開催したいと思います。
委員の皆様におかれましては,お忙しいところ,お集まりいただきまして,どうもありがとうございます。
まず,会議の公表について,本日の議事は公開とさせていただきます。撮影は冒頭のみ認めたいと,このように考えておりますけれども,御了承いただけますか。ありがとうございます。
次に,議事に入る前に,事務局より,出席と配付資料の説明をお願いしたいと思います。


【中安医学教育課課長補佐】  本日は,岸委員,津田委員,永井委員,伴委員から欠席の御連絡を頂いております。なお,濱口委員につきましては,今年3月に任期が切れた後,委員継続の辞退の申出があり,委員から外れております。
次に,配付資料の説明をさせていただきます。お手元の議事次第にありますように,ちょっと多いですけれども,東北医科薬科大学からの提出資料として,資料1から4,さらに,そこから枝番として,資料4-1-1から4-1-3,4-2-1から4-2-2,4-3-1から4-3-4がございまして,参考資料として,7月11日に開催されました第8回教育運営協議会の議事録を置いてございます。
不足等ありましたら,お伝えください。


【遠藤座長】  よろしいですかね。


【中安医学教育課課長補佐】  事務局からは以上になります。


【遠藤座長】  それでは,これから議事に移りたいと思います。撮影につきましては,ここまでとさせていただきたいと思います。
それでは,議事に移ります。昨年8月に開催されました前回の構想審査会では,東北薬科大学における「今後の対応が必要な事項」の確認を行い,引き続き同大学の取組について確認することとしました。その後,同大学は,昨年8月末に医学部設置を認可され,今年4月に東北医科薬科大学と改称した上で,医学部を開設いたしました。今回の構想審査会では,開設後の東北医科薬科大学の対応状況等についてヒアリングを行って,委員の皆様に御確認を頂きたいと,そのように考えております。
まず,東北医科薬科大学より,開設後の対応状況等について,20分ほどで御説明を頂きたいと思います。
では,恐縮ですが,よろしくお願いいたします。


【東北医科薬科大学(高柳)】  理事長の高柳でございます。本学から説明を申し上げる前に,私の方から一言御挨拶申し上げます。
昨年8月末に,文部科学大臣から医学部設置認可の通知を受けまして,本年4月の開設に向けて,大学の総力を挙げ,準備してまいりました。学生募集,教員就任予定者への説明会,修学資金制度の整備,詳細なシラバス作成と時間割の調整,入学試験の実施等多様な業務に忙殺される毎日でありました。
おかげさまで,無事,初めての入学生を受け入れることができ,4月5日に薬学部と合同の入学式を行いました。医学部定員100名に対し,入学者も100名でありました。うち,東北地方からの入学者は31名でした。東北地方の医療に貢献したいという熱意ある学生が全国から集まってくれたと感じております。
第1期生である入学生は,直接の先輩がいない中,学生生活を送る上で多少の戸惑いを覚えたと思います。学内行事や課外活動などの積極的な参加の様子を見ておりますと,早い時期からまとまりがあり,学生生活を有意義に過ごすために,お互いのコミュニケーションがよく取れるような関係を築いているように思われ,非常に頼もしく感じております。大学としましても,このまま順調に育て,できる限りの支援を継続していきたいと思っております。
医学部の教育研究棟,校舎ですが,この工事も進めております。第2研究棟が来年の春,そして,第1研究棟がその次の春までに竣工し,新3年生から使用できるよう,準備を進めております。
本日は,入学者の状況などにつきまして,分担して御説明を申し上げます。東北地方に定着し,地域医療の充実に貢献できる医師の育成に向けて,本学が更に取り組むべきことなどに関しまして,御助言を頂戴したいというふうに考えております。
東北に根ざしたより良い医学部作りに一層総力を挙げて努力してまいりたいと思います。どうかよろしくお願いします。


【遠藤座長】  ありがとうございました。


【東北医科薬科大学(堀田)】  それでは,順番に,資料の御説明をさせていただきます。
まず,資料1「医学部入試及び入学者の状況」でございます。
まず,入学試験の状況でございますけれども,募集定員が一般入試100名,志願者が2,458名,実際の受験者は2,278名でございました。合格の通知を出したのは297名,実際の入学者は100名,女性が19名でございました。結果といたしまして,志願者を募集定員で割った志願倍率が24.6倍,実際の受験者を合格者で割った実質競争倍率,こちらは7.7倍という結果になりました。
続きまして,入学者の状況でございます。100名のうち,東北地方からの入学者は,先ほどもお話ございましたとおり,31名でございます。修学資金枠A方式35名,B方式20名はともに定員を充足してございます。A方式,B方式の詳しい仕組みにつきましては裏面に説明がございますので,御参考にしていただければというふうに思います。
実際の入学者でございますけれども,縦に,高校,出身高校ベースの出身地方,東北地方については各県ごとに記載してございます。横軸に入試方式,A方式,B方式,一般枠ということでお示ししてございます。
まず,A方式宮城でございますけれども,定員30名に対して,北海道地方1名,東北が5名,関東が13名,中部4名,関西5名,中国1名,九州・沖縄地方1名でございます。それから,A方式その他東北5県枠,これは各県1名の定員でございますけれども,それぞれ各県の枠にその県の出身者1名ずつ合格してございます。
続きまして,B方式でございますけれども,こちらは本学の1,500万の修学資金のほかに,各県の修学資金制度をマッチングさせるという制度で,20名枠が取ってございました。合格者は,東北地方が10名,関東地方7名,中部地方2名,四国地方1名ということでございます。合計で20名で,その下に矢印が伸びてございます。
このB方式の合格者の修学資金希望状況でございます。青森県1名,岩手県4名,秋田県5名,山形県6名,福島県4名ということでございまして,既に各県の採用状況,進んでございまして,青森県,岩手県,秋田県は既に定員どおり合格の通知を頂戴してございます。それから,福島県でございますけれども,こちらは3名が定員でございました。3名合格を頂いておりまして,1名が選から漏れたということになりますけれども,こちらについては,秋田県さんの方で二次募集があるということでこちらに回っていただくことで,学生,県当局の了解を頂いております。山形県6名,まだ結果待ちということでございますが,現在のところ,採用の方向で審査が進んでいるというお話を伺っております。したがいまして,B方式20名,今のところ,全員,各県の制度とのマッチングが可能というふうに考えてございます。
残り45名が一般枠でございます。こちら,北海道地方が4名,東北地方が11名,関東地方が20名,中部地方6名,関西が3名,中国が1名,以上,45名と,こういう状況になってございます。


【東北医科薬科大学(福田)】  それでは,資料2の「医療活動等に与える影響についての調査」について,医学部長,福田の方から御説明いたします。
私どもは教員を採用するに当たりまして,地域医療に大きな影響がないように慎重に進めてまいりました。採用した教員の異動によって,採用前に勤務していた機関の地域医療,あるいは,大学の医学教育に影響がなかったかどうか調査を行いました。対象は,本年4月1日に着任した115名のうち,内部登用者を除く70名で,転出元の47機関に照会をいたしました。資料2の裏側にその照会文書が載せてあります。それから,3ページ,これは回答書の形式でございます。
1枚目に,最初のページに戻っていただきまして,調査結果でございます。状況の変化があったと回答したのが2機関でございます。その内容でございますが,いずれも,補充はされたが,前任者と同水準の担当能力を発揮できるようになるまでに少し時間が掛かるとの趣旨でございました。状況の変化がなかったとの回答は39機関,6機関からは回答がありませんでした。ただ,無回答の場合には,状況の変化がなかったと受け止めますと付記しておりますので,この6機関も変化がなかったと考えております。また,来年度以降に着任する教員につきましても,同様の調査を実施する予定でございます。
資料2は以上でございますが,引き続きまして,資料3の「教員の追加公募」について,説明申し上げます。
まず,資料3の5ページをごらんいただきたいと思います。これは現在の教員数でございますが,一番右端の数字,黒字の部分が平成30年度までの着任予定数でございますが,基礎系37名,臨床系146名の合計183名でございます。括弧内の青字は,平成28年度に着任した教員の数で,合計115名でございます。
ざっとごらんになって,質の高い医学教育,質の高い大学病院としての診療機能を果たすには,まだまだ臨床系教員が不足していることが見て取れるかと思います。例えば,上から参りまして,呼吸器内科,腫瘍内科,皮膚科,眼科,泌尿器科,麻酔科,救急・災害医療,医学教育推進センターなど,まだまだ教員は不足しております。
1ページ目に戻っていただきます。そこで,医学部教育体制の充実,診療体制の充実を図るために,教員が特に不足している臨床系を中心として,15名程度の教員を採用したく,現在公募を実施中でございます。公募指針をその次の2ページ,添付資料1,それから,公募及び選考の基準を4ページに示してございますので,後でごらんいただければと思います。なお,この公募の実施に関しましては,7月11日開催の第8回運営協議会で了承を頂いております。
それでは,最後の6ページをごらんいただきたいと思います。この添付資料4は,これまで採用した教員の地域別割合と年度別の着任数を示したものでございます。3年間に分散させて着任する計画となっております。
右から二つ目の臨床系という欄が,合計の臨床系ですが,臨床系合計146名の地域出身別の内訳ですが,本学の内部登用が51名,東北大学からは43名,この東北大学の割合は臨床系の約30%弱でございます。
説明は以上でございます。


【東北医科薬科大学(堀田)】  続きまして,資料4をごらんいただきたいと思います。こちら,昨年の3月17日,構想審査会より示された「今後の対応が必要な事項」,6項目,こちらについて,まとめたものでございます。左側に対応が必要な事項,右側に本学の対応状況をお示ししてございます。
まず,対応事項の1番でございますけれども,こちら,教育運営協議会の活用等により,各県の実情を踏まえた医師偏在解消方策を講ずることという趣旨だと理解してございますけれども,本学の対応でございますけれども,昨年7月に7回目の教育運営協議会を開催し,これまでの協議会における論点や対応状況を報告の上,更なる議論を行ってございます。協議会に出された意見につきましては,今後の医学部運営に生かしていくべく対応しているところでございます。
さらに,今年の7月11日,第8回運営協議会を開催してございます。この協議会におきまして,入試状況,教員の採用状況,地域医療への影響への検証等々,報告をいたしまして,御理解を頂いているところでございます。
今後につきましても,教育運営協議会を活用いたしまして,また,各県の医学部,県当局とも密接に連携を取りまして,東北地方に定着して,地域医療を担う人材を輩出することで,医師偏在の解消に貢献していくというふうに考えてございます。
対応事項の2番でございます。こちらは,サテライト,あるいは,ネットワーク病院の整備等により,地域医療への理解を深める教育を充実させること,また,地域立脚型カリキュラムの構築と教員の目的意識の共有,これらを徹底することで,卒業生の地域定着を促すことというような趣旨かと理解してございます。
こちらの対応でございますけれども,まず,地域医療サテライトセンター及びネットワーク病院の整備等について,資料4-1-1に詳しくまとめてございます。こちらにつきましては,福田医学部長の方から御説明申し上げます。


【東北医科薬科大学(福田)】  それでは,資料をごらんいただきたいと思いますが,まず,地域医療ネットワーク病院について説明いたしますが,本学の地域医療教育の場として,宮城県には九つ,他の5県には二つずつ,合計19の地域医療ネットワーク病院をお願いしてございます。ネットワーク病院は,東北各県の中核的な病院でございますが,これらの病院との協定締結につきましては,現在最終段階に入っております。
一方,その上の地域医療サテライトセンターでございますが,これは本学医学部の教育組織の一部という位置付けで,6年生の学生が4週間滞在して,いわゆる地域包括医療の実習を行う場でございます。本年4月1日に,登米サテライトセンターを既に開始をいたしました。また,本年9月1日に,石巻市立病院が震災から復興して再開いたしますが,サテライトセンターを院内に10月1日に開所する予定で,先方と準備を進めております。
将来的には,この二つのセンターでの経験を生かしながら,ほかの5県にもセンターを設置したいと考えております。
以上でございます。


【東北医科薬科大学(堀田)】  続きまして,卒業生の地域定着を促進する教育の実施についてでございます。こちらは資料4-1-2に詳しくまとめてございます。
こちらにつきまして,大野医学教育推進センター長から御説明申し上げます。


【東北医科薬科大学(大野)】  では,資料4-1-2に基づきまして,御説明申し上げます。
地域医療教育の充実を図るために,1年次に「大学基礎論」,それから,2から6年次には,東北6県の今,福田が申し上げましたネットワーク病院を活用した体験学習・臨床実習を予定しております。
最初に,1年次の「大学基礎論」でありますが,経過概要を御説明申し上げます。まず,この「大学基礎論」の目的は,地域,特に東北各県の歴史,文化をまず知ってもらおうということでありましす。(1)にございますように,東北各県の当局の方に,各県の歴史,文化,風土等を説明していただきました。
次に,(2)でございますが,学生たちに実際に東北6県を訪問するという形で体験,訪問実習を行いました。方法は,そこの(2)の2番目のポツのところですけれども,A・B方式入学者は修学資金貸与を受ける県,それから,一般枠の学生は調査票,希望を聞きまして,東北6県にほぼ均等に配置しました。その結果,下の表にございますように,各県に,宮城県を除きまして十数名,宮城県はA枠が30名と多いこともありまして,38名ということになりました。
この配置を基に,学生が5ないし6人のグループを作りまして,日帰りで,学生自らが訪問先,その訪問目的を作成し,訪問してまいりました。日帰りで行ってまいりました。この訪問で,一般枠と修学資金枠の学生の交流も進みましたし,各県の地域事情を知るきっかけとなったと思います。
それから,2番目ですが,引き続きまして,来年度2年から6年次には,東北各県のネットワーク病院を活用した体験学習・臨床実習になります。この配置も上の表,ただいまの青森県から福島県で分けました表を元に再度希望を確認し,人数を配置して,順次進めていきたいと思っております。
以上です。


【東北医科薬科大学(堀田)】  続きまして,本学の使命に係る教員への周知についてということでございますけれども,こちら,資料4-1-3に詳しく取りまとめてございます。こちらにつきまして,福田医学部長から御説明申し上げます。


【東北医科薬科大学(福田)】  資料4-1-3でございますが,ここにお示ししましたとおり,開学前に7回にわたって繰り返し,教員に対する説明会を開催して,意志統一を図っております。
例えば,3回目の基礎教員に対しましては,臨床医学を意識した基礎医学教育を目指すよう,お願いしております。4回目の教養系の教員に対しましては,本学の医学教育の全体像,使命,特徴などをよく説明いたしました。
なお,この7回以降開設後も,教員との教育懇談会,教授会での議論など,継続して教員が同じ方向を目指すよう,努力をしております。また,今後もFD・SD活動を通じて,教員の意志統一,教育能力の向上を図るとともに,医学教育モデルコアカリキュラムの改定,医学教育分野別評価基準などの医学教育の改革に適切に対応したいと考えております。
以上でございます。


【東北医科薬科大学(堀田)】  続きまして,対応事項の3番,資料4に戻っていただきまして,対応事項の3番でございます。こちらは,教員,医師等の確保に当たって,地域医療に支障を来さないようにすること,問題があると懸念される場合には,速やかに対応することと,こういうような趣旨だと理解してございます。
その対応でございますけれども,まず,教員の採用に当たっては,先ほど福田の方から御説明申し上げましたけれども,地域医療の影響ができる限り出ないよう,指針の作成,選考基準の明確化等を行い,採用時期のバランスにも配慮しながら行ってきたところでございます。資料3に詳しく御説明申し上げたところでございます。
それから,教員採用に伴う地域医療の影響につきましては,こちら,資料2でも御説明申し上げましたとおり,影響の確認等を行ってございまして,しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
それから,今後についてでございますけれども,問題があると懸念される事例が生じた場合には,速やかに対応する予定でございます。また,「地域医療総合支援センター」という組織を立ち上げてございまして,こちらで地域医療支援を積極的に行っていく方針でございます。
そのほか,看護師についても計画的な採用を進める予定でございますが,地域医療総合支援センターの内容,それから,看護師の採用計画につきまして,資料4-2-1,それから,4-2-2に詳しく取りまとめてございます。こちらにつきまして,福田医学部長の方から御説明申し上げます。


【東北医科薬科大学(福田)】  それでは,資料4-2-1「地域医療支援の状況」について,報告いたします。
私どもの医学部の卒業生が医療の現場に出て地域貢献できるのはまだ随分先の話でございます。そこで,現在からできる地域医療貢献ということで,ここに上げた三つの取組をしております。
一つは,「地域医療総合支援センター」の設置でございます。このセンターは,地域医療機関からの医師派遣要請を大学として一括して受け取り,学内調整を行って,効率的かつ効果的な地域医療支援を組織的に行う組織でございます。本年4月に設置しております。
2枚目,3枚目の添付資料1をごらんいただきたいと思いますが,これは現在の医師派遣状況を示してございます。宮城県が中心でございますが,医師の体制が充実してまいりましたときには,東北5県の要望にも対応したいと思います。また,将来的には,常勤医の派遣も視野に入れたいと考えております。
1ページ目に戻っていただきまして,二つ目は,東北大学医学部と連携した地域医療支援でございます。東北大学医学部に「新設医学部連携室」が設置されております。この会議に私どもが参加して,両大学が協力して,効果的な地域医療支援を行うための仕組みを定めました。この仕組みにのっとって,今後,地域医療機関に医師の派遣を行ってまいります。
三つ目は,「宮城県医師育成機構」への参画です。この機構は,宮城県内の適正な医師配置に関する計画と調整を行う場でございます。この資料の4ページに,右端のところに役員と書いた欄がございますが,ここに,私,医学部長と近藤病院長が理事として参加しております。今後,宮城県当局及び東北大学と協力しながら,役目を果たしたいと思います。
引き続きまして,資料4-2-2の看護師の採用計画について説明いたします。
表のちょうど真ん中辺り,平成28年度の数字がございますが,今年の採用数42名と,これまでよりも多くなっておりますが,これはその下の方の休職者が18名と多く,産休等でございますが,それを補充するために,一時的に採用したのが原因でございます。
括弧内の実働労働看護師数は368名で例年と大差ございません。このように,地域の医療機関に配所しながら,現状とほぼ同じペースで,平成33年度には予定どおり全体で600人,右下のその赤字の部分に示してございますが,に達するよう,計画的に看護師を確保していきたいと考えております。
以上です。


【東北医科薬科大学(堀田)】  続きまして,資料4に戻っていただきまして,裏面1枚目の裏側でございます。対応事項の4番でございます。こちらは,宮城県をはじめ,東北各県と密接に連携して,修学資金制度を魅力あるものにすること,それから,奨学金を受けない学生も東北地方に定着するような方策を講ずること,こういった趣旨だと理解してございます。
その対応でございますけれども,まず,資金循環型の修学資金を運営する一般社団法人を平成27年10月に設立して,業務を開始してございます。それから,資金費消型も各県と調整を行い,受け入れは順調に進んでいるというふうに理解してございます。今後も,各県と連携を密にして,修学資金,こちらの定着化を図っていきたいと考えてございます。
なお,資金循環型を運営する一般社団法人の概要につきまして,資料4-3-1から3-4まで取りまとめてございます。こちらについて,簡単に御説明いたします。資料4-3-1でございます。
社団の名称が「一般社団法人東北地域医療支援機構」,その事業内容と目的でございますけれども,東日本大震災からの復興,今後の超高齢化と東北地方における医師不足,東京電力福島第一原子力発電所事故からの再生といった地域の要請を踏まえ,本学における修学資金制度の原資の助成を事業内容とし,医学部の学生を経済的に支援することにより,地域医療を支える医師を育成することを目的とするということでございます。
3番に,資金循環型修学資金制度における社団の役割ということで,まず,東北医科薬科大学への修学資金原資の助成,それから,修学資金の借受者を受け入れた自治体病院等が会費として納付する毎年1人当たり300万の負担金受納と,こういうことでございます。
設立が平成27年10月9日となってございます。
組織体制が,資料4-3-2にお示ししてございます。次の資料でございます。社員が学校法人東北医科薬科大学と宮城県,それから,理事会がこちらに記載のメンバーで構成されてございます。それから,賛助会員として,現在のところ,宮城県の自治体病院20病院に加盟を頂いておるところでございます。今後は,各県にも参加を働き掛けていくという予定でございます。
それから,資料4-3-3でございます。これまでの動きを表に取りまとめたものでございます。3番で,10月9日,社団法人設立。4番,11月25日に,第1回の理事会を開催してございます。さらに,6番,1月,今年の1月に第2回理事会,それから,8番でございますけれども,今年の3月に,宮城県から基金の拠出,1年,初年度15億円を受領してございます。それから,9番で,本学からの基金拠出金2,500万を受領と。10番でございますけれども,3月に第3回の理事会,13番で,今年の5月,第4回の理事会で,初年度の決算,事業報告,監査報告等の承認を頂いております。それから,今年の5月20日,同じ日でございますけれども,第1回定時社員総会を開催してございます。
さらに,今年7月25日には,賛助会員20機関の病院の担当者向けに,社団の説明会,こちらを開催しておるところでございます。
それから,資料4-3-4でございます。こちらは御参考までにということでございますけれども,一般社団法人東北地域医療支援機構の定款でございます。後ほどごらんいただければというふうに考えてございます。
資料4に戻っていただきまして,対応事項の4番,今後につきましても,東北各県と密接に連携し,奨学金を受けない学生も含め,地域定着を図るための卒前教育・卒後教育を適切に実施・支援することにより,卒業生が東北地方に定着するよう,努力を続けてまいりたいと思ってございます。
幸い,B方式20名の受け入れ調整等を通じまして,各県とも密接に連携取れるようになってきてございますので,今後もいろんな形で協力をして,なるべく医師偏在の解消に寄与するように,タイアップしてやっていきたいというふうに考えてございます。
続きまして,対応事項の5番でございます。これは定員調整の対応でございますけれども,こちらにつきまして,要請があった場合は,適切に対応するという予定でございます。
最後,6番でございますけれども,運営協議会を通じて十分な検討を行うと,また,協議を行う場として毎年開催することというような内容だと理解してございます。これにつきましては,先ほども御報告申し上げました昨年の7月に第7回,今年の7月に第8回の運営協議会を開催しておるところでございます。今後も,協議を行う場として毎年開催する予定にしてございます。
なお,参考1でございますけれども,こちらは一昨年の8月,本学の構想が採択されたときに付された「7つの条件」ということでございます。こちら,内容につきましては,3月の六つの対応事項と重複する部分がかなりございます。それぞれの対応状況,六つの対応事項の何番で対応しているかというのを右側にお示ししてございます。
それから,参考2の方でございますけれども,こちらの方は,その更に前,平成25年12月17日,当時の「3省庁合意の基本方針」で示された「4つの留意点」でございますけれども,こちらも対応事項と重複している部分がかなりございます。この対応状況について,その6項目の対応で対応する部分をお示ししてございますので,御参考にしていただければというふうに思います。
説明は,以上でございます。


【遠藤座長】  ありがとうございました。
それでは,ただいまの御報告,御説明に関連して,質問等々,意見交換を行いたいと思いますが,その前に,本日欠席の委員の先生方,結構多うございまして,本日もし欠席をされている委員で,何がしかの御意見を事務局に託しているということがあれば,それを披露していただきたいと思いますが,いかがでしょうか。


【中安医学教育課課長補佐】  確認しましたところ,御欠席の委員からは特段の意見を寄せられたということはありませんでした。


【遠藤座長】  分かりました。
それでは,いかがでございましょうか。


【山口委員】  よろしいですか,質問。


【遠藤座長】  はい,山口委員,どうぞ。


【山口委員】  御説明,ありがとうございました。幾つかお聞きしたいことがございます。
まず,この資料1に入学者の状況が書いてあるわけですけれども,合格者数が297名で,もちろんほかの大学も受けて,辞退ということもあると思うんですが,100人に収れんした,きれいな形に数がそろっているのが,どのように収れんされたのか教えていただければと思います。
それから,この合格者を決めるときですけれども,入試の試験と面接もされていると思いますが,その合計点で全体で上から採っていかれたのか,あるいは,地域枠や東北以外の地域に分けて合格者を決められたのか,その選抜の方法について,具体的にちょっと教えていただければと思います。
それから,もう一つです。東北への思いのある受験生が多いと感じたと理事長のお話の中にあったんですけれども,多分,面接のときには,面接用にしっかり練習をしてこられると思うんですね。ですので,入学した後の学生さんの中で,東北に対しての思いということを実際に感じられている部分があれば,具体的にどういうふうなところでそういったものを感じられているかということを御説明いただければと思います。
以上,三つです。


【遠藤座長】  ありがとうございます。
ちょっと1つだけ。事務局にお尋ねしたいのですが,入試の選抜方法について,今回公開ですので,そこはどこまで言えるのか,ちょっと当局のお考えをお知らせいただきたい。


【中安医学教育課課長補佐】  最終的に,入学許可をどういう形で与えるかというのは大学の判断ということになりますけれども,きょうの場では,ちょっと可能な範囲で御説明を頂ければいいかなというふうに思っております。


【遠藤座長】  分かりました。そういう制約が若干掛かると思ってください。


【山口委員】  はい,分かりました。


【遠藤座長】  では,そういう条件の下で,御発言いただきたいと思います。


【東北医科薬科大学(福田)】  それでは,入学の合格者を出す際,どれだけ苦労したかというのを,入試委員長の方から報告をいたします。遠藤の方から,お願いしたいと思います。


【東北医科薬科大学(遠藤)】  東北医科薬科大学入試センター長の遠藤でございます。よろしくお願いいたします。
ただいま御質問の入学の方式についてですけれども,まず,合格発表というのは,これは定員100名でございますが,最初の第1回の合格発表時には,定員どおり100名を発表いたしました。これは当然,普通だと辞退者が出るので,多めに合格者は出すのが当然でございますが,この入試制度の場合には,修学資金枠何名,それもA,Bと,それから,一般枠というのがそれぞれ分かれておりまして,それから,A方式の各県枠で定員1名でやっておりますので,それが辞退者が出ないということになると大変な問題になりますので,定員どおりの発表をまず合格発表時に行いました。
それ以降,それが2月の中旬になりますけれども,それ以降3月31日まで,受験生の方の辞退は許されておりますので,それ以降,国立大学の発表等がありまして,どんどん辞退者が出ます。そのたびに,毎日ですけれども,辞退者の分を,後で申し上げますけれども,その合格の順位のリストに従って上位から連絡をして,入学の意思を確認すると。そういう方法を取って,最終的には,3月31日以降まで調整を続けまして,最終的に入学者100名ということになりましたということでございます。
それはまずはどうやって100名にしたかということでございます。
それから,もう一つは,合格の判定の方式ですが,これは今年も既に入試の説明会等などで私自身が説明しているところまで申し上げますと,これはもう完全に,地域,あるいは,性別,年齢等,一切の区別なく,学科試験及び面接,小論文の点数合計したもので,上位から順位を付けます。それで,同点でも,この項目,それぞれの優先項目を付けて,同点者が出ないように,1番から何番かまでずっと付けます。
それで,その前に,一次試験は学科試験だけの点で,これは2,400名ほどの受験者がありましたが,これももう既に公表しておりますので,600名程度を一次試験合格者として合格発表いたしました。それで,その合格者に対して二次試験の面接を行いまして,最終的には,学科試験及び面接,小論文の点で,先ほど申し上げたように,上位から順番を付けます。
それに従って全て合格者は決めておりますが,ちょっと特徴があるのは,一般入試の1回でこれは試験をやっておりますが,先ほどの修学資金枠A方式・B方式,一般枠,大きく分けると,その三つなわけですけれども,それに対して,併願を認めております。ですから,一番多くの,パターンとして一番多いのは,A方式が第一希望,B方式第二希望,一般枠第三希望というのが一番多いパターンではありますが,場合によっては,一般枠第一希望という場合もございます。
そういう学生の希望にできるだけ沿うような形で合格者を決めていきますが,全て成績順で決めていきまして,例えば上の方で大体はA方式,B方式,一般枠というぐらいの順番でボーダーラインは来るわけですけれども,全体でそういう併願を使っていますので,それほど大きな差が出ないという,そういう利点はあります。
それで,その学生の希望に従って,辞退者が出た場合には,その枠をどんどん埋めるようにして,なるべく学生の希望に沿うような形の枠に持っていくということを,そういうことも合格者の判定のときに同時に行っております。
その結果,最終的に,入学者の100名のうち,自身の第一希望で入った学生が65名,それから,第二希望の場合が20名前後だったと思います。それから,第三希望の場合,第三希望は十数名だけというように,学生の志望もかなり反映されているような入試制度となっております。
入試に関しては,以上でございます。


【山口委員】  ありがとうございます。


【東北医科薬科大学(福田)】  入試関係は以上でよろしいでしょうか。
そうしましたら,二つ目の地域医療に対する熱意といいますか,入学後の学生がどうであるかということに関しては,大野の方からお願いいたします。


【東北医科薬科大学(大野)】  入学後にどのように確認されたということなんですが,入学後に,学生のいろいろな思いなり,意見交換,情報収集の場として二つあります。一つは,組担任です。学生25名当たりに担任1人を置きまして,入学時早々に面談をして,卒業後のことも含めて,ざっくばらんに話をしました。
もちろん,頑張りますというのもおりますけれども,担任からの話では,もう少し具体的に,何々県に行ってみたいとか,診療科まで言う学生もおり,そういう学生が多かったということ。
もうひとつは,私の方にいろいろと教育のことで聞きに来る学生がおりますが,やはりどこの県に残ろうかとか,要するに残ることを前提にどこの県に何の診療科にということを言う学生も多いということです。特に,大学基礎論で先ほど申し上げましたが,実際に行ってみて,ここでどのように貢献できるだろうかと,そういうことを言う学生もおりました。
もちろん100人全員にきちんとアンケートを取ったわけではありませんけれども,我々教員が接する中で,以上のようなことを感じたということであります。


【遠藤座長】  よろしゅうございますか。


【山口委員】  はい。ありがとうございます。


【遠藤座長】  ありがとうございます。
それでは,いかがでしょうか。どなたかいらっしゃいますか。


【木場委員】  じゃあ,いらっしゃらないなら,一言。


【遠藤座長】  お願いいたします。


【木場委員】  御説明,ありがとうございました。また,新たにスタートを切れたということで,おめでとうございます。
今,学生と県とのつながりという話が出たので,お伺いしますが,前回の会議のときに,東北6県の中で,担当県みたいなところを1年生から決めて,それはもう6年間ずっと一緒で変更は利かないというような話に対して,私どもの方から,いや,1回決めて,もう1年生で判断もなかなか難しいし,固定するというのはどうかなという議論がちょっとあったと思うんですが,それはもう既に決められたということなのかと。
あと,ここの先ほどの説明で,文化史跡を訪問するというところでも分かれているんですが,これは同じ選択なのか,全く別なのかというところ,ここもちょっと聞かせてください。


【東北医科薬科大学(大野)】  最初の御質問ですが,東北6県で6年間にわたって勉強するその配置の方法ですが,まず,1年のときに,この「大学基礎論」がそうですが,まず行ってもらうと。そのときに,一般枠学生に関しては,どの県を訪問したいか希望を聞きます。そうすると,東北,青森,秋田が比較的多かったのですが,理由としては,先ほどの入試の状況で説明しましたように,東北以外の学生が多いので,遠いところに行ってみたいということでした。


【木場委員】  何か旅行的な。


【東北医科薬科大学(大野)】  ただ,第二,第三希望も書かせまして,人数のバランスなどを調整して,45割る6ですか,6県ですから,各県七,八名に振り分けることができました。
それでまず1回行かせて,それぞれ事前学習,訪問,発表させて,その結果,いろいろ良かったということ,実際いろいろ感じたように思います。1年の終わりに年度末に,この2年以降の教育の配置を決めるに当たって,もう一度意見を聞こうと思っています。
それから,教育を進めるに当たって,当然ほかの県の話も共有するようにしたいと思いますので,配置の県の変更とか異動を希望する学生がいるかもしれません。そのときは,その理由をよく聞いて,移ることのメリット,デメリット,また,将来のこととか聞きながら,決めたいと思います。


【木場委員】  分かりました。


【東北医科薬科大学(大野)】  それと,訪問のところですが,ちょっと簡単に説明してしまいましたけれども,どこをどのように,どんな方法で訪問するかは学生に決めさせました。ただし,条件としては,公共交通機関を使うこと。タクシーで周りたいという学生がいたのですが,公共交通機関に限定しました。学生らが帰ってきて分かったことが,交通の便が不便だなと。特に関東から来た子はそうでした。やはり行かせて良かったかなと思っております。ですから,そういう意味で,自由に選ばせました。
よろしいでしょうか。


【木場委員】  どうもありがとうございます。


【遠藤座長】  よろしいですか。ありがとうございます。
邉見先生,どうぞ。


【邉見委員】  御説明,ありがとうございました。
2点ちょっとお聞きいたします。途中で退席いたしますので,先に。
一つは,宿舎といいますか,看護師さんは寄宿舎みたいなのが多いと思うんですけれども,学生さんは全く,みんな遠いところから通っていますか。宮城県の人は自宅から。
といいますのは,私,自治医大に関係していまして,自治医大は全寮制なんですね。そうすると,非常に卒業式なんか行きますと,横のつながりが非常に強くて,もう地域医療に頑張るんだと,学徒出陣みたいな感じでこう,卒業式,出ていくんですね。寄宿舎のおばちゃんとか生協のお姉ちゃんとかがもう本当に家族みたいに送り出しておるんですね。
そういう強いきずなが,やっぱりそういう近くに住んでいたら,できるんじゃないかなと思ってお聞きしておるんですが,まずそれが1点です。


【東北医科薬科大学(福田)】  現状では学生寮はございません。ただ,私も自治医大を訪問いたしまして,全寮制の良さというのを身にしみて感じておりますので,将来の検討課題にしたいと思います。


【邉見委員】  二つ目は,これにも関係するんですが,クラブもあると思うんですが,医科薬科大学ですけど,薬学部のクラブに皆,今のところ入るわけでしょうか,文化系,体育系。


【東北医科薬科大学(福田)】  現状では,薬学部の既存のクラブに参加していただくという形を取っておりますが,一部,薬学部にないクラブというのがございまして,それについては今対応を考えております。
それから,東医体という医学部の大きな大会,あるのは御存じだと思いますが,これに参加できる形式をもうちょっとで整えられる。何かいろいろな手続をしないと,参加できないんだそうです。用意しております。


【邉見委員】  これも非常に強いきずなになりまして,定着する大きな力になると思います。是非よろしくお願いします。


【東北医科薬科大学(福田)】  ありがとうございます。


【東北医科薬科大学(大野)】  今の件について一つ追加させてください。


【東北医科薬科大学(福田)】  はい,どうぞ。


【東北医科薬科大学(大野)】  きずなという意味では,同じ宿舎できずなということも一つだと思いますが,本学の仕組みで考えているのは,先ほど申し上げましたように,東北6県に配置する学生は繰り返し一緒に行くということです。そこには一般枠学生も修学資金学生もいます。東北出身も,関東と東北以外の出身もいます。
確かに,仙台では自宅やアパートで住む所は違うかもしれませんけれども,その地域で学ぶときに,必ず一緒に行く,いつも一緒に行くという。そこがまた別な意味でのきずななのかなという気はしています。これは期待も込めてです。


【邉見委員】  ありがとうございました。


【遠藤座長】  桐野先生,どうぞ。


【桐野委員】  大変慎重に準備しておられるのはよく分かりました。
それで,ちょっと今伺うのは少し早いかもしれませんけど,地域医療を担う医師の養成という点に関しては,やはり自治医大の経験は非常に大きいと思いますし,自治医大と東北医科薬科大学は同じ基盤に立つというのはちょっと無理な話なんですけれども,参考になる点は多いと思います。
それで,その点で,多くの卒業生が卒業9年から10年の義務期間を,義務期間という言い方がいいかどうか分かりませんが,をもって卒業するわけです。したがって,他の大学を地域枠で卒業して卒後一定期間働く場合も似たような面もありますけれども,卒業の初期臨床研修から専門医研修にかけてのことは,恐らく他の一般の医科大学とちょっと違う面があるのかなと思いますし,その準備というか,どういうふうにするかというのをお考えでしょうか。


【東北医科薬科大学(福田)】  実は,先生御指摘のとおり,自治医科大学は大いに参考にしておりまして,うちにも半分,自治医科大学のような性格を帯びておりますので,実は,設置認可前から,自治医科大学と接触をしておりまして,教育センターであるとか,いろんな方と面談をいたしまして,情報を取得するということ,それから,何をどうすればいいかということを取得する。
それから,卒業生の問題につきましても,自治医大の開学当初のいろんな問題点,何があったかということをお聞きしたりとか,開学というか,設置前から接触しております。それから,設置後は,大野を中心にしまして,具体的シラバスでありますかとカリキュラムはどうするかという問題で,継続的に接触しております。
今後とも,十分に参考にしたいというふうに考えております。
特に初期研修は,自治医大と違いまして,うちは例外にはなりませんで,学生の自由になってしまいますので,そこをどう切り抜けて地域に定着させるか。これからいろいろと考えたいと思います。


【東北医科薬科大学(大野)】  卒業後の体制ですが,確かに先輩が全くいないということで,これは自治医大の創設時と同じ状況だと思って伺っています。そういう意味で,精神的なバックアップや,具体的なバックアップも必要だということで,学内に卒後研修センターを設置しました。このような組織はどの大学でもあると思うのですが,そのセンターを中心に,一般枠の学生はもちろん,各県に参ります修学資金枠学生卒後研修なりキャリアアップについて,各県との調整とか,様々な作業を学生,卒業生個人に任せるのではなくて,大学として応援していくという形を作っていこうと思っています。
以上です。


【遠藤座長】  ほかにどうですか。はい,小山委員,どうぞ。


【小山委員】  大変な適切な御報告を頂きまして,ありがとうございます。大変順調に滑り出したようで,委員の一人として大変うれしく思います。
一つだけちょっと質問なんですけれども,教員と看護師の話なんですけれども,募集を今続けておられますけれども,平成30年度の最終の教員数が一応183名という予定のようなんですけれども,これは最終的には何人ぐらいになる予定ですか。


【東北医科薬科大学(福田)】  これにつきましては,教員プラス,例えば研修医とか後期研修医を併せた大学病院としての総数というのが,基準といいますか文科省から求められている数字が270とか80とかいう数字はございます。ですから,教員,プラス,院生,研修医,その他併せて,最終的にはそこまで持っていきたい。
だから,教員を含めまして,そういう意味では,医師という意味では,まだ60名から90名足りないということで,完成年度に向けて6年間,計画的に毎年15名ずつ継続的に補充をしていきたいというふうに考えております。


【小山委員】  それから,看護師の方は一応600名が最終目標みたいに書いてありますけど,これはこのままですか。これ以上は増えることはない。


【東北医科薬科大学(堀田)】  今後,医師が増えますと業務量も増えますので,非常に苦しい数字ではございますが,取りあえず地域では看護師の不足というのも極めて切実な問題になってございますので,最大限いろんな工夫を凝らしてということでございます。
直接的には,例えば,業務の見直しを行って,看護助手を最大限活用するとかというような形で,何とかこの水準で進めてまいりたいなというふうに考えているところでございます。


【小山委員】  ありがとうございます。


【東北医科薬科大学(高柳)】  看護師さんについては,医師会とか各県のいろんな先生方からやはり引き抜きを心配されて,私の方の大学で自前で養成したらどうなんですかという御意見もいただいております。もっともであって,私どももそうしたいんですけれども,今ちょっとこういう状況で,なかなかそこまで同時に手を付けられないと。できるだけ早期に看護師養成をして,自前でやっていきたいと,こういうふうには思っていますけれども。


【遠藤座長】  ほかに,いかがでしょうか。よろしいですか。
じゃあ,私から一つ。受験生の件ですけれども,久しぶりにできた医学部だということで,医学部受験生にとってみれば非常に関心があった出来事だったわけですけれども,結果として,その中で,いろいろ,例えば東北地方の人しか受けないのではないかとか,いろいろなネット上で議論されていたというふうに思いますけど,結果的には3割ぐらいが東北の方が入学されて,それ以外は東北以外ということだったのですが,当初はどのぐらいの人数が東北から来るかなって,そういうようなお考えがあったのかどうか。差し障りがあればあれですけど,そんなところが一つと。
もう一つは,意外と,B方式で,東北以外のところからの受験生もいるわけですね。つまり,東北以外の受験生で,奨学金と勤務地との縛りのある方式での志願と,それから,一般枠で東北地方以外の人たちの志願も当然あるわけですけれども,東北以外の人たちからしてみると,どっちの方が人気があったと思われますか。その辺はどんなふうな感じでしたか。


【東北医科薬科大学(福田)】  最初の御質問ですが,希望としては4割ぐらい行ってくれたらいいなというふうに思っておりました。この31名の中身でございますが,実は,東北地方出身者の受験生の割合が34%でございました。それから,合格者297名という,この中の合格者数,東北34%で,ちょうど受験者の数に見合った合格者数があったということでございます。ただ,辞退が出たために,31%,31名になってしまったということでございます。
ということですので,これはやはり東北地方からの受験者を増やす,分母を増やすという努力をこれからして,なるだけ東北地方出身者を増やしたいというふうに考えております。
それから,その修学資金枠の人と一般枠の人で,特に遠隔地の方の意識がどうであったかというのは,ちょっと済みませんが,ちょっと分析,まだしておりませんで,面接とか小論文をもう一回分析すれば,分かるのかもしれませんが,まだしておりません。


【東北医科薬科大学(堀田)】  まだ個別のデータということではないんですけれども,もちろん,東北地区以外の方は一般枠を志望される方も一定数いらっしゃいましたし,わざわざ修学資金枠を選んだ方もいらっしゃいます。
印象的なのは,やはり例えば一旦ほかの学部を出られて,よその仕事に就かれたけれども,やはり医師への思い絶ち難く,しかし,経済的に限界があるので修学資金枠でという学生も,多いとは言えませんけれども,何人かいらっしゃると。そういうところで,それなりに,何ていうんでしょうね,表現の物差しというのは多々あろうかと思いますけれども,それなりに役割を果たしているのかなと。
あと,それから,ちょっと若干補足いたしますと,全体で100名のうち31名が東北出身ということでございますけれども,修学資金枠55名に限って見ますと,20名で,比率は36%ということになります。まだ初年度ですので,データ的なものというほどではございませんけれども,一定の役割は果たしているのかなという認識ではおります。


【遠藤座長】  ありがとうございます。
ほかにございますか。


【桐野委員】  ちょっといいですか。東北医科薬科大学の問題ではないのかもしれませんけど,医学部にかかわらず,大学というのは全国に開かれているので,必ずしも宮城県にあるから宮城県出身者が占有的に行くというものではもともとないわけです。東北地方には各県に1大学あって,今度,宮城県には二つ目ができたわけですけど,一般的に,ビヘービアというか,行動パターンというか,例えば岩手医科大学などは岩手県出身者は2~3割ぐらいじゃないかと僕は思いますけど,その方たちの中でも,かなりの数が卒後10年ぐらいの時点で岩手県に残っている率があると思うんですね。
だから,必ずしも東北地方出身者じゃないから,もうすぐ帰っちゃうかどうかというビヘービアのパターンというのは,必ずしもそうは言えない面もあると思うんですね。それが卒後教育の工夫とか,いろんなことがあるとは思うんですが,その辺のところはどんな感じとしてつかんでおられますか。


【東北医科薬科大学(福田)】  先ほど申し上げました,堀田が申し上げましたとおり,例えばAの宮城という資料1をごらんいただきますと,東北以外の方がむしろ数が多いということでございます。これはもう当然,宮城県内に10年間勤務するということをしっかりと認識して入ってきているわけでございますので,逆に言うと,そういう使命を,本学の使命をしっかりと理解した方が全国的にたくさんいらして,その方が東北に移動してくるということですから,考えようによっては有り難いことかなというふうに考えております。それで,卒後定着率という意味ではかなり期待しております。


【東北医科薬科大学(高柳)】  我々,何も宮城県,東北地方出身者というふうに限定しなかったのは,東北大を見ていましても,やはり全国から来ていますけれども,東北大に6年間,仙台にいまして,そして,その後,研修で,あるいは,病院で東北地方にずっといると,やはりかなりの確率で東北地方に定着すると。
今回の場合は,6年生と奨学金と10年以上も東北地方に残るということですので,奨学金をもらった方はかなりの確率で東北地方に定着するだろうという推測をしております。


【遠藤座長】  是非頑張って。
ほかによろしゅうございましょうか。よろしいですか。
大体御意見は承ったと思います。また,皆様方からの御発言もこれぐらいかなと思いますので,それでは,今お話を承って意見交換をいたしましたけれども,少しまとめをさせていただければと思います。
本日は,東北医科薬科大学からのヒアリングを頂きまして,また,委員の皆様からの御意見,御質問等々も頂いたということでございますけれども,全般的に考えれば,東北医科薬科大学においては,開設後もいわゆる今後の対応が必要な事項として上げられているこの事項については,着実に取り組まれているというふうに考えられます。それから,また,適切な教育の運営が実際に行われていると,そのようにも考えられます。
今後も,東北医科薬科大学には,委員の皆様からの御助言を踏まえて,教育の充実に努めていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
そのようなまとめでよろしゅうございますか。
ありがとうございます。では,そのようなまとめとさせていただきたいと思います。
それから,これは少しこの本構想審査会の在り方といいますか,今後の運営の仕方ついて,私の考えを述べさせていただければと思います。
本日の報告にありましたように,大学の教育運営状況等については,今後も県庁であるとか東北各県の医師会,大学等の外部有識者を交えた東北医科薬科大学の教育運営協議会,これが実際に活動されておられまして,フォローアップがずっとなされているということでございます。
また,設置計画の履行状況等につきましては,大学設置・学校法人審議会大学設置分科会の下に置かれました設置計画履行状況等調査委員会が,今後6年間アフターケアをしていくということになっております。
そういうことで,大学の運営につきましては,この二重の必要なチェックを受ける体制というのが確立しているということでございますので,本構想審査会の今後の開催につきましては,今の二つのフォローアップの状況を踏まえつつ,必要があれば,座長において適切に判断させていただくという,そういうような,いわば開催については座長預かりという形にさせていただければと思いますけれども,よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。
それでは,そのように,必要があれば,座長において適切に判断するという対応にさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。それでは,今後の開催については,座長預かりとします。
そのほか,事務局から何か連絡事項はございますか。


【中安医学教育課課長補佐】  特段の連絡事項はございません。


【遠藤座長】  それでは,本日の会議はこれにて終了したいと思います。本日は,東北医科薬科大学の皆さん,どうもありがとうございました。


―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局医学教育課企画係

03-5253-4111(内線3682)

-- 登録:平成28年12月 --